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男子団体は惜しくも9位、女子団体は健闘の4位/全日本学生選手権
体操 2012.09.03男子団体は惜しくも9位、女子団体は健闘の4位/全日本学生選手権 女子団体は2年ぶりの出場。男子団体は昨年よりも上の順位を目指した。[男子団体] あん馬の最終演技者として出場した佐藤将光(政経3=湘南工科大附)。「個人としては前半、あまり良くなかった」というものの、最終種目のあん馬では見事な演技を披露して締めくくった。前の5人が終えたところでは決していい流れではなかった。しかし、今回ケガで出場できなかった主将の飯田健太(政経4=静岡学園)と主務の小田洋輔(商4=駒場)がチーム全体に声を掛け雰囲気を良いものにしていた。そして、佐藤の演技が始まると、今までの流れを払拭(ふっしょく)するかのようにどんどん難度の高い技を成功させていく。演技が終わった途端、ベンチや応援席から見守っていた部員からも盛大な拍手があり、この日一番の盛り上がりが感じられた。佐藤自身もガッツポーズをしながら、他の選手と喜びを分かち合っていた。試合後の取材でも「あん馬はうまくいった」と満足気な表情をしながら答えてくれた。 また、2人の1年生が堂々たる演技をして安定感を見せた。沢田遵之佑(政経1=盛岡中央)は「失敗しないように最後の着地にこだわった」と言うように、練習での出来はあまり良くなかった鉄棒と床を見事に修正して本人の納得のいく演技ができた。桑原嘉唯(商1=静岡学園)は個人の演技は全体を通して「大きいミスはなかったと」語ってくれた。特にゆかでは今まで不安のあった着地を本番で決め、跳馬でも難易度を上げた技をきっちりまとめることができた。 残念ながら1部昇格こそならなかったが、来年は今回の団体メンバーが全員残る。今回の大舞台で得られたものは、きっと次の試合に生かせるはずだ。それを糧にして来年こそは新たなる飛躍を期待したい。[女子団体] 今年、女子団体は2年ぶりの出場となった。予選で敗れた昨年の悔しさをバネに今年はしっかりと本戦の場に戻って来た。「すごく疲れたけど楽しくできた。全て出し尽くした」と主将の信藤来実子(文4=品川女子学院)、「団体としては良かった」と副将の脇山彩子(営4=杉森)、「良い終わり方ができた」と鈴木悠(政経3=酒田中央)と各選手が語ってくれたように、チーム全体として悔いのない演技ができた。 団体の最初の種目、床では選手全員がいいスタートを切った。「最初の演技ながら、みんなミスのない演技をしてうまくいった。それでいい流れができた」(信藤)。続いての跳馬、段違い平行棒ではややミスが目立ったものの、選手たち同士でカバーしたり、声を掛け合っていい雰囲気を保ちながら試合に臨んでいた。そして、最終種目の平均台。各選手が「4種目のうち平均台がチーム的に一番良かった」というように全員が素晴らしい演技を披露。着地も皆成功し、最後の種目をきっちりと終えることができた。 この大会までに主力として戦ってきた4年生が引退して、これからは3年生以下が中心となってやっていくことだろう。「今の流れを継いでいきたい」と下級生の気持ちは一つになっている。これからチーム一丸となって新たなる高みを目指してほしい。男子、女子ともに、どんなに苦しい状況や流れが悪くなりそうなときでも選手一人一人が声を掛け合ってチーム全体を盛り上げていた。その団結力を武器にこれからも日々努力して進化し続けるだろう。READ MORE -
トップレベルの戦いに触れ、収穫得る/全日本学生選手権
体操 2011.09.03トップレベルの戦いに触れ、収穫得る/全日本学生選手権 学生日本一を決める大会。本学からは男子団体に加えて個人総合に男子の藤井、女子の信藤がエントリーした。[個人総合] まず行われたのは、男女の個人総合。男子の藤井は足のケガを抱えて出場となったが、鉄棒では離れ業を決め、跳馬では足先までそろったきれいな跳躍を見せた。 女子団体が惜しくもインカレ予選で敗退したため、女子で唯一の出場となった信藤。段違い平行棒で落下があったものの、跳馬の2本目を成功させ、さらに平行棒でも丁寧な演技を見せた。また、今回は今年東京で開催される世界選手権の代表選手2人と同じ班。トップレベルの戦いを間近で感じたことは、今後の成長の糧となったはずだ。[男子団体] 「正直ボロボロだった」(湯浅・営2)という予選会から1カ月半あまり。