
仕上がり良好 軽量級女子ダブルスカルが3位/全日本選手権
日本最高峰のレベルを誇る全日本選手権。NHK放送車も中継に入る今大会の3日目は6つのクルーが登場した。軽量級女子ダブルスカル決勝Aは逆風の中、3位に滑り込み表彰台を確保。男子フォアや男子クォドルプルも難なく翌日の決勝Aへの進出を決めるなど健闘した。
◆5・18~21 全日本選手権(海の森水上競技場)
▼軽量級女子ダブルスカル(S荒川B樋口)――A決勝3位
▼女子ペア(S田草川B山田)――A決勝5位
▼女子シングルスカル(清野)――C決勝1位
▼男子フォア(S和田3佐々木2平田B大久保)――準決勝5位
▼男子舵手付きフォア(S金澤3上戸2中條B樋口C鹿川)――準決勝1位
▼男子クォドルプル(S中山3岸本2小笠原B近藤)――準決勝2位
社会人クルーも参加し、秋の全日本大学選手権(以下、インカレ)の前哨戦の意味合いもある全日本選手権。この日の収穫は軽量級女子ダブルスカルだ。昨年度はA決勝4位とコンマ差で表彰台を逃したこの種目だが、「波が高いのでとにかくミスオールのないよう意識した。プラン通りに終盤ペースを上げることができた」(樋口莉胡・文4=大村)と会心のレースで3位入賞。「(インカレでは)メダルに磨きをかけたい」(荒川空美・政経2=岡山東商)と今回の結果を糧に秋での躍進にも期待がかかる。
男子舵手付きフォアは序盤から先行し、2位と2艇身差をつけ準決勝ながら他艇を圧倒した。無冠に終わった前回大会と比較すると各選手での仕上がりが良いことは明らかで、「4日目のクルーは優勝を狙える力がある」と語った星遼監督の表情は、今のチームを充実ぶり物語っていた。
[上瀬拓海]
試合後のコメント
星監督
――社会人クルーも参加する今大会の位置付け、意義を教えてください。
「中にはレース前から社会人クルーとの差を感じてしまう選手もいるのですが、実際レースをしてみると案外通用することも往々にしてあります。例えば4日目のA決勝に出場するクルーは優勝を狙える力があるので、そこで自信をつけて欲しいと考えています」
――今回男女ともにエイトのクルーを結成しなかったのはなぜでしょうか。
「選手の意見や我々指導陣の意見を総合して決めました。今大会では個々のレベルアップを主眼に置いて、2人なら2人、4人なら4人で合わせていくことに注力するというのが狙いです」
樋口
――軽量級女子ダブルスカルでは見事3位に輝きました。
「昨年度から同じメンバーで臨むことができ、息が合っていたのは強みでした。予選と敗者復活戦ではいいレースができず不安があったのですが、表彰台に登ることができてよかったです。次戦ではもっといい色のメダルを取れるよう頑張っていきます」
関連記事 RELATED ENTRIES
-
男子クォドルプルが圧巻V 他5種目でも準優勝/全日本大学選手権
端艇 2023.09.1150回目を数えた全日本大学選手権。前日までに6種目でA決勝、2種目でB決勝への進出を決めていた明大は、男子クォドルプル優勝を含む好走で男子総合2位に輝いた。 ◆9・10 第50回全日本大学選手権(戸田ボートコース)▼女子舵手付きフォア(S鴇田3青山2山田B小野寺C岡部)――A決勝2位▼女子ペア(S荒川B樋口)――A決勝2位▼女子クォドルプル(S山吹3三中2磴B八塚)――A決勝2位▼女子ダブルスカル(S平松B田草川)――B決勝4位▼男子舵手付きフォア(S阿部3佐藤2平田B松川C村上)――A決勝2位▼男子舵手なしフォア(S市川3佐々木剣2杉本B廣瀬)――B決勝4位▼男子クォドルプル(S東坂3岸本2小笠原B大竹)――A決勝1位▼男子エイト(S金澤7上戸6中條5佐々木丈4和田3平野2山本B大久保C鹿川)――A決勝2位 ハイライトは男子クォドルプル。