(5)類まれなるサーブの才能、高木

バレーボール
1999.01.01

コート外での無邪気な姿

 「ただのくそバカっすね。あほらしい。良く言えばおもしろいやつです」(木村・法2)、「真面目そうに見えるけど、同期の中で一番ふざけている。自分も最初は真面目なやつだと思っていたのに、ふざけたやつでショックでした(笑)」(田辺・法2)と普段はだれに対しても無邪気で明るく、人当たりの良さを感じさせる高木。本人も「2年生になり寮を出ましたが、今でもオフの日はよく寮に行きみんなで遊んでいます」と、友達付き合いを楽しむどこにでもいる大学生としての一面を語る。中学から始めたバレーボールでは大学入学以前は際立って目立った成績はなく、175㎝という身長も選手としては小柄だ。
 一見平凡に見えるそんな高木だが、彼には人並み外れた能力がある。それがサーブだ。コートに立つと表情は一変。魅惑の魔球が相手守備陣を翻弄することとなる。

誰もが認める強力サーブ
 ピンチサーバーとは、ローテーションでサーブに不安がある選手に回ったり、サーブをきっちり決めたい場面などにおいて交代でサーブを打つ選手のことだ。緊迫した大事な場面での起用が多く、その一つのサーブがチームの命運を分けることが多いため、非常に重要なポジションである。高木は1年時からそのピンチサーバーという役割を担ってきた。「昔からサーブは得意でした。自分が明治でやっていけるのはこのサーブがあるからです」と高木は自らのサーブに絶対的な自信を持っている。
高木のサーブは、読みのきかない変化のある軌道が特徴だ。決して力任せに打つのではなく、軽やかにジャンプして回転を殺した打ち方により、予測不能な球を放つ。このサーブにより流れを変えることで、これまで高木は多くの試合でチームに勝利を呼び寄せ、一部昇格、及び定着に大きく貢献してきた。
 そんな高木の転機は、昨年10月の1部2部入替戦だったと言う。当時2部で優勝を決め、1部昇格へ向け波に乗る本学の前に立ちはだかったのが法大。実力ではさほど差はなかったものの、リードされた際弱気になる悪い部分が露呈し、もろくもチームは崩れた。「みんな泣いた」と当時を振り返る高木。だがこの経験があったからこそ今のチームがあり、今の高木がいる。「大事なときに良いサーブを打たなきゃいけない大変な仕事なのに、それができているのはすごい。尊敬する」(田辺)とチームメイトからも全幅の信頼を寄せられている。

1部残留し今後へ向けて 

初めての1部を経験し、雰囲気や緊張感、他チームの完成度の高さなど、2部とは違うさまざまなことを学べたという。また収穫と同時に「良いサーブを打てても、最後に自分のミスで終わることがありました」と、新たな課題である守備の重要性も見えた。今後控えるインカレ、さらには来季リーグに向け「自分のやれることをやるだけです。特技であるサーブをさらに磨いて、少しでもチームに貢献したいです」と力強く語る高木。一発で試合の流れを変えるヒーローが、これからも明治を救ってくれることだろう。

◆高木雄介 たかぎゆうすけ リベロ 政経2 駿台学園高出 175㎝・57㎏

〉〉次回予告
 クイック・ブロックともに超一級品の田辺を紹介します。更新は24日(月)予定です。乞うご期待☆