宿敵に悔しい敗戦 石田組の戦いが終わる/第59回全国大学選手権

ラグビー 2022.12.25

 ノーサイドの瞬間、歓喜に沸いたのは臙脂(えんじ)だった。負けたら終わりの全国大学選手権準々決勝。明大は早大相手に14―13と1点リードで試合を折り返す。迎えた後半、早大に逆転を許してしまう苦しい展開に。最後まで逆転を信じ戦い続けるも1トライ差及ばず敗戦。正月越えを逃し、石田組の戦いは幕を閉じた。

 

◆12・25 全国大学選手権(秩父宮ラグビー場)

▼対早大戦

  明大21{14―13、7―14}27早大○

 

 0-7で迎えた前半20分、16フェイズに及ぶ長い攻撃の末、最後は右センター齊藤誉哉(文4=桐生一)がディフェンスを3人かわしトライ。「ボールを持ったら強いプレッシャーをかけようと思っていた」(齊藤)。その後早大にPG(ペナルティーゴール)を2本決められるも、前半終了間際、敵陣ゴール前のラインアウトからモールを組むとその横をフッカー松下潤一郎(法3=筑紫)が抜けグラウンディング。左センター廣瀬雄也(商3=東福岡)がコンバージョンキックを決め逆転に成功し、1点リードで前半を折り返す。

 

 迎えた後半、先に動いたのは早大。序盤にフロントロー2枚を変え勝負に出てくる。すると明大は前半優勢だったスクラムで2回連続反則を取られ攻め込まれてしまう。その好機を早大が逃さず逆転に成功。さらに次の攻撃で宮尾にインターセプトされ独走トライを許し、14―27と突き放される。それでも負けたら終わりの明早戦。「相手のスクラムを壊してもう一度明治に流れを持ってくる」(紀伊遼平・営4=桐蔭学園)。明大もフロントロー3枚同時に変えチャンスを伺う。すると後半28分、敵陣5メートルで反則を奪うと明大はスクラムを選択。コラプシングを奪いもう一度スクラムへ。ボールを出し攻め続け、早大がオフサイド。そしてそこでもスクラムを選択。「自分たちのプライド、スクラムで勝たないと明治のアタックは始まらない」(大賀宗志・営4=報徳学園)。〝縦の明治〟の威厳に懸けまっすぐ押し続け認定トライを奪取。「今シーズンで一番いいスクラムを組めた」(紀伊)。FW陣の力で逆転のムードを高める。


 残り10分、明早共に激しい攻防に息をのむ展開が続く。最後まで逆転を狙う明大。終了間際、ボールを左ウイング石田吉平主将(文4=常翔学園)に託す。得意のステップで切り裂き前へ。しかし相手の激しいタックルを受け、ボールは早大主将・相良にわたる。そのボールを蹴り出されノーサイド。4年ぶり大学日本一を狙った明大だったが、まさかの正月越えさえも逃す結果に終わった。

 

 「みんな一番いいプレーをしていたのに勝たせてあげられなかったのは自分の責任」と敗北を一心に背負った石田。しかし1年間、誰よりも練習し背中で引っ張ったのは石田だ。明大の主将として誰よりもチームのことを考え鼓舞し続ける。そんな石田の姿を見ていた選手たち。副将・齊藤も常に「石田を胴上げさせたい」と言い続けた。そんな誰からも慕われ、明大らしくひたむきに戦い続けた石田。その勇姿は決して忘れない。そしてその姿を後輩たちが受け継ぎ、悲願の大学日本一へと突き進む。明大ラグビー部100年目の戦いはすでに始まっている。

 

[牛嶋淳太郎]

 

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