林と松本が圧巻V 上位進出者も続々/全日本体重別選手権

拳法 2017.10.30
 学生だけでなく社会人も含めて行われる全日本体重別選手権。軽量級で松本崇雅(文3=初芝立命館)、軽中量級で林力希(法3=明大中野)がそれぞれ優勝、重量級で古屋敷直道(法3=明大中野)がベスト4入賞を果たした。東日本女子個人選手権では由良沙優花(法4=都立城東)と佐渡香里(農1=阿蘇中央)がベスト8入り。1、2年生のみが出場する東日本大学新人戦は、初戦で惜しくも2-3で優勝した早大に敗れた。

 快進撃のラストは圧巻だった。決勝に進んだ林は試合開始して間もなく、組みに入った相手を返り討ちにし、抑え面膝蹴りでまず一本。そしてわずか8秒後、同じように抑え面膝蹴りで二本目を奪い、優勝を決める。会場が大きく沸き立つ中、高ぶる気持ちを表現するように自らの胴を力強く叩いた。
 狙い通りの優勝劇だ。今大会は軽中量級でエントリー。軽量級での出場も可能だったが、その選択にはある意図があった。「組みや柔道技が得意なので素早い動きをする軽量級の選手は戦いづらい。優勝を狙うなら軽中量級かなと思った」(林)。狙いは的中した。1回戦から次々と相手を投げ飛ばし、迎えた準々決勝。「本当にしんどかった」(林)と昨年の個人インカレ3位・豊岡(関西学大)との一戦もなんとか1-0で勝ち切った。今大会は戦った5試合中4試合を2-0のストレート勝ち。非の打ち所がない戦いぶりで頂点まで駆け上がった。試合後「めちゃくちゃうれしい」と笑顔を見せた林。身長165cmの小兵の姿はマットの上では誰よりも大きかった。

 不断の努力が実を結んだ。明大から唯一、軽量級での出場となった松本。「僕が勝たないといけない試合」と強い責任感をもって大会へ臨んだ。決勝は宇山(洪遊会本部)と一進一退の攻防を繰り広げる。軽量級らしくスピード感のある展開も、お互いにパンチは出すが決定打が出ない状況が終盤まで続いた。そんな中、試合を決めたのは予想外の一撃だった。残り30秒「勝手に出た」と胴蹴りで一本。二本目も胴蹴りで決めた。それまでは突きでの一本が多かったが、大一番で見事な足技を見せた。「今日は一日通してパンチが見えていた」と今大会中奪われた一本の数はゼロ。百合草春男主将(文4=愛知県私立桜丘)も「やっぱり努力していた。それが報われたと思う」と手放しで称賛。また一人、明大から王者が生まれた。

 いよいよ残す大会は府立(団体インカレ)だけとなった。個人戦で多くの入賞者を出すなど選手たちの状態は確実に上がってきている。それでも百合草は「もっともっと強くならないといけない」と気を引き締める。全国選抜で中大に敗れてから約4か月。常に府立6連覇だけを求め続けてきた。「気持ちを一つに」(百合草)。残り1か月、チーム一丸となって戦い抜く。

[楠大輝]

試合後のコメント
百合草
「松本とかも今までなかなか成績を残せてなかったけど、やっぱり努力していたのでそういうのが報われたというか、成果が出てきたと思います。団体戦でも活躍できる選手になってきたかなと。うれしいです。(2人の戦いぶりは)ちゃんと相手の研究もしていたし、相手の弱いとことかずっと一緒に練習でやっていたことを出せて良かったです。(新人戦は初戦敗退)負けた選手ばかり悪い風に見られるかもしれないですけど、僕ら4年生や3年生もなかなかそこに目を向けられてなかった部分もあるのかなと思っています。負けた選手個人の問題もありますけど、僕らがそこを修正できてなかったのかなと。来年はそういうことないように今から直していきたいなと思います。(残すは府立のみ)個人でもみんな成績残せているし良いとは思うんですけど、ここで満足したら本当に終わりなので。これでもっと最強の一番強い状態を府立に持っていくためには今のこれじゃ全然足りないと思うので、もっともっと強くならないといけないです。相手も(自分たちが)有名になればなるほどやっぱり研究するし、勝つのは厳しくなってくると思うので、相手の想像を超えていくようなレベルに達していきたいと思います。(詰めていきたい部分は)前に中央に負けた時もそうだったんですけど、やっぱり気持ちの面で統一感なかったというのもありますし、今日の新人戦も負けてしまって1年生2年生のモチベーションが下がることもあると思いますけど、最後みんなでやらないと優勝できないので。気持ち一つにならないといけないのでそういうところを意識してやっていきたいです」


