国内最高峰の晴れ舞台 全国の合気道家と共に鍛錬の成果を発揮/全日本演武大会

合気道 2017.05.28
 臆せず修練の成果を披露した。昭和35年からの長い歴史を持つ全日本演武大会。全国2400カ所にわたる道場から、年代や国籍の垣根を越えた約8000人の合気道家が日本武道館に一堂に会した。明大からは峰松亮介主将(文4=鹿島)、行川彩香(政経4=東京女学館)、川岸駿介(商3=明大中野)、田中薫(政経3=岡山)の4名が関東学生合気道連盟として出場した他、荒井清監督(昭45政経卒)が所属する合気道れいめい会や、前監督である五十嵐和男氏の師範演武でも演武を披露するなど、計15名が大舞台で躍動した。

 限られた空間で最大限に自らを表現した。老若男女さまざまな合気道愛好者が集う全日本演武大会。同じ全国規模とはいえ、毎年11月に行われる全国学生演武大会とは異なり、明大合気道部は関東学生合気道連盟という枠組みの一部として大会に出場する。一つの演武場で大勢が同時に演武をすることもあり接触も多い。安全性を考慮して前大会から飛び受け身が禁止となるなど、学生たちにとっては試行錯誤が強いられる演武となった。かつては〝スタミナ明治〟とうたわれるなど、元気の良さやダイナミックさが売りである明大合気道部。「声を出して、気合いを入れて、素早く大きく」(峰松)と学生らしさを意識し演武に臨んだ。
 発想の転換で、より洗練された演武を見せた。迫力ある飛び受け身が禁止となったことで、改めて自身の足さばきを意識。「投げや受け身の前の過程の演武でも魅せられるように」(行川)。半身を変えながら転身し、崩しながらさばき四方投げにつなげることで、狭い演武場の中でも動きを出すことが可能になった。受けと取りが一体となった、流れるような動きが良しとされる合気道。大きな技にいくまでの過程の重要性を再確認すると共に、ダイナミックで美しい演武を披露してみせた。

 師範と大舞台で競演した。プログラムも佳境となった頃、指導者演武を披露する五十嵐和男前監督の受けとして、石田彩乃(法4=明大中野八王子)が畳に上がった。会場の中央に置かれた演武場での演武は「緊張した」(石田)の一言。大舞台で観衆の注目を浴びながらも、足を使った学生らしい演武で大役を全うしてみせた。7段を有する師範との演武を披露したのは石田だけではない。合気道れいめい会の一員として13名の学生が演武を披露する中、荒井監督の受けを担った川岸。「学生同士の演武では見えないこともある」(川岸)と偉大な先人の胸を借りた。

 心身の鍛錬を図ることを目的とする合気道。「真の武道はいたずらに力に頼って他人と強弱を争うものではなく、自己の人格の完成を願っての求道である」と開祖・植芝盛平氏が説いた通り、他者を尊重する姿勢を貫いている。「おごることなく、飾らないで自分を出してほしい」(峰松)。引退を2カ月後に控えた4年生は、成長を続ける後輩たちの背中を押した。合気の技を磨くと共に自己の人格を錬磨するためにも、今後も部員一同日々の稽古に精を出し、心身の向上を目指していく。

[谷山美海]

