最新記事 RECENT ENTRIES
-
(5)武道の本質を知る実力者――稲浩平
空手1年時から団体戦メンバー入りを果たし、2年になると大将として活躍。個人でも昨年の関東選手権中量級優勝、全日本選手権5位と、稲主将は輝かしい実績を残してきた。そんな彼が明治を選んだ理由。それは偶然の産物だった。 名門世田谷学園高で、浦野(農4)、松本(政経4)らとともに稽古に励んでいた稲主将。ある日、浦野に会いに明治の関係者が来ていたところ、それに同席することになり、そのまま明治入学を決めたそうだ。大切なこと 成り行きで明治に入った稲主将だったが、高校までとは違い「自由にのびのびやらせてくれる」環境に、自分で考えてやることの大切さに気付かされた。「必死にやった分だけ気として出てくる」。最上級生になり主将に就任してからは「口で教えるのは苦手だから、部員には『強くなるために今自分は何をどうすればいいか』という意識を持ってほしい」と、態度で部を引っ張ってきた。 また、今まで空手をしてきた中で、稲主将が人一倍大切にしていることがある。それは「あいさつ」だ。最近学生の大会では、あいさつができなかったり、試合に負けた悔しさを試合会場の壁にぶつけてしまったり、あまり礼儀が見についていない選手も見受けられる。「あいさつは基本、相手への感謝の気持ちだと教わった。空手家として最低限のマナー」。礼に始まり礼に終わる。武道の良き伝統を体現する稲には、実力だけではない強さがある。最後の戦いへ 実力も備わっている彼は、下級生からの人望も厚い。世田谷学園高出身者が多く占める明治の中でも、中村竜大(法3)・豪秀(政経1)は小学生からの付き合い。「稲先輩と日本一になりたくて明治に来た」(中村(豪))とまで言わしめるほどだ。 自身も最後の大会を前に、いい刺激を受けている。今月の上旬、友人が所属する相撲部のインカレに訪れた。こちらも本年度最終戦だったが、結果は予選敗退。負けて涙する友人の姿から「最後は勝って泣きたい」という思いが込み上げてきた。「勝ち以外は通用しない。どんな勝ちでもいい。1試合でも多くやりたい」。順当にいけば、3年前敗れた関大と2回戦で、おととし2ポイント差で惜敗した大商大と3回戦で当たる。同期と、後輩と、少しでも長く一緒に戦えるよう、全力でリベンジに挑む。◆稲浩平 いなこうへい 法4 世田谷学園高出 166cm・67kg 今回で「俺たちの空手道ッ!~最後の戦いへ~」は最終回です。ついに23日にはインカレを迎えます。強豪校に勝つべく練習に励んできた彼らの応援よろしくお願いします!READ MORE -
(4)もう一人の形の妖精・足利友里江
空手入学して以来、形種目で活躍する大澤美諭季氏(平18法卒)や松谷(法3)らの陰に隠れていた足利。最後の個人戦となった6月の全日本学生選手権でも予選通過はならなかったが、彼女に悔いはなかった。それは、自分の信念を貫いた過程があったからだ。環境の変化 全体練習ではほとんど組手だけを行う本学。形にも出場する選手は道場に通って練習するしかない。足利は形専門だが、入学当初は「部に溶け込むため」に部の練習を優先した。組手の選手たちへの遠慮もあった。2年になると「形の動きが(体から)抜けていく感じ」を覚え、危機感から週1回道場に通い始める。しかしほぼ毎日練習した高校時代と比べて、練習量の激減は明らかだった。「これではいい形が打てるわけがない」。あきらめの気持ちが、彼女の形にも出ていた。 そんな足利に転機が訪れたのは3年時。松谷とともに大澤氏の元で練習を始めた。そこで意識の高い選手と練習するうちに、足利の意識は変わっていった。意識の変化 今まで取り組む意味を見いだせなかった部の練習も、そこから得られるものを探すなど、割り切って考えられるようになった。「練習は量だけじゃなくて、その中で自分の意識をいかに集中するか」。2時間の練習を充実させられるようになった。また以前は結果にこだわっていたが、練習量の少なさに「自分は(負けても)悔しがっちゃいけない」。そう思うと次第に「満足できる形を打つ」ことを第一に考えるようになり、それが二度のインカレ出場につながった。そして迎えた最後の個人演武。張り詰めた空気の中、足利らしい優雅な、そして最高の形が決まった。「これで負けたら仕方ないと思える形ができた」。予選敗退ではあったが、足利にとって満足できる結果となった。インカレでも3人で息の合った演武を披露する (左から、足利、松谷、久保田)最後の思い出に 形もできる久保田(商1)が入部したことで、今年は松谷を含めた3人で団体形が組めるようになった。10月の関東大学選手権には「楽しめればいい」と臨んだが、見事3位入賞。インカレ出場が決まり、約1カ月半長く部で形が楽しめることになった。足利にとって、これが本当に最後の舞台となる。「独りだったら、もういいやとなっていたかもしれない。後輩の存在は大きかった」。4年間の集大成に、大切な仲間との演武で花を添える。◆足利友里江 あしかがゆりえ 商4 恵庭南高出 157cm☆次回予告☆第5回は、11月21日、実力と人望を兼ね備えた主将、稲浩平(法4)選手です。READ MORE -
