インカレ決勝進出ならず 予選1回戦全敗が響く/全国学生選手権

相撲
2015.11.09
 一戦が悔やまれる結果となった。Bクラス予選からのスタートとなった今大会。苦戦を強いられながらもトーナメント3連勝でBクラス優勝を果たし、本命のAクラス予選へ。しかし、金沢学大にまさかのストレート負け。続く2回戦では中大に2-3で敗れ、決勝進出から大きく遠ざかった。最後は強豪・拓大に3-2の勝ち星を挙げるも、初戦の全敗が響き決勝への道は途絶えた。

 まさかの完敗に言葉を失った。Bクラス予選では幸先よく3連勝。トーナメント決勝で早大に東日本リーグ戦の雪辱を果たすなど、いい流れで決勝予選に進んだかのように思われた。しかし1回戦の相手、金沢学大に0-5の敗北。「力の半分も出せていない」(小川清彦総監督)と、体が縮こまって思うような取組ができなかった。今まで団体戦で貴重な白星をつけてきた武政進之介主将(政経4=埼玉栄)さえも力及ばず。押されながらも相手の下に潜り込んで反撃を試みるが、土俵際で体勢を崩され突き落とされた。「あの0-5で今日はほとんど終わった」(小川総監督)。2回戦では中大を相手に2-3の惜敗。またしても、3勝するためには勝利が大きく期待されていた武政が敗れ、勝ちのパターンに持ち込めなかった。3回戦は一転、昨年準優勝の拓大に、先鋒・川村希(政経1=埼玉栄)の豪快な上手投げに勢いづいたチームが奮闘し3-2で勝利。中大に勝ち星を挙げていれば決勝進出が濃厚だっただけに、一敗が悔やまれた。

 学生最後の土俵に、相撲人生の全てをぶつけた。Aクラス予選最後の拓大戦。1-2とされ、鈴木貴勝(商4=東洋大牛久)は後がない状態で副将戦を迎えた。立ち合いから突っ張り合い、一度は土俵際まで追い込まれた。しかし右に体をかわすと一気に反撃。すかさず体勢を崩した相手のまわしをつかみ、そのまま寄り切った。「大学入ってから一番の相撲が取れた」。下級生から実践経験を積んできた鈴木だが、今年は結果を出せずに苦しんだ。夏を越えても不調は続き、9月の東日本リーグ戦では大将を務めるも全敗するなど、どん底を味わった時も。「4年生で一番稽古して汗かいて、勝てないで終わらせるわけにはいかなかった」(小川総監督)。そして集大成のインカレ、Bクラスではチーム唯一の3戦全勝でトーナメント優勝に貢献。拓大戦で白星を挙げ、有終の美を飾って学生最後の土俵を下りた。

 インカレ閉幕とともに4年生は引退。新チームとして出発するが、目標は変わらない。「また優勝を目指して」と守重監督の視線は先を向く。チームを引き継ぐ下級生は、4年生が「何としてでも後輩たちに春の出場権を与えたかった」(鈴木)と意地で決めた1部残留を無駄にするわけにはいかない。拓大戦で先鋒を務め、思い切りのいい取組で流れを呼び込んだ川村を筆頭に、若い力の伸びしろは無限大だ。もう一度鍛え直し、インカレでのリベンジを誓う。

[星川裕也]


小川総監督

「残念。やっぱり金沢学院との試合が悔やまれる。力の半分も出ていない。踏ん張りどころだったが残念。あそこで0ー5で今日はほとんど終わった。でもそこからの踏ん張りはあったので力を付けている。最後に意地を見せた。拓大には記憶にないぐらい勝っていないが、最後に意地があった。最後は開き直りがあって思いきっていたが、1回戦を見ると力を出せていない、硬くなっている。前が負けると連鎖が出てしまう。武政が全然駄目だったけど、今年全く団体戦で勝っていない鈴木が最後は結果を残してくれた。一生懸命4年生で一番稽古して汗をかいて、勝てないで終わらせるわけにはいかなかった。社会に出るにしても自分でやり切ったという思いは一番大事なこと。本人もやり切ったと思う。今までとは違う積極的な相撲を見せた。齊藤も自分の相撲を取っていた。本人たちにとってはくじけずにやってきていい点もあった。チームとしては優勝を目指してきただけに、可能性もあっただけに、金沢学院の試合が悔やまれる」

