涙のインカレベスト8 来年度の雪辱誓う/全日本学生選手権総括

ハンドボール 2018.11.21

 シーズン最後の公式大会となる全日本学生選手権、通称インカレ。日本全国の強豪が大阪に会し、しのぎを削った。実力校がそろう関東で秋季リーグ準優勝を果たした明大に、初優勝の期待が高まっていた。第1戦、初戦の緊張感の中、途中出場の控え選手が流れを呼び込み、九産大を相手に3022の快勝。層の厚さを見せつけた。続く第2戦・対国士大戦。試合前に加藤良典監督が「警戒している」というだけあって、前半では5点のビハインドを抱える。しかし後半15分で追いつくと、ホイッスル直前に門間優次郎主将(法4=法政二)がセンターラインからの超ロングシュート。ブザービーターで勝利を決定づけた。そして迎えた中部大戦。前半は4点差をつけられて折り返す国士大戦と似た立ち上がり。しかし後半でその背中をとらえ1点を争う場面になってから、シュートミスが急増。得点板は2123のまま、最後のホイッスルが鳴り響いた。最終結果は3回戦敗退のベスト8。関東2位がここで沈むとは誰も思っていなかった。

 

データで見るインカレ

 インカレで好成績を収める条件は何か、それはデータが物語っている。2年前、いわゆる黄金世代と言われた明大ハンド部は2016年度インカレにおいて見事準優勝を果たした。その年の秋季リーグの戦績は5勝2敗2分の2位。リーグ戦の順位がそのままインカレの表彰台の高さとなった。また51年ぶりのインカレベスト4を達成した2011年。この年も春秋両リーグで3位の成績を収めていることから、インカレとリーグ戦の成績に関連性を見いだすことは難くない。

 2016年度インカレ決勝戦で明大を下し、2017年度インカレでも優勝。驚異の大会2連覇を達成した強豪・国士大。彼らも2016年度は春季リーグで準優勝、2017年秋は季リーグで9勝全勝の優勝、など同様のデータを保持している。リーグ戦において3位以内に入るとインカレでも活躍が見込まれる傾向が浮かび上がってきた。


 

インカレ準備 

 「やれることは全部やった」(加藤監督)。春季リーグで8位に沈んでからは奮起し、夏は「地獄」と声が上がるほどに速攻の反復練習を行った。メニュー自体も走り込みなどの旧式のものから一新し、縄やハードルなどの器具を使った「ハンドボールの動きに近いトレーニング」(加藤監督)に。その成果は顕著に表れ、秋季リーグではシュート到達率をはじめとする数値が、超攻撃的ハンドボールの2年前と並ぶまでに改善した。3季ぶりとなるリーグ入賞の裏には、緻密に考え抜かれた練習メニューと、それに全力で応えた選手の姿があった。

 またインカレ1週間前には、加藤体制初となる食事についてのミーティングを開催。練習後約30分余りの時間の中で、調整のための食事や試合後の栄養補給、前日の過ごし方などを加藤監督自ら教鞭を振るった。その姿に服部晃大(政経2=愛知)は「監督は今回に賭けている」と推測。全てが万全の状態で挑んだはずだった。 


4年生にとっては最後の大会となった



1点の重み

 「最後はやっぱり自滅で、自分たちらしく散った」。苦しそうにそうこぼす門間主将の姿が今でも目に焼き付いている。後半17分で同点に追いつくまでは完全にシナリオ通り。シュート到達率も特段に落ち込んだわけでは無かった。ただ最後の一瞬、ゴールを目の前にしたその一瞬に「気のゆるみ」(松本崇雅・政経4=岩国)が顔を出した。

 前日の国士大戦ではブザービーターによる劇的な勝利。対国士大に向けてミーティングを開くなど、重きを置いていた第2戦だけに、その勝利はあまりにも極上の味。それと同時に選手の中にはいつしか “油断”が巣食っていた。「リーグで2位だからといってみんなにいけるとは思ってほしくない。人間だからどうしてもそう考えてしまう」。事前取材で服部晃が述べた言葉が、今はもうやり直せない時間と共に思い出される。「今大会の成果は1点の重みを知れたこと」(加藤監督)。積み上げてきたものが一瞬で崩れ落ちる魔物の存在を、敗北の痛みとともに刻み込んだ。


試合後うずくまって悔しがる山田



新体制へ

 落とした涙を無駄にはしない。敗北が決定した時、真っ先に崩れ落ちたのは山田信也(政経3=愛知)と中川翔太(営3=法政二)。いずれもゲーム終了間際にシュートを外している。だが門間主将が試合後に名前を挙げたのもこの二人だった。「信也(山田)、翔太(中川)を筆頭にまとまって来年は優勝してほしい」。その期待に応える覚悟は、誰よりも強く胸に宿っている。「来年も今のチームの延長線。インカレで集大成を」(加藤監督)。次に全国の舞台で落とすのは歓喜の涙だ。

  

【島田雄貴】


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