軽量級では57季ぶり! ルーキー・加藤がグレコ王者に輝く/東日本学生秋季新人選手権
1、2年生が東日本の頂点を争う今大会。初日はグレコローマンスタイルの試合が行われ、55キロ級の加藤万豊(政経1=いなべ総合)が見事優勝を果たした。同大会、同スタイルにおける軽量級選手の優勝は、1990年春の窪木浩氏(平6農卒)以来。実に57季ぶりの快挙となった。
◆11・26~27 東日本学生秋季新人選手権(駒沢屋内球技場)
[グレコローマンスタイル]
▼55キロ級
加藤――1位
▼72キロ級
金子――ベスト8
佐々木延――1回戦敗退
▼97キロ級
道免――1回戦敗退
うれしい自身初タイトルだ! 準々決勝で2-9の土壇場からフォール勝ちを収めた加藤。勢いに乗ると、決勝まで順調に駒を進めた。決勝の相手はグレコを本職とする河名真偉斗(専大)。春季新人戦でテクニカルフォール負けを喫した強敵だ。試合開始早々、パッシーブとみなされグラウンドでの攻防を強いられるも「春から成長できた」という守りを徹底。失点を1に抑えると、再びローリングを仕掛けてくる相手に乗り、形勢逆転。「実力では差があるのでフォールを狙う」との試合前の宣言通り、フォール体勢から丁寧に抑え込み、試合を決めた。
明大の軽量級における新人戦グレコ王者の誕生は、1990年春以来57季ぶり。明大の黄金時代を支えた東日本レスリング協会会長・多賀恒雄氏(昭53商卒)も「前回が28年前? すごい話だな。我々の青春時代だ(笑)」とおどけながら健闘をたたえた。
「家族もきっと喜んでくれる」と試合後に笑顔を見せた加藤。父・保彦氏(昭58商卒)と2人の兄・大志朗氏(平23営卒)、郷典氏(平24営卒)は全員が明大レスリング部OB。先輩である父兄の期待に〝新人戦王者〟の称号で応えてみせた。加えて今大会の優勝で、12月に行われる天皇杯への出場権を獲得。いとこである全日本女王・伊藤彩香選手(東新住建)も出場する大舞台だ。「あまり肩に力を入れ過ぎずに楽しんでやりたい」。自身の成長の糧にするべく、国内トップレベルの選手に挑む。
[谷山美海]
試合後のコメント
加藤
――優勝おめでとうございます。
「正直、優勝できると思っていませんでしたが、負けると思っていた2戦目で勝てて、そのままの勢いで優勝できました」
――決勝前に「実力差があるから、フォールを狙う」と宣言し、有言実行しました。
「実力では差があったので、相手が技を仕掛けてきたところにうまく乗れればいいなと思っていたのが、成功しました(笑)」
――グラウンドでの守りが印象的でした。
「いつもの練習でもグラウンドの攻防をしっかりやっているので、そこは春から成長できた部分だと思いますし、優勝できた要因だと思います」
――今後に向けての意気込みをお願いします。
「グレコは本来の自分のスタイルではありませんが、天皇杯もあまり肩に力を入れ過ぎずに楽しんでやりたいです」
多賀会長
――加藤選手の試合を見て。
「良かったとしか言いようがないな(笑)。〝勝ってくれた〟という感じだよね。(決勝は)最初に1ポイント取られたけど、押し負けていなかったから、チャンスはあると思っていました。グラウンドで返されなかったのが勝因だよね」
――OBとして現役選手に激励の言葉をお願いします。
「レスリングはセンスももちろん必要だけど、ある程度の動きができれば、あとは努力した者が勝つ、そういうスポーツです。苦しい競技だけど、苦しさを疎(うと)んでいるようでは上にいけない、と思います。他の者も続いてもらいたいね(笑)」
関連記事 RELATED ENTRIES
-
明大勢で今大会初の表彰台! 菊地が3位入賞/天皇杯全日本選手権
レスリング 2023.12.23天皇杯全日本選手権2日目。男子フリースタイル92キロ級で実現した明大対決を制した菊地一瑳(政経1=埼玉栄)が3位決定戦で勝利を収め、表彰台入り。また岩井知史(政経3=前橋西)も男子グレコローマンスタイル87キロ級で3位決定戦に臨むも敗れ、5位入賞。また、3日目は清水大輔(営3=鹿島学園)が出場するも初戦敗退となった。◆12・21~24 天皇杯全日本選手権(代々木第二体育館)[男子グレコローマンスタイル] ▼87キロ級岩井――5位 [男子フリースタイル]▼79キロ級清水――2回戦敗退▼92キロ級菊地――3位槇井――予備戦敗退 この日、活躍を見せたのは菊地だ。