5月の全日本選手権後に結成したこのクルーは東坂謙志(法4=済々黌)、大竹海斗(政経4=小見川)ら4年生を中心に大会を通じて状態が良く、決勝でも2位の立命大に4秒の差をつけた。「自分たちの出せる全力を毎レース出せた。応援してくれた方を喜ばせることができて良かった」(大竹)と充実の色をにじませた。昨年度3位の対抗種目・男子エイトは序盤の出遅れが響き準V。クルー全体として後半勝負のプランが共通認識として浸透しており後半は互角の勝負を演じた一方、前半のビハインドが重くのしかかった。指揮をとる星遼監督は「(優勝した日大に対し)1挺身差をつけられてしまうと厳しくなるとは思っていた。後半差を詰めることができただけに、もう少し見える位置に捉えておきたかった」と悔やんだ。シーズンを通じて安定感が光った樋口莉胡(文4=大村)、荒川空美(政経2=岡山東商)の女子ペアもA決勝2位と健闘。スイープ種目への対応も苦にならなかった。磴梨菜(営4=美方)らの女子クォドルプルは「夏に2000メートルのレースに慣れるための練習をしてきた分、終盤まで粘り強く戦えた」(磴)とA決勝2位でフィニッシュ。その他女子舵手付きフォア、男子舵手付きフォアもA決勝2位に食い込むなど、種目を問わず今季の陣容の充実ぶりが目立った。 4年生にとってはこの日が大学ラストレース。試合後には上戸慧太(法3=坂出商)の来季男子主将就任が発表された。優勝艇1艇をはじめ6艇が3位以内に入るなど確かな手応えを得た今大会。悲願の男女総合優勝に向け、新チームは来月末の全日本新人選手権から始動する。 [上瀬拓海] 試合後のコメント星遼監督――優勝した男子クォドルプルを含む6種目で表彰台に登りました。 「個々の力量としてもそこまでずば抜けていたわけではないですが、ここ1〜2ヶ月は自分たち自身で各クルーの課題に取り組んできました。きっちりとトレーニングも積めていたことも含めて、そのあたりが要因としてあるのではないかと感じています」 平野公稀主将(政経4=熊本学園大付)――男子エイトA決勝のレースでは後半で先頭を追い上げる展開になりました。 「優勝した日大のクルーは毎年中盤の強さが目立っていたので、そこで離されないということを意識していました。中盤の1000メートルあたりでコックスの鹿川(豪太・農2=吉田)から追いつこうと声掛けがあったのですが、最後まで差を詰め切ることができませんでした」 東坂――クルーメンバーは4年生、1年生コンビでした。 「4年生はどんどん年を重ねていくごとに経験があるので少しこなれた雰囲気があるのですが、1年生がいたおかげで何事にもフレッシュに取り組めたのが良かったです」 大竹――大会を通してどのあたりに成長を感じましたか。 「心が強くなりました。やはり2000メートル漕ぎ切るというのは辛いことです。それでも全員がメンタル的に強くなって、その辛さをどれだけ楽しめるかという方向に気持ちが変わっていきました」 岸本智樹(法1=美方)――どのようなプランで男子クォドルプルA決勝に臨んだのでしょうか。 「スタート1000メートルで前に出て、中盤はリードを保ちながら耐える。そこから後半もう一度力を出し切る感じで追い込むというようなプランです。とにかく4年生と優勝できてうれしいです」 小笠原旺聖(政経1=日本橋)――男子クォドルプルクルーの強みを教えてください。 「1年生の若さと4年生の経験値の融合です。最初の1000メートルで前に出るというのが自分たちの戦略だったのですが、決勝ではそれがうまくはまり優勝することができました」 田草川向日葵女子主将(法4=小松川)――大会中のチームの雰囲気はいかがでしたか。 「最終日に近づくにつれ目の色が変わるというか、勝ち切る姿勢がどの選手にも見えていたと感じます。同期に対しては4年間このメンバーでボートを漕ぐことができて幸せだったと伝えたいです」 磴梨菜(営4=美方)――応援団も連日応援に駆けつけました。 「1500メートル地点くらいから応援が聞こえてきました。決勝は自分たちでレーンを選べる状況でしたが、5レーンを選んだ理由の一つに応援団の存在があります」READ MORE -