演武後のコメント
峰松

「自分の中ではあまり点数は高い方ではなかったです。良くて50点ぐらいかなと思います。普段稽古をしている場所が広くて、今日はたくさんの学生と畳の中でやったので演武をする場所という面では反省点が多かったです。(良くできた技は)片手取りの四方投げです。(受けの川岸選手は)上手くなりましたね。投げててケガをさせるという怖さがなかったです。とても頼もしくなりました。(今年の明治らしさ)学生4年間での合気道というのは段位は取れますが、他の何十年もやられている方と比べると未熟だと思います。その中で明治らしさというのは元気良く、大きくです。かつては『スタミナ明治』といわれていて、投げられたらすぐに立ち上がって投げる方が逆に疲れてしまうというのがありました。そういうところから明治らしさというのは元気の良さかと思います。声を出して、気合を入れて、すばやく大きくです。(武道館で演武できることの楽しさ)普段と違って2、3階席と立体的に見られるのでやっぱり緊張します。自分が中央にいて周りに目があるという感じです。それでもそのプレッシャーに負けたらいけないので、日頃をやっていることを忠実に出すというのを心がけてやりました。周りに見られることで自分を鼓舞するということも大切だと思います。(自身の成長は)落ち着きが出ました(笑)。昔はどたばたしていて終わった後にも『終わったんだ!』という感じだったんですけど、今回は周りを見るという余裕が生まれました。自分が何をやって、次に何をやるのかというのを頭の中で冷静に整理できたのは成長だと思います。(主将という立場では)部員を自分の目ではなく、第三者の目で中立させて公平に見ることができたかなと。常に真ん中の立場にいて正しい選択をしなければならないというのは大変ですが、そこはここ1年で意識してやってこれたかなと思います。(後輩たちに伝えたいことは)そういう柄じゃないんですけど(笑)。でも本番でできることというのは練習でできたことだけなので、基本に忠実に真面目にこつこつと頑張ってほしいです。おごることなく、飾らないで自分を出してほしいと思います。(4年間の経験をどう生かしていくか)周りを見る目というのは職場でも役に立ってくると思います。それとやはり武道なので正しいマナー、謙虚な心を大切にしていきたいです」

石田
「最初は五十嵐先生の受けができるとは思っていなくて。関東学生連盟以外で演武ができるとお誘いを受けた時は『やりたいです』と直ぐに答えたんですが、まさか指導者演武の注目される中での演武だとは思っていませんでしたし、こんな大舞台での演武に慣れていたわけでもなかったので、決まってからはずっと緊張していました。明治代表として選んでもらったので、受けのレベルも指導者演武に出るまでには達していないんですけど、使ってもらえるなら学生らしく、足を動きかしていきたいと思って臨みました。私はもう一度2年次に出ていましたし、後輩や出たい人がいるならその人たちに大会に出てほしいと思っていたので、こういうチャンスが巡ってくるとは思っていませんでした。(2年前との変化)後輩ができたので、4年間でどういう演武ができるようになるのかっていうのを、後輩に見せられたらいいなとは思っていました。前回は武器を使う演武だったので普段と違うことをするという緊張がありました。今回も緊張はしましたが体術だったので、普段と同じものを出せたらいいなと思っていました。(後輩に伝えたいこと)今日の演武で改めて思ったんですけど、やっぱり普段の稽古でできないことは本番の大会や演武会ではできません。いつもできていることも、こういう場では緊張して発揮できないこともあるので。だからこそ普段の稽古をおろそかにしないっていうことを、後輩には心から分かってもらいたいです。何でもそうだと思うんですけど、やっている時は辛くても振り返ってみると『やって良かったな』って思うことはたくさんあると思います。辛いなって思っても、乗り越えてその先にある達成感を味わってほしいです」

行川
「(今大会に出られるにあたって)学生として大きい会場で演武をするのは今回が最後なんだと感慨深い気持ちでした。今回は関東学生合気道連盟の一員として出ていたので『元気な学生が合気道をしている』ということを皆さんに見ていただきたいと思い、演武に臨みました。(田中との演武)お互い黒帯なので、後輩の指導が主で田中と練習で組むことはほとんどないです。田中が白帯だった時以来でした。彼女は入部当初は本当に華奢だったんですけど、めきめきと上達して。去年の12月に初段を取って久しぶりに稽古をしたら、昔よりも腕もしっかりと筋肉が付いていて、一つ一つの技に圧があるなと感じました。毎日相手をしていると気が付かないことなのですが、田中自身の成長も感じられる演武でした。(前大会から飛び受け身が禁止になりましたが、元気のある演武をするにあたり意識したことは)足さばきですね。転身して、崩しながら四方投げにつなげることで、狭い持ちスペースの中で綺麗にさばいて大きく動いて投げることができます。投げるところに注目されがちなんですけど、実際はそこまでの過程で綺麗に捌けないと倒せないので。飛び受け身だと結果だけに注目されがちなんですけど、それが禁止になったことで、過程の演武でも魅せられるようになると思い、足さばきを意識しました。(狭い中での試行錯誤もこの大会ならでは)本当は大きいところで思いっ切り投げたいし受け身を取りたいんですけど、こういう場所を与えられた中で、どうやってストレスなく楽しく演武をできるかっていうことを考えるのは私自身の演武の成長にもつながりました。(合気道を通して得たものは)社交性です。私は小中高と一貫校で新しい友達を作るっていうことも大学に入るまであまりなかったんですけど、合気道を始めて部活外でも監督の道場や、監督と親交のある道場に積極的に顔を出すようになりました。初対面でも容赦なく手首をつかみますし、頭を打ちますし、合気道をすることで怖気付かずに新しい環境に飛び込めるようになったと思います。(引退までに後輩に伝えたいこと)私は普段の稽古では声を出すことを意識しているんですけど、合気道をやっていると元気が出てくるんです。今も就活で疲れたまま部活に行っても、帯を締めて袴を履くと、気持ちが一新してやる気が出ます。後輩にも楽しく合気道をしてほしくて、その中でも合気道の何が楽しいのかを考えながら稽古をしてほしいです。私はボロボロになるまで先輩に投げられるのがとにかく楽しかったんですけど、技を掛けるのが楽しいっていう人もきっといると思いますし。引退して道場を覗いた時に、この部活活気があるなって思わせてほしいですね」