男子団体チームはインカレの舞台で確かな成長を示した ルーキー・平野(商1)のゆかの演技で始まったこの試合。平野は1年生ながら堂々の演技でプレッシャーのかかる1番手の大役を見事に果たした。「その雰囲気に乗っかっていけた」(下川・商2)とその後全6種目を大きなミスなくまとめ、予選会からトータルで25点近く点を伸ばした。さらに「1人が失敗するとそのままみんながバタバタと失敗してしまった」(平野)という予選会から精神的な成長も見せた。ミスをしても全員で盛り上げて立て直す。試合後、選手全員から「チームでまとまって戦えた」という言葉が聞かれた。 男子団体チームは予選会の悔しさを晴らすため、藤井はケガを押して、そして信藤は本戦に出場することができなかった女子団体チームの期待を背負って、このインカレの舞台に挑んだ。男子団体は昨年と同じ2部8位、個人総合は男女とも上位進出はならなかった。結果は決して満足できるものではない。だが、この大会を通して「技の丁寧さを高め、通し練習の回数を増やすことで試合慣れする」という明確な課題も見つかった。さらに男子チームはこの大会で1部校の選手たちとともに会場練習を行った。「迫力が違った」(高木・営1)と圧倒されたようだが、1部昇格を目指すチームにとって良い起爆剤となったことだろう。このインカレという大舞台でレベルの高い戦いを肌で感じた彼らが今後どのような成長を見せていくのか楽しみだ。READ MORE -
(4)チームの団結高め、全日本へ!!
体操 2011.08.23(4)チームの団結高め、全日本へ!! 苦しい状況ながらも全日本学生選手権2部校予選会を通過し、全日本学生選手権への切符を手にした男子団体チーム。1、2年生だけで構成された若いチームが、全国相手に立ち向かう。初陣は悔しい結果に 「正直ぼろぼろでしたね」(湯浅)。飯田(政経3)がケガによりチームを離れ、下級生のみで挑んだ予選会の結果は4位。全日本出場権は獲得したものの、満足した表情を見せる選手はいない。「ミスした時にチームを引き締めてくれる存在がいなかった」(佐藤)とミスが続く悪い流れを断ち切れず、悔しさの残る演技となってしまった。進化を見せるチーム 予選会を振り返って痛感したことは「練習不足」。そこで今までよりも通し練習の数を増やし、1日の中で多くの種目に触れる機会を週に1度はつくるようにした。ひたすら演技を通すことで「どんな体の調子でも自分の演技をできる」(高木)ことを目指していく。さらには練習時からチームで一緒にいる時間を増やし、試合本番での流れをより意識するようになった。 また、練習に対する姿勢の変化がチームのまとまりを生んだ。今まで上級生がセッティングしていた反省会を下級生から積極的に行うように。「下級生で主体的に動くようになった」(育野)と一人一人がチームの一員であるという意識を高めた。いざ全日本の舞台へ 「完成度が上がっている」(佐藤)と着実な歩みを実感するチーム。自信を持って臨む全日本学生選手権は「今後1部昇格を目指す上で大事な足掛かりとなる大会」(池田主将)だ。「納得のいく演技ができればおのずと結果は付いてくると思う」(高木)。自分たちの演技を貫き、予選会のリベンジなるか。若きチームが全日本の舞台に今、挑戦する。READ MORE -
北川、最後の公式戦で全力出し切る/全日本選手権2部校予選会
体操 2011.07.12北川、最後の公式戦で全力出し切る/全日本選手権2部校予選会 「千恵がんばー」。仲間の応援が会場に響く。「応援はよく聞こえていた。すごくうれしかった」。仲間の声援もあり、北川は競技が始まる前も時折笑顔を見せるなど、緊張の中でもリラックスした姿がうかがえた。ケガを抱えて迎えたインカレ予選。北川にとって最後の大会が始まった。 最初の平均台、一度落下してしまうも、落ち着いて着地もしっかり決めた。「今日一番良かった種目はゆか」と北川が答えるように、ゆかでは、2回転ひねりなど一つ一つの技を確実にこなしていく。北川が得意とする跳馬では技のブレも少なく、得点も10点台に乗せた。最後の段違い平行棒でははなれ業を成功させるも、途中床に足をすってしまう。全体的に、やはりケガの影響が見られた。しかし、北川は全ての競技を終えた瞬間ホッとした様子だった。「練習どおりやれることをやった。点数を見ると決していいとは言えないし、満足と言ったらうそになるかもしれない。でも今できることはやりきった」。試合後笑顔で答えた北川だが、今大会に臨むまでの道のりは決して平たんではなかった。 