5艇が1位でA決勝進出へ 日本一へ大きく弾みをつける/全日本大学選手権
端艇 2023.09.1050回目の記念大会となった全日本大学選手権(以下、インカレ)。台風の影響で3日目のレースが全て中止となり、迎えた4日目は明大の各艇が奮闘した。準決勝に出場した7艇のうち5艇が1着でA決勝進出を果たすなど大学日本一達成に向けて期待の高まる結果となった。 ◆9・9 第50回全日本大学選手権(戸田ボートコース)▼女子舵手付きフォア(C岡部S鴇田3青山2山田B小野寺)――敗者復活戦1位▼女子シングルスカル(S清野)――C決勝3位▼男子シングルスカル(S青木)――D決勝5位▼男子ダブルスカル(S中山B川竹)――C決勝1位▼女子ダブルスカル(S平松B田草川)――準決勝5位▼男子クォドルプル(S東坂3岸本2小笠原B大竹)――準決勝1位▼男子舵手付きフォア(C村上S阿部3佐藤2平田B松川)――準決勝1位▼女子ペア(S荒川B樋口)――準決勝1位――準決勝1位▼男子フォア(S市川3佐々木剣2杉本B廣瀬)――準決勝5位▼女子クォドルプル(S山吹3三中2磴B八塚)――準決勝1位▼男子エイト(C鹿川S金澤7上戸6中條5佐々木丈4和田3平野2山本B大久保)――準決勝1位 男女共にレースで圧倒した。対抗種目である男子エイトと女子クォドルプルでの優勝を目標に掲げる明大。その2艇を含む6艇が後続と大きく差をつけて1位でA決勝に駒を進めた。この充実したレース結果に星遼監督も思わず「1位で上がったクルーが多いことは最終日を勢いづける」と頬を緩ませた。しかし、大学日本一は決して一筋縄では達成できない。昨年度男子総合優勝を達成した日大や女子にとっては因縁の相手・早大など強敵が明大の前に立ちはだかる。「選手はこの結果に自信を持ってほしいが、相手にスキを見せてはいけない」(星監督)。気持ちを再び一つにし、確実に勝利をつかみにいきたい。 大会最終日に望みをつなげたクルーもいた一方で中山祐貴(農4=熊本学園大付)にとってこの日は大学ラストレースとなった。中山が出場する男子ダブルスカルは台風接近によって大会3日目が中止となり、まさかの準々決勝が大会運営の関係で消滅。その影響で予選全体4位とA決勝に進む可能性が大きくあるタイムを持ちながら、C決勝での出場を余儀なくされた。「本人は明るく気合い入れ直してくれたように見えたが自分の方が悔しかった」(星遼監督)。気持ちを切り替え臨んだレースは2位と半艇以上の差をつけ、見事1着でフィニッシュ。ゴール後は艇の上に立ち「明治最高」と叫び、これまで一緒に戦ってきた仲間とラストレースを控える同期を強く鼓舞した。 新型コロナウイルス感染症による制限がなくなり、かつての活気が戸田ボートコースに戻ってきた。白熱した各校の応援合戦は、選手の背中を強く押す。多くの決勝が行われるインカレ最終日は同時に多くの4年生にとって競技人生最後の戦いとなる。泣いても笑っても残すレースはあと一つ。「今年度は元気な4年生が多く、その雰囲気がチーム全体に波及している」(星遼監督)。持ち前の明るさと熱い応援を大きな力に変え、勢いそのままに大学日本一の頂きへと駆け上がる。 [原田青空] 試合後のコメント星監督――大会3日目は台風の影響で中止になりました。 