川岸
「(峰松との演武)演武では投げる向きが決まっているんですけど、合気道ではいろいろな向きにさばくのでその中で決まった向きに投げるのは難しくて。つかみ方や取り方にも種類があるんですけど、それによっても投げる向きが変わってくるので意識しました。(前大会から飛び受け身が禁止になって)一番端だったので外にいこうと意識すると畳の外に出ますし、受け身もダイナミックにするとぶつかってしまって空間の使い方には苦労しました。今年度から師範が変わられて、基本に帰ろうといろいろなことをご指導いただいています。技の掛け方でも、手解きっていろいろやり方があって。自分の中で技のバリエーションも増えましたし、今回は他と違う自分らしい演武ができたと思います。(今回の演武では)片手取りの小手返しが上手くいきました。普段の稽古でも手の動きよりも足捌きが好きで。今回は畳が狭いこともあって、動きが小さくなりがちではありましたが、足さばきをコンパクトにしないということを意識しました。(荒井監督は)自分の中でも常に新しい課題が見つかっているんですけど、それに対していつも的確なアドバイスを下さいます。お忙しい方で毎日稽古にいらっしゃるのは難しいので、次にいらっしゃるまでに新しいアドバイスをいただけるように自分たちも取り組んでいます。(3年生になって)自分が1年生の時は、3年生の先輩は本当に立派で大きく見えました。自分たちも後輩たちに緊張感を持って接してもらえるように意識しています。稽古にも今まで以上に集中して、真剣に取り組むようになりました。(れいめい会の演武では)荒井先生の受けをさせていただきます。7段の先生の受けをする機会もないので、ありがたいです。学生同士の演武では見えない課題もあると思うので楽しみです。(今後の目標は)昨年は黒帯もとって、全国にも出させてもらって、まだまだ成長すべきもころはたくさんあると感じました。今年から新しい監督を迎えて、昨年会長賞をいただいて秋の全国では学生のトリも務めさせていただくので、しっかりと演武を披露して今年も日本一になりたいと思います」

田中
「なるべく早く立ち上がって、受けで元気の良さを出そうと思いました。大きい演武場で明治の学生として演武するのは初めてだったので、これでまた成長できるかと思います。(人が多い中で)大きく動かないといけないんですけど、受けのことも気を付けないといけなかったのでそこは難しかったです。(力を入れた技は)四方投げです。先輩の受けをする中で大きく見せるための見せ場だったので、できてよかったです。(行川と)元気の良い合気道を体現している先輩なので、すごく尊敬しています。そのパワーを受けで引き出せたらいいなと思いながらやっていました。(4年先輩方から吸収したいこと)まだまだ力の伝え方、元気の良さの引き出し方とかは先輩方から見習わないといけません。(明日から稽古)1、2年生と普段から稽古をしていますが、自分たちが早く立ち上がってできるだけ多くの技を丁寧にすることで後輩もそうするようになると思うので、まずは自分たちから示していけるようにしたいです。(合気道を始めたきっかけは)大学入ってから武道をやりたかったので、合気道は初心者から始める人も結構いるのでやろうかなと思って始めました。やる度に分からないことがたくさんあって、奥が深いと常に考えています。(武道館での演武は)出た時にすごい人がいるなと思いました(笑)。とても緊張しました。(次の大会に向けて)次は学生が中心の大会で明治も会長賞として出場するので、今よりももっと上手い演武ができるように精進していきます」

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