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団結力が生んだ快挙/全日本大学選手権
端艇昨年の成績を上回る3種目優勝3種目入賞という結果を残した本学。この勝利は、部員達が一丸となったからこそ成し得たものだった。 大会初日、男子舵手なしフォアや男子舵手付きクォドルプル等がまさかの予選敗退。その日の夜に、部員達はミーティングを開き、チームとして準決勝、決勝に挑むことを誓う。 迎えた決勝戦当日。「全員で勝つ」(佐藤俊主将・文4)と決めたようにマネジャーはもちろん、負けたクルーも勝ち残ったクルーのサポートに回る。それに応えるように、最初の女子舵手なしペアが優勝。「この勝ちで勢いがついた」(佐藤俊主将)。続く男子ダブルスカル、男子舵手つきペアも優勝し、明大端艇部は創部以来初の3冠を達成した。 まさに明冶の強さを強くアピールした今大会。しかし、その勝利は決して勝ったクルーだけのものではない。「サポートしてくれた人がいたから…」(西川・政経3)。土壇場で生まれた団結力。それは、明治のさらなる成長のカギとなるに違いない。READ MORE -
高すぎた世界の壁/世界ボート選手権
端艇高すぎた世界の壁/世界ボート選手権 岐阜県長良川で8月28日から9月4日にかけて世界ボート選手権大会が行われた。オリンピックと並ぶ大会規模を誇る今大会。本学から2名が出場し、両者とも決勝に残ることができずに終わった。外国人選手の壁はあまりにも高いものだったが、国内大会では体験することのできない貴重な大会となった。 「普段日本ではトップに出ようと思えばトップに出られる。でも今回は逆にそれをやられた。かなり焦ったし、悔しかった」(西川)。種目は違うとはいえ全日本選手権で日本一となった西川ですら、外国人選手の前では全く歯が立たなかった。「まだまだ足りないことがわかった。次やってやろうという気持ちになった」。 河崎もまた外国人選手を相手に苦戦を強いられる。それでもアジア勢に負けないことを目標としレース臨んだ。「思い切って挑戦した」。そして見事アジア勢で1位を獲得。「国内ではレース中ただ興奮するだけだったけど、(今大会で)精神的には冷静に、肉体的には積極的にできるようになった」と自身の成長を語った。 世界の舞台に立ち、海外の一流選手達と戦ったことで自分たちの力を確認することができた二人。この経験を生かしチームの原動力となって、10月のインカレ総合優勝を目指す。READ MORE -
まさかの無冠に終わる/全日本大学選手権
端艇7月に行われた全日本選手権大会で創部初の3冠を達成した本学。今大会もその活躍が期待されていた。しかし、結果はまさかの無冠に終わる。 大会初日からどのクルーも調子の悪さがうかがえた。本学は10種目エントリーしている中、予選を突破できたのは、女子ダブルスカルと男子舵手つきクォドルプルのわずか2種目だけだった。敗者復活戦出で挽回するも、決勝に進んだのは女子種目のみ。期待が寄せられた男子エイトも敗退を喫し、結局本学は1つも優勝することができなかった。READ MORE -
まだまだこれから/全日本新人選手権
端艇11月3日から5日にかけて行われた全日本新人選手権で、本学は男女共に優勝種目は無かった。 大会初日、男子は予選で3種目全てが予選敗退。敗者復活戦ではシングルスカル、 ダブルスカルが共に3位に終わるなか、インカレの雪辱を期待されたエイトだけが準決勝へとコマを進めた。その後準決勝で早大との激しいデッドヒートを繰り広げたが、一歩及ばず順位決定戦へまわり、結果2位に終わった。 また、女子は全種目が決勝へ進出。優勝した種目こそ無かったが、ダブルスカル2位、舵手付きクォドルプル3位とまずまずの成績を残した。 今大会は多くの1年生が出場しており、彼らにとって貴重な経験となった。残念な結果に終わった種目が多いが、この経験を生かしさらなる成長を遂げてくれるはずだ。READ MORE -
