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男子舵手付きフォアが日本一 4艇で表彰台達成/全日本選手権
端艇 2023.05.22高校生から社会人のオリンピアンまでトップクルーが一同に会し、行われた全日本選手権。最終日には明大からは決勝Aに5艇が進出し、見事男子舵手付きフォアが日本一に輝いた。また、女子舵手付きフォア、男子クォドルプルともに2位と表彰台を達成。日本一を懸け、熾烈(しれつ)な争いが繰り広げられた最終日を鮮やかに締めくくった。 ◆5・18~21 全日本選手権(海の森水上競技場)▼軽量級男子ダブルスカル(S市川B川竹)――A決勝4位▼男子ペア(S山本B平野)――A決勝5位▼男子フォア(S和田3佐々木丈2平田B大久保)――B決勝2位▼女子舵手付きフォア(S山吹3磴2青山B小野寺C岡部)――A決勝2位▼男子クォドルプル(S中山3岸本2小笠原B近藤)――A決勝2位▼女子クォドルプル(S八塚3鴇田2三中B平松)――B決勝1位▼男子舵手付きフォア(S金澤3上戸2中條B松川C鹿川)――A決勝1位 クルーがガッツポーズをした瞬間、会場は歓喜の声に包まれた。男子舵手付きフォアは予選1位通過と優勝が期待される中でA決勝に挑んだ。同じ組には経験豊富な社会人クルーも出艇したが、明大の前に立ちはだかったのは、やはり宿敵・日大だった。いきなり日大がスタートから飛び出し、半艇抜け出す展開も「仕掛けすぎて後半に落ちるよりは、自分たちが戦える場所を意識した」(松川颯佑・法3=今治北)。明大は焦ることなく、自分たちのペースで艇速を上げ、徐々にその差を詰めていく。1000メートルまで両者一歩も譲らない一進一退の攻防が続く中「周りを見ながら状況を判断し、ここだという時に攻めた」(鹿川豪太・農2=吉田)。ここで明大が鹿川の指示でスピードを上げ、決死の勝負を仕掛ける。この策で一時先頭に立った明大だが、日大も決して手を緩めず。意地の粘りで食らいつき、決着は最後のスパート勝負に。どちらがこの戦いを制するのか。手に汗握る名勝負に各校の応援はさらに熱気を帯びた。そして「実力はどこも拮抗(きっこう)していて、気持ちの部分で勝てた」(中條扇乃介・商3=成立学園)。クルーの熱い思いが実を結び、わずかに前に出ると、その差を維持したままフィニッシュ。見事日本一に輝き、クルー全員が拳を高らかに突き上げた。 女子舵手付きフォアではクルーの多くが、先月の日立明三大学レガッタでエイト種目優勝を経験。今大会でさらなる活躍が期待されていたが「自分たちが今できる最高のパフォーマンスを決勝の場で発揮できた」(磴梨菜・営4=美方)。結果は連覇を達成した立命館大の背中を最後まで捉え続け、2位で表彰台入りを達成。全日本大学選手権(以下、インカレ)に向けて大きく弾みを付けた。また、フレッシュな1年生と経験豊富な上級生で出場した男子クォドルプル。結果は2位と準優勝を果たしたものの「健闘したと思うが、優勝と準優勝は大きく違って、優勝したクルーしか歴史に残らない」(中山祐貴・農4=熊本学園大付)。序盤に付けられた差を縮められず。悔しい表情を浮かべ、今後さらなる成長を誓った。 3日目の女子ダブルスカルを含め、4艇が表彰台に乗った今大会。今年度は個々のレベルアップという目的で花形であるエイトを男女ともに崩して出場した。「(崩したことで)見えなかった技術やそれぞれの課題が浮き彫りになった」(星遼監督)。インカレはチーム力が試される団体戦となる。悲願のインカレ男女総合優勝に向け、今回の結果は大きな追い風となる。この勢いそのままに大学日本一まで駆け上がれるか。これからの明大の飛躍から1秒たりとも目が離せない。 [原田青空] 試合後のコメント星監督――今日の試合に点数を付けるとしたら、何点でしたか。 「個々のクルーが違うので全体で見れば80点くらいだと思います。勝ってほしいクルーが勝った一方、負けたクルーもあります。結果としては優勝艇もあったので、チームとしては良かったです」 山吹真里亜(商4=今治北)――日立明三大学レガッタでは女子エイトだったと思いますが、今大会に向けて調整されたことはありますか。 「私たちのクルーは他よりも遅めに練習を開始したので、そこは焦る部分が多かったです。それでも一回一回の練習を大切にして、皆よりちょっとハードな練習に取り組んだので、そこがしっかり力になったと思います」 磴――クルーの雰囲気を教えてください。 「やはり、学年が違ったら話しにくいことなどあると思いますが、本当にそれがなく言いたいことを言い合ってまとめてくれるのですごくいいチームだと思います」 中山――今日の結果に関してはいかがですか。 「優勝以外は全部ほぼ一緒だと思いますし、負けたチームも社会人ではなく同じ大学生だったのでそこはインカレでリベンジを果たしたいと思います」 金澤――日大がスタートでリードしましたが、その時の心情はいかがでしたか。 「自分たちのすべきレースを自分たちでやるということが目標だったので、しっかり焦らず仕掛けるところを仕掛けて前に出られたなと思います。全然そこは焦っていなかったので良かったと思います」 上戸慧太(法3=坂出商)――400メートルと1000メートルで仕掛けていたと思いますが、その時の感覚はいかがでしたか。 「横に敵がいる感覚はあったのですが、勝てる自信はありました」 中篠――レースを振り返っていかがでしたか。「予選と準決勝は結構スタートで出れたと思っていたのですが、やはり決勝となるとどこもスタートから飛び出してきます。きつい展開でも逃げ切れて良かったです」 松川――レースはプラン通りでしたか。 「正直プラン通りではなかったです。スタート500メートルで少し出たかったのですが、ラストスパートで上がる自信はあったので、そこでしっかり仕掛けられて良かったです」 鹿川――意気込みをお願いします。 「日本一を取って2連覇します」 READ MORE -
