【瓦版】鳩スタ1周年! みんなでつくるサッカースタジアム

明大スポーツ新聞
2022.11.27

◆鳩スタ1周年「みんなでつくるサッカースタジアム 鎌倉版『フィールド・オブ・ドリームス』」

 

 神奈川県社会人リーグ2部に所属する鎌倉インターナショナルFC(以下、鎌倉インテル)。2021年に鎌倉市初となる人工芝グラウンド「みんなの鳩サブレースタジアム」(以下、鳩スタ)を完成させる。そして今年10月に1周年を迎え「鳩スタ1周年感謝祭」が開催された。

 

 10月10日、鎌倉インテルのホームグラウンド鳩スタがオープンから1周年を迎え、感謝祭が行われた。午前は選手やスクール生、関係者による運動会が開催。午後はキッチンカーやワークショップが数多く出店され、誰でも参加可能なお祭りが開かれた。スクール生の試合や訪れた人も飛び入りでダンスをするなど、イベントも盛りだくさん。地域の人々が集まり、老若男女関係なくみんなが笑顔あふれる温かい空間が広がっていた。

 

 2018年、古都・鎌倉にサッカークラブが誕生した。その名も鎌倉インターナショナルFC。前明大体育会サッカー部監督で現在はなでしこリーグのスフィーダ世田谷の監督として活躍している神川明彦氏は鎌倉インテルのクラブアドバイザーも務めている。鎌倉で生まれ育った神川氏は、鎌倉インテルの発足を聞いて「信じられなかった」と語る。歴史ある街だからこそ「鎌倉の人は良くも悪くもあまり変化を好まない気質がある」から。そして、鎌倉にはこれまで本格的にサッカーができる環境がほとんど存在しなかった。

 

 そんな環境を改善すべく誕生したのが鳩スタだ。2024年までの期限付きの運用で、日本では珍しい民費民地民設民営であり公金は一切使われていない。そこで考えられたのがリターンとしてグラウンドの一平米オーナーになることができるクラウドファンディング。一平米オーナーになることでグラウンドがみんなのものになり「興味を持ち関わってもらうことでもっと成長していく」(四方健太郎オーナー)。だからこそ〝みんなの〟スタジアムと名付けられた。まさに地域密着のクラブ運営は「思い描いていたフットボールクラブの理想」(神川氏)。加えて社会人リーグのクラブが自分たちのグラウンドを持つということは非常に珍しい。大企業や行政に頼らない、みんなで作り上げていくクラブは「日本のフットボールシーンを変える力がある」(神川氏)。これから注目を集めていくであろう鎌倉インテル。日本のサッカー界に旋風を巻き起こす日も遠くないだろう。

 

【井澤怜音】

 

◆明大体育会サッカー部出身選手「鎌倉で輝く元紫紺の選手」

小谷光毅選手(16年政経卒)

 「サッカーを通じて様々な価値を生み出せる」と、今年2月に入団。明大卒業後は社会人を経てドイツやJリーグでプレーするなど、異色の経歴の持ち主だ。鳩スタを起点として、明大で培った人間力やプロとして戦った経験値を鎌倉の地に全力で流し込む。

 

芹澤徹郎選手(20年営卒)

 地元であるからこそ、クラブ創設以前の鎌倉を取り巻くサッカー環境を目の当たりにしてきた。鳩スタが生み出す価値は「年齢問わず来場した人が笑顔や幸せの時間を過ごすこと」。喜怒哀楽を全力で表現できるというピッチ上で地元・鎌倉の発展に貢献する。

 

◆明大体育会サッカー部出身選手「鎌倉に密着する鎌倉インテル 大学4年間で得たものを糧に」

 鎌倉インテルにおいて、選手に託された役割は試合への出場に留まらない。地域住民との交流など、その役割は多岐にわたり「色んな価値を作っていくための一つの重要な存在」(小谷選手)だ。そんな中での鳩スタのオープンは念願だった。芹澤選手は「年齢問わず来場した人が笑顔や幸せの時間を過ごすこと」に価値を見出した。選手・観客間の距離の近さも地域密着クラブの特徴だ。「様々な場所で活躍できる人間を育てる場所」(小谷選手)という明大体育会サッカー部で4年間を過ごした2人。培った人間力を糧に鎌倉に新たなサッカー文化をもたらすだろう。

 

【長崎昇太】

 

写真提供(右上・集合写真):Kazuki Okamoto(ONELIFE)

レイアウト:金井遥香