今回の大会が、公式戦最後となった北川だが、2年生のときにも一度体操競技から離れている。だが、体操への思いは消えなかった。「試合を応援席から見ていて、なんで自分はここにいるんだろうと思った」。3年生のとき、仲間の応援に来ていた北川はそう感じていた。そして仲間の後押しもあり、再び体操をすることを決意。あらためて練習に励んできた。しかし昨年12月に左アキレス腱を痛め、5月にようやくジョギング程度の運動ができるようになったばかりだ。今でもまだ足をつくたび痛みが走る。「この大会もギリギリだった。だましだましなんとかここまできた」。 そんな中で迎えた今大会は大学生活最後の大会となる。「この大会を体操人生の集大成にしたい」。大会前、そう語っていた北川。満身創痍(そうい)で臨むことになったが、「満足している」という今回の演技には、体操に懸けてきた4年間の思いが全て詰まっているかのようだった。「明治体操部は、私に体操の楽しさを教えてくれた。私にとっていろんなことを考えさせてくれる場所。明治の体操部に入ってよかった」。そう答える北川はとてもすがすがしい表情をしていた。READ MORE -
今年度最後の試合を笑顔で締めくくる/しもつき杯
体操他大学との交流を深めることを目的として毎年行われている、しもつき杯。大学を問わず出場しているすべてのチームに観客が声援を送る姿が見られるのもこの大会ならではだ。本学は現役最後の大会となる織田主将を中心とした男子団体、池田(法3)が出場した男子個人総合にエントリー。また、大会1日目には、新体操のエキシビジョンが行われ、本学からは先日の全日本選手権をもって引退した山本(政経4)と男子の三宅(法4)、中島(情コミ1)が演技を披露した。[1日目] この日は男女の会場練習と開会式、そして新体操のエキシビジョンが行われた。 エキシビジョンで、まず登場したのは1年生の中島。新体操を本格的に始めてからまだ日が浅く、また大学入学後はじめて演技を披露したということだったが、初々しさの中に力強さも見せ、来年度の公式戦デビューに向けて楽しみな演技となった。 続いて、先日の全日本選手権で見事8位入賞を果たした山本がリボンの演技を披露。全日本同様、華麗で美しい演技を見せ観客を沸かせた。 最後は、三宅が他大学の選手とチームを組んで出場した男子団体の演技。「しもつき杯の、このエキシビジョンのために集まって練習してきた」という司会の言葉から始まった演技は「個人の演技とは違って、個性を出すというよりは6人で合わせて表現する」という団体ならではの魅力あふれるものとなった。[2日目] 2日目は体操の試合が行われ、団体、個人とも同じローテーションで進行した。1種目はつり輪。団体はトップバッターの藤井を始め、全員が着実に力技をこなし、最後の着地まできちんと気を配った丁寧な演技を見せた。4種目目の鉄棒では、3番手で登場した織田主将が離れ技の大技コバチに挑戦。惜しくもバーをつかみそこねて落下したものの、最後の大会まで大技に挑戦し続けた主将の姿は後輩たちの目にも焼き付いたはずだ。5種目目の床を終え、最終種目となるあん馬では、織田主将が高さのある雄大な演技を披露。大学最後の演技を終え、応援していたチームメイトの声援に笑顔で応えた。さらに、あん馬では個人で出場していた池田が新しい演技構成を成功させ、演技後にはガッツポーズも飛び出した。「あん馬が得意な後輩にもアドバイスを受けた」という池田。謙虚な姿勢で練習に励み、見事に演技を通した。 今年度最後の試合となった、しもつき杯。普段の公式戦よりもなごやかな雰囲気で行われたが、選手たちにとっては来年度に向け課題や収穫を見つけられた価値ある試合となったようだ。 織田主将体制の2年間が終わり、池田新主将のもと新たなスタートを切った体操部。「みんなには体操を好きって気持ちを持って練習してほしい」という織田主将の思いは池田に受け継がれている。「(主将を務める来年度は)部員全員が体操が楽しいという思いでつながれる部にしていきたい」(池田)。冬のオフ期間での練習を経て来年の春、一回り成長した姿を見せてくれるだろう。試合後のコメント織田「鉄棒の失敗が一番悔しかった。でも、最後にこのチームで大会に出られて良かった。今日はミスが多くて悔しいけれど、インカレのときよりもすっきりした気持ち。4年間やろうと思って、ここまでちゃんと続けられて良かった」。池田「あん馬が成功したのがとにかくうれしい。