世界最大のスカウトの祭典行われる/世界スカウトジャンボリー

ローバースカウト
2015.09.26
 4年に1度のスカウトの祭典が開かれ、ローバースカウト部の部員13名が運営スタッフとして大会に携わった。44年ぶりの日本開催となった今大会は世界152の国々から3万3838人が参加。12日間にわたって開催された今大会では様々なプログラムやイベントを通して文化交流をした。

 13名のローバースカウト部員は大会運営スタッフとしての参加。セーフティ部門や大会長サポートチームなどいくつかの部門に分かれて職務に当たった。セーフティ部門の遺失物を取り扱う場所では慣れない英語を駆使し海外の人とコミュニケーションを取るなど、懸命におのおのの事務に取り組んだ。「世界大会」とはいえ、何かを競ったり順位を決めて争うわけではない。交流のために多額の費用、多くの時間をかけて世界から約3万人もの人が集う特殊な大会だ。髙島尚行主将(情コミ3=清瀬)も「友人に世界大会に行ったと言うと、どうやって1位決めるのとか聞かれるのがほとんどだった」と笑う。世界スカウトジャンボリーとは、異なる国籍、人種、宗教、文化…。さまざまな人たちが交流し、理解を共有する。交流によってそういった現代の諸問題について考えたり行動を起こしたりする。つまりスカウトとしての誇りを持ちながら国際交流を図る大会なのである。

 セントラルストリートというメインの道路には無数の参加国の国旗がはためく。平和を強く印象付ける光景だ。和の精神がテーマである今大会。部員にも平和についての気付きがあった。髙島が「印象的だった」と語るのは信仰奨励エリアでキリスト教やイスラム教、仏教の信者が共存していたことだ。「ニュースを見ていると仲が悪いのかなと思っていた。実際はあんなに狭いスペースでお互い尊重し合って生活できるのだな」。井田響子(農3=長生)も良いイメージがあまりなかったというシリア人との交流で「実際に話してみるとフレンドリーに話すことができて、国のイメージを一概に決めてはいけないと思い知った」。同じことで笑い合うことで平和を実感。閉会式では参加者全員で世界平和を願った。「こういう人たちが主体となって世界を良くしていくことができる」。この大きなスカウトの祭典は、平和への新たな発見を与える大きな経験となった。

その一方で厳しい現実もあった。参加者同士の大きなトラブルもなく無事8月8日に閉会したが、閉会後は3万人近くの参加者が残していったゴミを有志十数人で片付けた。明大からも髙島を含めた4人が参加したが「いくらボランティア好きでも辛かった」(髙島)と言うほどのゴミの山。1000個単位で放置された生卵など、圧倒的な量のゴミを前に「世界平和とかを願って閉会して、これだけの人が動けば変わるんじゃないかと思った矢先、裏側はやっぱりこういうこともあるんだなと思ったら残念」(髙島)。この経験からゴミに対する意識も変わったという。「自分でできる範囲で、心に余裕があるときに少しでもやろう」(髙島)と、これを機に日常生活からそういったささいなことに目を向けるようになった。
 
 貴重な経験を今後につなげる。水谷百花(営2=明大明治)は「みんな色々な国に対して偏見を持ってしまっていると思うが、それがジャンボリーを通してなくなった」という。実際に触れ合うことで自らとは異なるコミュニティに所属する人への理解も高まった。5年後には東京五輪も開催される。海外から多くの人が集まるため、ボランティアの協力は不可欠なものとなるであろう。ローバースカウト部員が今大会で得られた気付き、経験が平和の祭典にも生かされるはずだ。

[原大輔]