仕上がり良好 軽量級女子ダブルスカルが3位/全日本選手権
端艇 2023.05.21日本最高峰のレベルを誇る全日本選手権。NHK放送車も中継に入る今大会の3日目は6つのクルーが登場した。軽量級女子ダブルスカル決勝Aは逆風の中、3位に滑り込み表彰台を確保。男子フォアや男子クォドルプルも難なく翌日の決勝Aへの進出を決めるなど健闘した。 ◆5・18~21 全日本選手権(海の森水上競技場)▼軽量級女子ダブルスカル(S荒川B樋口)――A決勝3位▼女子ペア(S田草川B山田)――A決勝5位▼女子シングルスカル(清野)――C決勝1位▼男子フォア(S和田3佐々木2平田B大久保)――準決勝5位▼男子舵手付きフォア(S金澤3上戸2中條B樋口C鹿川)――準決勝1位▼男子クォドルプル(S中山3岸本2小笠原B近藤)――準決勝2位 社会人クルーも参加し、秋の全日本大学選手権(以下、インカレ)の前哨戦の意味合いもある全日本選手権。この日の収穫は軽量級女子ダブルスカルだ。昨年度はA決勝4位とコンマ差で表彰台を逃したこの種目だが、「波が高いのでとにかくミスオールのないよう意識した。プラン通りに終盤ペースを上げることができた」(樋口莉胡・文4=大村)と会心のレースで3位入賞。「(インカレでは)メダルに磨きをかけたい」(荒川空美・政経2=岡山東商)と今回の結果を糧に秋での躍進にも期待がかかる。 男子舵手付きフォアは序盤から先行し、2位と2艇身差をつけ準決勝ながら他艇を圧倒した。無冠に終わった前回大会と比較すると各選手での仕上がりが良いことは明らかで、「4日目のクルーは優勝を狙える力がある」と語った星遼監督の表情は、今のチームを充実ぶり物語っていた。 [上瀬拓海] 試合後のコメント星監督――社会人クルーも参加する今大会の位置付け、意義を教えてください。 「中にはレース前から社会人クルーとの差を感じてしまう選手もいるのですが、実際レースをしてみると案外通用することも往々にしてあります。例えば4日目のA決勝に出場するクルーは優勝を狙える力があるので、そこで自信をつけて欲しいと考えています」 ――今回男女ともにエイトのクルーを結成しなかったのはなぜでしょうか。 「選手の意見や我々指導陣の意見を総合して決めました。今大会では個々のレベルアップを主眼に置いて、2人なら2人、4人なら4人で合わせていくことに注力するというのが狙いです」 樋口――軽量級女子ダブルスカルでは見事3位に輝きました。 「昨年度から同じメンバーで臨むことができ、息が合っていたのは強みでした。予選と敗者復活戦ではいいレースができず不安があったのですが、表彰台に登ることができてよかったです。次戦ではもっといい色のメダルを取れるよう頑張っていきます」READ MORE -
女子エイト優勝 新シーズンに向け好発進/日立明三大学レガッタ
端艇 2023.04.17今回で67回目を迎えた伝統の一戦・日立明三大学レガッタが開催された。明大からは6艇が出場し、女子エイトが見事優勝を果たすなど、新シーズンに向けて勢いをもたらす結果となった。 ◆4・16 日立明三大学レガッタ(戸田ボートコース)▼女子シングルスカル(S三中)――2位▼男子シングルスカル(S上戸)――2位▼男子ダブルスカル(S中山B近藤)――2位▼男子舵手付きフォア(C村上S和田3佐々木丈2佐々木剣B杉本)――2位▼女子エイト(C岡部S磴7山吹6八塚5平松4小野寺3田草川2荒川B樋口)――1位▼男子エイト(C鹿川S金澤7平野6山本5大久保4平田3市川2中條B松川)――2位 熱気を帯びた応援が初夏らしい気温をさらに押し上げた。立大から7年振りの勝利を目指し、リベンジに燃える女子エイトは4年生全員を含めたクルーでレースに臨む。スタート直後から両者一歩も譲らず、1000メートル地点では明大がわずか1秒先行する白熱した展開に。一進一退のままレースは進み、決着は最後のスパート勝負。「最初を飛ばしすぎないよう冷静に入り、その貯めてきた分を最後爆発させることを意識した」(田草川向日葵副将・法4=小松川)。今年度、女子エイトの強みである〝鬼のラスト〟を遺憾なく発揮し、わずかな差を維持したまま1位でフィニッシュ。クルー全員が大きく拳を突き上げたと同時に歓喜の声が会場に響いた。 先月行われたお花見レガッタで優勝し、46年ぶりの2連覇が期待された男子エイト。「ほぼベストのパフォーマンスをしたが、スタートから力の差を感じた」(平野公稀主将・政経4=熊本学園大付)。序盤からレースの主導権を握ろうと積極的に勝負を仕掛けるも宿敵・日大に力及ばず。「短いスプリント能力は確認できたが、それが長い距離続かなかった」(星遼監督)。それでも、この時期に日大との壁を感じたことは今後への大きな収穫となった。 来月に控える全日本選手権は男子エイト、女子エイトともに出場を見送る予定だが「一人一人で個を磨いていって、チーム力を上げていきたい」(田草川)。積年の目標である全日本大学選手権(以下、インカレ)男女総合優勝には個々のさらなるレベルアップが求められる。悲願達成に向け、加速し続けるチームから1秒たりとも目が離せない。 [原田青空] 試合後のコメント星監督――女子エイトが優勝しました。 「最初少し出たところからその差を維持していけたので中盤からすごくいい戦いができたと思います」 ――来月の全日本選手権の意気込みをお願いします。 「エイトをばらして臨むため、より個々の能力が試されると思います。人数が少ない艇だともっといろんな課題が浮き彫りになると思うのでインカレに向けて実りある大会にしていきたいです」 平野――今年度のエイトの強みは何でしょうか。 