1回戦進出を懸けた予備戦では明大の先輩である槇井大伍朗(法3=関西)と対戦。試合は序盤から菊地のペースとなった。開始40秒ほどでバックを取り2点。パッシブで1点を追加した後、ローリングで4点を重ねた。槇井が意地で3点返すも、菊地が第2P開始すぐに4点技を決め、そのまま相手のスキを逃さずフォール勝ち。「やりづらかったが、(勝利できて)うれしかった」(菊地)。明大対決を制し駒を進めた。 勢いそのままに1回戦に臨んだ菊地。しかし今大会で準優勝を果たした強敵に敗れ、敗者復活戦へ。それでも「3決(3位決定戦)まで絶対勝とう」という言葉通り、敗者復活戦を堅実に勝ち進んだ。迎えた3位決定戦。「相手はタックルがうまい選手だったので、いつも以上に構えを低くして、相手がタックルに入れないような距離を保つようにした」(菊地)。4分には足を取られるも「足を取られやすいことは自分でも分かっていたので、そこからどう対処するか考えていた」と抜け出し、さらには返して2点を追加。その直後に背中を取られたが、残り38秒で2点を重ねリードを保った。試合はそのまま終了し、見事3位で表彰台入りを果たした。 2日目にして明大勢が初めてメダルを獲得。3位という好成績にも「優勝を目指していた」と悔しさをにじませた。この飽くなき向上心が菊地を成長させるに違いない。 内閣総理大臣杯で準優勝を飾った清水は、満を持して天皇杯3日目の79キロ級に出場。初戦の相手は昨年度3位の村山(自衛隊)だ。「試合内容はいいところが一つもなかった」。試合開始1分、足をつかまれバックを取られると、グラウンドで4失点してしまう。その後、巻き返そうと相手の足を狙うも「(村山は)自分から色々展開してくるタイプではなくて、すごく苦戦した」と点を奪えず第1P終了。ピリオド間はセコンドと対策を練り、第2Pへと臨んだ。第2P1分、足へのタックルを避けられ逆に足をつかまれてしまう。2点を献上しグラウンドの展開へ。必死に耐える清水だったが、2度回され0−10で敗れた。 「来年は学生最後の年なんで後悔ない満足いく結果を残したい」。悔いの残る結果となったものの、清水の目は前を向いていた。課題を克服したあとの飛躍に期待がかかる。[末吉祐貴、保坂啓太郎] 試合後のコメント菊地――今大会を振り返っていかがですか。 「1回戦で同級生の1個下の階級の子に負けてしまったので、そこは反省すべき点です」 ――パッシブでの得点が多かったように思えましたが、いかがですか。 「自分はタックルがある選手じゃないので、パッシブでどんどん圧力をかけて、(ポイント)取りにいくっていうのを目標にしていたので、そこはできて良かったなと思います」 ――今後の目標を教えてください。 「来年4月にJOC(JOCジュニアオリンピックカップ)があって、今年優勝できたので来年も優勝して世界で活躍したいなと思います」清水――対戦相手はいかがでしたか。 「自衛隊で年もだいぶ上で、試合経験豊富というのは分かっていたんですけど思った以上になんもやらしてくれなくて強かったです」――今年度を振り返っていかがですか。 「内閣で結果を残せたのは良かったんですけど、全体的に見て試合内容とかはあんまりでした。満足できるものじゃなかったなと思います」READ MORE -
天皇杯開幕 岩井が健闘し準々決勝進出/天皇杯全日本選手権
レスリング 2023.12.22天皇杯全日本選手権は初日を迎えた。明大からは岩井知史(文3=前橋西)がグレコローマンスタイル87キロ級で出場。1回戦目をテクニカルスぺリオリティで勝利するなど健闘するも、準々決勝で格上相手に惜しくも敗戦。2日目の敗者復活戦へと進んだ。 ◆12・21~24 天皇杯全日本選手権(代々木競技場第2体育館)[男子グレコローマンスタイル]岩井――ベスト8 昨年度今大会で1回戦敗退をしている岩井。「とりあえず一勝したい」と思う中、迎えた初戦。前半1分間で岩井が果敢に攻めると、相手選手にパッシブが与えられ1-0と先制点を奪取。また、1分30秒でグラウンドの状態からローリングを決め、第1Pを5-0で折り返した。続く第2Pでは開始わずか7秒で相手のバックに回りそのままどんどん点を重ねる。見事、テクニカルスぺリオリティ勝ちを喫し次戦へと駒を進めた。迎えた準々決勝。相手は今年度の明治杯全日本選抜選手権で優勝した実力を持つ阪部(自衛隊)。