「コースも使えなかったので各自陸上で調整をするなど臨機応変に対応して大会4日目を迎えることができました。少し心配なところもあったのですが、実力通りの力を発揮してくれたと思います」 ――夏はどのような練習をされていましたか。 「ひたすら練習はしていたのですが、同じ練習をするというよりはそれぞれ課題を出しながらそれに応じたトレーニングずっとしてきたのでそれがうまくはまったと思います。新型コロナウイルス感染症が流行しましたが、合宿所を閉鎖することなかったので大きくトレーニングがストップすることなくここまでできたことが大きかったと思います」 ――明日への意気込みをお願いします。 「決勝でただ優勝してほしいです。優勝できるチャンスはあると思うので臆せず向かっていってほしいと思います」 READ MORE -
インカレ開幕直前 田草川女子主将インタビュー
端艇 2023.09.05大学日本一を決める全日本大学選手権(以下、インカレ)が9月6日から10日にかけて開催される。昨年度は男子総合3位、女子総合6位と悲願の男女総合優勝に及ばなかった。インカレ総合優勝に向けて女子部全員が一致団結する。 今回は田草川向日葵女子主将(法4=小松川)のインタビューをお送りします。(この取材は8月31日に行われたものです) ――チームの目標を教えてください。「女子クォドルプルと男子エイトで優勝することがチームの目標です」 ――個人の目標はありますか。「自分のことになるのですが、7年間続けてきたボート競技が最後になるので後悔しないように全力で上位を狙っていきたいと思っています」 ――女子主将として大変だったことはありますか。「高校とは違って、全国各地からいろいろな人が集まってきているので、意見をまとめることであったり、最終的に何か答えを出さなくてはいけない際にどう擦り合わせて意見を出していくかなどが大変でした」 ――大学4年間の中で印象に残ったレースは何でしょうか。「今年度4月の日立明三大学レガッタです。なかなか勝てていなかった時期があったのですが、上級生の代で勝てたことがうれしかったです」 ――チームの雰囲気はいかがでしょうか。「後輩たちもしっかりと意見を持っている子が多いので、上級生だけがアドバイスをするのではなく後輩たちからもこうした方がいいのではないかなど意見の交換ができています。以前は先輩から言われたことをそのまま行うことが多かったのですが、後輩たちの勢いもあるので活発になったと思います」 ――端艇部の強みは何でしょうか。「一人一人が自立しているのですが、孤立はしないように思っていることを伝えられる人や場所があったりすることです。親元を離れて寮生活をしていてストレスがかかることもあると思います。それでも同期、後輩、先輩に思うことはきちんと言うことができているので良いと思っています」 ――同期にメッセージをお願いします。「私以外の女子3人に向けて、高校以上に大学の4年間は長く辛いこともあったのですが、この3人のおかげで走り切ることができたと思います。本当に感謝しています。社会人になったら離れ離れになってしまいますが、一生仲良くしたいです。これからまた違ういい関係性が築けると思うとそれはそれで楽しみですが、もう一緒に寮生活を送れなくなると思うと寂しいので、あと何日間か楽しんでいけたらと思います」 ――最後に意気込みをお願いします。「特に4年生はずっと一緒に競技を行ってきて、全員が後悔なく終わるために一生懸命練習してきたので最後まで走り抜けたいと思います」 ――ありがとうございました! [原田青空] ◆田草川 向日葵(たくさがわ なつ)法4、小松川、165センチ ※写真は明大端艇部提供 田草川は2列左側から4番目 READ MORE