4年生対談(1)堀尾愛×三橋智恵 「明治でよかった」

少林寺拳法
2015.06.08
 5月上旬に行われた関東学生大会で好成績を収めた少林寺拳法部。少数精鋭で精力的に活動し、スポーツ推薦の拳士に加え、一般入部の拳士の活躍も目立っている。前期の大舞台を終え、部は早くも今後を見据えた活動に移っている。その部の幹部として、中心となり活動している4年生への対談を、3回に分けて紹介する。

 第1回の今回は、スポーツ推薦で入部した実力者の2人。初の女子主将として部を「包み込んでいる」堀尾愛主将(商4=姫路商)と、関東学生大会で堀尾と並んで4連覇を達成した三橋智恵(政経4=成田国際)の対談です。

――3年間を振り返っていかがでしょうか
三橋「早かったよね」
堀尾「うん、この前入学した気分。今日、道を歩きながら、自分4年生! え、まじで!? って思ったもん」
三橋「それだよね。気づけば一番上で先輩いないし、後輩は3代もいるし。人生の半分くらい同期と過ごした気分。それくらい濃かったです。3年間で家族といる時間より長かったと思います」
堀尾「家族みたいだった。たかが3年、されど3年みたいな。自分たちは良い思いさせてきてもらったよね。環境にも人にも全て恵まれてた」
三橋「それはある。明治すごいね」

――最高学年になってからはいかがですか
堀尾「自分が主将になるってわかった時、自然と責任感が芽生えましたね。代は変わっても、下は何も変わらないわけで、自分たちがあたふたしていたら下も迷惑というか、部が回らなくなるので、何回も同期で方針を話し合いました」
三橋「最高学年になると、下も多いので考えることも増えました。今までギクシャクしていたというかコミュニケーションが十分に取れていなかったなと。部全体が」
堀尾「見えない壁があって。今まで縦の部でしたが、今は丸の部を目指そうと」

――初の女性主将として、堀尾さんはどう感じていますか。また、三橋さんから見た堀尾主将はいかがでしょうか
三橋「それこそ、初の女性主将の感想なんですけど、本当に堀尾はそれを取り除いてくれたというか、包み込んでくれている感じがします」
堀尾「ふふふ」
三橋「今までとガラッと変わった印象があって、後輩ものびのびやってくれているのかな、って思います。私は下級生の時縮こまっちゃっていたので、嫌だな、と思うこともあったけど、今は後輩もたくさん話しかけてきてくれるので、前よりは改善できているのかな、とは思いますね。それは、やっぱり女子だからなのかな、と。やっぱり、堀尾さんはすごいよ」
堀尾「そんなことないよ。みんなが協力してくれるからね。自分は何もしてない。自分が理想を掲げて、それにみんながついてきてくれるから成り立っているからさ」
三橋「えー、そうかな」

――今年の4年生の代の雰囲気は
三橋「代の雰囲気か~」
堀尾「我々か。今年に限らず入部した時から気持ち悪いくらい仲がいい。全員の誕生日会をやるくらい」
三橋「みんな優しい。自己中心な人がいない。否定がない」
堀尾「一回受け止めてから自分の意見を言う感じ。周りを見て判断できる人ばかり」
三橋「そうそう。だからいいのかね」
堀尾「正直、どこの代にも負けないよね」
三橋「やっぱり53期でしょ!」
堀尾「誕生日に帯をプレゼントしてもらったんですよ。帯に53期主将って入ってるんですよ」
三橋「素敵です」
堀尾「素敵な同期に囲まれています」
三橋「53期でよかったよ~」
堀尾「自分も思う。そして、もう一人のスポ薦が君でよかったよ」
三橋「私も。ありがとう」
 ~固い握手を交わす~

――今年の部の雰囲気はいかがですか
堀尾、三橋「ガラッと変わったよね」
堀尾「コーチとか監督、他大の選手とかから、明治変わったよね、と言っていただくことが多くありました。自分たち幹部は、精一杯やっているが結果はそんなに分からないけど、やっぱり周りから変わったね、と言われるとよかったなと。うれしい」
三橋「うん、うれしいよね」
堀尾「下が頑張ったからだよね。自分たちはあくまでもきっかけを与えただけ。この前の関東大会の結果にも出たしね」
三橋「すごいよね、下級生!」
堀尾「うん、すごい。最近、やる気に満ち溢れているような気がする」
三橋「積極的になった気がする。やっぱり、ミーティングの機会を何回か設けたからさ」
堀尾「ミーティングをしたのは、よかったよね。部の雰囲気も良くなったし統一感でてきました」
三橋「今まで、あまり分からなかったよね。方向性とか」
堀尾「先輩が何を考えてるのかとか、後輩が何を思っているかとかさ。はっきり分かる機会がなかったから。今回は意思疎通が取れました。意思疎通がなければ丸い部にもならないしね」
三橋「そうだね。関東大会はうれしかったな」
堀尾「うん。自分の結果以上に後輩のことがね。後輩とご飯行ったりすると今年の部はやりやすいです、といってくれたりするのでうれしい」
三橋「初耳~。よかった」
堀尾「自分たちが良いと思っていても、下が同じように良いか分からないから、後輩からも、周りからも言ってもらえるということは、少しは向上したのではないかと思います」
三橋「うん、うん。そうだね」