「(今の気持ちは)めちゃくちゃうれしいです。(山場は)準々決勝の豊岡選手との試合ですね。彼も結構全国で活躍している選手なのであそこは本当にしんどかったですけどなんとか一本取って勝てました。(大会通じて一本も取られなかった)終わってみて振り返ってみると一本も取られてないんだなって感じです。あまり実感なかったです。勝つことだけに集中していたのであまり考えていなかったです。(軽中量級での出場は)やっぱりこの大会で取りたいなという思いはありました。チャンスだと思っていたので。この大会取れば次に絶対つながると思うし、普段より大きい相手がこないので投げやすいかなと思っていました。柔道技ばかり掛けるので狙っていました。(減量などは)まったくなくてむしろ足りるかなぐらいの感じでした。でも軽量より軽中量の方が個人的にやりやすいかなと思って狙ってそこにいきました。やっぱり軽量級は素早い人が多くて、弱いパンチでもきれいに当たってしまうと取られてしまうので。やっぱり自分は組打ちが得意なので軽量ではやりづらいかなと思いました。優勝狙うなら軽中量かなと。(決勝前の緊張は)そこまでですね。あと1試合だったのでやり切るだけでした。(決勝前に百合草さんからは)『あと一つ集中していけ。お前ならやれる。一番練習している』と言っていただきました。(好調の要因は)明治は強い選手が多いので1回大会で結果残しても次の練習ではボコボコにやられたりして。天狗の鼻を折られるというか(笑)。そんな感じだから次頑張ろうと思えるので、その練習環境が好調の要因だと思います。(今シーズンの活躍は予想していたか)まったくしていなかったです(笑)。まさか自分がこんなに活躍できるとは思っていなかったので。(松本とアベック優勝)めちゃくちゃうれしいです。一緒にミット打ちをやっている仲なので。2人で一緒に優勝できたというのはめちゃくちゃうれしいです。(残すは府立のみ)調子は上がってきていますね。絶対に6連覇したいです。(強化していきたい)練習の中でも一本取られたりするので、そこでなんで取られたのかを考えていきたいです。練習中にヒントは転がっているので、そこを撤退して弱点を克服していけばまたもう1回活躍できるんじゃないかなと思っています」

松本
「軽量級の中では僕が勝たないといけない試合だったので、優勝できて当たり前のことができたと思っています。普段の練習は特に何か意識してきたことはなく、体重が同じ選手同士での試合なので大会中は積極的に攻めることを考えていました。ちょこちょこケガをしていたんですけど、試合に出たら骨折していようが全然関係ないので、ただ全力を尽くすだけです。(決勝戦を振り返って)相手が昨年の関西学大の主将ですごく有名な方ですし、その方と試合ができて勝つことができれば自分の自信にもつながるなという思いで決勝戦は臨みました。今日は1日を通して相手のパンチが見えていたので、決勝も勝てるかなという気持ちで試合に入れました。蹴りも勝手に出たという感じだったのでよかったです。(新人戦1回戦敗退を受けて)去年はスポーツ推薦のメンバーが出ていた中で、僕が大将戦で負けて優勝を逃してしまったんですけど、あれは本当に悔しかったです。でも、良い経験をさせてもらえたなと思っていて、今日出た1、2年生も負けたことを気にしていても仕方ないのでその悔しさをばねに頑張って欲しいなと思います。(府立に向けて)府立は体重別ではなく、色んな選手がいる中で打倒明治でどの大学もやってくると思います。自分は今後、それに負けないようなフィジカルとメンタルを鍛えて臨みたいと思っています。最近、団体戦で活躍ができていないので、今大会で優勝できたことを自身につなげてしっかりレギュラーに入って活躍できるよう頑張りたいと思います」

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