
宿敵に悔しい敗戦 石田組の戦いが終わる/第59回全国大学選手権
ノーサイドの瞬間、歓喜に沸いたのは臙脂(えんじ)だった。負けたら終わりの全国大学選手権準々決勝。明大は早大相手に14―13と1点リードで試合を折り返す。迎えた後半、早大に逆転を許してしまう苦しい展開に。最後まで逆転を信じ戦い続けるも1トライ差及ばず敗戦。正月越えを逃し、石田組の戦いは幕を閉じた。
◆12・25 全国大学選手権(秩父宮ラグビー場)
▼対早大戦
明大21{14―13、7―14}27早大○
0-7で迎えた前半20分、16フェイズに及ぶ長い攻撃の末、最後は右センター齊藤誉哉(文4=桐生一)がディフェンスを3人かわしトライ。「ボールを持ったら強いプレッシャーをかけようと思っていた」(齊藤)。その後早大にPG(ペナルティーゴール)を2本決められるも、前半終了間際、敵陣ゴール前のラインアウトからモールを組むとその横をフッカー松下潤一郎(法3=筑紫)が抜けグラウンディング。左センター廣瀬雄也(商3=東福岡)がコンバージョンキックを決め逆転に成功し、1点リードで前半を折り返す。
迎えた後半、先に動いたのは早大。序盤にフロントロー2枚を変え勝負に出てくる。すると明大は前半優勢だったスクラムで2回連続反則を取られ攻め込まれてしまう。その好機を早大が逃さず逆転に成功。さらに次の攻撃で宮尾にインターセプトされ独走トライを許し、14―27と突き放される。それでも負けたら終わりの明早戦。「相手のスクラムを壊してもう一度明治に流れを持ってくる」(紀伊遼平・営4=桐蔭学園)。明大もフロントロー3枚同時に変えチャンスを伺う。すると後半28分、敵陣5メートルで反則を奪うと明大はスクラムを選択。コラプシングを奪いもう一度スクラムへ。ボールを出し攻め続け、早大がオフサイド。そしてそこでもスクラムを選択。「自分たちのプライド、スクラムで勝たないと明治のアタックは始まらない」(大賀宗志・営4=報徳学園)。〝縦の明治〟の威厳に懸けまっすぐ押し続け認定トライを奪取。「今シーズンで一番いいスクラムを組めた」(紀伊)。FW陣の力で逆転のムードを高める。
残り10分、明早共に激しい攻防に息をのむ展開が続く。最後まで逆転を狙う明大。終了間際、ボールを左ウイング石田吉平主将(文4=常翔学園)に託す。得意のステップで切り裂き前へ。しかし相手の激しいタックルを受け、ボールは早大主将・相良にわたる。そのボールを蹴り出されノーサイド。4年ぶり大学日本一を狙った明大だったが、まさかの正月越えさえも逃す結果に終わった。
「みんな一番いいプレーをしていたのに勝たせてあげられなかったのは自分の責任」と敗北を一心に背負った石田。しかし1年間、誰よりも練習し背中で引っ張ったのは石田だ。明大の主将として誰よりもチームのことを考え鼓舞し続ける。そんな石田の姿を見ていた選手たち。副将・齊藤も常に「石田を胴上げさせたい」と言い続けた。そんな誰からも慕われ、明大らしくひたむきに戦い続けた石田。その勇姿は決して忘れない。そしてその姿を後輩たちが受け継ぎ、悲願の大学日本一へと突き進む。明大ラグビー部100年目の戦いはすでに始まっている。
[牛嶋淳太郎]
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ジュニア戦開幕 宿敵・早大相手に勝ち切れずドロー/関東大学ジュニア選手権
ラグビー 2023.09.18関東大学対抗戦(以下、対抗戦)の勝利から1週間たった17日、本拠地の八幡山グラウンドで関東大学ジュニア選手権(以下、ジュニア戦)が開幕した。初戦の相手は好敵手・早大。幸先よく先制した明大だったが、細かいミスやディフェンスのほころびが生じ流れをつかみ切れず。トライを奪い合う大接戦は36―36の引き分けとなり、明大にとっては悔しい結果となった。 ◆9・17 関東大学ジュニア選手権(明大八幡山グラウンド)▼対早大戦 明大36{17―14、19―22}36早大 先制したのは明大。前半8分、敵陣ゴール前のマイボールラインアウトからモールを形成すると、フッカー西野帆平(文2=東福岡)が自らボールを持ち出しトライを挙げる。「FWの力で取り切ることができてよかった」(西野)。さらに17分には、再び敵陣ゴール付近でマイボールラインアウトを得ると、フィールドを広く使って連続攻撃。最後は左センター平翔太(商2=東福岡)がディフェンスをかいくくぐりインゴール中央付近に飛び込んだ。「ギャップが見えたのでそこを狙って走りこんだ」(平翔)。