チーム全員で戦ったリーグ最終戦 5位に悔しさ残るも見せた確かな成長の跡/東京六大学春季リーグ戦

準硬式野球 2023.05.20

 ここまで13試合を戦い抜いて迎えたリーグ最終戦。雨が降り続く悪天候の中、初回裏に上井健太朗投手(農4=札幌一)が相手打線に捕まり、3回裏までに5失点。それでも久木田斗馬投手(法4=明大中野八王子)の好投が明大に流れを呼び寄せ後半に4得点を挙げた。さらに9回表にも3点を追加し逆転に成功したが、そのタイミングで雨脚が強まり試合は雨天8回コールドで4―6の敗戦。春季リーグ戦5位に終わり悔し涙をのんだ。

 

◆4・1~5・21 東京六大学春季リーグ戦(早大東伏見グラウンド他)

▼5・19 対早大3回戦(早大東伏見グラウンド)

明大4-6早大〇

 

 早大戦

 明大

×

 早大

×

 

 ついに、約1カ月半戦い続けたリーグ戦の最終戦を迎えた。相手は1勝1敗の早大。負ければ勝ち点を落としリーグ5位が確定する。「泣いても笑ってもラスト1試合。絶対に勝ちに行く」(金澤永輝主将・法4=花巻東)と気合いを入れて最終戦に挑んだ。

 

 初回裏、立ち上がりを狙われた。冷たい雨が降りしきる中、早大打線が上井に襲いかかると適時打と暴投でこの回4失点。2回表以降すぐにでも追い付きたい明大だったが、相手投手に打線をほぼ完璧に抑えられ得点圏に走者を進めることができない。3回裏には本塁打、5回裏には適時打でさらに2点を追加され、0―6と厳しいスコアで前半を終えた。

 

 明大に流れを引き寄せたのが、6回表の代打・高橋功久外野手(政経3=一宮)。右翼に鋭い打球を運び安打とすると、右翼手が打球の処理に手間取る間に見事な走塁で素早く三塁まで到達。ついに訪れた無死三塁の好機に明大のベンチも盛り上がりを見せた。そして続く村上洋人外野手(営4=山手学院)の二ゴロの間に高橋が本塁に生還。ようやく1点を返し、これまでの悪い流れを断ち切ってみせた。その後、後続が続かず1得点でこの回を終えるも、6回裏を松浦寿和投手(法3=明大中野八王子)が見事な投球で三者凡退に抑えると一層流れに乗った。7回表に宇津木一朗内野手(営3=川越東)と福田竜大外野手(商3=鎌倉学園)の安打で好機をつくると、代打の切り札・菅野悠次郎外野手(情コミ4=日大二)が中堅に見事な適時打を放ち3-6に。

 

 追い上げはまだ終わらない。流れを完璧に手にした明大は、8回表にも2四球と安打で1死満塁の好機をつくり、土屋真之介内野手(営3=明大中野八王子)の遊ゴロの間に三塁走者が生還。4-6とし、じわじわと点差を詰めていく。さらに9回表の攻撃も味方の大きな声援が後押し。四死球や村上のセーフティーバントでさらに好機を広げると、押し出しの四球と金澤の犠飛でこの回3点を奪取し7-6とついに勝ち越しに成功。6点差をひっくり返した喜びに、ベンチからは選手が飛び出し大きな笑顔でガッツポーズ。盛り上がりはこの日最高潮に達した。しかし、悲しくもこのタイミングで降り続いていた雨脚が強まり試合は一時中断。その後雨が弱まることはなく、試合は雨天8回コールドが成立。全員でつないだ9回表の3得点は幻のものとなった。

 

 この結果を受け、春季リーグ戦は5位となった。主将としてチームをまとめてきた金澤は「元々、個々の能力も高くないし他大から見ても警戒されるようなチームではなかった。でもその中でチーム力とか組織力とか、チームとしての一体感とかで補えればリーグ戦でも勝てるかなと思っていた。そうできなかった自分の力不足」とチーム力を武器にし切れなかった悔しさを見せた。

 

 雨に泣いた最終戦だったが、リーグ14試合を通して確かな成長の軌跡を残した。今回9回表に逆転を見せたものの、これまであったのは後半勝負の課題。前試合も9点先取され8点を追い上げるも逆転には一歩及ばなかった。その中、今試合の見事なまでの後半の逆転劇。試合後、金澤はメンバーにこう呼び掛けた。「今までだったらあのような展開で絶対に逆転できていなかった。最後の試合で逆転できたことを自信にしていこう」。9回表の3点は、確かに記録には残らなかったかもしれない。だが、選手たちの心には自信となって、今後の勝利を支えていくことだろう。

 

[布袋和音]

 

試合後のコメント

金澤

――今日の試合を振り返っていかがですか。

 「結果的には雨天で試合成立ということで負けてしまったんですけど、9回とか終盤で今までずっと点を取り切れなかったりとか終盤に弱くて負けてしまっていたりしたのが今年の春のリーグ戦だったので、その中で今日最後の試合で終盤で逆転し切れたというのは大きかったと思いますし、これからのチームとしての自信につながってくるかなと思います」

 

――リーグ戦を終えて、これまでの試合を振り返っていかがですか。

 「うまく投手と野手がかみ合わなかったというのが、今年の春のリーグ戦だったかなと思っていて、チーム全体としての粘り強さであったりとかそういうのが足りていなかったかなと思います」

 

――秋のリーグ戦に向けてどのようなチームを作っていきたいですか。

 「とにかく個人の能力の底上げ、チーム力の底上げであったりとか、精神論みたいになるんですけど、1点にかける執念だったり泥臭さとかっていうのを秋に向けてチームとしてやっていきたいなと思います」


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