
無念の初戦敗退 次代へ思い託す/全日本大学選手権
現体制で挑む最後の大会である全日本大学選手権(以下、インカレ)が日本武道館で行われた。初戦の対戦相手は大産大。先鋒・次鋒戦で敗れ絶体絶命かと思われた中、中堅・副将戦で白星を挙げ命運は大将戦に託された。接戦を繰り広げるも制することはかなわず、無念の初戦敗退に終わった。
◆11・20 第66回全日本大学選手権(日本武道館)
▼男子団体組手
明大――1回戦敗退
ここで勝っていい流れをつかみたい先鋒・南條蒼太主将(政経4=保善)は積極的に前へ出て攻める。しかし互いに譲らず試合時間半分が過ぎたところで試合が動いた。相手の上段蹴りが入ってしまい、一気に3ポイントを先取されてしまう。その後上段突きを決め1ポイントを取るも、相手にさらにポイントを取られこの試合を1―4で落としてしまう。「蹴りが当たったところから自分のペースが狂ってしまった」(南條)。続く次鋒戦も、うまく流れをつかめずに黒星を挙げてしまう。
良くない流れの中で迎えた中堅戦。出羽遼太郎(政経3=御殿場西)は序盤から積極的に前に出て技を繰り出した。上段突きが決まり1点を先取。しかし点を取り返され同点になってしまう。そんな中でも相手を圧倒する勢いで前へ突きを出し立て続けに上段突きを決めていった。試合残り4秒で3―1で勝っていたにもかかわらず、攻めの姿勢を最後まで崩さずさらに1点追加しこのゲームを勝利した。「負けて回ってくる中でも強気に積極的にできた」(出羽)。副将・春原駿貴(法3=世田谷学園)はここで負けたら終わりの緊張感の中、互いに点数の入らない展開が続く。技が決まらず探り合うこと1分が経過しようとしたとき、突きを決め先制点を取ったのは春原。また試合時間残り5秒で裏回し蹴りが上段に決まり、さらに3点を追加し4―0で勝利した。
迎えた大将戦。室井佑介(政経2=御殿場西)は体格差により小回りの利く相手に苦戦を強いられる。試合開始1分がたったところで相手に先制点を決められてしまう。最後まで粘るもポイントを取ることがかなわず惜敗した。
トーナメントからベスト8は堅いと期待されていた明大だが、惜しくも初戦敗退に終わった。この試合が4年生にとっては引退試合ということもあり、悔しさはより大きかった。「最後の最後まで反省しかなかった。この悔しさをバネに後輩たちに頑張ってもらいたい」(南條)。次代へ思いを託し、次のステージへ向かう。
[増田杏]
試合後のコメント
南條
――4年間の振り返りをお願いします。
「2年次はコロナの影響で試合ができず、しっかりと空手ができたのは3年間でした。一番は勝ちにこだわってきたのですが、何よりこの環境を楽しんで大学生活も空手もできたということは自分の中でこれからも大事にしたいなと思います。部員も同期も数少ないのですが、ここまで一緒に頑張ることができました。一言で言うと楽しくできた4年間だったなと思います」
――主将としてはいかがでしたか。
「試合では主将として情けない姿ばかり見せてきました。最後も大事な場面でしっかり勝てなかったので情けなかったなと思います。同期渡辺真威斗(法4=世田谷学園)もまだ試合に出れていなかったので、本当に申し訳なかったです。普段は試合に向けて周りの雰囲気を良くしたり、注意するところは注意したりメリハリを意識してやっていくのを心がけていたので、チームの雰囲気としてはいいものを作ることができたかなと思います。しかしいい雰囲気を作ることができても、試合で勝たなければ意味はありません。来年はいい雰囲気のチーム作りをしてかつ、試合に勝てるチームにしていってほしいなと思います」
出羽
――チームとしての結果はどのように考えていますか。
「正直少し言葉にならないものがあるというか、がくぜんとしている部分もあります。来年は僕たち3年生が今度は引っ張っていく側なので、そこでしっかりとこの悔しさを晴らせるように頑張っていきたいなと思います」
――今日で4年生が引退ですが、心境を教えてください。
「4年生の先輩方は日々の練習に取り組む姿勢が尊敬できる方々でした。自分たちもそこを引き継ぎつつ、個々の実力を高めて行けるように日々の練習に取り組んでいきたいです」
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