「まとまる力が強いことです。9人でしっかりまとまって試合や練習に臨んでいて一人一人の能力を足し算で足したら勝てないと思うのですが、掛け算できるところが強みだと思います」 ――新体制の雰囲気はいかがですか。 「昨年度と比べるとまだ個人の能力は劣ると思うのですが、それを雰囲気やチーム力でカバーできていると思うので個人の能力をさらに上げてインカレで日本一を取りたいと思います」 田草川――今日の意気込みを教えてください。 「私たちが2年生のころから立大に負け続けていたので、今年度も連覇を阻止するという目標を掲げていました。個人的には高校次の同期である長芝木香(立大)がいて、ずっと負けていたので、勝ちたいという思いがありました」 ――優勝できた理由は何でしょうか。 「9人全員の存在だと思います。エイトに乗る同級生であったり、後輩たちもすごく頼りになるので力も借りながら全員で高められたと思います」 READ MORE -
新チーム初陣 対抗種目に課題残す/全日本新人選手権
端艇 2022.10.24全日本大学選手権(以下、インカレ)から1カ月余り。明大は来期に向けての重要な試金石となる、全日本新人選手権に出場した。対抗種目の男子エイトでは、準決勝でインカレ優勝の日大に勝利する会心のレースを繰り広げたものの、決勝ではスタートから出遅れA決勝4位でフィニッシュ。覇権奪回を目指す女子舵手つきクォドルプルもA決勝の進出がかなわず。下級生のみの出場だったが、新生明大端艇部の船出は簡単にはいかなかった。 ◆10・21~23 第63回全日本新人選手権(戸田ボートコース)▼男子シングルスカルA(S近藤)――敗者復活戦A組4位▼男子シングルスカルB(S鷺池)――敗者復活戦A組2位▼男子シングルスカルC(S青木)――敗者復活戦H組3位▼女子ダブルスカル(S荒川B山田)――準決勝D組4位▼男子ダブルスカル明大A(S吉田B平田)――準決勝D組3位▼男子ダブルスカル明大B(S市川B杉本)――準決勝A組5位▼女子舵手つきクォドルプル(S小野寺3青山2平松B清野C岡部)――B決勝1位▼男子エイト(S金澤7上戸6中條5大久保4佐々木剣3松川2阿部B佐々木丈C鹿川)――A決勝4位 「全体的に思うようにならなかった」(星遼監督)と苦杯をなめた今大会だが、収穫を挙げるならば対抗種目の男子エイトだろう。今大会の明大は、前チームから男子エイトクルーを務める金澤遥叶(商2=米子工)や、先月のインカレで男子ペアA決勝2位の好成績を残した中條扇之介(商2=成立学園)ら、下級生ながら経験十分のクルーで男子エイトにエントリー。準決勝では2秒差をつけインカレ優勝の日大に快勝し、インカレの借りを返す格好となった。明大男子エイトが準決勝でたたき出した5分58秒90はこの種目全体トップの好記録。「スタートがうまくハマった。ストロークの金澤がうまくリズムをつくってくれた」(星監督)。新チームが持つポテンシャルを確実に示した。しかし臨んだ決勝ではスタート直後から先頭の中大に一艇身以上先行される苦しい展開に。「最初の500mで他のクルーより前に出たかった。それができなかったのは単に実力不足」(金澤)。中盤以降も大きくリードを許した明大に、前方3艇を追い抜かす力は残っておらず、最終順位は4位。「中盤勝負ができるクルー」(岡本康聖前主将・商4=宇和島東)に変貌する来期の明大に期待したい。 今大会終了と同時にオフシーズンが幕を開ける。「冬はフィジカルの強化に焦点を当てていく」(星監督)。今大会で新チームの現在地を確かめることができたのは来期に向けての好材料。全日本選手権、さらには50回目を数えるインカレ記念大会に向け、次こそは時代の夢を破りたい。 [上瀬拓海] 試合後のコメント星監督――今大会は1、2年生のみのクルーで出場しました。 「インカレから大きくメンバーが変わって、大会前は不安を感じていました。ですが選手たちは対抗クルーに誇りを持って臨んでくれていると感じ、頼もしい限りです」 ――来シーズンに向けて一言お願いします。 「引き続き対抗種目である女子舵手付きクォドルプル、男子エイトでのインカレ優勝を目指していきたいと考えています。これからそれぞれの目標に向かってどれだけ高い意識をもってやっていけるかが大事になってくるので、それをサポートしていきたいです」 金澤――今大会が新チームにとっての初戦となりました。 「自分は今年度男子エイトのクルーとして出場させてもらっています。近年の男子エイト決勝に進出した後良い結果が残せていない部分があるので、その意味で悔しさを持ちながら試合に臨みました。これから全員でレベルアップをしていきたいです」 ――男子エイト準決勝ではライバル・日大に勝利しました。 「初日の予選は良いタイムが出なかったのですが、今日のレースは気持ちを切り替えて試合に入ることができました。準決勝では6分以内でのゴールを達成することができましたが、決勝で継続することができなかったのが今後の課題です」READ MORE -
総合優勝逃すも対抗種目で上位進出/全日本大学選手権
