悲願の38秒台達成ならず/日本選手権・リレー競技

競走 2023.10.09

 日本学生対校選手権(以下、日本インカレ)では明大記録を2度も更新するなど、今波に乗っている男子4×100メートルR(以下、4継)。夢の38秒台への壁を打ち破るのは、もう間もなくかのように思われた。予選ではバトンパスに乱れが生じたものの、1着でゴールインし順当に決勝へ進出。さらなる好記録を目指して決勝に挑んだが、レース終了後に失格が判明。悲願達成へのバトンは来年度に託された。

 

◆10・7~8 第107回日本選手権・リレー競技(国立競技場)

[1日目]

▼男子4×100メートルR予選

 2組 松下、木村颯、川津、木村稜 1着 39秒50 決勝進出

 

[2日目]

▼男子4× 100メートルR決勝

 松下、木村颯、川津、木村稜 DQ

 

 心地よい秋晴れの中で日本選手権・リレー競技(以下、日本選手権リレー)が幕を開けた。日本インカレといった各種大会を勝ち進んできた猛者たちが国立競技場に集結。先日、大学記録を樹立した明大も「4継はまだタイムを伸ばせると思うので、日本選手権リレーで38秒台を出すためにまた練習しようと思う」(川津靖生・法1=明星学園)と闘志を燃やしていた。そこから約1カ月。今度こそ38秒台に到達し優勝という栄光をつかむべく、日々精進してきた。

 明大史上最も速いチームで挑む日本選手権リレー。1日目の予選では1走と2走の間でバトンがうまく渡らず、タイムロスに。「風向きが変わったことで合わせた歩数と少しずれたことがミスの要因だと思う」(木村颯太・法4=明星学園)。しかし3走の川津が巻き返しを図り、4走の木村稜主将(政経4=乙訓)へ望みをつなぐ。最後の直線を先頭で飛び出すと、順大の猛追もかわし1着でゴールに駆け込んだ。とはいえ39秒50というタイムには満足していない。「バトンパスを改善すれば、38秒台はまだまだ狙える」(木村颯)。決勝でのリベンジを誓い、1日目は終了した。

 一夜明け、肌寒さを感じさせる天候の中で始まった2日目。予選2番手のタイムで通過を決めた明大は5レーンという好位置からスタートした。1走には今シーズン上り調子の松下かなう(法3=大分東明)を配置。予選で課題に挙げていたバトンパスを見事に修正し、好調な滑り出しを見せる。後輩からバトンをもらったのは、明大としてはラストレースとなった木村颯。「今年度やっとチームとして地力が付いてきたという感じがある。個人だけじゃなく4継とかチームで活躍できているんじゃないかなって思うところが増えてきた」。今年度の短距離メンバーは多くの種目で好記録を連発し、チームを活気づけた。4年生から1年生へ、明大の明日を担うバトンが渡る。下級生唯一の出走を果たした3走、川津。慶大がリードする状況での走りとなり「少し力んでしまったり変に相手のこと意識しすぎたりしてしまった部分があったので、反省点はかなりある」。決して後悔のない走りというわけではないが、その悔しさこそが自身を強くしてくれることだろう。今年度のリレー競技を締めくくるのは、短距離ブロック長としてチームを引っ張ってきた木村稜。抜け出した慶大を追い、早大、中大とともに表彰台入りを争う展開に。最後まで横一線のデッドヒートを繰り広げ、予選よりも遥かにタイムを縮め3着に滑り込んだ。「個々の総力を合わせたら、正直勝てるレースだったと思う。それができていない自分たちはまだ強豪じゃない」(木村稜)。実際、今レースでは他のレーンへの侵入が発覚し、後々失格になっている。

 このメンバーでリレーを走るのは今大会が最後だ。「やはり木村二人(稜、颯太)の存在はとても大きい。4年間リレーに携わって引っ張っていってくれた。来年は自分が上級生になるので、これからは自分が(チームを)引っ張っていけるようにしたい」(松下)。4年生として、そしてエースとしてチームの最前で挑み続けた2人。その姿は後輩たちのこれからの挑戦を勇気づけてくれることだろう。明大が誇る絆のバトンリレーは、しかと次期エースに受け継がれた。

 

[石井遥]

 

試合後のコメント

木村颯

――チームとしての力が強くなった要因はありますか。

 「それぞれがお互いに刺激し合いながら、どんどん頑張っていけたことが大きいと思います」

 

――後輩に向けてメッセージをお願いします。

 「日本インカレで3位になれたことに甘えて満足しないでほしいです。真面目にめりはりつけて練習しろっていうぐらいです」

 

木村稜

――課題点はありましたか。

 「やはり自分の強みはバトンをもらってからの加速だと思っています。ここで離して後半どれだけ走るかっていうところですが、今回の自分はあまり前半しっかりと出られなくて、いいところがない走りでした」

 

――ファンへメッセージをお願いします。

 「明大のファンの方にはいつも大きな声援を送っていただいています。その期待に答えられるように自分自身も後輩も頑張っていくと思うので、ぜひ注目していただけるとうれしいです」

 

松下

――他大の走りはどのように映りましたか。

 「慶大は飛び抜けて速かったです。前半までですでに前に出ていたのに、そこで(明大が)さらに前に出られなかったのは自分たちの責任だと思っています」

 

川津

――今シーズンを振り返っていかがでしたか。

 「先輩方にいい経験をさせてもらったっていう部分がかなり大きいです。印象に残るレースも日本インカレでのものだったりするので、4年生が来年度いなくなるのは戦力不足になったり、メンタル的に不安になる部分っていうのは大きいと思います。しかしこれからは自分が(チームを)引っ張っていくという形にしていきたいなって思います」


関連記事 RELATED ENTRIES