ずっと直さなきゃいけないと思っていたあん馬だったが、苦手種目であることをきちんと意識して練習できたことが今回の成功につながったと思う。今年最後試合で来年度につながる演技ができた」。藤井「最後よかったからすべてよし。織田さんがあん馬通ってくれたのでもうそれだけでよかったと思う。調子もいつもよりよかった。(今大会は)全日本と同じくらい重要視していた。インカレ終わってからここに焦点を合わせてずっと練習してきた。今すごい達成感がある。来年もインカレ出場を目標にし、しもつき杯で団体優勝を目指しながら演技したい」。田中(理工2)「今日は普段しないようなところでミスが出て悔しい。調子が悪い訳ではないので、なんでミスしたのか分からない。来年度に向けては、1種目につき技を3、4個増やすなど全体的に強化していきたい」。古本(商1)「織田主将とチームが組めてうれしかった。自分もチームに貢献できたと思う。跳馬では新しい技に挑戦できた。来年度は技の難度を上げつつ、試合でリラックスして演技できるようになりたい」。三宅「(一時競技から離れていたため)ブランクはあったが大学最後、人生最後の演技だということをモチベーションにして練習してきた。文武両道を掲げてやってきて、今はやりきったという気持ち」。中島「大学入って初めての演技で緊張した。誰かに見せるという演技ということで、表現の大切さを再実感した。自分かっこいいって思えるくらいもっと演技にのめり込まなきゃいけない。また、久しぶりの演技に新体操って楽しいということを改めて実感した。来年はインカレに出て成績を残していきたい」。READ MORE -
ユニバー逃すも成長実感/世界選手権日本代表第2次選考会他
体操5月6日に国立代々木競技場第一体育館で行われた今大会の2日目。前日、ロープが不調に終わった山本はボールとリボンの演技でまずまずの結果を出したものの、ユニバーシアードの出場権を得ることはできなかった。 大学に入学してからは初めてとなるボールの演技とリボンを行った山本。まずボールの演技が始まり、程よい緊張感の中順調な演技を見せる。「曲の雰囲気に合わせて初めて黒のタイツをはいた」(山本)とカラフルな衣装をまとう選手が多い中、山本は黒をベースにした衣装を着て「感情を込めない不思議な雰囲気」(山本)を表現。得点は21.200で好調なスタートをきる。 そして続くリボンの演技では、「男性に対して振り払う態度。大人の女性」(山本)を演じた。堂々とした振る舞いで観客を魅了。種目別では、21.500の4位と好成績を記録した。 2日間にわたって計4種目を演じた山本は総合9位でユニバーシアードの出場権にはとどかなかった。しかし、「成長できた」(山本)と緊張感の中での演技をこなしたことに手ごたえをつかんだ様子だった。 表彰台に登ることはできなかったものの、4種目それぞれで違う山本を表現していた。これからも更にその表現力にみがきをかけ、6月27日と28日に開催される最終決定競技会に挑む。READ MORE -
山本、2年連続入賞!最高のかたちで集大成を飾る/全日本選手権
体操「ありがとうーっ」――。演技後、山本に向けて響き渡る感謝の言葉。いつまでも鳴り止まない拍手。 4年間の集大成を終えた山本は、会場中からの温かい声と共に最後の舞台から降りた。 4年間の大学生活、また、約12年間もの競技生活を締めくくる全日本選手権。それは、今まで自分がやり通してきた新体操のすべてを披露する場であり、山本にとって思い入れの強い大会だった。「今まではミスを恐れて無難な演技にまとめがちになってしまっていました。全日本インカレの時はラストイヤーであることを意識しすぎて空回りしてしまったりもして……。こうしたいって思う欲が出てくれば出てくるほど難しくなってしまうけど、それも全部含めて自分。最後は思い切って挑戦的な演技をしたい」。ずばり、今回の山本の目標は「チャレンジ」するということだ。そして、狙うは2年連続の入賞(8位以内)。今年は昨年の全日本選手権と同時期に行われていたアジア大会の日本代表の選手たちも出場するため、昨年以上の激戦になることは明らかだった。それでも山本が目指す位置は変わることはない。「日本一を決める大きな大会。この場で自分の持っている力を試したい。自分のベストを尽くし、新体操を続けてきたことに心から良かったと思える演技をします」。そう力強い表情で語り、いざ全日本の舞台に立った。 1日目はフープとロープの種目が行われた。フープでは竹笛を使ったポワポワとした不思議な曲調の音楽で、異空間をさまよっているような独特の雰囲気ある演技を披露。