インカレ注目選手インタビュー ハッスルプレーで明大引っ張る 田中成也

バスケットボール(男子)
2013.11.24
インカレ注目選手インタビュー ハッスルプレーで明大引っ張る 田中成也
 関東大学1部リーグ戦を戦っている男子バスケットボール部。昨年は4年生の不在により、今の3、4年生が中心となって公式戦を戦った。そのため、 昨季と同じメンバーで挑むこととなった今シーズン。2年目のチームは着実に成長し、リーグ戦では昭和56年以来の1部上位入賞を果たした。
 2009年に1部昇格を果たし、10年から3シーズンを1部で戦った。これまでは「チームの成長のシーズン」と口にしていた塚本清彦ヘッドコーチも「上を狙っていく」と一つの画期を迎えている。

ハッスルプレーでチームをけん引する
ハッスルプレーでチームをけん引する

 今季の1部リーグ戦で3位に入賞した明大はインカレに向け、調整を続けている。そのリーグ3位に大きく貢献したのが田中成也(文4=高志)だ。3年生まではなかなかプレータイムがもらえず、ベースにいる期間もあった。しかし、4年生になるとリーグ戦ではスターターに抜てき。3Pシュートの成功率は45%と高く、一気に注目される選手となった。
 今回は田中にリーグの振り返りやインカレの目標をうかがった。さらに高校時代や大学入学当初など、あまり知られていない田中の一面にも触れた。

「一番大きいのは修正能力が身に付いたことですかね」
――今季のリーグ戦は3位に入るなど飛躍を見せた年でしたが
「今年は2年目のチームということで周りからかなり期待されていたんですね。そのせいかかなりのプレッシャーを感じる部分もあってうまくいかず、前半戦を5勝4敗と、いいとは言えない成績で折り返すことになってしまいました。中断期間前の試合はコーチに言われたことができていなかったりしてかなりチーム状態は良くなかったですね。ビデオを見返してもこれはひどいな、という感じでした。ただみんなそこで危機感を感じたことで中断期間中になんとか修正できました」

――その中断期間にはどういったことを
「とにかくディフェンスですね。ディフェンスしかやっていなかったです。合宿のような基礎練ばかりのメニューで最初の1週間は本当にきつかったです。後半はまだ実戦形式だったんで良かったですけど、夏合宿と本当に変わらない感じです。(笑)そこでかなりやったこともあって中断期間明けの試合は青学大にも勝って4戦全勝と結果を残すことができましたね」

――リーグ戦全体の収穫は
「とにかく成長できましたね。1番大きいのは修正能力が身に付いたことですかね。それと自信が持てるようになりました。東アジアで中東(泰斗・文3=光泉)が抜けたり、C(センター)の2人がケガでいないことで逆にチームにとってプラスになることもありましたね。チーム全体としてレベルアップできました。パッシングだったり、前から激しく当たっていくことだったりっていうのはこの期間でかなりできるようになりましたね。その分リバウンドっていうのは課題として残りました」

――そのリバウンドやルーズボールで田中さんがかなり強さを見せていますが
「フィジカル系には正直自信がありますね。塚さんにも言われていますし、他の選手を見ても負けてるとは思わないです」

――フィジカルが強いのにはなにか理由があるのですか


「わからないですね。(笑)あるとしたら高校時代にかなりそういう系の練習をかなりさせられたことですかね。あたりに関してはかなりやりました。ガンバルマンズカップっていうのがあったんですけど、そこでやる試合ではファールをとらないんです。もう審判なんて意味無いですからね。(笑)あれは大きかったのかもしれません」

――昨年から大きく飛躍されましたが田中さんご自身としてはリーグ戦は
「なんでこんなにできるようになったのかわからないんですよね。(笑)去年はインカレにも出れていないですし。関東1部のリーグ戦で活躍できるなんて思ってもなかったですね。自信をもってやれるようになったんですかね。4年間ずっと自主練をやってきてたりっていうことがあったり。去年まであまり出れていなくて、今年の春のトーナメントでも全然良くなかったんです。春のトーナメントの時に駄目すぎてこれはもう出れないなと思っていたほどです。リーグ戦でも拓大との試合は1回戦はすごくよくなかったんです。塚さんにもお前と西川(貴之・情コミ4=東海大附四)のせいで負けたみたいなことを言われました。その分拓大2回戦ではしっかりとリベンジできましたね」