「左の差しを最初の30秒間くらい効かせることができた」と格上相手に日々の練習の成果を発揮する。しかし開始1分を過ぎると徐々に相手選手のペースへと変わってしまう。「手首を抑えられてしまって自分の動きができなかった」。1分33秒でパッシブを取られ、グラウンド状態から連続得点を許すと、テクニカルスぺリオリティ負け。惜しくも敗北を喫したが「足の位置を相手の嫌な位置に置けば、格上の選手でも少し押すことができる」と収穫も得た大会となった。 準々決勝の相手が決勝進出を果たしたため、岩井は敗者復活戦へと回る。また、2日目に明大からフリースタイル92キロ級で槇井大伍朗(法3=関西)、菊地一瑳(政経1=埼玉栄)の2名が出場する。社会人やプロの選手も参戦するハイレベルな今大会でどこまで戦い抜けるのか、選手たちの活躍に期待がかかる。 [大橋英晃] 試合後コメント――1回戦目を振り返っていかがですか 「最初にパッシブとって、グラウンドで返せたんですけど、ちょっと決めが甘かったです。後半も最初取って勝ったんですけど、強引でした。勝てたんですけど、ちょっとダメだったなって部分が多かったです」 ――今大会が今年度最後の大会となりますが、今年はどんな1年間でしたか 「1年生の時にインカレ(全日本学生選手権)で3位で、2年生の時はJOC(JOCジュニアオリンピックカップ)で優勝して内閣(全日本大学選手権)では3位だったんですけど、今年は1個も入賞できていないのであんまり良くなかったかなっていう印象です」 READ MORE -
内閣総理大臣杯 清水が銀、菊地が銅と健闘/全日本大学選手権
レスリング 2023.12.22様々な大会の上位入賞者のみに出場権が与えられる全日本大学選手権が大阪の地で開催された。大学レスリング界屈指の強者が集まるハイレベルな戦いに明大からは8人が出場。79キロ級の清水大輔(営3=鹿島学園)が準優勝、97キロ級の菊地一瑳(政経1=埼玉栄)が3位入賞と健闘を果たした。 ◆11・18~19 全日本大学選手権(堺市金岡公園体育館)▼57キロ級 塚田――1回戦敗退▼65キロ級 曽野――1回戦敗退▼74キロ級 加藤――敗者復活戦1回戦敗退▼79キロ級 清水――2位▼86キロ級 岩井――1回戦敗退▼92キロ級 槇井――準々決勝敗退▼97キロ級 菊地――3位▼97キロ級 大浦――敗者復活戦2回戦敗退 昨年度のリベンジを果たし、銀メダルをつかみ取った。79キロ級に出場した清水は初戦、試合開始10秒で4点技を決めると、グラウンド状態の相手にローリングで点数を重ねる。わずか30秒でテクニカルスペリオリティ勝ちを収め、次戦への切符をつかんだ。迎えた準々決勝、前半は一進一退の攻防を繰り広げる。清水のパッシブで相手に先制を許し、続く後半戦。開始45秒で左足を取られ、体勢を崩してしまう。そのままバックに回られ、ローリングで連続得点されるも、相手のスキを突き2点技に成功。ピンチをチャンスに変えてみせた。しかし、試合時間残り25秒の時点でポイントは2―5と試合展開はかなりの劣勢。そのまま敗北を喫すると思われたその瞬間、相手を場外に出し1点を追加すると、終了ブザーの鳴るわずか5秒前にタックルを仕掛け、逆転勝利。「(相手に先制されていたことが)いいプレッシャーになり、練習してきたタックルでしっかり逆転できたのでよかった」。見事決勝進出を果たした。 2日目に行われた決勝戦の相手は高校時代にU-20世界選手権準優勝を成し遂げた強敵・神谷(日体大)。「相手の組手に付き合いすぎると体力がもたないことはわかっていたので、相手のタックルとか、上下の崩しに反応しすぎないようにと考えていた」。格上相手に攻撃を防ぐための作戦を練るも「やろうと思ったことができず、何もできずに終わってしまった」。後半開始30秒でテクニカルスペリオリティ負けを喫し、準優勝に終わった。実は昨年度の同大会で5位だった清水。「(準々決勝、準決勝では)チャンスをモノにできて勝ち切れたことが前回よりも成長できた部分だと思う」。昨年度から躍進を遂げ、銀メダル獲得に満足げな表情で今大会を終えた。 一方、敗者復活戦へと進んだ菊地。敗者復活戦2回戦で戦ったのは植木(東洋大)だ。「高3のときに3連敗してて、絶対勝ちたいと思ってた」。そのリベンジを大学で見事に果たした。試合は膠着(こうちゃく)した展開から始まる。