このまま主導権を握り試合を優位に進めたい明大だったが「コミュニケーションの声が少なかった」(スタンドオフ伊藤利江人・商1=報徳学園)と、ハンドリングミスなどの小さなミスが重なりチャンスを生かしきれない。またディフェンスの一瞬のスキを突かれる場面も多く「クイックタップやインターセプト、キック後のプレス不足でトライを取られたりして、無駄な失点が多かった」(ゲームキャプテン・左プロップ中山律希・政経4=天理)。23分、40分にトライを奪われ、逆転を許す。流れをつかめず苦しい時間が続いたが、前半終了間際に敵陣ゴール前のマイボールラインアウトからモールを押し込み再び西野がトライ。勝ち越しに成功し、17―14でゲームを折り返す。 後半、先に得点したのは明大だ。後半2分、センタースクラムから伊藤利がパスを受けると、鋭いステップで相手ディフェンスをかわし独走。約50メートルを走り切りインゴール中央に飛び込んだ。「夏合宿からスピードとステップを意識して練習していたので、それが出たと思う」(伊藤利)。10点のリードを奪い、流れが明大に傾くかと思われた。しかし「オフザボールの意識が一人一人足りなかった」(西野)と、ボールを持っていない時のプレーでほころびが見られ、立て続けにトライを奪われてしまう。その後も連続して失点し24―31と再びリードを許す。厳しい展開の中、明大は集中力を切らさなかった。「チームで集まって、今試合の目標であるモメンタムをしっかり持つことを再確認した」(田中景翔・文1=常翔学園)。すると32分、敵陣ゴール前のマイボールラインアウトからモールを押し込み利川桐生(政経2=大阪桐蔭)がグラウンディング。39分には蓬田雄(政経2=流経大柏)の突破からサポートについた平翔がパスを受けトライを取り返し同点に追い付いた。逆転を目指し、試合終了間際に敵陣ゴール前でチャンスを作るも得点には至らず、36―36の同点でノーサイド。「勝ち切ることができなかった」(中山)。悔しさの残る結果となった。 ジュニア戦の初戦は課題の残る試合となった明大。特に明大のペナルティーからの早大の素早いリスタートに対応できずにディフェンスを突破されるシーンが多かった。ディフェンスに乱れはあったものの、スクラムやモールなど、セットプレーでは質の高いプレーが随所に見られた。「今試合は勝ち切ることができなかったので、次は勝ちたい」(西野)。細かいミスをなくし、より洗練されたラグビーをするために、選手たちは日々の鍛錬に励む。 [晴山赳生] 試合後のコメント中山――今試合のセットプレーはいかがでしたか。 「今年はいつも以上にスクラムなどにこだわっていて、 早稲田の組み方は結構特殊で、やりづらかったりするのですが、それに対応できて、ユニットの部分では良かったかなと思います。ラインアウトはミスが多かったので、ユニット全体で修正していけたらなと思いました」 ――今試合の収穫と改善点をお願いします。 「ユニットスクラムの部分は、クオリティー出すところは出して、相手のボールは全部かけることができて良かったのですが、最後の残り10分ぐらいの時のラインアウトのゴール前でのミスなどが良くなかったので、そこは無くしていけたらと思います」 西野――早大のプレーの印象はいかがでしたか。 「展開力がすごいなと感じました。自分たちのミスもありましたが、そこで運び切る早稲田はすごいなと思いました」 ――今試合の収穫と改善点をお願いします。 「コンタクトの部分で通用する部分があって、チームや個人個人の強さが確かめられたことが収穫です。課題は『オフザボール』を掲げていましたが、一人一人の意識があまり足りてなかったところです」 伊藤利――今試合のディフェンスはいかがでしたか。 「ルールが新しくなって、ハイタックルが多くなってしまう機会が多くなったのですが、そこで注意はしながら、神経質になってしまったところが多分あって。そのせいでラインを上げることができなくてプレッシャーを相手にかけられなかったことで、相手にやりたいことを全部やられたかなと思います」 ――次戦の意気込みをお願いします。 「今回あまりチームをスタンドオフとしてまとめられなかったので、積極的にコミュニケーションを取っていきたいです。