インカレで明海大に善戦するも惜敗/全日本大学選手権

空手
2013.11.25
インカレで明海大に善戦するも惜敗/全日本大学選手権



 
敗戦に肩を落とす久保田接戦から最後の1ポイントが勝敗を分けた。3回戦、東日本インカレで帝京に2―3で惜しくも敗戦するも、3位の結果を残した強豪明海大。大将戦まで戦い抜くも、2―2で得失点差も0と勝負は代表戦に。相手はインカレ個人3位の実力を誇る遠山(明海大)。リードを許し、0―3と流れは遠山が握った。久保田はここで焦ることなく確実に上段突きでポイントを返し、4―3と逆転する。手に汗を握る攻防が続き、残り8秒、5―5の場面で互いに突きを繰り出した。軍配は遠山に上がり、久保田は肩を落とした。
 

普段のプレーができず、実力を出し切れなかった。2―1と明大のリードで迎えた大将戦。金谷隼達(法4=世田谷学園)は「3ポイントを意識して守りに入ってしまった」と勝利の最低条件である得失点差3ポイント差を意識していた。そのこともあり序盤から攻め切れず、蹴りと突きでポイントを取られた。残り8秒で1ポイントを返し1―4と一矢報いるも、すかさず相手も突きでポイントを奪い敗北した。「なんで守りに入ったのか。最後に悔いが残った」(金谷)と悔しさの声を漏らした。
 

下級生が勝利を挙げた。次鋒(じほう)、岡村祐希(政経2=埼玉栄)は「4年生が引っ張ってくれて、最後その期待に応えようと思って必死でやった」と先輩の後ろ盾に支えられ、実力を十分に発揮した。序盤こそリードを許すが、終盤になるにつれて調子を上げていった。上段突きと中段突きでポイントを重ね、スキを与えず勝利を奪った。続く中堅、田坂叡史(政経1=御殿場西)は「上段突きを主体として、その中で3ポイント取っていく」と作戦がうまくはまった。上段突きで1ポイント取ると、すかさず投げから1本を奪い優勢に立つ。終始田坂のペースで試合を運び、さらに1本を決めて勝利を挙げた。

 4年生にとって最後の団体戦であった。久保田は「結果的に負けたけど、すごい楽しかった。こんなに楽しいと思えた組手は初めて」と試合には勝てなかったものの、会場を沸かせる熱戦を繰り広げた。インカレ団体という大一番でチームが一つになった。「流れもよくて、みんなで一つになれて挑めていた」(久保田)と日々の練習がチーム力に結び付いた。この最大の舞台で最高の試合をした選手たちの勇姿は後輩へと受け継がれる。

[西尾健三郎]

試合後のコメント
敗戦するも最後に楽しさの表情を浮かべた久保田主将

「とりあえず楽しもうと思った。チームの立ち上がりはよくいい調子勝ち上がれた。3回戦の明海大戦の相手は強いと分かっていた。だから相手のエースを最悪でも引き分けにして抑えればいいと思っていた。それでも勝ち切れる試合だった。引き分けからの代表戦の時、一度やっているから相手の手の内は読めていたから大学生4年間の積み重ねてきたものを出すつもりで挑んだ。結果的に負けたけど、すごい楽しかった。こんなに楽しいと思えた組手は初めて。団体戦としても、流れもよくて、みんなで一つになれて挑めていた。正直今まで全力でやってきた、とは言えない。練習も本気でやっていない時もあった。今日の試合も負けて悔しいが本当に楽しめたし、悔いはない。(主将としての1年間は)徐々に感覚をつかんでいった。あまり仕切るのは苦手だった。それでもやっていく中で気持ちが変わってきて、後輩も付いてきてくれた。これからも空手は続けていきたい。試合も出られたら出たいし、今までみたいな形では取り組めないけど、趣味としてでもやっていきたい」

後悔と悔しさを語る金谷
「大将で決められるはずだったのに、最後まで情けない試合をしてしまった。チームとして勝つには3ポイント差で抑えれば良かった。その3ポイントを意識してか守りに入ってしまった。普段は前の方でやることが多く、大将で緊張、プレッシャーもあった。今日は調子が良かった。それだけになんで守りに入ったのか。最後に悔いが残った。本当に悔しい。相手は高校の時にやったこともあり、仲のいい相手だった。最後の試合でこういう相手とできたのは良かった。今年1年間は久保田に任せきりだった。チームワークの良さ1年間大切にしてきた。後輩たちにはこれからもこのチームワークの良さを生かしてほしい。代表戦に向かう久保田は『楽しんでくる』と言っていた。だから特に作戦とかも立てず、いつも通りやってこいと行かせた。空手は5歳のころからやっていた。終わってみるとさみしい。これからも空手を通して知り合えた人たちはつながりを持っていたい」

満足のいくプレーをした岡村
「今は足をケガしていて心配だったけど、2戦目から案外動けた。だから、この勢いで3戦目もいってやるって思いで戦って、結果勝てたから良かった。相手が強い選手っていうのも分かっていたから、その分情報も多くて戦いやすかった。後ろからの声でサポートもあり、前に出て勝てたから正解だったと思う。(明海大戦は)いけると思ってたんだけど。でもこのチームはすごい良かった。試合は楽しかった。4年生が引っ張ってくれて、最後その期待に応えようと思って必死でやった。団結できた一番の理由は4年生のおかげ。これから3年生に指揮が変わって、自分も3年生になるから具体的に言えば、先輩方を手助けできればと思っている。今回の試合で気付いたことは、対戦相手を研究することの大切さ。うまくそこにはめていけば勝てると思うし、みんなもそのポテンシャルを持っている。情報収集して来年は勝ちにいく」

次の試合に意気込む田坂
「あと一歩だったから悔しい。先輩が重要なところで勝ってくれて、底力を見せつけられた感じでかっこ良かった。(久保田の代表戦も)感動的だった。個人的には勝ったけど、内容はもっといい形が組み立てられたかもしれない。最初に1本取れたのは大きかった。投げを狙っているっていうのもあって、しっかり決めることができて良かった。作戦としては上段突きを主体として、その中で3ポイント取っていくのが理想。今回はポイントゲッターとしても働けたと思う。でも、まだ相手によっては負けたりもするから、どんな相手でも安定したポイントを取れる選手になりたい。だから前回と同じ課題が残ってしまった。1ポイントをいかに取っていくか。そこを改善していきたい。今後は自分が前に詰めてペースを作れるようにしたい。特に、下がりながら相手が来たのに対して合わせることが多いから、前に出てプレーしたい。次は春に大会があるから、それまでにチームのとって田坂がいれば大丈夫みたいな存在になりたい。少しずつチームの軸になりたい」

不甲斐ない結果でリベンジに燃える中川大資(法1=マリスト学園)
「4年生が最後の試合ということで気合い入っていて、自分も気合い入れてやったけど勝てなかった。重要なポジションに置かせてもらって負けたのは悔いが残っている。先輩方に申し訳ない気持ちがある。でも最後接戦で面白い試合ができて、これからにつながる試合にはなった。これからはとりあえず基礎体力づくりから始める。他の大学の選手より練習時間や内容が足りないから、今回基礎体力が体内とは常に思っていた。まずは体力づくりからで、そこから技術面の精度を上げていきたい。本当に先輩方はすごくて、偉大な存在。勉強になる部分が多くて、特に最後の4年生の試合の底力には感激した。自分も次は2年生になるから後輩も入ってくるから、今の4年生のように引っ張っていけたらいいと思う。かっこいいところ見せて、偉大な先輩になれるように大事なところを勝って役割を果たしたい」