男女フルーレ、ともに2部優勝は果たせず/関東学生リーグ戦

フェンシング
2016.05.19
 男女とも、あと一歩が届かなかった。男子フルーレは昨年も2部優勝を争った拓大と再戦。中盤はリードを広げたものの最後のセットでつかまり逆転負けを喫した。女子は強豪・東女体大との大一番に勝利したが、1日目の慶大戦の負けが響き2部優勝とはならなかった。

<1日目>
[男子フルーレ]

 勢い良くスタートを切った。初戦の立大戦を45―28で快勝し2戦目、東学大との試合。先手を切ったのは岸貴範(営2=埼玉栄)だった。相手に1点しか許さない猛攻で第1セットを終える。すると、それに呼応するかのようにインターハイでベスト8入りを果たした期待のルーキー・久米春貴(営1=愛工大名電)が第3セットで5ポイントを連取。その後も岸、道脇啓太(営3=熊本県立翔陽)、久米の3人で順調に攻め続け、終わってみると45―25の大勝だった。
 今試合明大として初出場を果たした久米は「緊張していつもの動きができなくて固くなってしまった」と振り返るも、連続ポイントを挙げるなど大いにチームに貢献した。

[女子フルーレ]
 新戦力が躍動した。三人中、二人が1年生というメンバーで挑んだ女子フルーレ。初戦の相手、上智大を45―30で下すも、2戦目の慶大戦では思うような試合ができず25─45で敗北する。
 しかしこれ以上の負けは許されないと迎えた第3戦、学習院大との試合。一際目立った活躍をしたのがインターハイ出場経験のある星と一般入部の森本だった。星は1セット目こそ4点を取られたが、その後は危なげなく試合を進め4セット目と8セット目をストレートで終わらせる。一方の森本は「3試合目は切り替えていこうと先輩にも言われたので、切り替えてやった」と、2試合目での敗戦を糧に30秒以内に一挙5得点。また次の第6セット、第9セットも相手に付け入る隙を与えずストレートで5点を獲得し、無失点の活躍を見せた。頼もしい二人の1年生が、この大会の台風の目となる。

<2日目>
[男子フルーレ]

 1年越しの雪辱は、ついに晴らせなかった。国学院大戦、専大戦をそれぞれ45―6,45―37で勝ち抜き、全勝優勝も見えてきたところで迎えた最後の相手は昨年、明大の2部優勝を阻んだ拓大。1セット目こそ1―5と相手の先行を許すものの2人目の道脇が粘って8―10に持ち込み、3人目の久米で逆転に成功する。4人目の岸は1点しか許さない堅実な攻守を見せ、4セット目終了時で20―14と大きくリードを広げた。その後試合は混戦にもつれ込み、両者譲らない展開が続いたが、8人目の岸が意地を見せ40―36と一歩リードしたまま8セット目を終えた。「最後リードして道脇に渡したから、そこまでは予想通り」(長尾康司監督)。しかし、9人目の安倍(拓大)に道脇が翻弄(ほんろう)され4点差を覆されての逆転負け。因縁の対決はまたしても拓大に軍配が上がった。最後のセットを落とした道脇は、「取り切れなかったのが一番悔しいです」(道脇)と肩を落とした。
 拓大のエース・安倍(拓大)に終始苦しめられた。1セット目では出鼻をくじかれ、5セット目では大量のリードを追い上げられた。最終9セット目でもスキを与えない守備と的確にポイントを奪っていく攻撃に圧倒され、逆転を許してしまった。試合後、長尾監督は「1年前から分かっていることだったけれど、個の力に最後押し切られたということ」(長尾監督)と敗因を分析した。

[女子フルーレ]
 実りある初リーグ戦となった。慶大が全勝したことで入替戦出場がなくなり迎えた最終戦・東女体大戦。1巡目、森本、星の試合を終えた時点で8-4とリードを奪う。そして古俣が攻め、15-8とその差を7点まで広げた。しかし、続く星が苦戦を強いられ、18―20と逆転を許してしまう。その後も差が広がる中で唯一の上級生の古俣が気を吐いた。「ひっくり返そうとか追いつこうという気はあまりなかった」(古俣)だが、嵐のような厳しい攻めでの8連続ポイントで30―28と試合をひっくり返した。その後は一進一退の攻防が続く。迎えた9人目の森本。先に2点を連取し42―39と3点差に広げると、その後は追い上げられるも残り44秒で森本の剣が相手に命中し45―43で逃げ切った。「森本は楽しんでやっていた」(長尾康司監督)の言葉通り自然体がもたらした勝利だ。入替戦の出場こそかなわなかったが、1年生主体で健闘した。こうした経験が秋以降にいきてくる。次に見据えるのは、秋の関カレ、インカレでの個人戦と団体戦だ。リーグ戦での手応えを糧に躍進が期待される。

 男子は宿敵相手に痛恨の敗戦を喫した。しかし、この敗戦から見つかった課題も多くあったはずだ。女子は結果としては2部2位で終わったが内容は決して悪いものではなかった。1年生はこれが明大として初めての団体戦だったこともあり、十分な力を出せなかった部分もあったが、それでも存在感あるプレーで強豪相手にもセットを取り、チームの一員として監督の期待に応えた。19日からはユニバーシアード出場経験もある古俣潮里(政経3=新潟)をはじめ、力のあるメンバーが揃い1部優勝を狙える女子エペ、久米も出場する男子サーブルの試合が始まる。男女フルーレをも超えるような、さらなる熱戦に期待したい。