また、まだ信用はもらえてないと思うので、信用されるようなアタックやディフェンスを基礎のところからやっていきながら、自分の持ち味のステップとスピードを生かしていきたいです」 平翔――全体ではパスや連携面では何を意識しましたか 「前半は結構オフロードなどを出せる場面多かったのですが、全員慌てて立ち位置が浅かったりしていたので、後半はそれを修正して、どんどんオフロードとかを繋げてくれたのでよかったと思います」 ――次戦の意気込みをお願いします。 「もっと自分からモメンタムを作り出して、勢いのあるアタックをしてトライにつなげられたらなって思います」 田中景――途中出場でしたが、何を意識してプレーしましたか 「まずはみんなにしっかり声をかけて。ディフェンス、アタックともにみんなを動かすことと、自分の持ち味である早いテンポを出して、アタックに勢いをつけようと思いました」 ――(田中景選手にとって)初めてのジュニア戦でしたが、手応えはいかがですか。 「まだまだいけたなっていうのはあって、最初はやっぱり緊張してしまっていたので、この経験をこれからに生かしていきたいです」 READ MORE -
対抗戦開幕!攻守ともに圧倒し初戦を白星で飾る/関東大学対抗戦Aグループ
ラグビー 2023.09.10廣瀬組の大学日本一への挑戦、関東大学対抗戦(以下、対抗戦)がついに開幕した。初戦の相手は青学大。白星を手にして流れに乗りたい明大は終始攻守両面で相手を圧倒し、87―7と大差をつけ勝利を手にした。 ◆9・9 関東大学対抗戦Aグループ(秩父宮ラグビー場)▼対青学大戦 ○明大87{35―7、52―0}7青学大 まず先制したのは明大。前半8分、敵陣ゴール付近のマイボールスクラムからスクラムハーフ萩原周(商4=大阪桐蔭)が右サイドに展開し、パスを受けた右ウイング安田昂平(商3=御所実)がトライを奪った。しかし、12分に明大のハンドリングエラーから青学大にトライを返されたちまち同点に。「自分たちのミスでトライを取り切れずに相手の流れになってしまった」(スタンドオフ伊藤耕太郎・商4=国学院栃木)と、ノックオンなどのイージーミスが重なり、得点に結びつけることができない。そんな悪い流れを変えたのは、今試合のPOM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)に選ばれた萩原だ。23分、左ウイング西川賢哉(政経4=桐蔭学園)のラインブレークで敵陣深くに攻め込むと、萩原が自ら前方の空いたスペースにボールを持ち出しインゴール中央にグラウンディング。「アタックではしっかり前を向いて、スペースを見て状況判断しようと心掛けていた」(萩原)と、持ち前の積極性を生かして突破口を開いた。このトライから、明大のアタックのギアが一気に上がる。27分、敵陣5メートルライン付近までゲインすると、パスを受けた伊藤耕が相手ディフェンスのスキを突きトライを挙げる。さらに34分には、敵陣ゴール付近マイボールラインアウトからモールで押し込み、フッカー西野帆平(文2=東福岡)がグラウンディング。39分には萩原の今試合2トライ目も飛び出し、前半終了時点で35―7と、大差をつけいい流れで後半につないだ。 後半も、明大の勢いは止まらない。後半1分、敵陣ゴール付近に攻め込むと、左サイドの狭いスペースにボールを運び、西川がインゴール中央までボールを運びトライ。5分には再び敵陣ゴール付近でマイボールラインアウトからモールを形成し、西野が今試合2トライ目を挙げた。「(ラインアウトの)スローイングをいいクオリティーでできて、モールでもトライを取れたので良かった」(西野)。さらに後半11分、敵陣ゴール付近で相手のラインアウトのミスからボールを獲得すると、空いたスペースに左センター廣瀬雄也主将(商4=東福岡)が走り込みインゴールにグラウンディング。後半14分、後半22分には安田がトライを立て続けに奪い、リードをさらに広げる。試合終盤、青学大が疲れで選手の動きが鈍っていく中、明大は集中力を切らさず走り続けた。「これから強度の高い試合が増えていく中で一人一人の仕事量が大事になるので、前半から出場している選手も含めて、100パーセント出し切って終わろうと声を掛け合った」(フルバック池戸将太郎・政経4=東海大相模)と、春先から積み上げてきたフィットネスでも相手を圧倒した。明大は最後まで攻撃の手を緩めず、後半31分に富田陸(政経2=大阪桐蔭)がトライを奪うと、後半38分には平翔太(商2=東福岡)のゲインからサポートについていた登根大斗(法3=御所実)がインゴール中央にグラウンディング。試合終了間際にはルーキーの伊藤利江人(商1=報徳学園)のトライも飛び出した。終わってみれば明大は13トライを挙げ、スコアは87―7。