北川、最後の公式戦で全力出し切る/全日本選手権2部校予選会

体操
2011.07.12
北川、最後の公式戦で全力出し切る/全日本選手権2部校予選会
 「千恵がんばー」。仲間の応援が会場に響く。「応援はよく聞こえていた。すごくうれしかった」。仲間の声援もあり、北川は競技が始まる前も時折笑顔を見せるなど、緊張の中でもリラックスした姿がうかがえた。ケガを抱えて迎えたインカレ予選。北川にとって最後の大会が始まった。

 最初の平均台、一度落下してしまうも、落ち着いて着地もしっかり決めた。「今日一番良かった種目はゆか」と北川が答えるように、ゆかでは、2回転ひねりなど一つ一つの技を確実にこなしていく。北川が得意とする跳馬では技のブレも少なく、得点も10点台に乗せた。最後の段違い平行棒でははなれ業を成功させるも、途中床に足をすってしまう。全体的に、やはりケガの影響が見られた。しかし、北川は全ての競技を終えた瞬間ホッとした様子だった。「練習どおりやれることをやった。点数を見ると決していいとは言えないし、満足と言ったらうそになるかもしれない。でも今できることはやりきった」。試合後笑顔で答えた北川だが、今大会に臨むまでの道のりは決して平たんではなかった。

 今回の大会が、公式戦最後となった北川だが、2年生のときにも一度体操競技から離れている。だが、体操への思いは消えなかった。「試合を応援席から見ていて、なんで自分はここにいるんだろうと思った」。3年生のとき、仲間の応援に来ていた北川はそう感じていた。そして仲間の後押しもあり、再び体操をすることを決意。あらためて練習に励んできた。しかし昨年12月に左アキレス腱を痛め、5月にようやくジョギング程度の運動ができるようになったばかりだ。今でもまだ足をつくたび痛みが走る。「この大会もギリギリだった。だましだましなんとかここまできた」。

 そんな中で迎えた今大会は大学生活最後の大会となる。「この大会を体操人生の集大成にしたい」。大会前、そう語っていた北川。満身創痍(そうい)で臨むことになったが、「満足している」という今回の演技には、体操に懸けてきた4年間の思いが全て詰まっているかのようだった。「明治体操部は、私に体操の楽しさを教えてくれた。私にとっていろんなことを考えさせてくれる場所。明治の体操部に入ってよかった」。そう答える北川はとてもすがすがしい表情をしていた。