端艇 2022.09.129月7日から5日間に渡って開催された全日本大学選手権(以下、インカレ)。最終日の11日は決勝が行われ、明大は優勝艇を出すことができず、悲願の総合優勝を逃す結果となったものの、対抗種目で上位入賞を果たすなど好成績を残した。 ◆9・7~11 第49回全日本大学選手権(戸田ボートコース) ▼男子総合――3位▼女子総合――6位▼女子ダブルスカル(S磴B林原)――A決勝3位▼男子ペア(S中条B佐々木丈)――A決勝2位▼女子クォドルプル(S山吹3田口2青山B中山)――A決勝3位▼女子舵手付きフォア(S小野寺3平松2荒川B樋口C岡部)――A決勝6位▼男子エイト(S山本7武藤6岡本5藤井4金澤3上戸2門馬B平野C岡部)――A決勝3位▼男子クォドルプル(S東坂3大竹2中山B寺井)――A決勝2位▼女子シングルスカル(S清野)――B決勝2位▼男子ダブルスカル(S辻B吉田)――B決勝3位▼女子ペア(S田草川B山田)――B決勝3位▼男子舵手なしフォア(S和田3松川2大久保B佐々木剣)――B決勝1位▼男子舵手付きフォア(S杉本3阿部2市川B平田C鹿川)――B決勝3位 今大会の注目は連覇を目指す女子クォドルプル、さらには4月に行われた日立明三大学レガッタで宿敵・日大に勝利した男子エイトであった。大会前には新型コロナウイルス集団感染というアクシデントがあったものの、チーム全体としての出場を実現できた今大会。強豪復活の機運は高まっていた。 予選を1位で通過した女子クォドルプルは、序盤先行するも逆転を許し3位。「課題としていたところが出た」(星遼監督)。確かな実力を発揮し上位進出を果たしたものの、目標とする連覇には届かなかった。総合優勝に向け、是が非でも優勝をつかみたい男子エイトでは、先行しレースの主導権を握りたかった明大だが、中盤以降宿敵・日大に差を離され最終的に3位。「半艇身リードして最後の500メートルに入りたかった。日本一から呼ばれるには程遠かった」(岡本康誠主将・商4=宇和島東)。A決勝で入賞を果たす好成績を残したものの、レース後悔しさをあらわに。彼らが見据える先はあくまでも頂点であった。 他の種目に目を向けると、大会直前に結成したクルーで臨んだ男子ペアはA決勝2位の好成績。「自分的には100点のレース」と振り返るのは中條扇之介(商2=成立学園)。また女子ダブルスカルではA決勝3位で見事入賞。「大会前半は1000メートルで力尽きることが多かったが、今日は後半もリラックスしてリズムよく漕げた。5日間で1番のレース」(林原萌香女子主将・法4=米子西)。さらに男子クォドルプルは後半にスパートをかける、狙い通りのレース展開でA決勝2位に輝き、1年生主体の若いクルーで挑んだ女子舵手付きフォアでもA決勝進出を果たすなど健闘した。男子クォドルプルのクルーの一人の寺井昇平(政経4=米子東)が「最後の500メートルまで体力を温存できた」と語るように、鍛錬の成果を存分に発揮する好レースだった。 このインカレを最後に「真面目に練習に取り組んでいた4年生」(星監督)は明大端艇部を引退する。「次につながる『基礎』ができた大会」(岡本)の言葉通り、今季の集大成となるインカレは来期以降に期待が持てる、収穫の多い大会となった。今大会はコロナ禍ではありながらも有観客で開催されたことも忘れてはならない。「ここ数年は歓声もなく、淡泊なレースが続いた」(岡本)。最終日には立ち見が出るほどの大入りで、今大会を彩った。 目標とする総合優勝には及ばなかったものの、今大会では多くの種目で上位進出を果たし、確かな手応えと充実感を得ることができたであろう。しかし監督、選手が真っ先に口にしたのは「悔しい」の3文字。この1年間の努力、本気度を物語る、何よりの証拠だった。 [上瀬拓海] 試合後のコメント星監督――全体の結果を振り返っていかがですか。 「全体の結果は思い描いたものとは異なりましたが、選手全員よく頑張ってくれたと感じています」 ――4年生は今日がラストレースとなります。 「4年生は物静かなところがあるのですが、真面目に練習に取り組んでくれたと思います。4年生は本当に淡々と練習に取り組んでいたし、男子エイトも半分は4年生で、実力的にもチームを引っ張ってくれたと思います」 岡本――5月の全日本選手権から比べて、今大会はいかがでしたか。 「学生の中では勝負できるという感覚は持っていましたが、2位や3位ではなく、1位を取り切る力というのは練習量などを含め足りなかったかなと思います。日本一から呼ばれるには程遠かったのだと考えています。これが明治の現状だと思います」 ――1年間主将を務められましたが、感想をお願いします。 「今季は〝時代の夢を破る〟というスローガンを掲げていました。日立明三大学対抗レガッタでは男子エイトで日大に勝利したことや、全日本選手権でも多くのクルーが決勝に進んだことなど、女子部も含めて良いスタートを切ることができた中で、インカレはこういう結果になり悔しい思いが強いです。しかし全員欠けることなく大会に出場できたというのは意義があったと思います」 林原――女子主将として全体の結果についていかがですか。 「全艇が決勝に進出するというのが当初の目標でしたが、それが叶わず残念です。女子クォドルプルは昨年に続く優勝が見える位置まで来ていて、予選も1位通過することができただけに部全体として悔しいと感じています」 ――後輩の選手たちに向けて、一言お願いします。 「力を全員が持っているチームだと思うので、がむしゃらに取り組みながらも部内で連絡を取り合うことなどはまだ足りていないと思うので、監督やコーチと密に連絡を取りながら、その力を艇速に変えていけるようにしてほしいと思います」 READ MORE -
初の男女総合優勝に向けて大きく弾みをつける/全日本大学選手権
