
下級生の大健闘で驚異の完歩率96%をマーク!/第53回100キロハイク
53回目となる大学ローバー界の恒例イベント・100キロハイクが開催された。今年度は八王子ひよどり山キャンプ場から小平、大泉学園町、八幡山、二子玉川、町田、立川を経て都内を一周するコース。約100.6キロの道のりを24時間以内に完歩することを目指した。明大からは54名が出場し、うち52名が制限時間に完歩を達成。完歩率は全体が約70%の中、過去最高の96%をマークした。
◆11・16~17 八王子ひよどり山キャンプ場~武蔵野神社(小平1団スカウトハウス)~さくら運動公園~玉川野毛町公園~布多天神社~町田市立陸上競技場~立川印刷所~八王子ひよどり山キャンプ場
雲一つない青空の下、第53回100キロハイクの幕が開けた。今大会は、前大会とコースが違い、八王子ひよどり山キャンプ場から東京都西部・武蔵野台地を一周。台地の土地柄、起伏の激しいコースとなった。特に後半は長い坂のアップダウンが激しく「夜中で時間帯的にも辛かった」(鈴木愛美・情コミ2=品川女子学院)。それでも、男女バディや数名グループでの歩き通しで行われ「バディや周りの仲間が支えとなった」(松田菜々・商2=明大中野八王子)。夏合宿(参照:https://meisupo.net/news/detail/12168)に引き続き、仲間同士のサポートは今大会でも大いに健在だった。
スタート前のスカウトたち
スタート前は円陣を組んだ
スタート直後のスカウトたち。この地点では笑顔を見せたが…
下級生が躍動した。翌日の午前11時、ゴール地点である八王子ひよどり山キャンプ場に再び赴いた。ちょうどスカウトたちが続々とゴールする時間帯であった。「完歩ができてうれしい」(鈴木泉純・理工1=東京学館浦安)と両手を上げ満面の笑みでゴールするスカウトもいれば、辛い気持ちから解放され涙を浮かべるスカウトも。その笑顔や涙からは「100キロを完歩できたという自信」(松田)もひしひしと伝わってきた。そんな中、下級生である1、2年生の完歩率は驚異の100%。この結果に遠藤裕樹主将(政経3=海城)は「次大会の全員完歩に大いにつながる」と太鼓判を押した。特に昨年度は全体22位であった相原怜央(政経2=淳心学院)は記録をさらに伸ばし、全体4位でフィニッシュ。前大会ではスタートから順調に進むも、途中75キロ地点で足を痛めスピードダウンした相原。そのため陰で自主的に苦労を積み重ねて、この大会に焦点を合わせてきた。「(昨年度同大会では辛くなった)75キロ地点は勝負の時だ」とヤマ場になりそうな箇所も具体的に設定。それだけに努力は報われ「結果に満足している」とうれしさを語った。
完歩を果たし抱き合うスカウト
100キロの距離を夜通し歩いた疲れからゴール後は倒れ込んだ
最後は遠藤主将を中心に円陣を組み、校歌を歌った
陰の努力人は主将を引き継ぐ。次大会は入賞の期待が高まる相原だが、自身は「個人的な目標を達成するよりかは、全員完歩のために支えになる」と意気込んだ。今年度は〝個を強くする〟をテーマに掲げていた明大ローバー。しかし来年度からは「強くなった個を結び付けて、全体として一致団結してほしい」と遠藤主将は新チームへの期待を述べた。仲間思いの相原は、先輩たちから受け取った襷(たすき)に応えるため、新たなスタートを切る。
[佐々木崚太]
大会後のコメント
遠藤主将
――今大会のルートはいかがでしたか。
「前半は平坦が多いですが、辛くなってきた後半からアップダウンが多くなってくる形でした。CP辺りで山を一つ越えたりとかあったので、後の方で追い込まれる形なので、コースは辛い方に入ると思います」
相原
――次大会は期待されます。
「来年は次期主将なので、個人的な目標を達成するよりかは全員完歩という目標を掲げて、僕は一番後ろからみんなを支えていこうかと思います」
鈴木愛
――前大会から成長したことを教えてください。
「CP2から3くらいでみんなと別れてしまって、男女バディ組まなければいけないのですが、当時の2年先輩に全部地図を見てもらって、私は足を引きずりながら歩いていたのですが、ペースを合わせてもらって100%お世話になりました。今回はペアが1年男子で自分も先輩として少しはルートを見たりしました。最後の方はきつくて自分のことしかできませんでしたが、後半までは辛そうにしてる1年女子とも会話して楽しくハイクができるようにできたと思うのと、(前大会のタイムより)1時間半くらい時間が縮まったので、成長できたと思います」
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