――下級生についてはどうでしょうか
三橋
「仲いいよね。今まででは考えられないくらい」
堀尾「確かに、そうだね。あとは積極的というか」
三橋「結構、聞いてきてくれるよね」
堀尾「気遣いもできるようになってきたし。一人一人が成長してると感じます」
三橋「頑張っている。本当に可愛い!」
堀尾「ほんま、後輩可愛い」
三橋「皆で遊びに行きたいね」
堀尾「いいね!めっちゃ行きたい。全員を気にかけてます」
三橋「でも、やっぱり岡本には頑張ってほしくない?」
堀尾「あー、確かに」

――女子エースとしてという意味ですか
堀尾、三橋「そうですね」
堀尾「心配ではあるよな。あの性格やし」
三橋「一人やしな」
堀尾「留年する訳にはいかんしな(笑)幹部という立場だったらもちろん全員ですけど、スポ薦の女子としてなら岡本ですね」
三橋「うん、うん」
堀尾「でも、もっと強くならないといけないと思っていて、関東大会で多少なりとも実力向上につながったんじゃないかなと。期間が短かったのが引き上げきれなかった。これから一人で上がっていかないといかんからね。しんどいことやね」
三橋「そうだね。でも、彼女なりにすごく頑張ってる」

――今後の目標、意気込みは
堀尾
「最後だよね~。具体的に言うなら全日で優勝ですね」
三橋「そうだね。最後取りたいね」
堀尾「最後だけ取れなかったら、今までのなんやねんってなるよな。最近自分の練習ができないなと感じるから、でも絶対やらなきゃ」
三橋「やっぱりもう引退なんで、三橋の全部を道場に置いていくというか。後輩に少しでも全部伝えられればな、と。いままで先輩方からもたくさん学んできたので伝えたいです」
堀尾「自分らがいた証というか。できるだけ多くのことを残していきたいなと。言葉でも物でもそうやけど、記憶に残るようなものにしたい」
三橋「あー、なんか悲しくなってきた」
堀尾「だって、ほんまに最後やもんな。信じられへんもんな、次がラストって。高校、大学ってやってきて、学生生活の間の集大成って考えたら本当になんか重くない?」
三橋「うん、これでいよいよ終わりかって」
堀尾「もうこんなに少林寺に打ち込むことはないんだろうなって」
三橋「うん、ないでしょ。逆に、何しよう?」
堀尾「ほんと! 次どうしよ」
三橋「目標とされるような人になるように頑張りたい」
堀尾「うん、憧れられる人になりたい。あと、考えすぎかもしれんけど、うちら前監督から選ばれた最後の2人やん」
三橋「それめっちゃ大会の時とか考える」
堀尾「あ、ほんま? 自分たち監督に会ったことないやん。電話でしか話してなくて、自分らがこっち来る前に亡くなられてしまって。最後に選んでもらったスポ薦なんやなって思ったらさ」
三橋「思い入れが深いというか。監督の目は間違いじゃなかったんだよって示したくて毎回大会も頑張ってきたし」
堀尾「選んで後悔させたくないしな」
三橋「会ったことないけど、その形でしか恩返しできないなら」
堀尾「明治に入れてくれた監督はじめコーチ、会長、OB、家族など、感謝の気持ちを込めて最後の演武をやりたいですね」
三橋「そうだね。あー、悲しくなってきた。全力尽くします。明治でよかった」
堀尾「最初から明治に来ると決まっていたわけではなかった」
三橋「いろいろめぐりあわせで、この2人になった」
堀尾、三橋「何かの縁です。もう運命ですよ。2人で取りたいね、金をね」

◆堀尾 愛 ほりお あい 商4 姫路商高出 159cm
◆三橋 智恵 みつはし ちえ 政経4 成田国際高出 161cm

 次回は、村上志帆(政経4=わせがく高)と内田桃香(政経4=高崎北)の対談をお届けします。更新は6月10日の予定です。

[辻成美]