本領発揮し1部死守 来年度に向け確かな手応え/関東大学女子リーグ1部2部入替戦

硬式庭球
2017.10.09
 チーム全員で1部の挑戦権をつなぎ止めた。入替戦の相手は昨年度の2部リーグ戦で唯一黒星を喫した立大。宮田みほ(文2=名経大高蔵)・金山晴菜(政経1=野田学園)組がマッチポイントを2本しのぐ勝負強さを見せダブルスを1―1で切り抜けると、シングルスでは熊谷ひかる主将(文4=浦和学院)と竹本琴乃(文2=高松北)がストレート勝ち。3―3とチームの命運が託された中、最後は金山がフルセットの末に劇的勝利を挙げた。リベンジを果たし、見事残留を決めた明大。来年も1部校として、強豪ひしめくリーグ戦を戦う。

 勝利の瞬間、拳を高々と突き上げた。S5として登場したのはルーキーの金山。他6試合が終了し、チームカウントは3―3のイーブン。残留か、はたまた降格か。チームの命運は彼女に委ねられた。「絶対負けたくない、負けられない」(金山)と、挑んだ第1セットは相手の弱点のフォアハンドにボールを集め、チャンスボールを決め切るプレーを展開。6―1と、難なくセットを先取した。しかし第2セットは自らのミスが増え、タイブレークに持ち込まれる。立大主将・浅山(立大)の意地に押し切られ1―1となるが、決して相手には流れを渡さなかった。第3セットの第1ゲームはブレークポイントを与えたが、粘りのプレーでサービスをキープ。第2ゲーム以降はフォアハンドのショットがさえ渡り、エースを量産。終わってみれば6―0と、相手を寄せ付けなかった。「勝てたのは応援のおかげ」(金山)。声援を一身に受け、50人近くの明大サポーターを数々の鋭いショットで湧かせた。


 いの一番に駆け寄ると後輩を強く抱き締めた。自身もルーキーイヤーから、リーグ戦のレギュラーメンバーとして第一線で戦ってきた斉藤佳帆(文3=拓大紅陵)。1年次の日大戦、3―3からチームを勝利に導いた記憶もよみがえり、金山の戦いぶりに感情を抑え切れなかった。「自然と涙が出てきた」(斉藤)。「死に物狂いだった」という金山も斉藤を見ると途端に気の抜けた表情に。続々と駆け寄る仲間に向け、この日一番の笑みを見せた。

 頼れる主将が大車輪の活躍を見せた。入替戦含むリーグ戦6試合で単複両方に出場した熊谷。「主将として出るなら負けたら駄目」(熊谷)と最上級生としての意地を見せ、シングルスでは6戦5勝。文句なしの成績を収めた。個人戦では結果が出ない日々が続きながらも、8月の夏関ではそれまで未勝利だった山口(亜大)や第2シードの細沼(早大)など、強敵を倒しベスト8進出。主将就任後の半年間での目まぐるしい成長を感じさせた。集大成として迎えたリーグ戦で見せたのは「我慢のテニス」。土壇場でのブレークや0―40からのサービスキープには、チームの勝利を一心に願う主将の執念が宿っていた。

 先輩から後輩へ、バトンは引き継がれた。「もう戦いは始まっている」(斉藤)。目標に掲げる王座優勝へは全体の底上げが不可欠だ。初の1部リーグ戦での最終順位は5位。悔しい結果に終わったが、かつてない経験をし確かな成長の跡を残した。現3年生を中心にチーム内のレギュラー争いを活発化させ、個々のレベルアップを図る。成長著しい女子部の挑戦は始まったばかりだ。優勝を飾る日もそう遠くない。

[渡部伊織]