また、ロープではギターで演奏された「桜風」という曲を使用し、スピード感あふれる情熱的な演技を見せた。大規模な大会ゆえの緊張感からか多くの選手がミスを連発する中、終始落ち着いた表情の山本。「緊張感はあったにはあったけど、技を制御してしまうような嫌な緊張感ではなく、やってやるぞといういい緊張感でした」。大きなミスすることなく、積極的に曲と手具とひとつになるような演技で、フープは自己ベストとなる23.850、ロープは24.075と共に高得点を記録。「ちょっとしたミスがあってもそれを続けることなく1本としての演技ができました。挑戦していくという目標にはいいアプローチができていると思います。明日もこだわる部分はこだわるけど、気負うことなく、責める気持ちで自分の演じたいと思うことを表現したいです」と本人も納得の滑り出しで明日につなげることに。2種目総合5位という好位置で前半を折り返した。 2日目の種目はリボンとボール。リボンでは「リベルタンゴ」という曲で男女の複雑な関係を秘めた雰囲気を表現した。男性を振り払ったり引き寄せたりするようにリボンを強く情熱的に操る。大きなミスはなく思えたが、22.975と得点は伸び悩む。続くボールでは、満月の夜に大切な人を想う一人の女性をイメージ。特別にバイオリンとピアノの生演奏で完成させた夜想曲でドラマチックな演技を展開した。途中ボールを挟む技に失敗して場外へ飛ばしてしまうというミスをしてしまうものの、引きずることなくほかの技を確実にこなしていく。得点は21.525と高くはなかったが、それは「チャレンジしようとした結果、出てしまったミスだった」とあくまで今回掲げた「挑戦」という目標に真っ向から向き合っての結果だった。 4種目合わせての最終総合順位は8位。目指していた2年連続の入賞が達成された。「入賞できて本当に良かった。(日本代表選手も出ている中での入賞は)すごく自分にとって大きいものだと思います。4年間の成長を実感できたし、それを評価してもらえたことがうれしいです」。ずっと誓ってきた入賞をつかみとり、満面の笑みを浮かべる山本。この快挙はやはり挑戦するという姿勢で今大会に臨むことができたからこそ成し得たものだ。「今まではミスをするとああやり直したいって思っていたんです。でも、今回試合を通してミスはあったけど、引けた気持ちではなく、前にでる気持ちで挑戦的ゆえに出たミスだったので後悔はないです」。自分のすべてを出し切るために、そして自分の可能性を広げるために覚悟して挑んだ挑戦は、最高のかたちで山本の集大成を飾ることとなった。 3日目は個人総合で各種目の上位8名のみが参加することが許される種目別選手権が行われた。山本は4位で通過したロープ、7位で通過したフープの2種目に出場。体力的にも精神的にもきつくなる最終日は「気持ちで勝った人が勝つ」という正念場だ。「もう、やるしかない」。山本の心の中はただその思いでいっぱいだった。ロープでは序盤に手具を落とすというミスや回転のぐらつきがあり、前半は焦りが目立つ動きだった。しかし、だんだんと自分のペースをつかみ落ち着きを取り戻していく。回転してからロープをつかんでのフィニッシュも見事決め、6位に入賞した。 続くフープは山本にとって全日本最後の演技、つまり競技生活最後の演技となった。曲がスタートすると同時に山本がつくる独特の世界が会場中に広がる。器具と曲とが山本と一体になり、ひとつひとつの技が流れるように繰り広げられていく。張り裂けんばかりに送られる声援、いつの間にか聞こえる手拍子……。気が付けば会場全体が山本の演技を一身に見つめ、ひとつとなっていた。曲が終わると同時に沸き上がる拍手。それに応えるかのように、山本が観客席に向かって礼を見せた。新体操を続けてこられたことに対する周囲への感謝やよろこび。言葉はなくても山本の意が痛いほどに伝わる瞬間だった。 「この3日間、結果にこだわらないで自分が伝えたいと思うものを表現することができました。大学生活4年間、競技生活12年間の思いをぶつけることができたと思います」。全日本選手権で2年連続の入賞を果たすという快挙。しかし、それ以上に自分が積み重ねてきた新体操を演じ切ったということが山本にとって何よりも意味のあることだった。自分を表現し続け、つかむことのできた栄光。最高のフィナーレを迎え、山本の最後の舞台は幕を閉じた。 今回の全日本選手権で山本は競技引退(公式戦での)を迎える。今までの新体操生活を振り返り、「本当に山あり谷ありの日々でした。