(5)福岡は北京後を見据えた試金石・西岡和志

柔道
 4月5、6日に福岡国際センターで行われる全日本選抜体重別選手権。8月に開催される北京五輪の男女最終選考会も兼ね、各階級とも国内から選ばれた8人で争う同大会に、明大勢からは学生でただ1人参加する選手がいる。73kg級の西岡和志(営3)だ。もし、優勝を果たしたとしても、現在の国際大会の実績では五輪代表を射止めることはないだろう。だが、国内体重別の最高峰の大会は、世界を見据えている西岡にとって、己を知る格好の舞台となりそうだ。

 学生王者に輝いた昨年は、西岡にとって飛躍の年だった。高校の先輩、花本隆司(平20営卒・現京葉ガス)が主将となり、道場の雰囲気をつかんで練習に明け暮れた。同じ高校総体王者でもある花本の背中を追いかける姿は、先輩からして「和志の練習量は学生一」と言わしめるほど。西岡自身も「他大学の誰よりも練習してきた自信がある」と話す。今年は学生では追われる立場に変わるが、練習、試合と柔道に対しては常に挑戦者の気持ちで臨むという。それは「世界で戦って柔道界の歴史に名を刻みたい」という夢があるからだ。

 西岡の強みは力強い組み手からの切れのいい足技と、常に攻めまくる攻撃的な姿勢。だが、大学入学後のロシア、韓国、ベルギー、中国などの国際大会では、なかなか結果が出せなかった。敗因を本人は「力に頼る自分の柔道スタイルでは外人には通用しなかった」と分析した。フィジカル面で劣る外国人への対策が急務だと感じたという。

 「夢」を実現するために重要となるのが組み手だ。手足が長く、力感のある相手と当たっても、自らは十分に動きながら、相手には圧力をかけて攻撃を封じる。その戦略を念頭に、今年の春の姫路合宿では練習の大部分を組み手強化に割いた。先に組んでひじを閉め、間合いを作る時には一瞬力を抜いて早さを出す。「日本人、外人問わずに通用するスタイルにする」という理想の形を追い求めている。

 スピードと力強さの両方が必要と言われる中量級。中でも73kg級は世界の激戦区だ。日本勢も旧71kg級だった96年のアトランタで中村兼三(旭化成)が金メダルを獲得して以来、五輪ではメダルに届かない。昨年の世界選手権では金丸雄介(了徳寺学園職)が銅メダルを獲得した。だが、それでも絶対的な本命とは言えない。若手を見ると、今春東海大卒業した大束正彦、講道館杯で西岡が不覚をとった筑波大2年の粟野靖浩がいる。五輪後は西岡を含めた3人が、日本代表を争っていく形になるだろう。

 「今回は誰も(自分が)勝てると思っていない。だが、この大会は通過点。日の丸を背負って戦いたい」という西岡。その夢を実現するために、福岡でどんな存在感を示すのか。五輪は4年に1回の開催だが、世界を目指す戦いは常に続く。北京後をにらんだ日本柔道の歩みの中にいる西岡の姿を追い続けたい。

西岡和志 にしおかかずし 営3 崇徳高出 173cm・73kg

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http://www.meiji-judo.com/

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