[前田拓磨・三ツ橋和希]

試合後のコメント
長尾康司監督

「残念、悔しいの一言。1年前から分かっていることだったけれど、個の力に最後押し切られた。最後リードして道脇に渡したから、そこまでは予想通り。あとは安倍慶(拓大)に45本目を取らせない、44本までに抑えて45本道脇が取るというシナリオを描いていたけど、そうならなかった。残念です。(女子は)東女体大との最後の試合、森本が勝って星がその差を広げて古俣がまた広げて、と最初の一回りでいい入りができたから、指示通りに動いていたし相手も突出する選手がいなかったから総合力と雰囲気だけで流れを渡さないようにやればこのまま押し切れるかなと思っていたけれど、肉薄はされたけれど押し切った。結果的に1敗したのは慶大だけどラスト周りにスーパースターがいるから、序盤に差をつけられて追いかける展開だったんだけどちょっと調子が悪かったのか剣が合わなかったのか大敗という感じになってしまった。東女体大と慶大の試合で他力本願で東女体大が勝ってうちが勝てば1敗で並ぶかなと思ったけれど慶大が勝ってしまったから、逆転で優勝はならなかった。でもよくやったと思います。出場した4人の中に1年生が2人だから、来年以降この2人が主力になって盛り上げてくれれば2部では勝てるかなと思います。(ルーキーは)久米は初めてのリーグ戦ということで相当本人は緊張して本来の久米の力は出きってなかった。もっとスピードあるしもっとしっかり突けるんだけど、少し緊張したかもしれないね、このリーグ戦の雰囲気に。森本は、はたから見ると緊張感はない感じで、楽しんでやれていた。彼女は一般で入ってきたからいい意味で変なプレッシャーがなくて出られることの素直な嬉しさでフェンシングをやっていた感じがある。やっぱりまだ何も分からない感じ、出ろと言われて出てこうやれああやれと言われたらはいはい、とやっていたから。彼女はある意味楽しんでやっていたと思います。星は3番手の位置付けになると思うけど動きが、下半身の強化を今後していかなきゃいけない。相手が来たのに下がらないで足が止まって棒立ちになって剣で避けようとしたり、下がって間合いで切らなきゃいけないんだけど下がりきれなくて剣とかでやろうとするとかわして突かれてしまう。基本的な動き、14mのピストの中でフットワークを使うことが今後大事だと思う。(19日の試合)エペはリザーブかな。古俣か奥村が決めると思う。それぞれみんな頑張れていい経験になったと思います」

道脇
「3年生が1番上ということで頑張りましたね。自分が最後勝たなきゃと思っていたんですけど勝てなかったです。取り切れなかったのが一番悔しいです。勝てると思っていたので。(相手が)1人だけ強いのでチームで勝とうと思って、すごく悔しかったです。(岸と久米は)2人とも強いので心配は全然していなかったです。点差を離していこうと思っていました。(男子フルーレは期待もあったと思うが)明治で一番いけるかなと思っていたので悔しかったです。(明日以降は)自分と岸がエペで久米がサーブルをやっていたので自分たちが分けて出ます。他の種目で頑張ります。足引っ張らないようにプラマイ0くらいで回せるよう、自分たちのせいで負けないようにしたいです」

古俣
「私は専門外で全然練習していなくて、東女体大の人はずっとフルーレやって来ている方なのでちゃんとしたフルーレをすると勝てないと思ったので、自分できるエペ的なコントルアタックとか相手を撹乱してフレッシュコントルだとかでどうにか五点取って専門の一年生の足を引っ張らないようにという感じだった。(リードされたて回ってきた心境)入替戦には行けないとわかっていたので、とにかく自分のできることをしようという感じで、ひっくり返そうとか追いつこうという気はあまりなかった。取れるだけ取ろうという感じで入って、気は楽だった。(一年生について)すごいいい経験になったと思う。最後回りを任せていた森本は一年なのに最後回りで相当なプレシャーだったと思う。最後に勝ちきってくれたし、後ろから二番目だったり色々こなしてくれて、最後点をとられてしまったが、そこから立ち直り方も学んでくれるといいなと思う。最初に慶應に負けた時点で諦めてはいなかったが、一年生二人の経験になる試合が出来ればいいなと思っていた。その点では目的は達成できたと思う。出来れば1部に行きたかった。(明日からのエペについて)予想外に
フルーレが楽しくて燃え尽きてしまっているが、メインは明日。東女体大戦のように笑ってはいられない。とりあえず最初の専大戦でしっかり浮き足立たず一本ずつ重ねていってそこを勝って、続く早稲田、法政に弾みをつけたい。目指すは王座だが、まずは一勝して入替戦の可能性を潰すことで余裕が生まれると思うので最初の一戦目に集中して行こうと思う」

久米
「中盤で自分が最後取られてしまったところが敗因かな、と思います。流れは自分が流れを作ったという感じではなく、むしろ途中で逆に作られたという感じでした。序盤で相手に動かされてしまって体力がもたなかったんでそこでいつもの自分とは違ったかな、といった点はあるんですけど、拓大戦の最初のほうは自分の感じが出せたかな、と思います。先輩の足を引っ張ることが多かったので、自分が3、4年になったときには1年生を引っ張っていける先輩になっていきたいと思っています。(今後の課題は)左利きの人と試合をするときに、右と左だと剣の操作が違うので、そこでうまく剣の操作が出来ていなかったので、左にも慣れていきたいと思います」