
(女子)ジャンプミス後も切り替えられず 樋口SP13位発進/全日本選手権
「特別な年の、特別な選手権」。北京五輪のプレシーズンとして、さまざまな想いが渦巻く今年の全日本選手権。初優勝を目指す樋口新葉(商2=開智日本橋学園)はSP(ショートプログラム)を13位で終えた。松原星(商2=武蔵野学院)は21位でFS(フリースケーティング)に進出。大矢里佳(商4=中京大中京)は25位、佐藤伊吹(政経2=駒場学園)は26位でFS進出とはならなかった。
◆12・24~27 全日本選手権(長野市ビッグハット)
演技後、唇をかみしめて硬い表情を見せた樋口。「練習でも跳べていなくて少し調子が悪いと感じていた」。今シーズンを通じて挑戦し続けた演技冒頭のトリプルアクセル。NHK杯に続き今大会でもSPに組み込むも転倒。続く3回転のコンビネーションジャンプでも、うまくタイミングを合わせることができなかった。シーズン序盤から最初のミスを次に引きずらないことを意識してきただけに「次のジャンプをきっちり跳べなかった」と悔しさをにじませた。しかし、同じミスを二度繰り返さないのがさすがの樋口。続くトリプルフリップを成功させると、その後も見事な演技力で観客を魅了した。「切り替えて、開き直ったような感じで楽しく滑りたい」。2年連続の表彰台へFSでの逆襲を狙う。
(写真:安定した滑りを見せた松原)
他選手の健闘も光った。「ルッツの調子が悪くて本当に不安だった」と語った松原は、細かなミスがあったもののうまくまとめ見事FSに進出。大矢は0.36点差で惜しくもFSには進めなかったものの、ミスなく全てのジャンプを跳び切り、昨年の雪辱を果たした。佐藤は「目標の7割くらいは達成できた」と手応えを感じたもののFS進出とはならず。夢の舞台へ駆け上がる仲間を、チーム一丸で応援する。
(写真:ノーミスでSPを終えた大矢)
(写真:テンポの速い振り付けを踊る佐藤)
[向井瑠風]
試合後のコメント
大矢
――ラストシーズンで、このプログラムを選んだ理由とそこにかける思いを教えてください。
「このSPはコーチの中田先生が選んでくれた曲で、聴いた瞬間からこの曲で滑りたい、最後終わりたいと思ったので、すぐこの曲に決まりました」
佐藤
――特殊な状況の中での全日本選手権ですが、これだけのお客さんの前で演技してどういった思いがありますか。
「演技が終わってお客さんの方にお辞儀したときに、上の方まで拍手してくださっているのが見えたので、無観客の試合が多い中で来てくださって、皆さんの前で滑れたことは幸せだったなと思います」
樋口
――トリプルアクセルで転倒した後、納得のいかないジャンプが続いて引きずってしまった原因の自己分析はありますか。
「試合であのような転び方をしたのが初めてで、かなりひどい転び方をしたなという印象があるので、そこで切り替えが上手くできなかったのかなと思います」
――FSでどのようなことを表現してお客さんに伝えたいですか。
「NHK杯から1ヶ月弱しかなかった中で、しっかりと見直してきたので、つなぎの部分であったり、ジャンプでも全てのエレメンツで取りこぼしのないようにしていきたいです」
松原
――この試合にはどんな目標を持って臨みましたか。
「最初はフリーに進出するのが当たり前で、ゴールドになりたいと思っていたのですが、SPの前になると、やっぱりショートを通過しなきゃという気持ちだけになってしまいました。とりあえずSP通過は決まったので、またFSに向けて気持ちを整えてジャンプもしっかり揃えていきたいと思います」
関連記事 RELATED ENTRIES
-
(女子)2年連続の表彰台ならず 樋口悔しい7位/全日本選手権
フィギュアスケート 2020.12.27今シーズンの集大成である全日本選手権。FS(フリースケーティング)に出場した樋口新葉(商2=開智日本橋学園)は7位、松原星(商2=武蔵野学院)は21位となった。◆12・24~27 全日本選手権(長野市ビッグハット) 悔しさの残る演技となった。ジャンプの失敗が響き、SP(ショートプログラム)を13位で通過した樋口。演技冒頭、トリプルアクセルに挑戦するも、ステップアウトし手をついた。それでも続く3回転のコンビネーションジャンプを落ち着いて決める。演技後半には、トリプルフリップを失敗するも、直後のジャンプで見事にリカバリー。終盤のスピン、ステップではレベル4を獲得する圧巻の表現力が光った。「何も考えずただ楽しんだ」とジャンプのミスはあったが力強い演技で底力を見せた。 今シーズンを通して挑戦し続けたトリプルアクセル。全日本ではSP、FSともに成功とはならなかったが「挑戦したことに意味がある」と前を向いた。また、樋口が来シーズンに向けポイントに挙げたのは〝安定感〟。トリプルアクセルを含め、ミスを最小限に抑え安定した演技をすることがカギとなる。苦しいことも多かった特別なシーズンを乗り越え、来シーズンはさらに成長した樋口の演技に期待だ。 SPを21位で通過した松原は終始ジャンプのミスが目立ち「本当に悔しい」。それでも演技後半に2つのコンビネーションジャンプを決めるなど、持ち前の下半身の柔らかさを生かした、しなやかな演技で観客を魅了した。