王者近大を前に2回戦敗退 今年最後の団体戦を終える/全日本大学選手権

空手
2014.11.18
王者近大を前に2回戦敗退 今年最後の団体戦を終える/全日本大学選手権
 今年最後の大会となる団体の全日本大学選手権が日本武道館で行われた。初戦は金沢工大に5―0と快勝したが、2回戦で近大にストレート負け。前年度優勝の名門校に、力の差を見せつけられた。4年生にとっては最後の大会。結果を残すことはできなかったが、強豪に全力でぶつかり、雄姿を見せた。

 王者の壁は厚かった。1回戦で金沢工大を全員勝利の5―0で下し、迎えた近大との2回戦。近大は、これまで13度の全日本選手権優勝を誇る大学空手界のトップに君臨する強豪校だ。勝負が決まったのは中堅・栗田秀哉主将(政経4=日本航空)の試合だった。効果的に上段突きを決められ、スコアは0―4。蹴り技で反撃を試みるも及ばず敗北した。先鋒(せんぽう)の中野力斗(法1=花咲徳栄)は開始14秒で上段蹴りの1本を取られると、それを挽回できずに0―3で敗戦。続く次鋒(じほう)の金澤亜門(法4=拓大紅陵)は足払いからの1本突きを二つ取られ、0―6で敗れた。「力の差が歴然としていた」(栗田)。圧倒的な力を誇る近大から1ポイントも奪うことができず、ストレート負けを喫した。大会前に語った「打倒近大」を果たすことはできなかった。

金澤は果敢な攻めで気迫を見せた
金澤は果敢な攻めで気迫を見せた

 
 すべてを出し尽くした。栗田主将と金澤は今大会をもって引退となった。部員が少なく、また選手の自主性が強い明大空手部。栗田主将を中心に、4年生2人でチームを引っ張ってきた。「部の運営は難しかった。また、同時に勝っていくことはさらに難しかった」(栗田主将)。大会前に強化練習を行った関東学生選手権でも2回戦敗退に終わるなど、結果が出ないことへの苦悩もあった。そんな4年生にとっての最後の大会。やり切るだけだった。1回戦では力の差を見せつけ、近大との2回戦ではポイントこそ奪えなかったが、果敢に攻め続けた。「全然楽しくなかった」(栗田主将)。「やられたけど気持ち良かった」(金澤)。試合後には正反対のことを口にした2人だが、その表情はどちらも清々しかった。

 魂を受け継ぐ。岡村祐希(政経3=埼玉栄)は4年生引退への寂しいとしながらも「4年生との経験を糧に、チームとして全員でまとまりたい。自分は陰でまとめる役割を果たす」と決意を語った。「来年もこのスピリットで後輩がいい成績を残してくれたらうれしい」(金澤)と4年生も後輩へと期待を寄せる。今年以上の好成績を収めるべく、空手部の新たな戦いがはじまる。

[尾藤泰平]

試合後のコメント
栗田主将

「力の差が歴然としていた。(強い相手と試合するのは)全然楽しくなかった。競っている相手とやるのにプレッシャーはないから思い切ってやれた。でも前回チャンピオンの常勝校には力の差が感じられた。体重別で優勝した中野を先頭に置いて、そこから流れをつかんでいこうとしていたけど、全然うまくいかなかった。(この1年間は)空手だけじゃなくて部を運営していく難しさを感じた。また、それと同時に試合に勝っていくことはさらに難しかった。ただ空手をやるのではなくてチームとして組織を運営していくということは、ガツガツ練習するだけではなく自分で考えるという体制が大事だった。後輩には一新して0から頑張ってほしい」

金澤
「昔から知ってる相手で今まで勝ったり負けたりしてて、やられたけど気持ち良かった。完全に一方的だったけど自分なりにはできた。結果どうこうよりもこのチームでこの試合まで持ってきた期間が大事だと思うし、思い出にも残った。部員も少ないし、特に学生主体も強いから自分たちで考えて何かやるってことを心掛けてきたから、これを次の4年生にもやってもらえてばいいと思う。(今年は)あんまり結果が出なかった。でも自分たちはそれなりにやってきたから、来年もこのスピリットで後輩がいい成績を残してくれたらうれしい。(後輩たちには)一致団結してやっていってほしい」

岡村
「4年生最後の大会だったので、気持ちよく送り出してあげようという感じだった。初戦はちょっとやりづらくて、動きも固かったんですけど、次につながる勝ち方ができたかなとは思う。近大は見ていてもやっぱり違った。でも、先輩たちとしては逆に近大で良かったと思う。中途半端なところに負けるよりは、近大のようにトップクラスの人たちと戦えたということは良かったかなと。(4年生とは)3年も一緒にいて、普段の生活から共にしていたので、いい先輩であり、部活内ではいいライバルだった。その人たちが引退してしまうというのはやはり寂しい。4年生との経験を糧にして、来年は、チームとして全員でまとまっていればいいかなと思う。だから自分は、陰でまとめる役割を果たせたらなと考えている」

田坂叡史(政経2=御殿場西)
「近大には勝てなくて、試合には出てないけどやっぱり強いなということを感じた。差が大きかった。特に技術力。1回戦は格下が相手だったので、ある程度余裕をもってやることができた。強い相手に対して、押されて下がってしまう試合とかがあったので、相手が強いというプレッシャーにも負けてたかなと思う。4年生がいなくなるのは寂しい。でもこれからはまた自分たちがやっていかなきゃいけないので、また切り替えて頑張っていきたい。まずは、いい意味で元気なチームになれるようにしたい。試合中などでも元気のあるチームをつくれるように、自分のできることをやり切りたい」

中野
「2回戦から近大と当たることは分かってたので、どこまでできるかだった。近大戦の一本は、自分的には当たってなかったが、審判が入ったら入っているのでまぁ仕方ない。(西村は)タメで知り合いで、ガツガツした感じがなかったのは良かった。これまでも何度か対戦したことがあって、5分くらいで、2勝3敗か3勝2敗といった感じ。後半に取られるよりは前半に取られる方がいいんですけど、互いに手の内を知っているだけに3点は大きかった。初戦は体が動かなすぎたので、変にガチャガチャやるよりは、引いて落ち着いて進めていこうという感じだった。4年生とは空手では終わってしまったけどつながりはずっとある。来年は、近大と当たらないことを祈って、一つでも上に行けるように頑張りたい」