果たせなかった連覇 武井組、〝真価〟にあと一歩届かず/全国大学選手権

ラグビー 2020.01.12

 無情にも連覇の夢はこぼれ落ちた。国立競技場が5万7千を超える大観衆で埋めつくされた今年度の大学選手権決勝。伝統の明早戦は序盤から思わぬ展開に。早大のスピードあふれるアタックに前半だけで4トライを奪われ、0-31で折り返す。後半に入ると反撃を開始し、5トライを挙げたものの、今季最多となる45失点が響き、35―45でノーサイド。2年連続14度目の日本一とはならなかった。

 

◆1・11 全国大学選手権(国立競技場)

▼決勝 対早大戦

 明大35{0―31、35―14}45早大○

 

 前半の失点を取り返すことができなかった。「早稲田の準備が明治を上回っていた」(田中澄憲監督)。対抗戦では快勝した相手だが、センター中野将伍、フランカー相良昌彦ら主力が復帰した早大は以前とは全く別の姿だった。「失点からパニックを起こしてしまった」(フッカー武井日向主将・商4=国学院栃木)。開始早々早大の猛攻を受けると、前半だけで4本のトライを許す。対する明大はチャンスすら作れず、0―31と大差を付けられてしまう。「一人一人の役割をもう一度果たそう」(武井)。後半、明大のプライドを懸けた反撃が始まる。3分、敵陣でのマイボールラインアウトから素早く大外に展開。フルバック雲山弘貴(政経2=報徳学園)からパスを受けた右ウイング山村知也(営4=報徳学園)がトライを決めた。7―38で迎えた16分には、スタンドオフ山沢京平(政経3=深谷)のオフロードパスに右ロック箸本龍雅(商3=東福岡)が反応。そのまま走り切り、インゴールに飛び込んだ。その後もトライを重ね10点差まで追い上げたものの、逆襲は一歩及ばず。35―45でノーサイドとなった。勝利にはわずかに届かなかったが、明大が見せたのは最後までプライドを捨てず、互いの意地と意地をぶつけ合う熱戦。これからも多くの歴史をつくりあげていく国立という大舞台に武井組は確かに大きな爪痕を残した。

 

 これが勝負の厳しさか。早大が歓喜の胴上げを行う一方で、明大フィフティーンはそれぞれの思いを胸に国立を一周。最後まで応援の声を絶やさなかったファンの方々に向けて一礼をした。「後半の諦めない心は、明治の今後につながる」(武井)。今シーズンは、決勝前まで公式戦無敗。〝真価〟のスローガンの下、プレー、私生活の細部までこだわり上げた。「連覇するか、去年だけのチームと言われるか」。武井が1年間伝えていた言葉を結果で体現することはかなわず。ただ、明治の〝価値〟は確実に進化し、未来につながったはずだ。

 この想いは次の世代を大きく成長させる。来季目指すは〝奪還〟の2文字のみ。「絶対に早稲田に勝って、優勝する」(箸本)。好敵手の雄姿をただ見ているわけにはいかない。次こそこの舞台で歓喜を見せつける側に。「この敗戦はこれ以上ない経験だった」(箸本)。10点差の逆転劇はここから始まる。

 

[上松凜助]

 

選手のコメントはFW編BK編


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