――リーグでは青学大、筑波大、拓大という強豪にも1試合ずつですがしっかりと勝利しましたが
「青学大に勝ったっていうのはすごく良かったですね。青学大戦が1番印象に残っています。他のチームを見下すわけではないですが、自分たちの目標としては2強と言われる東海大、青学大に勝つっていうことがあって、その中であの試合は自分たちのやりたいことができて、青学大のやりたいことをやらせなかった。そういう面で印象に残った試合ですね。ベストゲームでした。筑波大、拓殖大には1回勝ちましたが、1つは負けてしまいました。筑波大、拓殖大との試合は負ける試合じゃなかったです。インカレでは負けられないですね。インカレは負けたら終わりなので」

――昨年のインカレの3位という成績は
「自分は出ていなかったのでわからないですね。ただ外から見ていた感じだと近畿大のソウは拓大のバンバと比べてもかなりインサイドをゴリゴリくる選手ですね。今回も早い段階で当たる可能性がありますが、そこに関しても対策はできていると思います。ただ個人的には国士大が上がってくると思います」

――国士大は今季1部昇格を決め勢いがありますね
「そうですね。それもあるんですがパッシングがうまかったりいいチームなんです。それと入替戦で早大に勝って昇格を決めてるんですよ。自分は早大の選手と結構仲がいいのでそういう意味ではリベンジじゃないですけど、早大の分もやってやりたいです」

――リーグ戦では東海相手には好ゲームを見せつつも2試合とも負けてしまいましたが
「インカレでという思いはありますね。春にも練習試合をやったんですけどその時もお互いにユニバのメンバーがいない中、結構いい試合ができたんですけど、その時もリーグ戦の時と同じように最後に離されるっていう試合でした」

東海大からは勝利を奪えなかった
東海大から勝利は奪えなかった

――最後に離されてしまうというのはどういったところに要因があると考えていますか
「本当にリバウンドのところだと思います。東海大のホームでやった東海大戦も最後残り2分かそのくらいでザックがタップでリバウンドのシュートを決めたんですよ。そこから流れが変わっちゃいましたね。そういうところを1本1本つないでいかないとあのチームには勝てないと思いますね」

――東海大に対する方針みたいなのはあるんですかね
「東海大に対しては外のシュートを思い切り良く打つチームじゃないと思っていたので、結構ゾーンとかでも離してやっていたんですけどリーグ戦2試合とも田中とか須田にめっちゃ決められて、そこは想定外でしたね。けど今度やるときはそこがあるというのは分かっているので修正できると思います」

――チームの中での自分の役割っていうのは何だと思いますか
「全員が攻められるチームなんでバランスをとっていくのが大事になってきますかね。アメリカで我の強さを学びましたが、必ずしもそうしていくのがいいとは限らないということです」

――春のトーナメントとの違いというのは
「攻めた上でのミスっていうのは許されるんですけど、消極的なプレーでのミスっていうのは結構言われるんです。そういうのが減りましたね。春まではあった焦りとかっていうものがなくなって、今までしていた自滅みたいなものも少なくなってきてます。すごい落ち着いてやれてるんですよね。今はある程度プレーが予測できていて、こう動いたら相手がこっちに動いてくるだろう。だからこうしたらいける! みたいなのが見えてるんですね。それで本当にその通りになるんですよ。だから今は本当にバスケが楽しいんです。今が1番楽しい」

――逆に今まではどうだったのですか
「まず周りが見えてなかったですね。プレッシャーも感じていました。1、2年の時はプレータイムもかなり少なくて引っ張っていけるような感じではなかったですね。自分たちの世代はかなり言われてきた世代なんですよ。もうめちゃめちゃに言われてきました。西川、森山(翔太・営4=市立船橋)、健人(目・政経4=京北)なんかはずっと怒られてきてますね。もう怒られ役ですよ。(笑)自分もすごく言われるようになりました。今年のトーナメントと新人戦終わった何もない時期ですけど、1回辞めてやろうかみたいになったんですよ。塚さんに西川と健人、森山以外はいらないって感じのことを言われて、もう4年生になったし辞めてもいいや、みたいに思いましたね。その時は4年生で結構話し合いました。イースト棟に集まって。かなり言い合える関係なんですよね。結局ほとんどBに落とされましたね。(笑)ただ塚さんは実力があるっていうか、やることをやっていれば使ってくれるので自分もちゃんと使ってもらえました。チームとしても昔は自分がいまいちだったこともあってあまり言えなかったんですが、最近は結構言えるようになってきましたね」