端艇 2022.09.11大学日本一を懸け、開催されている全日本大学選手権(以下、インカレ)。大会4日目は準決勝に7艇が出場し、その中で3艇がA決勝に駒を進めた。明大初の男女総合優勝に向け、大きく前進するレースとなった一方で悔しさが残る艇もあった。 ◆9・10 第49回全日本大学選手権(戸田ボートコース)▼女子シングルスカル(S清野)――準決勝5位▼女子ダブルスカル(S磴B林原)――準決勝3位▼男子ダブルスカル(S辻B吉田)――準決勝4位▼男子ペア(S中條B佐々木丈)――準決勝2位▼男子舵手付きフォア(C鹿川S杉本3阿部2市川B平田)――準決勝4位▼男子クォドルプル(S東坂3大竹2中山B寺井)――準決勝2位▼男子フォア(S和田3松川2大久保B佐々木剣)――準決勝 4位 「惜しいレースが多かった」(星遼監督)。出場した3艇が4位とA決勝にあと一歩届かず悔いの残る結果に。他艇と競り合う展開を見せたがレース終盤で攻め切ることができなかった。それでも「どのクルーもガッツを見せてやってくれた」(岡本康聖主将・商4=宇和島東)と最後まで諦めない姿勢を見せる。A決勝への出場を決めた3艇も含め「最終日に1点でも多く稼ぐために順位を高くしてもらいたい」(岡本)。悲願の男女総合優勝にはクルー一つ一つの結果が大きく左右する。だからこそすべてのクルーがより高みを目指していかなければならない。 男子エイト優勝の最大の壁となる日大はインカレ総合優勝27回を誇る強豪校。今大会も明大にとっては高く険しい壁だ。初優勝を狙う明大とは対照的な相手に「チャレンジャーらしく気楽にレースを楽しみたい」(岡本)と意気込む。予選で得た課題はスタート。「日大とのスタートの差がそのまま決勝の差になる」(岡本)。この2日間、徹底的にスタート練習を行ってきた。「あとは運がどっちに転ぶかくらいの勝負」(岡本)と万全の状態で挑む最終日。男子エイト初優勝に大きな期待が高まる。 4日間に渡って行われたインカレも残すはあと1日。4年生にとっては、明日・最終日は競技人生最後の大会。女子クォドルプルの連覇、男子エイト優勝だけでなく男女総合優勝に向けて一丸となって突き進む。 [原田青空] 試合後のコメント岡本――3日間を振り返って簡単な総括をお願いいたします。 「全艇A決勝に残れなかったので今日は惜しいレースでした。全体として完璧にはいかなかったのですが、ファイナルに残ったグループはあるので、とにかく最終日1点でも多く稼ぐために全員に頑張ってほしいです。どのクルーも最後まで諦めずにガッツ見せてやってくれたのでそれを最終日にまたやるだけだと思うので、最終日頑張ります」 ――予選からエイトで改善されたことはありますか。 「スタートのタイムがちょっと遅かったのでそこはもうちょっとつっこもうかなと。日大とのスタートの差がそのまま決勝の差になるような気がしているのでスタートから前に出ることができなくても並ぶまですれば、自信を持ってこいでも変わらないスピードになると思います。スタートを飛び出せる様になることをこの2日間練習してやってきました」 ――明日の決勝に向けて意気込みをお願いいたします。 「エイトで勝ったことないクルーに対して、日大が相手になると思うのですが日大はずっと勝ってきているし連覇が懸かっています。気持ちの持ちようというかチャレンジャーらしく気楽に楽しみながら運がどっちに転ぶかなどでので勝負になるのではないかと考えています。できることをしっかりやって万全な状態で臨める様にさせてやりたいと思います」READ MORE -
インカレ開幕直前 林原女子主将インタビュー
端艇 2022.09.07大学日本一を決める全日本大学選手権(以下、インカレ)が9月8日から11日にかけて開催される。昨年度は男子総合6位、女子総合3位と目標である男女総合優勝に及ばなかった。女子部全員で総合優勝に向け突き進む。 今回は林原萌香女子主将(法4=米子西)のインタビューをお送りします。(この取材は9月2日に行われたものです) ――最後のインカレに向けて意気込みをお願いします。 「私は女子主将でありながら対抗種目・花形種目の舵手なしクォドルブルのメンバーに入れず、女子ダブルスカルで出場します。ですがボート競技は良くも悪くも全種目1位が5点獲得できるという規則は変わらないので、その規則をうまく使って女子ダブルスカルで5点を取ってきたいと考えています」 ――1年間女子主将を務められましたが、苦労されたことはございますか。 「昨年度のインカレ期間は怪我などがあり、競技から離れていました。ですから競技面においてみんなを引っ張るということができなかったという思いがあります。しかし私が主将になったのは競技面だけでなく、仲間に寄り添いたいという思いがあったからです。そういう意味では1年間役割を全うできたかなと思うので、最後の大会はまだ終わっていませんが、達成感を感じています」 ――1年間チーム作りで心掛けてきたことについて教えてください。 「チーム作りでは、一人一人に強みがあるということを全員に伝えるためにミーティングをしたり、掲示物をつくるなどのことをしたりしています。今のチームを客観的に見たときに、他の大学に比べ圧倒的に自信を持っていないと感じたので、チーム全員が必要不可欠な存在であるという自覚を持てるような1年にしようと考えていました」 ――インカレを直前に控えたチームの雰囲気などはいかがですか。 「全日本選手権の時と比べて、一人一人が自分の体やクルーと向き合う時間は増えてきているなと感じていて、4年生が1年生に助言したりする場面も多いです。チーム全員が努力しているなと思います」 ――4年間で印象に残っていることはございますか。 「2年次のインカレでは舵手なしクォドルブルで出場したのですが、そこで早大に0.15秒差で敗れてしまったことを強く覚えています。わずかな差で敗れてしまい、悔しい思いをしましたが、その後の原動力となっている試合でもあります。昨年度のインカレは自分自身出場がかなわなかったのですが、明大の女子クォドルブルも印象に残っています。本来であれば自分が出場してリベンジを果たすはずだったのですが、2年次にペアを組んだ先輩の選手が活躍する姿を見て感動を覚えた半面、悔しさがこみ上げてきて涙を流してしまいました」 ――インカレを前にして、重圧を感じることはございますか。 「自分自身の結果というよりも、他のクルーの結果が気になります。他のクルーの結果というのは主将である自分の取り組みと直結するものだと考えているので、自分のせいで後輩が悔しい思いをするところは見たくないという思いがあります。