それでも、新体操クラブと明治大学体操部という2つの居場所に支えられながら新体操を続けてこられたことを本当に幸せに思います」と語った。ひたすら新体操に励んできた日々。つらいことも苦しいことも決して少なくない4年間だったが、それでも「これだけ夢中になれるものはない」と片時も離れることなく新体操と向き合ってきた。「(新体操は)いつも傍らにいるパートナーみたいなものですね。自分を表現する場所であり、自分の居場所でもある」。 今大会後はひとまず休養をとり、将来について考えていく予定だという山本。しかし今後どんな道を選ぼうと、山本にとって新体操が人生におけるかけがえのない存在であることは変わりないだろう。READ MORE -
4年生、競技生活の集大成/全日本学生選手権
体操学生日本一を決める大会。男子は2年間主将としてチームを支えた織田主将(文4)、女子は大学から競技を始め試合ごとに成長を遂げてきた小林(営4)、2人の4年生が競技人生の集大成として試合に挑んだ。【男子】 「織田さん、がんばー」体育館に何度も何度も響く「頑張れ」の掛け声。その声援を受けて織田主将の演技が始まった。男子団体の最終種目、平行棒の最後の演技者。チームメートたちが見守るなか、次々と技を決めていく。5月の東インカレから難度を上げたという降り技まで大きなミスなくまとめると、笑顔でインカレ最後の演技を締めくくった。着地の瞬間、「織田さん、ありがとうございました」と観客席から次々と織田主将をねぎらう声があがった。明治の体操部で過ごした4年間。4年生がいなかったため、3年生の時から主将としてチームを引っ張ってきた織田主将。「これまで体操をやってきたバックグラウンドもそれぞれ違う。全部同じことを求めるのは難しい」。そんな個性的な部員たちをまとめてきた2年間を「楽しかったこと、しんどかったこと、全部が良い思い出」と振り返る。 この大会で主将は3年生に引き継がれるが、選手として引退はせず11月のしもつき杯には出場する意向。「選手としてやりたいことがいっぱいある」。織田主将の挑戦はまだ終わらない。織田主将以外の団体メンバーは全員が1、2年生という若いチーム。下級生たちも演技で織田主将を盛り立てた。初のインカレ出場となった1年生の下川(商1)。ゆかではチームの最終演技者として堂々の演技を見せた。あん馬では2度の落下があったが、それも技を増やして挑んだ結果。失敗をバネに、これからの飛躍を期待したい。同じく1年生の湯浅(営1)と佐藤(政経1)も、東インカレからの成長を感じさせた。「東インカレはボロボロだった。今回は失敗したくないという思いがあった」(湯浅)と1種目目は緊張からミスがあったものの、その後は自身も納得の演技。また、佐藤はつり輪やあん馬などで長身を生かした、美しい演技を見せた。あん馬では種目別の決勝に進出、安定した演技で見事に3位入賞を果たした。だが、目標だった個人総合での決勝進出がかなわなかっただけに、悔いの残る試合ともなった。2年生の藤井(農2)は跳馬で新しい技に挑戦。今回は着地の際に転んで手をついてしまったが、練習を積んで完成度を高めれば、新技も大きな武器となるはずだ。また、飯田(政経2)も平行棒でミスがあった以外は安定した演技でチームを支えた。 一方で今回、団体のメンバーには入らなかったものの、1年生の古本(商1)が個人総合の予選に出場。「全国規模の大会は初めてで緊張したけれど、同じ班でまわった他大の方が親切で…」と緊張のなかでも試合を楽しめた様子。苦手の鉄棒では離れ技を決め、着地もまとめたが、ゆかでのラインオーバーなどミスも見られ、今大会は「不完全燃焼」。今後の課題は「着地をしっかりすることと技を増やすこと」だ。これから行われる新人戦での新しい演技構成に期待がかかる。 「みんなに盛り上げてもらって演技できた。支えられて試合をやっているという感覚があった」(織田主将)。最後のインカレに臨んだ織田主将を演技で、応援で支えたチームメート。他のどの大学にも負けないくらいの大きな声援がチームの団結を物語っていた。【女子】 「演技が終わって泣けるっていいなって思いました」。4年間の集大成を見せ、笑顔で小林はそう語った。最終種目ゆかの演技。最後のポーズをばっちり決めた直後、「(4年間の体操部生活が)終わったよ」という意味を込めてサポートとして一緒についてくれていた同期である岡部(文4)を真っ先に見つめた小林。その目に映ったものは、彼女の涙であった。「1年生からずっと一緒にやってきたという思いから泣いてしまいました」(岡部)。