――下の代はあまり怒られているという印象はありませんが
「あいつら本当怒られないんですよ。(笑)怒られてるの見たことないですよ。もう伸び伸びやってます、あいつらは。本当うらやましいです。まあ徹(皆川・営3=京北)だけはかなり怒られてますけどあいつだけです。(笑)」

「上のレベルでやりたいっていう気持ちがすごく強いんですよ」
――話は変わりますが高校時代のことを教えていただけますか
「高校の頃はあまり良くなかったですね。インターハイにもウィンターカップにも1回も出場できてないんですね。唯一1回だけ、3年生のときに国体に出れたんですけどその時はもうボコボコにされましたね。古本(樹・政経4=藤枝明誠)のいた静岡とやったんですけど120―60とかでやられました。その時の国体が新潟で地元開催だったんです。そこで森山とか西川とか安藤を見ましたね。県の大会でもほとんど毎回新潟商業に負けてました。3年生の最後のインターハイ予選では今回のインカレみたいに全部強いところと当たるっていう組み合わせで2回戦で負けちゃいました。だからウィンターカップ予選にも出れなかったんですよ。新潟ではベスト16じゃないと出られなかったので。引退も早かったです。国体で終わりですからね」

――どうして高志高校を選んだんですか
「最初は結構選手が集まってくるっていう話だったんです。それで進学を決めたんですけど実際は全然集まらなかったんですよ。(笑)正直選択ミスをしたなっていう感じがありましたね。練習もきつかったですし」

――田中さんが明治にきた理由を教えてください
「最初オールジャパンで明治のバスケを見たんです。そこでかっこいいなーって思ったんですよ。憧れですね。それで明治に行きたいっていうのがすごい自分の中であって、塚さんに直接コンタクトをとったんです。そしたら練習に来いって言われて。行ってやってみたら取ってやるという感じのことを言われて決まりましね」

――高校の先生に勧められたとかではないのですか
「そういうでは全くないですね。自分が行きたいと思ったので決めました。良い選択ができたと思っています」

――バスケを始めたきっかけを教えてください
「完全に兄の影響ですね。自分は最初サッカーをやっていたんですけどなんとなく自分には合わないな、という思いがあったのもあってサッカーは辞めてバスケを始めました」

――いつ頃だったんですか
「小6ですね」

――小6ですか。だいぶ遅いですね
「そうですね。明治でも健人なんかは小3から始めたみたいですし遅いかもしれません」

――その遅いスタートから強豪の本丸中学へ進学されたんですか(笑)
「はい。(笑)なんか上のレベルでやりたいっていう気持ちがすごく強いんですよ。お山の大将っていうのは好きじゃないんです。だからどうせやるなら、ってことで決めました。ベスト4にもいったチームなので強かったですね」


――先ほど高校の頃はあまり良くなかったというお話でしたがその中で大学に進学するときはどうだったんですか
「高校の時にほとんど全国に出ていなかったのでこんなところでやっていけるんだろうかという思いやコンプレックスのようなものはありました。ここで通用するわけないみたいな思いですね。シュートだけは自信がありましたけど。ただ大学2年のときに1回ベースに落ちて、その時に伸び伸びやれたんですね。それまでというかトップではずっとプレッシャーの中でやっていたんですけどそういうのがなくなりました。軽い雰囲気って言ったらアレですけど、ベースはそういう感じでした。やっぱりトップには決め事っていうのが多いんですけどそういのがなくなってある程度自分の好きなようにやれたんです。あれは自分にとってかなり大きかったです。それと自分が1年生のときに4年生に若林(平23商卒)さんっていう選手がいたんですけど、1年生の時にずっと一緒にシュート練習とかやってもらっていました。それと金丸(平23政経卒・現アイシンシーホース三河)さん、この2人にはお世話になりました。特に若林さんですね。シューターだったんでシュートがうまいんです。それとかなり気持ちの強い選手でした」

