(24)大﨑誠

相撲
1999.01.01
 上級生として――。スポーツ界のみならず多方面でよく耳にするこの言葉。大﨑も同じくよく口にする。「後輩に良い姿を見せて、刺激を与えなきゃならない」。芽生え始めた先輩としての意識が相撲を変える。東日本学生相撲選手権と全国学生相撲個人別体重選手権大会でともに準優勝の快挙を果たした。「筋トレなどの練習の成果が出てきた。気持ちにも余裕があった」。技術的にも精神的にも一回り成長し地に足がついた取り組みが出来るようになった。

 今年になり大きく躍進を遂げた大﨑だが、その実力は入学時から認められていた。6回のインカレ優勝を誇る名門明大相撲部で1、2年時から団体戦のメンバーとして出場している。しかし、思うように成績はついてこなかった。「1、2年ならこの結果でもしょうがないと思っていた」。下級生だからと自分の結果に甘んじていた部分があった。今は取り組みに対する気持ちが明らかに違っている。自分がやらないと――。背中で教えようという意識が高い。しかし、東日本学生相撲選手権で喜びに浸るやいなや、ヘルニアが大﨑を襲った。それでも完治を待たず満身創痍の状態で全国学生相撲個人別体重選手権大会に強行出場。休んでいられないという強い心意気が現れた大会だった。

 そんな大﨑が土俵に上がり続けるまた一つ大きな支えとなっているのは両親の存在だ。毎試合熱烈な声援を送る。特に父親が大学時代、相撲を取っていたことはささやかな励みとなっている。「父への意識はあまりしていないが、心の中にはあるんだと思う。試合のたびに父を超えたかなとか思ってしまう」。良き理解者が近くにいる。これほど頼もしく、安心できることはない。

 インカレを最後に今年度の公式戦は終わりを告げる。「胸を出すなどばかりで取り組みの練習ができていないが、インカレには出るつもりでやっている。体を大きくして筋トレでカバーする」と意気込んだ。また、最上級生になる自覚も人一倍で「これからは3年生一丸となって中心でこれから盛り上げていきたい」と言葉に力を込めた。そしてもちろん目指すところはただ一つ。「ずっと2位だと悔しいので、来年リベンジしたいと思います!」。笑顔でそうはっきりと言い切ってくれた。相撲部一、波に乗る大﨑が頂点に立つ瞬間はすぐそこまで来ている。

◆大﨑誠 おおさきまこと 政経3 流山南高出 173㎝・105㎏