圧倒的な強さを見せつけた。 攻守ともに圧巻の完成度を見せ、最高のスタートダッシュを切った明大。今試合特に際立ったのは、低いタックルだ。今夏からハイタックルの基準がさらに厳しくなり、タックル時の姿勢が重要になってきている。その中で明大は徹底して低い姿勢でプレーし、相手の反則も誘っていた。「練習でもロータックルを意識していたので、改善できたと思う」(中山律希・政経4=天理)。対抗戦でも、低いタックルは試合を優位に進めるためのカギとなる。次戦の相手は成蹊大。「もっと自分たちは伸びるという自信があるので、試合もそうですが日頃の練習から努力して、対抗戦の試合を重ねるごとにもっといいラグビーを見せていきたい」(池戸)。悲願の大学日本一に向けて、廣瀬組の挑戦が今、始まった。 [晴山赳生] 試合後のコメント西野――序盤の細かいミスをどのように修正していきましたか。 「雨上がりっていうのもあって、ちょっとボールが滑りやすかったことと、対抗戦初戦だったので、ちょっとかたい部分もあった感じで、シーズンが深まっていけば、そのかたさも取れていくと思います」 ――チームの雰囲気はいかがですか。 「『獰猛(どうもう)明治』というテーマを今回掲げていましたが、最初からだいぶ声も出ていて、雰囲気的にとても良かったかなと思います」 右フランカー福田大晟(商3=中部大春日丘)――今日の試合を振り返っていかがですか。 「最初の入りの部分で、自分たちのプレーができなかったですが、徐々に自分たちのこれまでやってきた練習の成果が出て、いいアタックやディフェンスもできたと思うので、最初の試合の入りのところが今回課題かなと思いました」 ――成蹊大戦の抱負をお願いします。 「自分個人としてはペナルティー0で、しっかり80分間走って、チームに勢いがつくようなプレーを、アタック、ディフェンス関係なくやっていこうと思います」 萩原――大差での勝利でしたが、修正点があれば教えてください。 「前半みんな熱くなってしまって、ディフェンスで1人に対して2人かけるところを3人かけてしまっていたので、やはり熱くなるのはいいですが、しっかり冷静さを持ってそれを自分からしっかり発信できるようにしていきたいと思います」 ――成蹊大戦の抱負をお願いします。 「前半から圧倒して、明治のスキのないラグビーを目指して頑張りたいと思います」 伊藤耕――今日の試合を振り返っていかがですか。 「比較的ずっと明大のペースでしたが、ミスやペナルティーだったり、取りきれないところで、相手の流れになってしまった部分が前半あったので、そこの取りきるところであったり、ディフェンスのところはちょっと良くなかったかなと思います」 ――成蹊大戦の抱負をお願いします。 「次も明治らしくチャレンジできるように頑張っていきたいと思います」 池戸――今試合はチームでどのような意識を持って臨みましたか。 「試合のテーマがオフザボール、ボールを持っていない人がどれだけ仕事をするかだったので、ボール持っている人だけじゃなくてキックチェイスや戻りなど、そういうところを意識しようと話していました」 ――前半青学大にトライされたシーンはいかがでしたか。 「自分たちというか自分のミスから始まっていたので、そこで止めきれなきゃいけないと思いました。これからそういうことが多くなると簡単に負ける試合が多くなるので、一個のミスで一個のトライを取られているようでは勝てないと思うので、そこは我慢しきれなかったなと思います」 中山――今日の試合を振り返っていかがですか。 「そうですね、自分はリザーブでブースターという形で出させていただいたのですが、やっぱり対抗戦となったら前半の最初の方は絶対どのチームでもガツガツ来るので、最初は接戦になるなと思ったのですが、やっぱり後半になってきて、個々の違いだったりとか、明治のフィットネスの高さで、いい流れで試合ができたと思います」 ――成蹊大戦の抱負をお願いします。 「青学大もそうですが、やっぱり最初の2、30分はどのチームもガツガツと来ると思うので、そこで1回、波に乗られるのではなくて、成蹊戦は最初からガツガツと、圧倒していけたらなと思いますREAD MORE -