――気持ちが強くてシューターっていうのは田中さんみたいですね
「そうですかね。(笑)まあかなり影響は受けてますね。今でも時々連絡は取っていますし自分にとっては理想の選手です」

「優勝したらもう自分の中のバスケットの価値観が全部変わりますね」

青学大戦でも臆することはなかった
青学大戦でも臆することはなかった

――インカレについて話を移しますが比較的厳しい組み合わせに入りましたね
「ああいう厳しい組み合わせの中で決勝まで行けたとすれば自分たちの力を示せるということになると思うのでむしろ逆にうれしいです。チャレンジャーみたいで」

――うれしいんですか
「気の抜けた入り方ができないんですよ。あの組み合わせだと。去年も一昨年も確か1回戦って競ってるんですよ。札幌大に前半リードされて終わったりとか、その前の年も新潟経営に3クォーターくらいまでリードされたりとか抜けた試合してるので。どうせ勝てるだろうみたいなのがありました」

――最初のヤマ場っていうのはどこだと考えていますか
「やっぱり2回戦じゃないですかね。近大か国士大かというところの。そこでしっかり自分たちのやりたいことやって勢い乗れれば筑波大までもいい流れで行けると思うので」

――筑波大に対しては悪いイメージはないとおっしゃっていましたが
「ハーフコートバスケットをさせたらあんまり怖くないんですけど、トランジションとかで笹山にボール飛ばされて1対1されたりとか坂東に3Pシュート打たれたりすると厳しいですけど、ディフェンスの意識を早く戻るようにしていけば勝てると思います。やっぱり4年間やってきたディフェンスには自信があるので」

――順当に行くと準決勝で青学大と当たります。リーグ戦の雪辱にも燃えていると思いますが
「天傑(張本)がたぶん戻ってくると思うのでインサイド3人、永吉、野本、天傑のところのリバウンドが問題ですね。青学大とやったときに永吉とかと対じしたんですけど、無理だなと思いましたね。(笑)ただ3人がくるとなったら自分はスタメンにはならないかもしれないですね。大きい3人で行くと思います。前やったときは青学大が悪かったのかわかんないですけど、別に自分でも負けてるという感触は全然なかったですね。やっぱり天傑の穴は相当でかいなと思いましたね。いるといないじゃ全然違いますよ。コートの中で対じしてみるとすごいです。存在感とか。青学大はイージーバスケットをさせなければ結構守るのは楽ですね。中に中に入ってこようとするんですよ。外のシュートを気持ちよく打たない感じです。そこのワンテンポでディフェンスが戻れるからすぐに寄れるという感じでした。特にこの間勝った時は。明治だったら3Pシュート打つところでそういう感じなんですね、青学大は。そのあたりは怖くないです。東海大には逆にそこで思い切り良く打ってきてかなり決められましたね。ただ今年はどちらにも苦手意識はなく自分たちのレベルも上がったのかなと思います。優勝っていうのが本当に現実的なレベルになってきたんでみんなも今年はいけると思っています。去年みたいながむしゃらにやってるバスケットとは違うので今年は本当に優勝を狙いたいです。今年はもう試合出ているメンバーはみんな落ち着いてやれてます。2年目のチームっていうことがあると思います。お互いの呼吸を分かり合ってますね。試合やってて分かります。下級生とかとでるとちょっと合わなかったりしますからね。優勝もいけると思います」

――さきほど今が1番バスケ楽しいということをおっしゃっていましたがその中で優勝というのが達成できたらどうですか
「優勝したらもう自分の中のバスケットの価値観が全部変わりますね」

――個人としてのタイトルは狙ったりしていきますか
「いや、自分はそういうのはいいです。あんまり欲を出さないようにしようと思ってます」

――何か良くない影響があるのですか
「そういうのはないですけど、リーグ戦の前半も3Pシュートランキングに乗りたくて、シュート打ちたい打ちたいっていう感じになってディフェンスが悪くなったりしてたので。そういうのはやめようかなと思います。しっかりやってればそういう結果は付いてくると思うので。狙っていくっていうのはやらないです。結果が付いてきたらいいくらいの感じです」

――ありがとうございました


※明日は森山主将のインタビューを掲載します。お楽しみに。