(3)仲間思いのムードメーカー――野田雄士
空手近年まれにみる戦力の充実を見せる今年の4年生、その中心にはいつも仲間のことを第一に考える野田の姿があった。小柄な野田は、レギュラーメンバー入りが保障された選手ではない。しかし、素早い攻撃と間合いを武器に大会出場を狙う。空手との出会い そんな野田が、空手を始めたのは母親のぎっくり腰がきっかけだった。母親が入院した病院の隣にあったのが、幼いころに野田が通った空手道場。今の彼からは想像できないが、親の言うことを聞かないやんちゃだった子供時代、母親の言いつけで始めたそうだ。そこから本学に入学し、ますます空手にのめり込んで行く野田だったが、ここまでの空手人生は決して平坦なものではなかった。辞めたいと思ったことも何度もあった。しかし、そんな時にはいつも仲間の支えがあった。「鼻を骨折した時は本気で辞めようとした。でも周りの支えがあって、続けることができた」と語る野田。だからこそ野田はいつも仲間のことを第一に考える。「4年間で得たものは、大切な仲間です。他の同期がいなければきっと辞めていた」。野田の仲間への思いは誰にも負けない。インカレメンバー入りへ 「まずは(出場メンバーの)5人に入りたい。そのためにも後悔しないように全力でやる」。メンバー入りが保障されていない野田だからこそ、インカレへ懸ける思いはほかの部員よりも強い。「体が小さいので、自分には相手との駆け引きが重要」そう自分を分析し、練習にも余念がない。最後の大会へ、野田の戦いはすでに始まっている。◆野田雄士 のだゆうし 文4 熊本マリスト学園高出 165cm・60kg☆次回予告☆第4回は、11月19日、4年生唯一の女子部員として部を引っ張る、足利友里江(商4)選手です。READ MORE -
(2)主務、そして選手として部を支えた男――松本康弘
空手組手は常に冷静。だが、183cmの長身から繰り出される突きやけりには圧倒されるものがある。 空手の名門・世田谷学園高出身の松本は、同高出身で同期の稲主将(法4)や浦野(農4)らとともに、近年まれに見る強さを誇るチームへと明大空手部を導いてきた。主務として 昨年の暮れに代交代し、最上級生となって、主務という役職に就いた松本。試合の手配や外部との連絡取りなど、その仕事はさまざまだ。大学3年から4年にかけてとなると、就職活動の時期でもある。就活、部活の練習、主務の仕事…彼の忙しさは並大抵のものではなかった。 それでも、「最初は、主務の仕事も雑務だけだし乗り気じゃなかったけど、やってみて、今はまあ良かったかなと思ってます」と話す。そう思えるきっかけとなったのが、今年4月に行われた東京六大学選手権だ。この大会は、毎年六大学の持ち回りで行われ、今年はちょうど本学開催の年だった。「実行委員長になって、すごく仕事が多かったけど、達成感があった。伝統もあるし、明治で行われるのは6年ごとだから主務になった人全員ができる仕事でもないので、やりがいもありました」。そう話す松本の顔は、とても晴れ晴れとしていた。果てしなく続く空手人生 そんな松本が空手を始めたのは幼稚園のころ。友達に勧められたのがきっかけだという。「もともと運動オンチなので…」と話すが、普段の姿からは全く信じられない。それでも、「運動が苦手で…」とあくまで謙虚だ。 「父親と弟もやっていて、とりあえず長く続けろ、ということで続けてたんです。でも、結果に見えてくるので、そこで自分の自信につながっています。自分には(空手が)合っていたのかな。小さいころからずっとやってるし、卒業しても何らかの形で空手は続けていくと思います」。松本の空手人生は大学卒業後も果てしなく続く。学生最後の全日本インカレに向けて 主務の仕事に追われながらも、今年に入ってから団体では常にレギュラーメンバーとして活躍している松本。団体メンバーも、学年関係なく部内戦を行って決定する本学では、最上級生だからといってレギュラー争いには気が抜けない。長い脚で相手にけりをしかける松本 普段の練習は、「集中してできているし、充実している」。全日本に向けて、まずは筋トレや走り込みを行い、それから本格的な組手の練習へ。規定練習の後に自主練習を行う部員もいる。それだけ全日本インカレに懸ける思いは強い。「普通に練習でやってきたことを試合で出せれば結果につながっていく。全日本インカレの目標はベスト4。一人一人が出せる力を出し切るのみです」。 普段はクールな松本が、日本武道館で明治の勝利に貢献する!いざ決戦の時!!◆松本康弘 まつもとやすひろ 政経4 世田谷学園高出 183cm・75kg☆次回予告☆第3回は、11月17日、同期の仲間に支えられて、苦難も乗り越え空手を続けてきた野田雄士(文4)選手です。READ MORE -
