さらなる成長を目指し/早朝寒稽古

合気道
1999.01.01
 「はい」。「失礼します」。まだ日が昇らない早朝7時。朝の澄んだ、それでいて寒気が立ち込める道場の中では部員たちが力強い掛け声とともに稽古に励んでいた。昇級・昇段審査を1月21日に控えており、普段よりもいっそう稽古に力が入る。OBの内田氏(平13商卒)が見守る中、今回の早朝寒稽古では本番を想定した模擬審査が行われた。静まり返った道場の中は緊張に包まれていた。
 まずは1年生が3級の模擬審査に挑んだ。昨年12月の審査からあまり日がなく、十分に準備期間を取れていない状態ではあった。しかし、春には下級生が入り、先輩として振る舞わなければいけない彼らは、主将の指示のもと日ごろ培ってきた技を精いっぱい繰り出した。「審査ではいろいろと気を配らなければいけないことが多い。技をかけるときはお互いに協力し合い、技をかける側は思い切って技をかけ、受ける側は相手に合わせて受けの型の動きをしっかりととらなければいけない。また、一つの畳で同時に複数の組が技を出すので、スペースや投げる方向にも気を使わなければいけない」(堤・文1)と、1年生ながら審査に懸ける思いは真剣そのものだ。
 この模擬審査は本番とは違い、過去の審査で課題となったさまざまな技をすべて行わなければならない。その上、技を受ける側とかける側両方の役割を交代で行うため、すべてのメニューを終えるまでに約30分もの時間がかかった。審査が終わるころには皆息が上がっていて、道場の中には荒い息づかいが響いていた。それでも彼らは最後のあいさつまで手を抜くことなくやり通し、審査を終えた。
 次に、2年生が初段の審査に挑んだ。先ほど審査を終えた1年生が見つめる中、彼らは堂々と技を披露した。彼らも1年生と同様に審査への準備期間があまり取れなかったが、「審査は通過点。技を磨くことが大切」(野口・文2)との言葉通り、流れるような動きで次々に技をこなし、力強く相手を投げ飛ばす姿は稽古を見続けていた1年生に強い刺激を与えた。
 模擬審査が終了した後は1~3年生全員で稽古を行った。そして、最後には今日の稽古を見守っていた内田氏が現役生たちを激励。自ら指導を行い、それを受けた部員たちは審査へ向け、よい刺激を受けた。稽古が終わった後も1・2年生ともに自主練習に励むなど、審査に向けてどの部員も余念がない。「今回の審査は1年間で1番難しい。でも、朝の体が動かない中でこれだけ動いていればいい。程よい緊張感もあってよかった。2年生は今回で3年生と同じ段になる。上としての責任感を持って、精神的に成長してほしい」(登内主将)、と主将も今日の出来具合を評価した。
 しかし、この審査は彼らにとっては一つの目標ではあるが、それでも通過点でしかない。それぞれが先に見据える目標に向かい、彼らは今日も精いっぱい稽古に励んでいる。今日の寒稽古は彼らをまた一段と成長させた。