慶大に健闘も王座へ届かず/王座出場校決定トーナメント(女子)

硬式庭球
2021.10.11

 史上初の全日本大学対抗王座決定試合(以下、王座)出場を狙う女子部だったが、あと一歩及ばなかった。第1戦で亜大を制し、迎えた第2戦の相手は慶大。勝利を挙げられず0-5で敗退したものの、格上相手に熱戦を繰り広げた。

 

 

【S2稲葉あす果主将(国際4=野田学園)VS平田歩】

 これが主将の姿だ。D1に続き、シングルスにも出場した稲葉。本来は下級生が出場予定だったが、体調不良によって出番が回ってきた。相対するは今年度の全日本学生選手権(以下、インカレ)でシングルス優勝の平田。明大と慶大の主将同士の対戦だ。格上相手の対戦の中、稲葉はコートを走り回る。「長い時間嫌らしい存在としてコートにいてくれた」(上原真吾監督)。平田が決めに来るショットを何度も返し、相手が嫌がる粘り強いプレーを見せ続けた。「セカンドはファーストよりもう1球返すと思って立っていた」。第2セット、序盤に2ゲームを連取しリードする場面も。それでも最後はわずかに及ばなかったが、この日誰よりもボールを追いかけ続けた主将の姿は下級生に届いたに違いない。迎える来週の3位決定戦は稲葉にとって明大での最終試合。高校時代団体戦を得意とした主将が明大を歴代最高順位に押し上げる。

 

【S3鈴木渚左(国際1=野田学園)VS永田杏里】

 「出だしが良くなかった」。サーブ権を手にした鈴木は第1ゲームを先制する。しかし相手に主導権を渡し、一気に1-4に。巻き返しを図るも間に合わず、第1セットを3-6で落とす。続く第2セットも序盤から流れをつかめず0-2になってしまうが、ここが意地の見せ所。「自分を信じてプレーした」。苦戦しつつも攻めの姿勢を貫き、4-2まで追い上げる。接戦であったが、インカレからの課題であったサーブの不調や、粘り強い相手のストロークにミスを誘われ、第2セットを5-7で奪われた。今年度のインカレでベスト4であった永田に対し、鈴木は1年生ながら大健闘した。来年度こそは王座の舞台で活躍を見せる。

(上級生相手に果敢なプレーを見せた鈴木渚)

【S4竹本萌乃(政経3=高松北)VS今田穂】

 次につながる試合だった。対戦相手はインカレ準優勝の実績を持つ強敵。「チャレンジャーの気持ちで最初からしっかり動いていけた」。強気のプレーを見せ6-4で第1セットを獲得。しかし第2セットでは単発のミスもありラリーが続かず0-6で落とす苦しい展開に。迎えた10ポイントマッチのスーパータイブレーク。「気持ちが下がらないよう、自分から声を出していこうと意識していた」。きついボールも諦めず懸命に追いかける。6-9とマッチポイントを握られてしまうが「ここで引いたら絶対に後悔する」。左右に揺さぶり、コート隅へのショットを放つなど、攻めのプレーを貫き9-9まで巻き返した。しかしあと一歩及ばず勝ち星を挙げることはできなかった。悔しい結果にはなってしまったものの、それ以上に得られた収穫は大きい。強敵と互角に戦えたことで得た自信を胸に、今後もさらに研鑽(けんさん)を積んでいく。今後の成長した姿を期待せずにはいられない。

(第1セットを奪い力強いガッツポーズを見せる竹本)

 

 悲願の王座出場への道は途絶えたが、勝負はまだ終わらない。来週には筑波大との3位決定戦が待ち構えている。3位になれば、明大女子部としては史上最高順位だ。「みんなで勝って笑顔で終わりたい」(稲葉あす果主将・国際4=野田学園)。4年生にとっては引退前最後となる今大会。悔いのない成績を残し、有終の美を飾る。

 

[田中佑太、萩原彩水、春木花穂]

 

試合後のコメント

稲葉

――敗因はどこにありますか。

 「ダブルスで2敗してしまったことがシングルスに響いてしまいました。あとはダブルス2の試合やシングルスの下位の試合は、相手に紙一重の試合だったので、あと一つのところを思い切ってできなかったことが慶應の方が上だったのかなと思いました」


――下級生の活躍が目立ちました。

 「下級生があれだけ頑張ってくれていたので、今は自分たちの代ですが、これからの代というか今後の試合に期待できると思いました。下級生が出て活躍して惜しくも負けてしまいましたが、絶対次に生かしてくれる負けだったかなと思います」

 

――3位決定戦に勝てば、過去最高順位です。

 「1週間で大きく変えることはできないので、今日あと一本のところを思い切りできなかったところがあったので、最後の最後まで締めていけるように練習中から意識していきたいです。自分も勝ってチームも勝ったら最高だと思うので、みんなで勝って笑顔で終わりたいと思います」

 

竹本

――どんなボールも諦めずに最後まで取る姿が印象的でした。

 「このリーグが始まる時も『とりあえず走ろう』ということを考えていたので、それがプレーに表れて、伝わっていたらうれしいです」

 

――今試合で良かったところはどこですか。

 「良かったところは惜しかったところです。ですが惜しかったとは言っても負けは負けです。とても悔しいですが、今までの中で一番、自分の中でも手応えのある試合でしたし、結果で見たら全国大会でも準優勝とかベスト4といった相手にあと一歩まで行けたというのは自信になりました。できると思ったので、もっと練習して勝てるように頑張っていきたいです」

 

鈴木渚

――自分のプレーで良かったところはどこですか。

 「負けている場面やうまくいかない場面であっても、リスクを負ってでも攻めることができたことです」

 

――3位決定戦への意気込みをお願いします。

 「このメンバーでできる最後の試合で、本当に皆のことが大好きなので、戦えることに感謝して頑張っていきたいです」

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