男子舵手付きフォアが日本一 4艇で表彰台達成/全日本選手権

端艇
2023.05.22

 高校生から社会人のオリンピアンまでトップクルーが一堂に会し、行われた全日本選手権。最終日には明大からは決勝Aに5艇が進出し、見事男子舵手付きフォアが日本一に輝いた。また、女子舵手付きフォア、男子クォドルプルともに2位と表彰台を達成。日本一を懸け、熾烈(しれつ)な争いが繰り広げられた最終日を鮮やかに締めくくった。

 

◆5・18~21 全日本選手権(海の森水上競技場)

▼軽量級男子ダブルスカル(S市川B川竹)――A決勝4位

▼男子ペア(S山本B平野)――A決勝5位

▼男子フォア(S和田3佐々木丈2平田B大久保)――B決勝2位

▼女子舵手付きフォア(S山吹3磴2青山B小野寺C岡部)――A決勝2位

▼男子クォドルプル(S中山3岸本2小笠原B近藤)――A決勝2位

▼女子クォドルプル(S八塚3鴇田2三中B平松)――B決勝1位

▼男子舵手付きフォア(S金澤3上戸2中條B松川C鹿川)――A決勝1位

 

 クルーがガッツポーズをした瞬間、会場は歓喜の声に包まれた。男子舵手付きフォアは予選1位通過と優勝が期待される中でA決勝に挑んだ。同じ組には経験豊富な社会人クルーも出艇したが、明大の前に立ちはだかったのは、やはり宿敵・日大だった。いきなり日大がスタートから飛び出し、半艇抜け出す展開も「仕掛けすぎて後半に落ちるよりは、自分たちが戦える場所を意識した」(松川颯佑・法3=今治北)。明大は焦ることなく、自分たちのペースで艇速を上げ、徐々にその差を詰めていく。1000メートルまで両者一歩も譲らない一進一退の攻防が続く中「周りを見ながら状況を判断し、ここだという時に攻めた」(鹿川豪太・農2=吉田)。ここで明大が鹿川の指示でスピードを上げ、決死の勝負を仕掛ける。この策で一時先頭に立った明大だが、日大も決して手を緩めず。意地の粘りで食らいつき、決着は最後のスパート勝負に。どちらがこの戦いを制するのか。手に汗握る名勝負に各校の応援はさらに熱気を帯びた。そして「実力はどこも拮抗(きっこう)していて、気持ちの部分で勝てた」(中條扇乃介・商3=成立学園)。クルーの熱い思いが実を結び、わずかに前に出ると、その差を維持したままフィニッシュ。見事日本一に輝き、クルー全員が拳を高らかに突き上げた。

 

 女子舵手付きフォアではクルーの多くが、先月の日立明三大学レガッタでエイト種目優勝を経験。今大会でさらなる活躍が期待されていたが「自分たちが今できる最高のパフォーマンスを決勝の場で発揮できた」(梨菜・営4=美方)。結果は連覇を達成した立命大の背中を最後まで捉え続け、2位で表彰台入りを達成。全日本大学選手権(以下、インカレ)に向けて大きく弾みをつけた。また、フレッシュな1年生と経験豊富な上級生で出場した男子クォドルプル。結果は2位と準優勝を果たしたものの「健闘したと思うが、優勝と準優勝は大きく違って、優勝したクルーしか歴史に残らない」(中山祐貴・農4=熊本学園大付)。序盤につけられた差を縮められず。悔しい表情を浮かべ、今後さらなる成長を誓った。

 

 3日目の女子ダブルスカルを含め、4艇が表彰台に乗った今大会。今年度は個々のレベルアップという目的で花形であるエイトを男女ともに崩して出場した。「(崩したことで)見えなかった技術やそれぞれの課題が浮き彫りになった」(星遼監督)。インカレはチーム力が試される団体戦となる。悲願のインカレ男女総合優勝に向け、今回の結果は大きな追い風となる。この勢いそのままに大学日本一まで駆け上がれるか。これからの明大の飛躍から1秒たりとも目が離せない。

 

[原田青空]

 

試合後のコメント

星監督

――今日の試合に点数をつけるとしたら、何点でしたか。

 「個々のクルーが違うので全体で見れば80点くらいだと思います。勝ってほしいクルーが勝った一方、負けたクルーもあります。結果としては優勝艇もあったので、チームとしては良かったです」

 

山吹真里亜(商4=今治北)

――日立明三大学レガッタでは女子エイトだったと思いますが、今大会に向けて調整されたことはありますか。

 「私たちのクルーは他よりも遅めに練習を開始したので、そこは焦る部分が多かったです。それでも一回一回の練習を大切にして、皆よりちょっとハードな練習に取り組んだので、そこがしっかり力になったと思います」

 

――クルーの雰囲気を教えてください。

 「やはり、学年が違ったら話しにくいことなどあると思いますが、本当にそれがなく言いたいことを言い合ってまとめてくれるのですごくいいチームだと思います」

 

中山

――今日の結果に関してはいかがですか。

 「優勝以外は全部ほぼ一緒だと思いますし、負けたチームも社会人ではなく同じ大学生だったのでそこはインカレでリベンジを果たしたいと思います」

 

金澤

――日大がスタートでリードしましたが、その時の心情はいかがでしたか。

 「自分たちのすべきレースを自分たちでやるということが目標だったので、しっかり焦らず仕掛けるところを仕掛けて前に出られたなと思います。全然そこは焦っていなかったので良かったと思います」

 

上戸慧太(法3=坂出商)

――400メートルと1000メートルで仕掛けていたと思いますが、その時の感覚はいかがでしたか。

 「横に敵がいる感覚はあったのですが、勝てる自信はありました」

 

中條

――レースを振り返っていかがでしたか。

「予選と準決勝は結構スタートで出れたと思っていたのですが、やはり決勝となるとどこもスタートから飛び出してきます。きつい展開でも逃げ切れて良かったです」

 

松川

――レースはプラン通りでしたか。

 「正直プラン通りではなかったです。スタート500メートルで少し出たかったのですが、

ラストスパートで上がる自信はあったので、そこでしっかり仕掛けられて良かったです」

 

鹿川

――意気込みをお願いします。

 「日本一を取って2連覇します」