2、3年生だけで挑んだ団体戦でベスト8/東日本学生選手権

相撲 2016.06.06
 大学角界における今年度最初の山場、東日本学生選手権が両国国技館で行われた。主将の名和闘志(政経4=埼玉栄)が体調不良のため欠場し4年生不在の布陣を強いられたものの、団体戦予選は駒大に勝利し勝数1、得点5の成績でAクラス7位。決勝トーナメント1回戦で敗れたが、昨年同様ベスト8の成績を残した。個人戦では川村希(政経2=埼玉栄)が2勝するも予選3回戦敗退。シードの田原勇也(政経3=報徳学園)が予選2回戦敗退、他の出場選手4人は予選1回戦敗退となり、決勝に進んだ選手はいなかった。

 予選を勝ち切り、目標の決勝へ進んだ。予選1回戦では拓大を相手に2-2で大将戦を迎え、大将・前田将吾(政経2=宿毛)は調子が良かったが熱戦の末惜敗。2回戦、トップクラスである日大との壁は厚く、0-5と圧倒された。ここまでで2戦2敗と、3回戦で勝たなければ決勝トーナメント進出が危うくなる状況に。3回戦はBクラスの駒大を相手に、先鋒の田原はまわしをつかんで寄り切り、二陣の川村は一瞬で勝負を決め、2-0とした。しかし続く中堅、副将と連敗して流れが相手に傾いた。2-2と崖っぷちの状況で大将戦を迎え、前田は「ここで勝たないとと思って強い気持ちを持った」。立ち合い後すぐに相手を抱え、土俵際に追い込み寄り切って勝利した。前田の一方的な白星で見事優秀8校決勝トーナメントに駒を進めることができた。
 決勝トーナメントでは今大会王者の日体大に1勝もできず、結果はベスト8で終えた。

 主将不在で挑んだ今回の団体戦。2、3年生だけというイレギュラーな布陣ながらも昨年と同様ベスト8を勝ち取った。ポイントゲッターの名和がいないという不安もある中「みんなでカバーしようという気持ちで戦えていた」(小川清彦総監督)と、個々の選手が力を見せ、今回の結果を手繰り寄せた。
 この日、名和主将に替わって二陣のエースポジションを務めたのは2年生の川村。選手交代が決まったのは当日朝、国技館に来てからという土壇場だった。「自分が出ることになってめちゃくちゃ緊張した」という川村。しかしその中でも迷いのない相撲を取り切った。持ち前の思い切りのいい相撲で、チームで唯一、拓大戦も駒大戦も白星を挙げた。
 
 個人戦でも川村は3回戦まで残り、チームの中で最高成績とした。予選1回戦では勢いよく押し出して慶大選手に勝利。2回戦では1度はバランスを崩されるも態勢を整え、中大選手をはたきこんだ。3回戦の相手は団体優勝の三輪(日体大)。「全然だめでした。自分より上なのはわかっている」と川村。相手との力の差を感じる試合となったが「集中力と前に出る力、あと根性。トップ選手にも勝てるように、気合い入れて」と新たな課題を見つけることができた。川村はこの日一番白星をつかんだ。

 今大会では目標であるインカレ優勝への流れを作るためにも重要な試合であった。「いつも1回戦ではなかなか力が出せない中、今日は1回戦から戦うことができ、次につながる試合となった」(小川総監督)と収穫が見られた。守重佳昭監督は「切磋琢磨することによってチーム力は上がる」。今大会では2、3年生が奮起したが、他の選手の今後の活躍にも期待だ。試合を通して新たに出てきた課題をこなし、来月行われる全日本大学選抜金沢大会に向けて成長していく選手から目が離せない。


[臼井美理亜]


試合後のコメント
小川総監督

「名和の欠場をみんなでカバーしようという気持ちで戦えていた。日大には力の差がまだあったけれど、それで終わらずに最後の駒大戦は2点先取して2点取られて、流れが向こうに行きかけたけれど最後に前田がしっかり取って、結果的に駒澤に勝って決勝に残ったということで、名和がいなくても最低限の目標はクリアできた。田原も駒大戦は先鋒として非常にいい相撲を取った。川村も思い切りがいいので。名和はポイントゲッターで中心だけど、名和の1点は1点。1人1人が自分が取って、3点取ればチームが勝てることは一緒。今日出れなかった者も、稽古場で差があるわけではないからこれでみんなが競って今度は自分がという自覚を持てれば」

守重監督
「誰が出ても五分だと思っているし、名和の代わりに出た川村も点数挙げてくれた。1部残留は最低限。前田は前2番は勝ちに等しい負けだったし、気持ちが強いから悪くはない。個人戦は、団体戦が終わってほっとして気が抜けたね。バタバタって負けてしまった。結局は気持ちで勝っていくしかないので、ちょっとした気の緩みが全部試合に出てしまう。それほど際どい競技。心技体っていう中で、心が一番頭に来るくらいメンタルに左右される部分が大きい。だから団体戦みたいにみんなが「よしっ」ってなると力が出せるし、個人戦になってふっと抜けると極端に弱くなったり。夏場は金沢、十和田と出られることになったので、そういうところでもしかしたら1年生が伸びてくるかもしれないし、それに負けじと2、3年生が頑張ったり4年生も回復してくれれば。そうやって切磋琢磨することによってチーム力は上がると思う」

川村
「今日まで前に攻める練習とか自分の右脇が空くのを直す練習をしてきた。試合は思い切ってやろうと思った。初戦の拓大戦は、内容は良くなかったけど勝ててよかった。駒澤戦では相手が1年生だったのでリラックスしてやることができた。(新たな課題は)集中力と前に出る力、あと根性。トップ選手にも勝てるように、気合い入れて。監督や総監督のことをしっかり聞いて練習して頑張っていきたい」

前田
「名和さんという勝ち星をとってくれる人がいなかったことは少し不安に思ったが、特に大きなプレッシャーも感じず試合に臨めた。初戦の拓大戦2勝2敗で回ってくるとは思わなかったが、回ってきたからには勝とうという強い気持ちを持った。勝ちたかったけれど焦ってしまい最後の詰めが甘くなって負けた。(3回戦の駒大戦でも2勝2敗で大将に回ってきて勝利したことは)ここで勝たないとインカレにも繋がらないと思って強い気持ちを持った。結果は負けたけれども今日の日大戦でも土俵際で競るなど次につながるいい試合ができた。インカレ勝利に向けて体重を増やして体力や持久力を上げていきたい」


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