敗北をバネに/全日本選手権
端艇昨年、本学は3種目優勝しており、今年も大きな期待がかかっていた。4日間天候に恵まれず、雨の中行われたレース。そんな中でも、選手達は力強くボートを漕ぎ出していた。 しかし、期待とは裏腹に決勝に残ったのは男子ダブルスカル・女子ダブルスカル・女子エイトの3種目。その結果、惜しくも優勝はならなかった。レース終了後、男子ダブルスカルクルーの西川主将(政経4)と杉谷(法3)は銅メダルを手に悔しそうな表情を見せた。日本3位という大きなタイトルに満足しない彼ら。この敗北をバネに、8月のインカレでは最高の笑顔を見せてほしい。READ MORE -
女子4種目で表彰台に/全日本大学選手権
端艇「今シーズンの総括」(西川主将・政経4)であり、また4年生にとって学生生活最後のレースとなる今大会。明治は女子舵手なしペアの優勝をはじめ、4種目が表彰台に上った。一方、期待されていた男子エイトは準決勝で敗れ、決勝の舞台に立つことはできなかった。 今大会で特に目立ったのは女子種目の活躍だ。「練習量だけは負けていない」(川野・営2)という自信を糧に圧倒的な強さを見せた女子舵手なしペア。また女子ダブルスカルはスタートで出遅れ、1位と最大6秒離されるも、「とにかく勝ちたかった」(河崎(恵)・文4)と怒涛の追い込みで熱戦を演じる。結果は2位に終わったが、その差はわずか0.03秒、ほんの数センチの差だった。また、女子に負けずと男子も奮闘する。エイトを除く男子種目は下級生中心のクルー編成。それにもかかわらず、良い意味で周囲の予想を裏切り、男子舵手付きペアと男子ダブルスカルは見事入賞を果たした。1位とは大きく離されたものの、今後の活躍には十分期待が持てる内容だった。 そして主力を集めて挑んだ男子エイト。西川主将のケガや新しいオールが大会の1週間前に届くなど不安要素は多い中、なんとか準決勝まで駒を進める。しかし、本学の課題であったスタートで出遅れ、そのまま差をつめることができずに敗れた。 「女子はすごく頑張っていた。でも男子はまだまだもの足りない」(西川主将)。しかし、「これが現状。もう1度原点を踏まえて今日からまた新たに出発しなければいけない」(角監督)。READ MORE -
2008年端艇部スタート!/端艇部もちつき大会
端艇端艇部が、毎年恒例のもちつき大会で2008年の活動をスタートさせた。招待された射撃部、チアリーディング部の部員らとともに和やかにもちつきを楽しみ、体育会としての今年1年の部の発展を誓った。 厳しい寒さとなった冬空の下、戸田ボートコース前の本学端艇部合宿所は活気に溢れていた。普段は艇庫にしまってある臼ときねを持ち出し、本格的に準備。名物となっているもちつき大会が行われた。 ゆげの立ち上るもちをまずは部員がつき始めると、角監督が直々にきねを取って早速指導。周囲からも歓声が沸き、和気あいあいとした雰囲気の中、できたてのもちが次々と配られていった。よもぎもちやぜんざい、豚汁も振舞われ、暖を取りながら会話を楽しんだ。この日はOBを含めた端艇部員だけでなく、同じ体育会に所属する射撃部、チアリーディング部の部員も参加。交代でもちをつく場面もあり、大いに交流を深めた。 最後には学生同士で自己紹介をし合い、伊藤主将(琢・政経3)からの「同じ体育会会員として、部を発展させていきましょう」とのあいさつで締めくくられた。 シーズンオフの間は主に基礎体力づくりに励んできた端艇部。この行事を機に、また2008年の新たな活動が始まった。1番の目標であるインカレに向けて、今年も端艇部は走り続ける。READ MORE -
全日本選手権で2種目制覇/全日本選手権