守重監督
「個人戦は、武政はもう少しいけたかなっていうところで負けたけど、団体戦の明治って昔から言われているだけあってそこまで重くとらえてない。それを踏まえての今日の朝からの試合で、朝から先鋒を落としてつらい戦いをやっても、何とか後ろで取ってつないで二部は優勝できた。そこで一瞬気持ちが切れたのかな。ゼロで負けるはずのない金沢学院にばーっと持ってかれて、それが響いて、後で取り返しがつかなくなってしまった。最後の拓大はね、もう何年振りだろうか、全然勝っていなかったので、一部でベスト4とかに入ってくるチームに勝てたっていうのは唯一の救いかな。ぎりぎりの一部残留で。競技の特性というか、メンタル面がすごく大きいというのが分かる。今年一年、勝つことがどれだけ大変かっていうのをやってきて、そこでまたダメなところの明治が出てきちゃって。中央にも2点は取っているし、最後拓大にも大逆転で何とか一部にも残ったから、そこは次につないで次の世代でまた上位狙って優勝目指して頑張ります。(鈴木選手について)夏が終わっても調子が上がってこなくて、リーグ戦でも大事なところで落としたりだとか、でもそんなに自力がないわけじゃないから、最後だし頑張れって励ました。いいところで取ってくれたし、4年生の大事な仕事をしてくれたから、そこは褒めてあげたい」

武政
「良かったと思います。全員が勝てた。一人一人が自分の持ち場を盛り上げられた。僕以外は全員ベストパフォーマンスでした。キャプテンとして振り返ってみると良くない結果ばかりですが、それだけが相撲じゃない。今日は名和と川村の若い力がいい相撲を取ったので、次につながると思います。個人戦ももう少し上にいきたかったです」

齊藤佑弥(政経4=兵庫県私立市川)
「疲れた。番数が多くて。(Bクラス決勝)心情は普通。特に乱れることはなかった。思い切りやろうということだけ。(緊張は)大丈夫だった。(初めてのインカレだが)特に何ら変わらず。そんなの思ってたら緊張するから。(「瞬殺」の相撲は)一発目はできた。(Bクラス優勝が決まった時)これから、という感じだった。(金沢学大には全敗)あれあかんかったね。あれで気持ちは落ちたけど、後がよくできた。あれは最悪。仕方ない」

鈴木
「今日は余計なことを考えずに何が何でも勝ってやるって気持ちで一番一番死ぬ気でやりました。自分の体がどうなってもいいと全力でぶつかりにいって、その結果がBクラスで全勝といところにつながったと思います。早大にはリーグ戦で最後負けていて、負けたら終わりとかを考えずに、自分の相撲を取りきるというのとだけを意識しました。拓大戦では当然自分自身の最後の大会っていうこともあるので、絶対勝ちたいと思いました。ここで自分が負けたら後輩たちが春の大会に出られなくなってしまうので、後半たちに何としてでも春の出場権を与えたいという思いで、あとは自分自身が小学一年生のころから続けた相撲の最後ってこともありました。大学入って一番の相撲が取れたんじゃないかと思います。小川総監督には稽古場でも試合でもよく怒られていましたが、最後の最後でいい相撲で勝って後輩たちに春の出場権を与えられたというのが、それが4年生としてやるべき事をよくやってくれたなと言われました」

名和闘志(政経3=埼玉栄)
「あんまり調子が良くない中で、吹っ切れてできたところが最後は出ていた。拓殖の時はみんな吹っ切れてて、2ー2で来たら勝つというのは言っていたので。拓殖戦が本来の明治の戦い方だった。(金沢学大に全敗)みんな硬くなってたのもある。別にAとBで意識は変わらないが、なぜか硬くなっていた。僕自身は硬くなったとかはないがずっと調子が悪かったので、どうしようかなともやもやの気持ちがあった。とりあえず当たるだけ当たろうという感じでやった。足の動きも悪いし、体の動きも遅かった。(Bクラス優勝は)Bクラスは当たり前だと思ってやっているので。力は違うと。本番はAクラスで決勝トーナメントにあがるということだった。拓殖にあれだけの試合ができるので、金沢(学大)と中央はもったいなかった。来年はひと回り、ふた回り、技術面も心もでかくなって強くなって、また来年は成績を残したい」

川村
「緊張しました。中大戦は相手になりませんでした。技術もそうですけど、全部足りなかったです。拓大戦は、総監督にも監督にも思いっきりやってこいって言われて、先輩たちも後ろにいたので思いっきりやりました。チームのためにもなったし、自分のためにもなったし初の大舞台でできてよかったです。(今後の役割は)今日みたいに勢いつけていきたいと思います」