1点を先制すると、その後もローリングで2得点し、3―0と完勝。「同級生に勝てて3位になれたのは良かった。2位と3位の差は大きいんで、そこをもっと埋めたい」と謙虚にも3位という結果に満足せず、次戦での活躍を誓った。(写真:敗者復活戦に勝利した菊地) 「2日目に絶対残るって確信してたんで、その意識作りがあった」。初日の相手が決勝に進んだため、敗者復活戦へ挑むことになった大浦響(営2=山形市立商)。敗者復活戦1回戦の相手は立岡(天理大)。「緊張して体が動かなかった」ものの4―0で勝利し、2回戦へと駒を進めた。相手は全日本選手権で準優勝の実力を持つ藤田(日大)。序盤から相手のペースで試合が進むと、立て続けに背後を取られ、圧倒されてしまう。格上相手に2分30秒でテクニカルスペリオリティ負けを喫した。「来年のリーグ戦の時はレギュラー取って、主力メンバーとして勝てるように頑張りたい」と来年度に向けて決意を新たにした。(写真:果敢にチャンスをうかがう大浦) 2名の選手が表彰台入りを果たし、選手たちの活躍が光った今大会。しかし、団体としては入賞することができず、7位という昨年度の成績には届かなかった。「(今大会で)学生も勝ちにつなげるためには今までの練習だけではだめだということが理解できたと思うので、チーム全体としての底上げをしていきたい」(森陽保監督)。来月に行われる天皇杯全日本選手権(以下、天皇杯)に向け、選手たちはさらなる鍛錬に励む。 [石田聖、井手満菜] 試合後のコメント森監督――清水選手の今大会の活躍を振り返っていかがですか。 「決勝については自分のレスリングができていなかったのですが、初戦だったり2回戦目は、清水のいいタックルが出せたり、飛行機投げが出るなど、普段から練習している技を出せたことはすごく良かったと思っています。大学2年の時にJOC杯(JOCジュニアオリンピックカップ)で優勝して、そこから芳しい成績は出せてなかったんですけど、今回決勝の舞台に立てたことは、評価できると思います。また、今回の結果で12月の天皇杯の切符も手に入れることができたので、1つのさらなる励みになるのではないかなと思います。これから残された天皇杯までの期間、今回の悪かったところも含めて、練習に活かしてほしいなと思います」 ――大浦選手の今大会の活躍を振り返っていかがですか。 「二ノ宮コーチや重量級の選手と練習している中で、少しずつ大浦のいいところが出てきていると感じていたため、今回の試合については、少しやってくれるんじゃないかなと思っていました。積極的な気持ちを持って前に出たことが、ポイントにつながって勝つことができたのではないかなと思っています」 ――菊地選手の今大会の活躍を振り返っていかがですか。 「二ノ宮コーチを中心として重量級の選手と練習していて、良い形で切磋琢磨(せっさたくま)できています。それが今回の試合に現れたのではないかなと思っています。また、高校の時からの事実上のライバルで、インカレ(全日本学生選手権)で上位にも入っている対戦相手に対し、菊地の良さを出すことができ、一泡吹かせてくれたのは良かったと思います」 清水――今大会で見つかった課題や、今後強化していきたい点を教えてください。 「自分から攻撃するのが後半になってしまったりと遅かったので、先制点を狙っていけるように練習していきたいと思います」 ――天皇杯に向けて意気込みをお願いします。 「格上、強い人がたくさん出てくると思うんですけど、練習してきたことをしっかり出して自分のためになる試合にしたいです」 大浦――今大会で得られた収穫や課題を教えてください。 「良かったのは2日目の1試合目で、後半右出しからの展開でポイント取れたことです。収穫は、差しからの展開を練習ではやっていたんですけど、どうしても強い選手が相手だと差すことがまず難しいことを今回の大会で感じました。差しにいくまでの、組手の展開を考えたいと思います」 菊地――3位決定戦を振り返っていかがですか。 「試合中は(相手の)プレースタイルが似ているので、常にプレッシャーを与えて相手がバランスを崩したところに攻め込んだりすることを意識してやっていました。高校時代に3勝3敗していた相手で、どっちが次勝つか、みたいなところもあったので、絶対勝ちたいと思っていました。勝てたのですごく嬉しいです」READ MORE