(1)頼れる勝ち頭――浦野慈生
空手試合が始まると、普段の寡黙な雰囲気は一変する。気迫がこもった攻撃で相手を圧倒し、立て続けにポイントを奪う。本学でも1、2を争う実力で、今季は大将を務めることも多い浦野。そんな彼が空手を始めたのは保育園の時、「始めたきっかけはドラゴンボールのかめはめ波を打ちたくて」と語る。時折見せるおちゃめな一面も彼の魅力の一つだ。そこから彼の空手人生が始まった。 高校では名門世田谷学園高に進み、空手の才能が開花。また、そこで今の同期でもある稲主将(法4)、松本(政経4)とチームメートとして一緒に活躍し、母校をインターハイ連覇へと導くなどその才能をいかんなく発揮した。明大空手部で得たもの 「強豪校に行くよりも自分でいろいろ決められると思って明治に入った」。他校に比べて選手の自主性を重んじる本学空手部。浦野はそこに魅力を見いだした。「自分から練習しないとうまくなれない。この部にいると何事も自分次第ですね」、自らをさらに厳しい状況に置き、努力を怠ることはない。 空手に明け暮れる大学生活。練習はつらくないかという問いには「やっぱり空手が好きなので、つらいとか思ったことはあまりない」とぶっきらぼうに答えた浦野。辞めたいと思ったこともないという空手は彼にとってすでに生活の一部になっているのだ。 また、照れながらも「良い仲間に恵まれた。みんな大好き。同期で良かった」と同期への思いを語ってくれるなど熱い思いも秘めている。インカレに懸ける思い 「入学した時から今まで全日本で勝つことだけを目標にしてきた」。4年間の集大成となるだけに今大会に懸ける思いはひとしおだ。「この大会を一番の思い出にする」。このままでは終われない。4年間の思いがこもった最後の戦いがついに幕を開ける。◆浦野慈生 うらのよしき 農4 世田谷学園高出 181cm・83kg☆次回予告☆第2回は、11月15日、主務として、選手として部を支えた縁の下の力持ち、松本康弘(政経4)選手です。READ MORE -
1年生が3位入賞!新戦力の台頭も/関東学生体重別選手権
空手本学からは男女計18人が出場した今大会。男子はインカレで拓大から金星を挙げており、今回も上位入賞が予想された。結果は、期待のルーキー中村(豪)が60kg以下級・男子で3位入賞。昨年の最高位を上回る活躍を見せた。ほかにも浦野(農4)、相良(理工1)がベスト8、全日本学生・関東インカレと形で出場した佐藤(順)らがベスト16入りと健闘した。 1年生とは思えない、落ち着いた戦いぶりだった。普段の大会とは違い、体重別で行われるため7kgの減量をして試合に臨んだ。これが奏功し「いつもより動けた」(中村(豪))。軽い動きで相手を圧倒した。準決勝では、優勝した塚本(国士大)に4点差をつけられての敗北を喫したが、内容ではほぼ互角だった。 実力で手にした好成績にも、満足はしない。「3位でも負けなので。優勝しないと意味がない」(中村(豪))と、あくまでも頂点にこだわる。4年生の引退まであと約1カ月。最後のインカレでは、尊敬する稲主将ら先輩とともに、とことん上を目指す。☆新戦力の台頭☆ 今大会、予想以上の活躍をしたのが相良と佐藤(順)。共に1年生ながら、激戦区の階級で上位に進出した。昨季からの主力選手がほとんど残っている今季、新戦力の台頭は部内競争を活性化させる。まだまだ伸びしろのある彼らには、レギュラー陣を脅かす存在になってほしい。READ MORE -
3位入賞も不満残す/関東学生体重別選手権
空手個人のトーナメントで行われた今大会。1年生の中村(豪)が3位と奮闘するも、その他が本来の力を出しきれず、不満の残る結果となった。READ MORE -
団体組手で男女ともに健闘、男子は3位/関東大学選手権