そんな同期の姿を見て、小林も感動のあまり号泣してしまったという。 「激変の4年間でした」。体操部での日々を小林はそう振り返る。大学から体操を始め、今までと全く違う環境へ挑むこととなった。その中で活動していくにあたってぶつかった壁は数え切れないほど。最初はたくさんいた同期もだんだん減ってしまい、気づけば選手として活動しているのは織田主将と自分の2人という状況に。20人以上もいる部員をまとめるにはあまりにも少ない数である。選手としてありながら、部の主務として、そして部のトップとして活動していかなくてはならない。それでも小林は諦めなかった。4年間くじけることなく部を支え続け、「応援が充実したり、岡部のようなコーチがついてくれるようになった。部にとってそれは本当に大きいこと」と明治大学体操部の発展にどんどん貢献し続けた。 「しんどいこともぶつかったこともあったけど、最後にこうやって泣けるということは幸せなことだと思うんです」。小林の中で体操部での4年間は、彼女にとって誇り高き4年間としていつまでも刻みこまれる。 「ミスはそれぞれあったけど練習も意識もほかの大会とは比べ物にならないくらいみんな頑張ってきた。すごくいい試合だったと思う」。今大会において決して欠かすことのできなかったキーパーソンは、チームのサポートに徹した岡部である。すでに競技引退をしている彼女。しかし、チームを全日本へ導くために東インカレでは自らの強い決意により復帰。そして今回はコーチとして1ヶ月間チームを支え続けてきた。試合中も演技前の選手たちにアドバイスを送り、また、演技を終えた選手には笑顔で声を掛ける。常にチームと一緒に行動を共にし、自分のことのようにチームを見ている岡部。彼女の姿がチームにとって大きな励みになっていたことは言うまでもない。 ユニバーシアード日本代表を2回経験、ほかにもNHK杯や全日本個人で活躍など多くの輝かしい実績をもつ岡部。今までずっと日本のトップに立ち、個人の成績ばかりを追い求めてきたという。しかし、4年生になってから「誰かのために、チームのために頑張るという意味を学ぶことができた。そういう体操を知ることができた」と明治大学体操部でしか得ることのできなかったものを彼女は見つけた。それはきっと岡部にとって、これからもかけがえのない財産となるのであろう。「チームのために」。その一心で動く彼女の姿はどんなときよりも輝いていたのだから。 今大会を機に4年生が引退し、代替わりをするチーム。今、女子団体メンバーは小林を除くと1・2年生で構成されている。チーム最高得点をたたき出し、みんなをけん引した信藤(文2)。今大会で東インカレよりも技のレベルを上げ、得点を伸ばした脇山(営2)。今まで以上に練習から技を積極的に取り組むようになり、メンタル面を強くできた鈴木(政経1)。全日本で緊張する中、ノーミスで挑むと大きく演技できた庭田(文1)。それぞれがこの全日本という大きな舞台で成長を実感し、さらに上を目指す糧を手にいれた。彼女たちが今後どんな女子団体の未来をつくっていくのかが楽しみである。 試合後、自然と4年生を囲む輪ができた。そして織田主将の胴上げ。「1年ごとの思い出が蘇ってきた」という織田主将の目には涙が。チームみんなが涙で、でも晴れやかな笑顔で写真を撮り合う姿があった。4年生からバトンを受け取った3年生はインカレ後いよいよ部の中心となる。チームを引っ張る上級生、今シーズン様々な経験を積んできた下級生、チーム一丸となってさらなる高みを目指す。新生明治大学体操部の活躍に期待したい。READ MORE -
山本、3年連続の全日本出場へ/全日本学生選手権
体操山本、3年連続の全日本出場へ/全日本学生選手権 全日本学生選手権。日本中の選ばれた学生だけが集う今大会にて、一人ずば抜けた存在感を放つ選手がいた。山本千尋である。本学から唯一の出場でありながら、今大会のパンフレットの表紙に選ばれ、また多くの参加者の中から代表で開会式での選手宣誓も任されたのだ。選ばれた者の中でもほんの一握りの選手にしか経験できない、実に名誉深いことである。それだけの周囲からの期待を背負って今回の舞台に立った山本。自身にとって満足しきれる結果ではなかったが、昨年よりも順位を上げ3年連続の全日本への切符獲得を成し遂げた。【1日目】 最初に行われた種目はロープ。山本は赤と黒を基調とした衣装をまとい、アップテンポのかっこいい曲に合わせて演技を披露した。