はじけた〝カスガスマイル〟 逆境乗り越えまたもⅤ/全日本学生選手権個人ロードレース

自転車
2021.09.20

 圧巻の走りで無念を晴らした。新型コロナウイルスの影響でインカレへの出場断念を余儀なくされた明大。悔しさを胸に挑んだ今大会で渡部春雅(政経1=駒大高)が優勝を果たし、全日本学生選手権トラックでの3冠に続き実力を見せつけた。

 

◆9・18~19 全日本学生選手権個人ロードレース(群馬サイクルスポーツセンター) 

▼男子

※小林、白尾は途中棄権

▼女子

 渡部――1位

 

 逆境に置かれても渡部の走りは変わらなかった。新型コロナウイルスの影響で出場辞退となったインカレに続き、予定されていた世界大会への派遣も中止に。昨年度から目標にしていた世界への挑戦が断たれ「支えてくれた人たちに結果で返せないのが残念」と肩を落とした。それでも「今日は楽しんで走ろうと決めていた」と気持ちを切り替え、実力を存分に発揮した。序盤で集団から飛び出し逃げの態勢をつくると、終盤まで独走状態で首位をキープ。他を全く寄せ付けない圧巻の走りで2位と3分16秒差をつけ、危なげなく優勝を勝ち取った。「久しぶりのレースでうれしかった」。ゴールの際は満面の笑みとガッツポーズが飛び出し、1年生とは思えぬ貫禄を見せた。

 

 同じくインカレ出場を果たせなかった男子勢。そのショックから今大会にはエントリーしない選手が多かった中で、小林右京(政経4=日出総合)と白尾雄大(理工3=城北)の2人が出場を決める。どちらもレース終盤で集団から離され途中棄権となるも「いつもよりも考えてレースができた」(白尾)。実戦間隔が空いた中で最後まで集団に食らいつく走りを見せ健闘した。

 

 「いつか中止になって良かったと思える日がくる」(渡部)。今大会への出場を皮切りに、つらい状況でも前を向いて一歩一歩進んでいく。20日には新主将に上野矢竜(営3=祐誠)が発表され、新チームとしても動き出した。来年度こそはインカレ総合優勝を。4年生の思いも背負って、明大自転車部は再びスタートラインに立つ。

 

[西村美夕]

 

本間監督

――来年度はどのようなチームになりそうでしょうか。

 「今年度の4年生は非常に強力なメンバーだったので抜ける穴というのは非常に大きいのですが、今年度の新入生をはじめ残りのメンバーも前半は結果を出してくれていました。彼らが上級生になって新しい戦力も入ってきて、何とか先輩たちの昨年度と今年度の無念を晴らしてくれると思っておりますので期待しています」

 

――来年度に向けて一言お願いいたします。

 「本当は今年度やる予定でしたが、インカレの総合優勝がかなり現実味を帯びてきましたので、しっかりと結果を出して、他の運動部に負けないように、明スポさんの1面を飾れるように頑張ります」

 

小林

――今回のレースを振り返っていかがですか。

 「自分は下りが得意ではないので、最初は集団でのポジション取りでどれだけ前にいられるかを意識していて、怖いのも我慢して結構前の方にいられました。上りは苦手ではないので上りで前に行って、下りでどれだけ下がらないように我慢するかを意識していました」

 

――これまでの3年半を振り返っていかがですか。

 「自分の兄が結構強くて、自分も最初はロードメインで入って期待されていたのですが、1年目は全然走れなくて期待を裏切ってしまいました。それから学年が上がるごとに成績を残せてきて、今回は降ろされてしまったのですが徐々に結果を残せたので少しは恩返しできたかなと思います」

 

白尾

――インカレの直前では調子が良いと話していましたが、今大会は違いましたか。

 「今大会も始まる前までは弱点を克服できているなと思っていたのですが、それほど問題視していなかった長い距離のレースの後半になったときにどうなるかというところで、そこを練習していなかったということが如実に出てしまいました」

 

――今後の目標を教えてください。

 「今後の目標は、大学院入試を受けようと思っているのでなかなか厳しいとは思っていますが、やはり大学生のうちに全国大会で入賞したいなと思っています」

 

渡部

――今回のレースプランを教えてください。

 「久々のレースだったので序盤から攻めていこうと思ったのですが、走っているうちにどんどん楽しくなってしまってペースが上がりすぎてしまったことは反省点です」

 

――今後の目標を教えてください。

 「世界戦に出たかった気持ちが一番大きかったので、来年度の世界戦を一番の目標にして、その中でも一つ一つの出られるレースを大切にしたいと思います」