空手和道大会では団体組手でアベック優勝を果たした本学。団体戦のみが行われた今大会でも、男子組手は5年ぶりの3位に輝き、女子組手もベスト8と健闘した。 女子組手は初戦、山梨学大を3-0で下す上々の滑り出しを見せる。しかし3回戦では、明海大を相手に先鋒(せんぽう)の横山(法4)が引き分け、中堅の松谷(法2)が2-6で敗れてしまう。後がない本学の大将は野村(商4)。1-1から5ポイントを連続で奪い1勝1敗1分に持ち込み、総ポイント差で勝利した。 そして迎えた4回戦、相手は強豪・国士大。3回戦の野村の粘りに呼応するように、先鋒(せんぽう)の横山が4年生の意地を見せた。3-3で終盤に突入すると、残り4秒で逆転、そして残り1秒での技ありで突き放し、見事勝利。強豪相手に勝利の期待が懸かる。しかし続く松谷、野村がともにストレート負けを喫し、準決勝進出はならなかった。 一方の男子組手は、1回戦で東京理大に快勝し、続く2回戦では和道大会のライバル・東農大と対戦。次鋒(じほう)の浦野(農3)がストレート負けするも、ほかの選手が健闘し3-1で下した。そして準決勝進出が懸かった3回戦、予想に反して早大が強豪校の一つである大正大を破り勝ち上がってきた。上位進出の可能性が高まり、応援する控え選手の声も一段と大きくなる。谷崎(文2)、浦野がともに技ありを決め勝利し、早くも王手が懸かる。しかし高鍋(商4)、松本(政経3)は惜しくも負けてしまう。勝負の行方は、大将戦へと委ねられた。 大将の稲(法3)は先日行われた関東選手権中量級で優勝した実力者。動きに硬さも見られたが、なんとか引き分けに持ち込み、総ポイント差で上回って勝利を収めた。この勢いのままに勝ち進んでほしいところだったが、準決勝では、前年度準優勝の帝京大に完敗。しかし全体を通してチームの成長が感じられる大会となった。 11月に行われる全日本インカレが、4年生にとっては最後の団体戦の大会となる。強豪校の壁を越えて、上位に入ることができるか。結果が伴わなくとも、インカレでは悔いのない戦いをしてほしい。☆女子だけじゃない、男子形にも注目! 今大会、中村(法2)、児玉(法1)、山村(政経1)の3人が、本学としては5年ぶりに形の部・男子団体に出場した。予選で敗退はしたものの、決勝に進出できる予選4位の青学大とのポイント差はわずか。1、2年生のチームということを考えると今後の成長も期待できる。今年は女子個人形で松谷が好成績を収めており、また大澤美諭季氏(平18法卒)も在学当時この種目でインカレを制したこともあり、「明治の形といえば女子」というイメージが強い。そんなイメージを、きっと彼らがぬぐい去ってくれるに違いない。READ MORE -
男子団体組手、拓大破り3位入賞!/関東大学選手権
空手関東の大学空手王者を決めるこの大会。組手の部・男子団体で本学は、東日本準優勝の拓大を破り、見事3位に入賞した。また、3年ぶりの出場となった形の部・女子団体でも、本学は、息の合った演舞で3位に入賞を果たした。READ MORE -
組手3部門制覇!男子団体は6連覇/和道会全国競技大会
空手明治が王者の意地を見せつけた。組手の部・男子団体で、本学は6連覇の偉業を成し遂げた。また個人では、男子は谷崎、女子は浅井が制するなど、個人の成長も見えた大会となった。 順調に勝ち上がり、迎えた男子団体決勝。先鋒(せんぽう)の中村(豪)が先取するも、続く相良、松本が敗れ後がなくなった。しかし、連覇を続ける本学は慌てなかった。団体戦勝ち頭の谷崎、浦野が落ち着いた戦いぶりを見せ、逆転勝ち。見事6連覇を果たした。 昨年は振るわなかった個人戦も、男女計5人がベスト8入り。圧巻だったのは女子決勝だ。期待のルーキー・浅井と久保田の一騎打ちとなった決戦は「お互いに手の内を知ってるからやりづらい」(浅井)と、両者一歩も譲らない展開に。同点のまま延長に突入し、先取した浅井に軍配が上がった。 団体・個人と頂点に立った谷崎は「和道ではなく学連の大会が目標」と快挙にも気を抜かず、あくまでもインカレで上を目指すことを誓った。今年は経験豊富な上級生に実力十分の下級生と、人材がそろっている。何度となく本学の行く手をはばんできた強豪校を打ち崩すチャンスは、今しかない。READ MORE
部の紹介 INTRODUCTION
1935年(昭和10年)に田中徳弥初代主将により「明治大学予科空手研究会」として発足した。空手部は当初から力を発揮し、第1回全日本大学選手権で栄えある初代王座に輝く。その後も第7回全日本学生個人選手権、第9回全日本学生選手権で優勝するなど強豪校として名をはせた。そんな空手部は推薦入部者のみならず、初心者から経験者まで隔てなく部員を募集。駿河台校舎にある専用道場で日々汗を流している。いまだ成し遂げられていない3度目の団体日本一を目標に、部員一丸となって稽古に励む。