端艇男女合わせて3種目以上の優勝を目標に掲げて挑んだ全日本選手権。目標達成はならなかったが、5種目で決勝に残った10日・最終日、男子舵手なしペアと男子舵手つきフォアの2種目が、見事な優勝を飾った。 男子舵手つきフォアの当初の理想のレース展開は、最初の500mで先行し、そのまま逃げ切る形。実際のレースでその思惑は狂い、スタートでトップに立ったのは京大だったが、選手たちは落ち着いていた。1000mから一気に勝負に出る。「抜きに掛かるタイミングは難しく、勇気が必要だった」(杉谷主将・法4)。しかし踏み切った勇気は見事に実を結び、1250m地点で京大とほぼ並走、1500m付近で1位に立ち、最後は2位に完全な差をつけ鮮やかなフィニッシュを迎えた。歓声の中、選手たちは艇の上で喜びを爆発させた。「中学校以来、久々に日本一になれてうれしい」(嶋田・文2)。 多くの期待が懸かりながらも思うような結果が残せず苦しんだ昨年。それだけに、男子舵手つきフォア、また22年ぶりの快挙となった男子舵手なしペア両種目の優勝は、今後に向けての大きな前進となった。「主に4年生の意識が高まって、いい雰囲気になっている。1年生も、出場したクルーを中心に後々の生活にいい刺激になればいいと思う。今大会を踏み台にして、この勢いのまま次につないでいきたい」(杉谷主将)。 男子のこれからの目標は、インカレでのエイトの優勝。また、今回優勝こそなかったものの、女子も舵手なしペアとエイトで3位と健闘。1年生で女子シングルスカルに出場し、総合7位という結果を残した山本(文1)には、角監督も期待を寄せる。「山本はすごい力を持った選手。今はまだ大学の大会に標準を合わせる時間が要るが、インカレには十分間に合う。チャンピオンになれる選手だよ」(角監督)。今回の快勝で、インカレに向けての十分なはずみがついた。目標は、男子はエイトの優勝と女子は全種目の優勝。今大会を踏み台にすれば、インカレでの目標達成はすぐ手が届く位置に見えている。レース後のインタビュー杉谷主将「2種目優勝という結果は、今大会で得られるものがあったという意味でも良かった。一人一人が頑張った結果だと思う。舵手つきフォアの優勝は、ただ、純粋にうれしい。クルーにありがとうと言いたい」。嶋田「いいレースができて、モチベーションが上がってきた。東日本選手権、インカレではさらに上を目指していきたい」。加藤マネジャー(商4)「マネジャーとして、選手たちがいい結果を残してくれたときが一番うれしいので、2種目での優勝は本当にうれしい。特に4年生の選手たちは、自分も4年間ずっと側で見てきた選手たちで、苦労したこともたくさん知っているので、余計に感動している。うれしすぎて言葉が見つからないが、みんなにありがとうと言いたい」。角監督「最終日に残った5種目のうち、2種目での優勝は大きかった。女子のクルーは難しいが、時間が解決してくれる。部全体がいい雰囲気でまとまっている。端艇部としては、2位以下は負け。結果を残すとしたら優勝しかない」。READ MORE -
惜敗するもインカレにつなぐ/日本軽量級選手権
端艇男子クルーは平均72kg以下、女子クルーは平均59kg以下の日本一を決める今大会で、本学はどのクルーも決勝に進めず惜敗した。 3日目の準決勝。伊藤(清・理工2)・嶋田(文2)のダブルスカルは、前半には自分たちの課題をクリアし、一時先頭に立ったが後半に生かせず、決勝に進むことができなかった。このことを修正し臨んだ順位決定戦。前半500mはフィリピンにリードを許すも、1000m地点では抜き返し後半へ突入。「ラスト1000mで課題を特に意識した」(伊藤・清)が、あと一歩及ばず2着でのゴールとなった。 また、女子シングルスカルAの山本(文1)は体調が万全でない中、力漕を見せたが、実力を発揮しきることができず8位という悔しい結果に終わった。「体力が落ちてるので、インカレに向けて、まず陸上トレーニングを重視したい」(山本)。 前回の大会から3週間後というハードスケジュールでの今大会。結果はふるわなかったものの、「次はやります!」(川野・営3)と言い切る選手たちのインカレでの活躍に期待したい。READ MORE -
連載 Rowing to InterCollege 第2回