試合後のコメント
上原真吾監督

「まずは『おめでとう』と『お疲れさま』の二つですね。初の1部の舞台は本当に険しかったと思います。立大には昨年度の2部リーグで負けていましたが、重圧のかかる中、最後までよく押し切ってくれました。本当に誇らしいです。(主将の熊谷の活躍)主将に決まった時からずっと厳しいことを言ってきましたが、テニス面でも人間的にも本当に成長しましたし、よくチームを引っ張ってくれました。(最後はルーキーの金山が決めた)5面展開という変則的な形でしたが、よく勝ち切ってくれました。高校時代の成績からも団体戦に強いことは分かっていました。彼女自身の気持ちが切れなければ、必ず勝てると信じていました。単複ともによく最後まで頑張ってくれたと思います。(この1年間を振り返って)1カ月半リーグ戦を戦ってきて、このままでは駄目だということは選手たちが一番よく分かっていると思います。リーグを戦い抜けるだけの体づくりであったり、日頃の練習を意識し直して来年も戦っていってほしいです。(下級生に求めることは)馴れ合いでは勝てません。全員がチームを引っ張れるように成長してほしいです。竹本をダブルスで外すのも苦渋の決断でしたが、チームとして結果的に良かったですし、竹本自身も燃えていると思います。2年生二人には1年次からレギュラーとして頑張ってもらっていて、重圧もあると思いますが、強い気持ちを持って戦ってほしいです。(主将の熊谷に向けて)1年の頃から厳しい中でよくやってくれました。ついてきてくれて、引っ張ってくれてありがとう、と伝えたいですね。(次年度に向けて)来年は優勝を目指してやっていきます。そこを目指せるように、まずは選手の士気を高めてチームづくりに励んでいきます」

熊谷
「良かったです(笑)。ほっとしています。(チームカウント2-2になってから)最初に入って、斉藤の試合も厳しいと思っていたので、とにかく自分で勝ちを決めて、元気出していこうと思いました。5面展開は初めてだったので盛り上げました。(金山が決めた瞬間は)本当に良かったです。セカンド決められたろ(笑)っていうのもありますが、ファイナルで勝てるのはすごいなと思いました。(オーダーの葛藤は)ありました。みんな強いので、どこでどう出すかも話し合っていたのですが、メンバーとして出る人はしっかりやらなきゃならないという自覚も出ると思うし、オーダーで悩めることはいいことだと監督と話しました。(同期への思い)感謝しかないです。自分が試合に出てる分周りのことを二人が(井上と本多)がやってくれたので、試合に集中できました。練習中も、由芽(本多)がずっとボール拾ってくれたり、声出してくれたりずっと支えられてました。個人戦も本多はずっと応援してくれて。試合中に見た時に頷いてくれたり、目合わせるだけでも意思が通じるなと思いました。由芽が見てると安心するし、頑張ろうという気持ちにもなりました。鈴袈(井上)にも感謝です。(ガッツポーズは本多に向けて)試合前からガッツポーズを由芽に向かってすることは話してて、ずっとポイントでも由芽を見ました。ずっと本多が大丈夫って言ってくれて。最後の試合だからチームのため、由芽のために頑張っているを見せるためにガッツポーズしました。(後輩や明大にメッセージ)今回残留できたことで来年王座を目指せますし、メンバー的にも戦力は落ちません。もうちょっと後何かをプラスしてやれば、早大や筑波大にも互角だったので絶対に行けると思います。今回以上にきつい練習をして、早大とかに食らいついて欲しいです。男女ともに、残留できたので王座に行って欲しいです」

斉藤
「相手は立大でどうしても勝ちたいという気持ちが強かったです。でも相手は挑戦者で昨年の明治とは逆の立場で緊張とかもありましたが、勝てて本当に良かったです。(葛藤はあったか)ずっとS1で出させていただいて、勝つ試合も少なかったです。チームに黒星をつけてしまうっていうのが多かったですが、自分は試合をする中で良い部分が見つかったり、1部では勉強になることがたくさんありました。今日は負けてしまいましたが、私なりには流れをつくっていこうと出だしの1ゲーム取るつもりで臨んだところが前より成長したところかなと思います。これまでは3年生として、先輩と後輩がいるっていう立場でした。次から一番上の代になって、後輩たちは私たちを見てじゃないですけれども、背中を見てついてきてくれるのはわかっています。それに私たちも応えられるようにしたいです。(熊谷について)4年生の人たちとは3年間お世話になって、一緒に練習する時間も長いし、すごく引っ張ってくれました。今日で一緒にやる試合が終わってしまうと思うと、なんか寂しいです。ひかるさん(熊谷)にダブルスを全部組んでもらって、私が足を引っ張ってしまうプレーも多かったのに、ひかるさんは主将としてプレッシャーも多い中でもシングルス勝ったり、ポイント握られても強気の姿勢を見せたり、明治を引っ張っていくことをプレーでも体現してくれたと思います。勝利へのこだわりを一番持っていたのが4年生だったと思います。1部のステージを残してくれたので、期待に応えられるように頑張りたいです。この1年で2部に落ちてしまったら、今回の入替戦が台無しになってしまうので、次は王座目指せるように、4年先輩方との経験を生かして頑張ります」