「クールな気持ちで臨むことができず、雑念が出てしまった」と序盤は動きに固さが見えてしまう。回転がよろけてしまったり、器具が乱れてしまったりとぎこちなさがあったものの、大きなミスをすることなくフィニッシュへ。次のフープでは、不思議な曲調にのって静と動が対極的に描かれたような舞いを見せた。終始落ち着きをもって演じていたように思えたが、本来やるべき技を回避してしまったりと「100%の力は出し切れていない」。 「ミスを大きなものにつなげないように動くことはできたが、よくなかった点が目立ってしまった1日だった」と山本は前半2種目を語った。これまでに1日1日のスケジュールを自分でたて、東日本インカレのときよりもぐっと密な練習の調整を行ってきた山本。そこから得た「自分の力を信じ、本来の自分の演技を発揮できるように」と2日目に挑む。【2日目】 2日目は個人総合の後半2種目、ボールとリボンが行われた。 ボールでは黒の衣装を身にまとい、ピアノとバイオリンのしっとりとした曲に合わせて「優雅で凛とした女性」を表現。しかし、「硬さが出て、本来の演技を出し切れなかった」と最後にボールを落とすミスを犯してしまう。このミスで「気持ちが沈みかけてしまった」と山本。それでも、次のリボンではボールのミスを引きずることなく「クリアな気持ちで演技に臨むことができた」とタンゴ調の曲に乗った情熱的な演技で観客を沸かせた。最終順位を9位で、3年連続の全日本出場を決めた。【3日目】 3日目は種目別の決勝。1、2日目の個人総合で各種目上位8名に入った選手たちだけが出場できる舞台だ。今大会、「4種目すべて決勝に進む」ことを目標の一つに掲げていた山本。その言葉通り、見事全種目で決勝進出を果たした。前半2種目のロープとフープは「今季で一番」と自身も納得の出来。3種目のボールでは中盤にミスが出たものの、その後は着実に技をこなした。 そして迎えた最終種目のリボン。1日で4種目全てを行う種目別では、最終種目ともなると選手たちの体力もメンタルも限界に近い。しかし、そのなかでも山本は誰よりも早くから体育館に出て最終調整に励んでいた。 「倒れてもいい。疲れよりもやりたいという気持ちが勝っていた」。山本を突き動かしたのは、ただ「演技をしたい」という思い。ひとり黙々と練習する姿に山本のメンタル的な強さがあらわれていた。 そして本番、圧倒的な表現力で一気に会場を引き込んでいく。力強く、そして華麗に。 最後まで大きなミスなく演じきり、4種目のなかで自身最高の5位入賞。確かな成長を見せた演技に大きな拍手が送られた。 3日間にわたっておこなわれた今大会。終了直後、部員に囲まれながら涙を流す山本の姿があった。 「(大会が終わったことで)はりつめていたものがなくなって、ほっとした」という。1分半という本当に短い限られた時間の中で全てを出し切らなくてはいけない新体操の演技は、常人では想像もつかないほどの緊張感や体力、精神力との戦いなのだ。 今大会を振り返り、「自分の演技をしたいという欲を出すことはいいことだが、それが空回りしてしまった」と悔しさをにじませた山本。いざ本番になったときに「無心」で演技することの難しさ、また、その中で無難にまとめあげるのではなく思いきり表現することの大切さを噛みしめた。しかしその一方で、「ミスに左右されない強い気持ち」をもって大会に挑むことができたという大きな収穫も。今回得た課題も成長も全てを次へのステップに生かし、山本はさらなる高みを目指していく。 いざ、全日本へ。READ MORE -
種目別あん馬で3位入賞/全日本学生選手権
体操種目別あん馬で3位入賞/全日本学生選手権 3日間にわたって行われたインカレ。団体は男女とも8位に終わったものの、1年生の佐藤が種目別のあん馬で決勝に進出。インカレ初出場ながら安定した演技で3位入賞を果たした。READ MORE
部の紹介 INTRODUCTION
華麗な技とダイナミックな演技は見る者を魅了する。日本のお家芸としても知られる体操競技。男子は床、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒の6種目。女子は跳馬、段違い平行棒、平均台、床の4種目で構成されている。明大体操部は男子部と女子部に分かれており、5月に行われる東日本インカレで勝ち上がると、8月に行われる全日本インカレの出場権を獲得できる。また、11月には一般入部の選手が出場する霜月杯が行われる。現在、2部リーグに所属する体操部。1部昇格に向け日々練習を欠かさない。