端艇各務結揮(商3)男子舵手付きペアクルー 「高校と大学は全く違った」――。各務にはそんな勝てない今までをずっと支えてくれた存在がいた。そして結果が求められる最上級生となるためにも…またそれ以上に「支えてくれた人のために勝ちたい」からこそ、今大会へ懸ける思いは強い。やわらかい笑顔の下に隠れた闘志を暴き出す。支えてくれた人の思いを乗せて 「(各務は)3年で伸び悩んでいて、最上級生になるこれからは結果を残していないと下はついてこない」(角監督)。監督の厳しい言葉からは、インカレでの変ぼうを強く期待する愛情が感じられた。 各務は中学時代、弱小バレー部に所属していた。しかし「勝ちたい!」との気持ちが徐々に膨らんでいき、ついには「岐阜でも全国に通用するスポーツ」を求めて名門ボート部がある加茂高校へ進学を決める。高2の夏にインカレでダブルスカル準優勝を飾り、「努力が結果につながることを学んだ」と自信を胸にした。そして「明治で伸びてこい」と元顧問に背中を押され、日本一を目指し明治大学端艇部の門を叩く。 しかし1年次には勝てない試合が続き、高校と大学のレベルの差を痛感。部内でも「勝てないと自分の存在が認められない。もうつらくて辞めようと思った」と悔しさを味わった。そんな中でも続けようと思ったのは、「親の支えがあったから」。2年次の新人戦のエイト選考に落ち、泣きついた電話の向こう側から、「甘えるな!社会はそう甘くはないんだ」と父親に一喝された。その言葉が各務をどん底から奮い立たせる。どんな小さな大会でも応援に駆けつけ、支え続けてくれた両親のためにも「インカレでは勝つ姿を見せたい」。 この3年間、各務はただ明治の勝利を横目で眺めていたわけではない。これまで培ってきたものを次につなげていくことで積み上げてきた努力は、今やっと芽吹いている。「今回のクルーには今までにない手応えがある。難しいことは考えないで、思いっきり力を出していく。この試合は絶対落としません」。そう語る各務の目に迷いはなかった。 挫折を乗り越え一まわりも二まわりも成長した各務が、悲願のインカレ優勝の栄冠を手にすることはできるのか。支えてくれた人の思いを乗せ、こん身の力を込めてオールを漕ぎ出す。◆各務 結輝 かかみゆうき 商3 加茂高出 177㎝・79㎏◎各務’s スタイル◎・その1☆ 苦しいときいつも支えてくれたという、音楽の存在。「東京には音楽があふれている。音楽にはとても感謝している」。ジャンルはロック・ジャズ・クラシックなど幅広く、ギターで友人とセッションすることも。オンとオフを上手く切り替えて、ボートの練習にも臨んでいる。・その2☆ 試合前には、鼻で息を吸い込んで口で吐き出して、プラスを体内に取り込みマイナスを外に出すイメージをつくっている。そして「ジンクスだから(笑)」両親には絶対会わないそうだ。・その3☆ 自称「目立ちたがり屋」の各務は、「とても話しやすい」(越智・商1)と後輩からも慕われているようだ。その笑顔を表彰台の上でも輝かせてほしい。伊藤清剛(理工2)男子エイトクルー 「人数が多いこの競技で、優勝したい」。6月、全日本選手権で男子舵手付きフォア優勝を果たし、堂々のエイトクルー入り。練習を開始し、クルー数の多いエイトの楽しさを感じている。文武両道でまじめ、欠点がないところが欠点かもしれない男が今、部のため自分のため、静かな闘志を秘めて動き始めた――。パーフェクトGUY 「パーフェクトGUY」―先輩である各務(商3)に伊藤(清)について尋ねるとこんな言葉が返ってきた。また、越智(商1)に聞いても「女だったら彼氏にしたい」。これは「すごい練習熱心」(杉谷主将・法4)な姿や「生田校舎は遠いのに、勉強も頑張ってる」(越智)という姿ににじみ出る人間性からだろう。また「(一緒に組めなくて)残念だった。けど、新人戦とか、あとのことを考えると今はケガを治すのに専念してほしいです」とお互い漕ぎの相性がいいと認め合い、現在は肩を故障している嶋田(文2)についても話し、部員思いの一面も見せた。 