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ラグビー 2023.08.28直前の帝京大A戦は悔しい敗戦となり、迎えた帝京大B戦。前半は帝京大の激しいアタック、ディフェンスを攻略できず、0―28で折り返す。後半は攻撃に流れが生まれ、5トライを奪う猛攻を見せる。帝京大も攻撃の手を緩めず最終スコア33―59と課題の残る試合となったが、同時に多くの収穫も得た。 ◆8・27 練習試合(サニアパークメイングラウンド)▼対帝京大戦 明大33{0―28、33―31}59帝京大○ 前半は攻守ともに苦しい展開となった。「規律を守ることが少し曖昧になって、緩くなってしまった」(左プロップ檜山蒼介・情コミ1=尾道)と、ペナルティーからチャンスメイクされトライにつなげられてしまう。さらに28分には左ウイング川村心馬(法2=函館ラサール)がシンビンで一時的退場となるなど、規律面で綻びが見られ、4トライを許す。またアタック面では、敵陣に攻め込むも「自分たちのミスで攻撃が終わってしまった」(右センター石塚勝己・情コミ4=桐蔭学園)と、なかなか得点できずに0―28で前半を終える。 後半、明大の攻撃のテンポが一気に上がる。後半から出場した伊藤利江人(商1=報徳学園)がフィールドを広く使った攻撃を展開し、ゲームをコントロールした。10分、伊藤利のパスを受けた物部耀太朗(商1=中部大春日丘)がラインブレーク。敵陣深くに攻め込むと、右サイドに攻撃を展開し最後は海老澤琥珀(情コミ1=報徳学園)がトライ。さらに20分には、ハーフウエーライン付近でボールを持った海老澤がキレのあるステップでディフェンスを次々と抜き去り、インゴール中央に飛び込んだ。「自分の特技であるステップを出せて良かった」(海老澤)と、約50メートルを独走する圧巻のトライだった。29分には、再び海老澤の突破から連続攻撃を仕掛け、パスを受けた左センター吉田輝雅(政経3=東海大相模)が中央にグラウンディング。また32分、海老澤のキックチャージから右サイドの空いたスペースにボールを展開し、再び吉田輝がトライを奪う。39分には竹之下仁吾(政経1=報徳学園)のトライも飛び出し、後半の得点は33点。帝京大に効果的にトライを重ねられ最終スコアは33―59となり悔しい敗戦となったが、後半だけで5トライを奪うなど、アタック面では大きな収穫を得た。 今試合で今年度の明大ラグビー部の夏合宿が終了し、いよいよ関東大学対抗戦(以下、対抗戦)に向けての本格的な準備が始まる。Aチーム、Bチーム総じて今回の帝京大戦で課題も多く生まれたが、いいプレーも随所に見られた。「強みを伸ばしていきながら弱みを修正することが、この先の試合で勝つために必要だと思う」(檜山)。3年ぶりの対抗戦優勝に向けて『ONE MEIJI』となって勝利へ突き進んでいく。彼ら紫紺の勇者たちは必ず、明大ラグビー部創立100周年にふさわしい結果を残してくれるだろう。 [晴山赳生] 試合後のコメント檜山――夏シーズンを振り返っていかがですか。 「チームとして『バトル』を掲げてやってきて、そのテーマの中で自分がバトルしたいプレーができたところもあればできなかったところもあったので、そこはもっとがむしゃらに、1年生らしく貪欲にいけたらなと思います」 ――秋シーズンに向けて意気込みをお願いします。 「1年生として対抗戦に出られるように、八幡山グラウンドに戻っても頑張って、良いアピールができるようにしたいと思います」 石塚――試合を振り返っていかがですか。 「前半は特に自分たちのミスで失点してしまったところが多かったので試合中に直そうとしましたが、うまく直せずにずるずると点を取られてしまいました」 ――チームの雰囲気はいかがですか。 「もう負けを引きずってもすぐ対抗戦が開幕するので、対抗戦全勝、(全国大学)選手権優勝という目標に向けてみんなで一つの方向を見てやっていきたいと思います」 海老澤――夏シーズン意識して練習したことはありますか。 「コーチから走り回れと言われているので、ひたすらアタックに参加することを意識して練習しました。 ――秋シーズンはどんなプレーで活躍したいですか。 「相手が本当に嫌がるようなところにたくさん顔を出して、攻撃が何人もいるように見せたいと思います」 平翔太(商2=東福岡)――夏シーズンで意識して練習したことはありますか。 「自分の強みでもあるランを積極的に合宿で続けてきて、最初の筑波大戦はBチームのリザーブでスタートしましたが、今試合はAチームのリザーブになれたので、強みを出せて良かったです」 ――秋シーズンはどんなプレーで活躍したいですか。 「春から夏はU20を海外でやってきて、いい選手をたくさん見たのでその経験を生かしてガツガツいけたらなと思います」READ MORE