自分だけでなく4年生全体でやってきたことが正解だったのかどうかはこのインカレの結果で決まるので、楽しみでもありますが、心配なところでもあります」 ――総合優勝とはどのようなものでしょうか。 「代々総合優勝という目標を掲げてやってきた中で、単なる夢で終わっていた部分があるので、今年度は『時代の夢を破る』というスローガンを設定して取り組んでいます。もちろん高い目標ではあるのですが、今年は総合優勝という目標を夢で終わらせることなく、現実にしたいと考えています」 ――チームとして、個人としての目標を教えてください。 「男女総合優勝というのは変わらず、女子部としては昨年に引き続きクォドルブル連覇、さらに他のクルーで必ずつ一つは絶対に優勝をしたいと考えています。クォドルブルを含めて2艇は優勝を果たし、必ず10点を獲得したいです。他のクルーも決勝に進み1点でも多く取って、男女総合優勝に向けて女子部として貢献できるように頑張りたいと思います」 ――ありがとうございました! [上瀬拓海] ◆林原 萌香(はやしばら もえか)法4、米子西、157センチ ※写真は明大端艇部提供 林原は最前列中央READ MORE -
インカレ開幕直前 岡本主将インタビュー
端艇 2022.09.06大学日本一を決める全日本大学選手権(以下、インカレ)が9月8日から11日にかけて開催される。昨年度は男子総合6位、女子総合3位と目標である男女総合優勝に及ばなかった。今年度、最終学年である男子クルーは全員、本大会でボート競技に区切りをつける。これまで積み重ねてきた努力を糧に競技人生を懸けた最後の戦いが幕を開ける。 今回は岡本康聖主将(商4=宇和島東)のインタビューをお送りします。(この取材は9月4日に行われたものです) ――4年生として最後のインカレについていかがですか。 「高校からこのボート競技を始めて7年目になりますが、ボート競技は大学で区切りをつけて、社会人ではボートを続けずに企業に入って働くことになります。大学最後でもあるし、競技人生最後の大会になるはずなので、最後に有終の美を飾って終わりたいなという思いは本当に強いです」 ――東日本選手権では足の状態がよくないとおしゃっていましたが、今はどうですか。 「今は、100%です。完璧に仕上げてきました」 ――これまで主将として部をまとめてこられていかがでしたか。 「主将として何かができたのかなというのは正直分からないです。自分なりに考えてできることはやってきたつもりではあるので、それが部にどのような影響を及ぼすことができたのかというのは、今回の最後の大会でそれが結果として現れるのかなと思っています。そこは楽しみであり、不安もありという感じですね。これまで自分が積み重ねてきたことが最後にいい形になってくれればいいかなと思っています」 ――チーム作りとして意識されてきたことはありますか。 「結構変えたことは僕らが1、2年生だったときは寮の掃除やいろいろな仕事を1年生だけで行っていたのですが、僕らの代に変わってから掃除も全員で行うようにしてきました。そういったところでのチームへの帰属意識というか、全員で集まってするミーティングと部員の中で、マネージャーも含めた6個のグループを作って、そのグループごとにミーティングをするなどして各学年縦のつながりがしっかりとできる交流の場をしっかりつくってきました。横のつながりだけではなくて縦のつながりをしっかりつくるという思いは僕自身もそうですし、同期4年生も強かったです。全員で納得してこの1年間やってきた感じです」 ――今の端艇部の雰囲気はいかがですか。 「今まで学年ごとに区切れ区切れで壁を感じていましたが、縦のつながりが強くなり、今はいい意味でしっかり境界線がなくなっています。本当にチーム一丸となって大会に向け、やっていけるなという感じが今までの4年間の中で1番強いと感じています。そういった面ではいい雰囲気で全員が勝ちにこだわって今練習ができているのかなと思います」 ――大学生活を振りかえって一番印象に残っているレースは何ですか。 「4月にあった日立明の三大学レガッタですかね。出場した男子エイトが19年ぶりに日大に勝って優勝を明治の手元に戻したレースになりました。新たな歴史を刻むことができたというか。自分がエイトに乗って勝ったことがなく、個人的にもすごくうれしいレースだったのでそれが4年間で一番印象深いレースだったかなと思います」 ――今のクルーの強みは何ですか。 「今、スタートを重点的にやっていて、スタートで置いて行かれてしまうとレース展開として結構厳しくなるので、必ず最初の500メートルトップタイムで通過していきたいです。もともとの強みとして、コンスタントでスピードが落ちないというところとラストスパートでしっかり上がるということがありました。そこは引き継ぎつつ、スタートで頭を取ってしっかり後は逃げ切るというレース展開をエイトの9人で共通認識として行ってきました。まだ完成できてはいないのですが、やりたいこととしてはスタートでしっかり出ることで、それにむけて確実にレベルアップはしている状態です。スタートしっかり出てコンスタントで落とさずスパートで最後他艇を寄せつけないレース展開ができるような強さがあるのではないかと思っています」 ――クルーについての思いを聞かせてください。 「インカレで明治のエイト優勝がなく、今年本当にいい状態で仕上がってきてチャンスの年だと思っているので、初優勝は取りたいです。今年あとはコックス1人と漕手4人エイトで4年生が計5人乗っています。ボート人生最後のレースになるメンバーが5人いて本当に最後になります。絶対勝つんだという気持ちで、死ぬ気で僕を含めて5人が上げてくれるのではないかと思っています。