そんな伊藤(清)がボートという競技を始めたのは中学生の時。小学校時代はカヌーをやっていたが、同じ場所で練習していたボートに憧れて始めたという。そして高校ではシングルスカルでインターハイ5位入賞という成績を残し、明治に入学。しかし、シングルスカルやダブルスカル中心に乗ってきたため、大学で大人数のクルーボートの難しさを知った。それでも「みんなが合ったときのスピード感とか、優勝したときの喜びが魅力です。それに人数が多い分、優勝したいという気持ちが強い」と逆にその良さも見つけた。 全日本選手権では男子舵手付きフォアで優勝を果たし、今回のインカレクルーではエイトに抜てきされた。インカレでの目標はもちろん「優勝すること」。「4年生も最後なので。優勝するためには並大抵の気持ちで練習に取り組んでもできないと思うし、勝ちにもつながらないと思うので、きついところでモチベーションを高めて、みんなのためにできるかだと思います」。インカレでは2年生ながらもそう意気込む伊藤(清)がクルーを支え、活躍を見せてくれるだろう。そして今後、主力の選手になっていくのは間違いない。その一生懸命な姿勢と仲間思いの人柄で、明大端艇部を技術の面でも気持ちの面でも引っ張っていく、そんな存在になるはずだ。◆伊藤清隆 いとうきよたか 理工2 佐沼高出 174cm・65kg◎こぼれ話◎ 車が好きな伊藤(清)は、日曜日の夜から月曜日のオフには、レンタカーを借りて部員と海や遊園地へドライブに出掛ける。「あと戸田で遊ぶとしたら、ボーリングとか駅前の飲み屋に行きます(笑)」。遊ぶときは思い切り遊び、火曜日からの練習に気持ちを切り替えている。越智達之(商1)男子舵手付きペアコックス 「自分が在籍する4年間が明治黄金時代と言われるよう、頑張ります!」。6月の全日本選手権では伊藤(清)と同じく男子舵手付きフォアで見事優勝し、元気いっぱいな今最も勢いに乗る1年生だ。「ボートセンスがある」(角監督)と周囲からの期待も高い越智の魅力に迫る。笑顔で強気な大物ルーキー 「高校に入ったとき、ボートをやっていたら、推薦で大学に行けると言われて。それでボート部に入ったんです」。つまらない理由ですみません、と前置きをして、明るい笑顔を見せながら、越智はボートを始めたきっかけについてそう話した。小学校では野球、中学校ではテニス、と今までにさまざまなスポーツを経験してきた。高校で出会ったボートだが、長続きしない性格ゆえ、大学でも続けることになるとは思わなかったと言う。しかし、高校3年生の夏の県総体で、越智は奇跡的な勝利を収めた。まさか勝てるとは思っていなかった試合。インターハイ出場を決めたそのレースで、気持ちが変わった。「ボートをしていて良かったと思ったし、またこんなレースがしたいと思うようになった」。結局、高校から引き続き大学でも付き合うことになったボート。現在はボートコースがすぐ目の前にある明大端艇部の合宿所で、「24時間ボート」の生活を送っている。完全にボートと密着した環境で過ごすうちに、必然的にボートに対する考えは深くなっていった。「大学の4年間をささげることになるのだから、もったいなく過ごしたくない」。今ではそう語り、意欲を見せる。 今年のインカレでは、男子舵手付きペアにコックスとして出場する越智。6月に行われた全日本選手権でも、舵手付きフォアでコックスを任され、優勝に貢献した。全国でもトップレベルのチームが集まった中での優勝によって、得たものは自信。練習中、上級生に厳しく指導されたこともあったが、大会を終えてみると、怒られることも大切だったと気付いたという。大きなレースを経験し、高まった意識は持続されている。「今までと違って、優勝した後にも燃え尽きなかった。意義のある優勝だったと思う」。そしてその意識は、今インカレに向いている。初めて挑む大舞台だが、越智に気後れはない。持っている力を十分に発揮してくれるだろう。 