(写真:美しい演技を披露した松原) 2020年最後の大会が幕を閉じた。新型コロナウイルスで暗いニュースが多く流れる中、何とか開催へと至った今年の全日本。今大会をきっかけに、試合に出場できる喜びや、観客の声援のありがたみを口にした選手が多くいた。さまざまな困難にも屈することなく氷上で素敵な演技を見せてくれた選手たちに敬意を表したい。 [加川遥稀] 試合後のコメント樋口――トリプルアクセルの完成を目指した1年でしたが、自分の中での手応えはございますか。 「大変なシーズンだったのですが、こういう緊張感のある大会で何回も挑戦させていただいて、すごくいい機会になったので、挑戦したことが一番良かったことなのではないかなと思います」 ――来年への抱負をお願いします。 「今シーズンはいろいろな大会に出て、アクセルに挑戦したり、とても収穫があったと思うので、来シーズンは安定して高い点数が取れるようなプログラムを作って、悔いの残らない1年にできたらいいなと思います」 松原――今年は難しい年だったと思います。来年はどんな1年にして、どんなことを達成したいと思っていますか。 「来年はフリップとルッツを改造して、少し苦労してもいいので跳び方を変えたいなと思っています。試合前にすぐ調子が悪くなってしまって、そこからわからなくなってしまうことが多いので、もっと固定して『こう跳べば跳べる』みたいなものを1から作り直そうと思っています」READ MORE -
(男子)山隈FS進出ならず 全日本を終える/全日本選手権
フィギュアスケート 2020.12.26例年とは異なる状況の中、全日本選手権が開幕。明大から出場した山隈太一朗(営2=芦屋国際)はジャンプのミスが目立ちSP(ショートプログラム)を26位で終え、FS(フリースケーティング)進出とはならなかった。 ◆12・24~27 全日本選手権(長野市ビックハット)▼男子シングル(SP)26位山隈 太一朗57.51 悔しさが残る全日本となった。SP、FSともに継続プログムを引っ提げ、大舞台に臨んだ山隈。「全日本では完璧な演技をお客さんに見せたい」と意気込んでいた。演技冒頭のトリプルフリップを難なく着氷し、流れに乗りたいところだったが、続くトリプルルッツで転倒。ここでコンビネーションジャンプを付けることができなかった。後半には山隈が武器とするトリプルアクセルでも転倒し、精彩を欠いた。57.51点で全体26位となり、3年連続FS進出とはならず。「自分でもまだ納得できないし、受け入れられない結果」と、予想外の演技に肩を落とした。 本来の姿を出し切れなかった。今シーズンは予定されていた大会の中止や無観客試合など異例のことが相次ぐ中、山隈は試合前の準備をより徹底するようになり調整してきた。しかし、今試合で実力発揮とはならなかった。次なる戦いは、国民体育大会。全日本の悔しさをバネに、リベンジを果たしたい。 [中澤美月] READ MORE -
公式練習後インタビュー 樋口新葉/全日本選手権
フィギュアスケート 2020.12.2412月25日に開幕する全日本選手権の公式練習が行われた。明大からは、男子は山隈太一朗(営2=芦屋国際)、女子は大矢里佳(商4=中京大中京)、佐藤伊吹(政経2=駒場学園)、樋口新葉(商2=開智日本橋学園)、松原星(商2=武蔵野学院)、本田真凜(政経1=青森山田)が出場予定。公式練習後に行われた、樋口のリモート取材の内容をお届けする。 ――公式練習で滑ってみての感触、感覚などを教えてください。 「前に長野で滑ったときにとてもリンクが寒くて、氷が硬いイメージだったのですが、今回滑ったときは結構暖かくて、滑りやすいリンクだなと思いました」 ――トリプルアクセルも着氷していましたが、ご自身の中での感覚はいかがですか。 「ここ2週間くらい、いつものアクセルを跳ぶ感覚が分からなくなっていて、少し不安だったので、多めに跳ぶようにしました。東京の練習のときよりもいい感覚で着氷できたので、すごくいい練習だったなと思います」 ――NHK杯が終わってからどのような調整をされてきましたか。 「つなぎの部分がFS(フリースケーティング)は少し足りないなと思ったので、音に合うように動きを少し増やしたり、ステップを入れたりしてジャンプでも失敗しないような練習をしてきました」(写真:公式練習を行った樋口) ――今大会の意気込みや目標を教えてください。 「今年最後の試合で、自分が一番大事に思っている試合なので、この2年間同じプログラムを滑ってきて、今まで練習してきたことだったり、ジャンプもそうですし、スピンやステップなど表現の部分でも全部出し切れたらいいなと思います」 ――トリプルアクセルが現地に来てから良くなったのは、具体的にはどのような部分が良くなったのでしょうか。 「踏み切りがうまくいかないことが多くて、軸が曲がってしまうような練習が多かったのですが、今日はその踏み切りがうまくいったし、すごく滑るリンクだったので、踏み込んだときに前に滑るような感覚でジャンプが跳べたのでそこがすごく変わった部分かなと思います」 ――SP(ショートプログラム)もFSもトリプルアクセルを組み込む予定でしょうか。 「一応その予定ではあります」 ――ありがとうございました。READ MORE