後輩4人も力のある選手を乗せているので、そこを信じて9人で日本一のスピードを出して必ず優勝したいと思います」 ――今、プレッシャーを感じていますか。 「プレッシャーはないですね。今まで勝ったこともないし、どこのチームもどっこいな感じがしています。これまでやってきた積み重ねと当日のちょっとしたところで勝負が変わってくると思います。平常心を忘れずにレースだからといって特別なことをすることもないです。他のメンバーはわからないですが、僕はプレッシャーを感じずに最後に伸び伸びこいで笑って終わりたいなと思っているくらいです」 ――インカレに向けての意気込みをお願いいたします。 「4年生全員が今回でボート競技引退になるので、最後全員で笑って終わりたいという気持ちです。男子エイトの優勝もとれば初ですし、女子の対抗クォドルプルも去年優勝しているので、勝てば2連覇が懸かっていてすごくプレッシャーがあると思うのですが、それをはねのけて欲しいです。インカレに出場するクルーはバランスよく決勝に行ける、優勝を狙えるクルーがそろっていると思うので、できるだけ高い順位を取ってもらいたいです。最後は男女総合優勝に向けて新体制になってからやってきた積み重ねというところがどう出るかだと思います。ですが、最後まで諦めず、死力を尽くしてどのクルーも戦うので、ぜひとも応援をよろしくお願いします」 ――ありがとうございました! [原田青空] ◆岡本 康聖(おかもと・こうせい)商4、宇和島東、180センチ・75キロ ※写真は明大端艇部提供 岡本は最前列左側から3番目 READ MORE -
優勝艇が3艇! インカレに向け弾みをつける/東日本選手権
端艇 2022.07.272日間にわたって行われた東日本選手権。明大は男子ペア、男子舵手付きフォア、さらには男子エイトの3艇が頂点に。男子勢の奮闘が光った一方、女子クルーからは惜しくも優勝艇が出ず。9月の全日本大学選手権(以下、インカレ)に向け課題と収穫を得た大会となった。 ◆7・23~24 東日本選手権(戸田ボートコース)▼女子シングルスカル S林原――決勝A4位 S清野――決勝A5位 S磴――決勝B1位S荒川――決勝B2位▼男子シングルスカル(S市川)――決勝C5位▼男子ダブルスカル 男子ダブルスカルB(S辻B吉田)――決勝A2位 男子ダブルスカルA(S大竹B寺井)――決勝A4位▼女子ペアA(S田草川B山田)――決勝A2位 女子ペアB(S平松B小野寺)――決勝A4位▼男子ペア 男子ペアA(S大久保B佐々木剣)――決勝A1位 男子ペアB(S杉本B阿部)――決勝A棄権▼女子クォドルプル(S山吹3青山2田口B中山優)――3位▼男子舵手付きフォア(S佐々木丈3阿部2鷺池B平田C岡部龍)――決勝A1位▼男子エイト(S山本7武藤6金澤5藤井4岡本3松川2門馬B上戸C鹿川)――決勝A1位 悔しさをバネにした。5月に行われた全日本選手権では決勝で最下位と、不本意な結果に終わっていた男子エイト。だからこそ「練習量や練習の質を上げたつもりでやってきた」(岡本康聖主将・商4=宇和島東)。インカレの前哨戦として、意気込んで迎えた今大会だった。スタートはレートを抑えて落ち着いたこぎを見せる。500メートル手前までトップの艇と半艇身差につけると「1000メートルのミドルスパートでギアを入れる」(岡本)。狙い通り1000メートルを過ぎたところで明大は勝負に出る。一気にトップに立ち他艇を突き放すと、そのまま一艇身差を保ちながらラスト250メートルへ。一橋大の追い上げからも逃げ切り、そのまま1着でゴール。インカレに向けて視界は良好。高く拳を突き上げた。 男子エイトの他にも下級生が中心となった男子ペア、男子舵手付きフォアの2艇が優勝。男子勢の躍進が見えた大会となった。一方で女子は、最高順位がペアの2位のみに終わるなど課題も残った。「それぞれ自分の役割を意識しながらやっていきたい」(岡本)。インカレまで残り1カ月半。悲願の男女総合優勝のために男女問わず高みを目指さなければならない。栄光に向けて、残り少ない中でも成長を見せてくれるに違いない。 [新谷歩美] 試合後のコメント岡本――今日のレースを振り返っていかがでしょうか。 「僕らエイトは正規メンバーの1人が国体のブロックでいなくて、僕と4年生の金澤が足の方のケガがあって100パーセントの状態ではなかったのですが、勝てたことはよかったと思います。昨日のレースもずっとイーブンペースでできていました。今日はしっかり中盤差せて、そこから最後上げることができたのでレース展開としては自分たちの思っていた通りできたと思います」 ――インカレに向けての意気込みをお願いします。 「練習量をもっと増やさなければならないと思いますし、残り40日メンタル的な部分が重要になってくると思います。そこを全員同じ方向を向かせてインカレ総合優勝、女子クォドルプル、男子エイトの対抗をしっかり取るというのが、僕や副将の武藤(駿太・法4=越ケ谷)、女子主将の林原(萌香・法4=米子西)がしっかりと鼓舞しながらやっていかなければいけないことだと思っています」READ MORE -
全日本閉幕 決勝Aに8艇進むも無冠に/全日本選手権
