カレー専門店「茄子おやじ」西村伸也さんインタビュー拡大版

明大スポーツ新聞
2022.07.28

 8月1日発行の明大スポーツ オープンキャンパス特別号に掲載された下北沢最古のカレー専門店「茄子おやじ」の2代目店主を務める西村伸也さん。本記事では、紙面ではやむを得ず割愛したインタビュー部分を掲載します。

(この取材は7月4日に行われたものです)

 

――今回、取材を引き受けてくださった経緯を教えてください。

 「僕は若い子たちの『何かを発信する』ということがすごく大好きなので、少しでもその力になれれば嬉しいなと思っていました。また、下北沢が大好きなので、下北沢を知らない子たちに知ってもらいたいということで何か力になれたらと思っていました」

 

――宮崎県出身の西村さんが上京し、『茄子おやじ』の2代目店主に就任した経緯を教えてください。

 「今もそうですが、僕は音楽をずっとやっていました。10代から20代は九州で音楽活動を行っていたのですが、東京の事務所から声が掛かり、28歳の時に上京しました。ライブも下北沢で行っていましたし、演劇もファッションも音楽も、そのすべてに魅力が詰まっている下北沢が大好きでした。僕はカレーがすごく好きで『茄子おやじ』の存在を知り、音楽をやりつつ、漠然と『いつかカレーやりたいな』と思いながらで修行させてもらっていました。僕はもともと自分のカレー屋を開きたいなと思っていたのですが、先代が引退する時に僕が継がなければ『茄子おやじ』は畳むと言われ下北沢からこのお店がなくなるのは嫌だと思ったので、継ぐことを決め、そこからはずっと下北沢にいます」

 

――下北沢の魅力や好きなところを教えてください。

 「夢を追っている人がとても多く『夢の途中の街』という感じがしています。そういう人たちを見ていると自分も元気になれるし、それがいちばんの魅力だと思います。また、街全体がコンパクトで、歩いてれば誰かに会えるし予期せぬことが起こったりするところも好きです。例えば僕の好きなミュージシャンがカレーを食べに来たり、芸能人が来たりなど、そういうのが楽しいなと思います。東京のどこの街もそうだと思いますが、様々な情報が飛び交っており、それをキャッチするのが楽しいですね」

 

――「茄子おやじ」店内はレコードがかかり、オリジナルTシャツも販売しています。その点でも下北沢の文化に溶け込んでいるお店だと思いますが、いかがですか。

 「僕が好きなようにやっているだけです(笑)。そういうカルチャーも好きで、友達にもそういうTシャツが好きな人や、自転車乗りの人がいます。『何かを発信したい人』が周りに多いので、面白いことをやれるならやってみたいし、カレー屋という土台があってそこから派生するカルチャーもあっていいのかなと思っています。うちにとってはそれがレコードやTシャツです」

 

――「茄子おやじ」がお店として目指す像を教えてください。

 「今年で創業32年目なので、恐らく下北沢のカレー屋さんの中でいちばん古いです。そのため変わらないことがいちばん大事かなと思いますが、カレーの味に関してはたまにマイナーチェンジしています。それは先代から受け継ぐときに『コピーしなくていい。そのとき美味しいと思うものを提供して』と言われて継いだので、味に関しては自分の感覚を信じて提供しています。茄子おやじは変わらず続けていき、その先に、僕の下の世代に今後伝えていくことを目指したいなと思っています」

 

――これから下北沢に通うことになるかもしれない受験生や高校生にメッセージをお願いします。

 「学生の本分は学業です。僕は『あの時勉強しとけば良かったな』と思うことが多々あるのですが、それ以上に思うのは人とのつながりや、人とお話しすることが大事だと思っています。今の時代はオンラインでなんでもできてしまうのですが、足を運んで対面で人と会い、話してその人の温度を感じることが自分の道を作っていくと思うので、勉強も頑張ってほしいですが人とのつながりが一番大事だと思います」

 

――ありがとうございました。

 

[新津颯太朗・豊澤風香]