竹本
「1部残留できたのでホッとしています。(ラストは後輩の金山が勝負を決めた)本当に頼もしい後輩だと思います。(シングルスは)第2セットは4-1でそのまま6-1のカウントで勝てそうなセットでした。そこでもう少し早く試合を決めておけば、隣の晴菜(金山)に勢いがついてもっと簡単に勝てたかもしれないと思いました。試合を早く決められなかったのが反省点です。(立大は)簡単に勝てる相手ではないと思っていたので、自分達が1部だからといって油断はしませんでした。昨年負けているのもあって、その部分で入替戦に臨めたのは良かったと思います。相手は挑戦者として向かってきましたが、自分たちもそれと同じ気持ちでした。(熊谷は)キャプテンとしてとても頼もしい先輩です。(来シーズンに向けて)これから新しい代で始まるんですけど、来年は王座目標に頑張っていきたいと思います」

宮田
「今日は厳しい試合が多かったですが、1部と2部の差は本当に大きいので残れて良かったです。(勝負を決めた金山は)晴菜ならやってくれると信じていました。ダブルスのときも強気なプレーを見せてくれるので、1年生ながら良い試合をしていました。(ダブルスの一勝が残留につながった)D1が負けてしまって、私たちはやるしかないという状況でした。リーグ戦を通して2戦しか晴菜とは組みませんでしたが、どちらも厳しい戦いでした。今日はその2戦の反省を生かしながら、勝てたので良かったです。(昨年の入替戦との違いは)昨年は向かっていくチャレンジャー精神がすごくあったんですけど、今年は立大の方が勢いがあるというか、少し受け身になってしまい苦しかったです。でも応援してくれたみなさんのおかげで勝てたので満足です。(立大は)明立戦などの対抗戦で勝ててなくて、相性が悪い相手だったんですけど明大のほうが団結力があって、良いチームだと思ったので気持ちで勝てたのだと思います。(熊谷は)ひかるさんはプレーで見せてくれるので心強かったです。すごく尊敬しています。(来シーズンに向けて)来年は王座を目指せるように、上位に食い込めるようにみんなで切磋琢磨しながら練習していきます」

金山
「試合中は何対何かわからなくて、もしかしたら自分にかかっているのかなと思っていたので死に物狂いでプレーしました。最後ポイントを取った瞬間は勝ってよかった、と安心して一気に力が抜けました。(応援されるのは)すごく好きです。今日勝てたのは応援のおかげです。立大より明大の応援の方が明らかに多かったです。(課題は)サーブが本当に悪かったです。大事なところでダブルフォールトしたり、びびってファーストサーブから強気で打てませんでした。次戦までにはサーブを改善します。(試合前の雰囲気は)1部戦ってきたことを自信にして思いっきりやっていこうという雰囲気でした。絶対一本取ろうと思っていました。(亜大戦からダブルス3連勝は)みほさん(宮田)のおかげです。私を引っ張ってくれたから勝利がついてきたのでみほさんには本当に感謝しています。今日はマッチポイントを2本しのいだことが大きかったです。(熊谷は)ひかるさん(熊谷)は私のことを全部知っていて、練習中に喝を入れてくれます。試合の時は元気づく声掛けをしてくれます。ひかるさんも試合をして疲れている中、精一杯応援してくれます。本当に尊敬しています。(今後の目標は)個人戦でベストを出します。リーグは絶対に王座に出場することです。(次の個人戦は)新進です。優勝します」