端艇 2022.05.17 全競技の中で最も早く第100回を迎えたことを記念し、海の森水上競技場で開かれた今大会。明大からは全10艇が出場し、決勝Aには8艇が進むも、無冠に終わった。4カ月後の全日本大学選手権(以下、インカレ)に向け、この結果を糧に弾みをつけたい。◆5・12~15 第100回全日本選手権(海の森水上競技場)▼男子シングルスカル(S近藤)――B決勝6位▼男子軽量級ダブルスカル(S市川B吉田)――B決勝1位▼女子軽量級ダブルスカル(S荒川B樋口)――A決勝4位▼男子軽量級ペア(S大久保B佐々木剣)――A決勝5位▼女子ペア(S山田B平松) ――A決勝4位▼男子フォア(S和田3佐々木丈2門馬B松川)――A決勝6位▼男子舵手付きフォア(C鹿川S阿部3杉本2平田B鷺池)――C決勝4位▼男子クォドルプル(S東坂3寺井2辻B中山)――A決勝5位▼男子エイト(C岡部S平野7岡本6藤井5山本4上戸3金澤2武藤B中條)―― A決勝6位▼女子エイト(C岡部S田口7磴6青山5中山4山吹3小野寺2田草川B林原)――A決勝6位 4月の日立明三大学レガッタ(以下、三大学)から約1カ月。「今回はみんなが自信を持った状態で試合に臨むことができた」(林原萌香女子主将・法4=米子西)と良好なチーム状況の中、全日本を迎えた。今大会での躍進が期待された明大だったが、決勝初日は不運に見舞われる。女子エイトは終盤まで熾烈(しれつ)な上位争いを演じるも、ボートのシートが外れるアクシデントが発生。「それまではイメージ通りだった」(林原)と理想的なレースを展開していただけに、悔しい結果となった。また男子フォアでは腹切りと呼ばれるミスが起こり、土壇場で最下位に転落。さらに女子軽量級ダブルスカルでは、健闘を見せるもわずか1秒差で表彰台には届かず4位。「ギリギリの練習が足りない」(岡野知幸助監督)と課題が見つかる結果となった。 しかし、収穫も少なくない。市川隼伍(法1=関西)、吉田成汰(営1=岡山東商)の男子軽量級ダブルスカルではB決勝ながら見事優勝。この1年生ペアの活躍について岡野助監督は「これで喜んでもらうと困る」としながらも頬を緩ませた。 「大学の中ではトップを取ることを目標に挑んだ」(星遼監督)と迎えた全日本最終日。男子エイトは、今大会の予選や敗者復活戦でスタートから出遅れる結果に。だからこそ「最初の500メートル、全力を出し切るつもりでいこう」(岡本康聖主将・商4=宇和島東)とクルー全員の意識を統一。課題を改善し、500メートル地点まで、他艇に1歩も譲らない激しい競り合いを見せる。しかし「いいスピードに乗ったところでそれを続けることが難しかった」(星監督)と序盤のペースを維持し、相手の艇速に食らいつくことができない。1000メートル地点から差がじわじわと開き「パワー負けを感じた」(岡本)。最後まで追い付くことができず、そのまま6位でフィニッシュ。5年ぶりのA決勝進出なるも、表彰台には及ばず、悔しい結果に終わった。 女子ペアや男子クォドルプルもA決勝に出場したが、惜しくも表彰台に上がることはできず。「全員がベストを更新してレベルアップしていかなくてはならない」(星監督)。悲願の全日本大学選手権(以下、インカレ)に向けて、再び明大はこぎ始める。[上瀬拓海、原田青空] 試合後のコメント星監督――全体を振り返っていかがですか。 「決勝に行ったクルーは確かに多かったのですがその先、決勝で本来の力だったらもう少し行くだろうなという順位には届かなかったかなというところがありました。いい意味で、ここでリセットしてまたオフ明けから少し切り替えていけると思っています」――インカレに向けて必要なことはありますか。 「チーム全体としてはもっと勝つ雰囲気づくりをしていきたいと思っています。もちろんやる気もありますし、頑張っていることも分かります。ただインカレとなるともちろん大学対抗ですし、本当のチーム戦になってくる所なので戦う集団としてみんなの意識を引き上げていきたいなと思います」岡野助監督――大会3日目を振り返っていかがでしたか。 「アクシデントも多かったのでベストとは言わないですが、次への経験になったという意味では良かったかなと思います」――助監督から見て、良かったクルーはありますか。 「男子のクォドルプルは途中トラブルで遅れましたが、遅れたなりにリカバリーをして決勝に残れたのでそれは良かったです」林原――全日本を振り返っていかがですか。 「三大学が終わってからは練習で数値目標を1週間ごとに設定して、雰囲気良く大会を迎える事ができたことは良かったです」――敗者復活戦の課題を克服して決勝を迎えたと伺いました。 「敗者復活戦でスタートの500mを飛ばし過ぎたという課題があり、決勝は300mくらいで落ち着いたこぎが確立できました」――インカレに向けて一言お願いします。 「女子エイトメンバーは不完全燃焼で終わってしまったので、そのメンバーでクォードを組み、優勝をしてリベンジしたいです。他のメンバーも他の艇で決勝に残り、総合優勝に貢献できたらと思います」岡本――全体的に3日間のレースを振り返っていかがでしたか。 「予選で課題だったスタートを、改善し切れたことは強みになりました。500から1500メートルで力負けをしてしまったので4カ月後のインカレに向け全員でパワーアップしていきたいと思います」――クルーの雰囲気は、いかがでしたか。 「全員が勝とうというプレッシャーはなく、チャレンジャーとして、同じ順位でも最初から勝負して、負けるなら負けようということで気楽にできました」――今後に向けてはいかがですか。 「フィジカル強化など課題が多く見つかり収穫もありました。コーチが少ない状況なのでコックスも含めた9人全員で意識を高く持って、自分たちの力でやっていきたいです」READ MORE
部の紹介 INTRODUCTION
ボート競技は全部で9種目ありその中でも花形とされるのは指示を出すコックスと8人のクルーで編成されるエイトだ。9人が完全に息を合わせた時のスピードは圧巻。どのチームも花形種目でのエイトで優勝を目指す。端艇部は明治38年に創部された明治大学で最も長い歴史を持つ部活である。歴史だけでなくその実力も大学トップレベルで全日本の大会でも常に上位に進出する強豪。歴史、実力の二つの意味で明治大学の体育会をけん引する存在である。日本ボート界のトップを目指し、日々努力を重ねる。