【瓦版】鳩スタ1周年! 四方健太郎オーナーインタビュー拡大版

明大スポーツ新聞 2022.11.27

 2021年に鎌倉市にとって初めての人工芝グラウンドである「みんなの鳩サブレースタジアム」(以下、鳩スタ)を完成させた鎌倉インターナショナルFC(以下、鎌倉インテル)。神奈川県社会人リーグ2部に所属する一方で、地域密着型クラブとして地域住民との交流を画したイベントを積極的に行っている。

 今回は鎌倉インテルのオーナーとしてクラブの運営に携わる四方健太郎氏に取材を行った。

 

――鎌倉につくられたことには、どういった思いやきっかけがありましたか。

  「ご縁とタイミングというものかなと思っていて。本当に成り行きで、人と人とのつながり、色々話していたら『これはありえるんじゃないか』となったとき、鎌倉という町のポテンシャルだったり、今までなかった方が出来た時のインパクトって大きいじゃないですか。色々なものが結びついてできたものですね」

 

――鳩スタ近くのカフェの店主さんともつながりがあったという話を聞きました。

 「ここにサッカーチームやグラウンドができたらいいなと思って初めて深沢にやってきて、オンライン会議に出るためにWi-Fiの使えるカフェを探していました。そのまままっすぐ歩いたら本屋さんがあり、よく見たらカフェだったので、入ったら店主がいて。話してみたら、僕は何者だとも言ってないのに、店主が向こうから『僕はここにサッカーチームがあったらいいと思う』とおっしゃっていて。僕はサッカーチームを作りに来て、市議会議員さんと話した後だったので、かばんにはその企画書が入っていて。こんなことが本当にあるんだ、と思いました。資料を渡したら向こうもびっくりして。それがday1ですね」

 

――スタジアムの名称、「みんなの」にはどういった意味が込められていますか。

 「例えば、公園は『自分たちのものだ』という意識があまりないと思います。『あれは役所が税金で作って、あの人たち提供しているものだ』と思っている人が多いかもしれません。でも実際はそんなことはなくて、みんなが税金を払い、成り立っているわけじゃないですか。自分たちや家族が関わったら、自分や家族が3万円クラウドファンディングで払っていたら、少しずつ『私たちの』になる。そうすると、次第に興味を持ってもらえて『インテル今日の試合勝ったらしいよ!』とか『水たまりがあって大変らしいね』から始まり、『土木工事屋さんが親戚にいるから聞いてみます』と関わってくださるんですよ。公園に水たまりがあってもわざわざそんなことをする人は少ないと思います。本当はそうあるべきだと思っていて、出した方が興味をもつ。無関心なのが一番何もない。という意味合いで〝みんなの〟です。なんらかで関わってもらうことで、ここがもっともっと成長していく。今のはある意味仮の姿で、とりあえずゼロからイチまでは私たちがつくったので、ここから先はみんなで。そういう意味を込めています」

 

――今日の盛り上がりを見られていていかがですか。

 「外から見られるとわからないけど、とても不思議な感じです。自分ごとのように感じないんですよ。自分が総責任者なので、さぞ『自分がやったんだ!』のような充実感とかあるのかなと思ったのですが、自分の中ではふわふわしていて。普段僕は海外にいてこの場にはいませんが、みんなが積極的に動いていて。選手がすごく自主的に動いているので、感極まるというより『今日も最高だね』と平常です(笑)」

 

――チーム名の「インターナショナル」に込めた思いを教えてください。

 「僕はサッカー見て世界一蹴旅行していたりとか、そもそも家が海外だったりするので、みんなが思っている以上に世界は小さく、身近なものだと思っています。サッカーはそのような言語の壁や文化の壁を簡単に乗り越えられるツールで、世界とつながっているからこれだけ盛り上がれるわけです。しかし、この場にはほとんど日本人しかいないことが、日本人の良さでもあるし、伸びしろでもあると思っています。おそらく、ここに沢山の外国人が来るような時代が20年後とかに来るのですが、我々サッカーに関わっているので『そういうのを先にやりませんか?』というのが僕の提案です。『英語できますか?』とみんなに問うと、『いや……、できないです』となる人が多いですが、でもそれだけなんですよ。みんなで一緒にボール蹴ってお酒飲んでいたら仲良くなれます。苦手意識があるけど、それを乗り越えませんか?というのは、国籍だけではなくて、日本国内でも年齢の差も、性別もそうだし、障害の有無とかでも、そういう人たちが混じり合うと僕は面白いのではないかなと思い、混じり合いというのをテーマにしています」

 

――ありがとうございました。

 

【金井遥香】


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