そんな越智は、上級生からの信頼も厚い。「はきはきとものを言うところがいい」(各務・商3)、「艇の上でクルーのテンションを上げてくれる」(伊藤清・理工2)など、同じ艇に乗った上級生は、「いいコックスになると思う」と絶賛。また越智本人も、先輩クルーを尊敬してやまない。インカレで同じ艇に乗る高須(営4)について聞くと、「一言で言い表せないですね。人とは違う何かを持った先輩です。熱血ではないですが、秘めたものがあります。面白くて、すごい人です」と熱く語ってくれた。同じく各務についても、「考え方などがすごくかっこいい。人生の先輩です」ときっぱり。二人とも共通して、「大好き」だという。良好な関係を築いている様子の男子舵手付きペア。気合十分、互いへの愛情も十分で、インカレでは最高のレースに期待が懸かる。 インカレでの目標は、優勝。しかし、越智の野望はそれで終わりではない。「全日本選手権で勝って、インカレでも勝って、10月の全日本新人選手権でも勝って。出る試合全部勝ちたいですね」。笑いながら語るのは、強気な目標。明るく上を目指し続ける越智の活躍に、大注目だ。◆越智達之 おちたつゆき 商1 今治西高出 172cm・55kg◎こぼれ話◎ 「もっとプライベートに突っ込んだ質問もしてください」と、取材にも積極的な姿勢を示してくれた越智。出身は愛媛県だが、なんと地元の友達と最近も頻繁に遊んでいるという。「高校の時の友達で、東京に進学している人も多いんです。オフの日は一緒に東京めぐりをしてはしゃいでいます。渋谷来たー!とか(笑)」。持ち前の明るさは、高校でも大学でも変わらない。その前向きな姿勢も、選手としての評価につながっている。※ボートのポジション・コックスについては端艇豆知識で特集しています。ぜひ合わせてご覧下さい。☆端艇豆知識☆ 舵手付きペア、舵手なしクォドルプル、舵手付きフォア…「舵手とは一体何なんだ?」と思う人も多いことだろう。そこで今回はこの舵手(=COX、コックス)を大紹介!~艇の要・コックス~ コックスは艇の最前か最後に乗っている、オールを持っていないクルーのこと。役目は舵手という和名の通り艇の舵を取り、また漕手の漕ぎ始めやその強弱など動き全てに指示を出す司令塔だ。自らのクルーを見ながら相手クルーも見て、臨機応変に作戦を立てていかなければならない。「コックスは集中力を切らさずに、少ない勝負所を見極めて指示を出さなくてはならないところが難しい。クルーのモチベーションを上げていくことにも気を配っている」(越智)。今大会には男子エイトの渡辺(文4)、男子舵手付きペアの越智、女子舵手付きクォドルプルの阿部(文3)がコックスとしてエントリー。阿部はマネジャーだが全日本選手権にもコックスとして出場している。 漕がないコックスが乗る分艇が重くなるので、コックスには体の小さい人が向いている。しかし艇によってコックスの重さにバラつきがあると不公平なため、男子55kg以上、女子50kg以上と決まっている。もちろん重さは少ない方が良いのでコックスは自分の体重を男子55kg、50kgに合わせていく。自らの体重管理も大切なコックスの役目だ。★次回予告★ 次回は部を支えるマネジャーを特します。選手たちが口をそろえて「この環境はマネジャーのおかげ」と感謝する、その裏にある彼女たちの努力とは?8月中旬掲載予定。READ MORE
部の紹介 INTRODUCTION
ボート競技は全部で9種目ありその中でも花形とされるのは指示を出すコックスと8人のクルーで編成されるエイトだ。9人が完全に息を合わせた時のスピードは圧巻。どのチームも花形種目でのエイトで優勝を目指す。端艇部は明治38年に創部された明治大学で最も長い歴史を持つ部活である。歴史だけでなくその実力も大学トップレベルで全日本の大会でも常に上位に進出する強豪。歴史、実力の二つの意味で明治大学の体育会をけん引する存在である。日本ボート界のトップを目指し、日々努力を重ねる。