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法大に零封負け 準々決勝進出ならず/関東地区大学選手権
準硬式野球 2024.03.213回戦を突破した明大に立ちはだかったのは難敵・法大。試合は中盤までロースコアの接戦となったが、終盤に守備の乱れから主導権を握られる。打線の反撃を待つも、相手投手陣の前に無得点で終わり、4回戦で無念の敗退となった。 ◆3・11~24 関東地区大学選手権(早大東伏見グラウンド他)▼3・19 4回戦 対法大戦(サーティーフォー相模原球場) 明大0―6法大〇 4回戦123456789計 明大0000000000 法大10000230×6 先発の森慎之介投手(商2=佼成学園)は1回裏、2死一、三塁のピンチを背負うと「詰めが甘かった」と適時打を放たれ、先制を許す。ただ2回表は三者凡退に抑えると、3回裏は2死満塁を無失点でしのぎ、3回1失点と先発としての役割を果たした。 この試合では1年生下の亘翔大朗捕手(理工1=大分上野丘)とのバッテリーだったが「(亘が)気を遣うことなく考えを伝えてくれたので、コミュニケーションはしっかりと取れた」(森)と手応えを感じていた。 打線は3回表に満田悠生内野手(営2=中京大中京)、前國藤海斗外野手(政経2=明大中野)が連打で好機をつくるも得点にはつながらず。その後も走者を得点圏に進めるも、本塁を踏むことはなかった。 明大は4回裏から近藤吏矩投手(営3=札幌一)が登板し、早めの継投に。近藤は制球が定まらない中でも粘りの投球で4、5回裏を無失点で切り抜ける。しかし6回裏に2点を奪われると、7回裏には連打を浴び3点を奪われた。 なおも2死二塁のピンチで登板した田村陽大内野手(農3=花巻東)は「三振を取りにいくくらいの強い気持ちだった」と狙い通り三振を奪い、さらなる追加点は許さなかった。 田村は「無失点で抑えて流れを少しでも持っていきたかった」と8回裏のマウンドにも上がった。 打者にこそ安打を許すも、後続を断ち切り打線の反撃を待つ。奮起したい打撃陣だったが、相手投手のタイミングに合わせられず三者連続三振。法大に0―6で敗戦し、今年の関東地区大学選手権はベスト16という結果となった。 試合を振り返って吉原瑠人主将(法3=仙台育英)は「負けるべくして負けたが、悪いところは全部出た。走者が出たときは積極的にエンドランを仕掛けられたのは良かった」と決して悲観的ではない。チームの次なる舞台は東京六大学春季リーグ戦。そこへ向けては「その日ごとの課題をしっかりとこなし、次に切り替えて臨むことをみんなで共有してやっていきたい」(吉原)。 『下剋上』への道は、まだ始まったばかりだ。 [北原慶也] 試合後のコメント吉原――春リーグの目標をお願いします。 「目標は優勝です。1戦1戦を勝っていくつもりでやれば優勝につながると思うので、準備と確認にこだわって、優勝できるように頑張りたいと思います」 田村――個人としての課題はありましたか。 「打撃や守備など、いろいろな場面で課題が出ました。春季リーグ戦まで時間があるので、そこまで詰めていればと思います」 森――今後の展望をお願いします。 「また法大とは絶対に当たるので、今日の反省を思い切って勝ちたいと思います」READ MORE -
初回から猛攻! 共栄大相手にコールド勝ち/関東地区大学選手権
準硬式野球 2024.03.152回戦が不戦勝となり、明大は3回戦に臨んだ。共栄大相手に初回から8点を奪うと、その後も攻撃の手を緩めず4回裏までに15得点。コールドゲームとなり、4回戦へと駒を進めた。 ◆3・11~24 関東地区大学選手権(早大東伏見グラウンド他)▼3・15 3回戦 対共栄大戦(藤代スポーツセンター野球場)○明大15―2共栄大 ※大会規定により5回コールド 1回裏、明大は3者連続で四球を選ぶと、4番・田村陽大内野手(農3=花巻東)が放った右方向への打球を相手野手が落球。その間に1点を先制する。続く打者も死球で出塁し、大量得点の好機が続く。福田竜大外野手(商3=鎌倉学園)、河野壮希内野手(営2=明大中野八王子)、亘翔大朗捕手(理工1=大分上野丘)らが3連続となる適時二塁打を放つなど、この回無死の状態で打者一巡。8得点の猛攻で大きくリードする。その後も打線はつながり、毎回得点で相手を圧倒する展開に。この試合猛打賞となった福田は「前回の試合で打てなくてチームに迷惑を掛けたので、今日打とうという思いで(打席に)入って結果的に3安打で守備もいい形で良かった」と振り返った。 投手陣は先発の深瀬暖人投手(営1=三嶋南)が打たせて取る投球で2回を投げ無失点。2番手で登板した徳田叶夢投手(法2=高松商)は3回に2点を失ったものの、4回を無失点に抑え、最終回となった5回を近藤吏矩投手(営3=札幌一)に託す。「短いイニングだと集中して臨めて、思い切り100パーセントを出しやすいので、今日は良かった」と無失点で試合を締めくくった。 4回戦の相手は法大。「今まで以上に相手のレベルも上がってくると思う。ミスした方が負けると思うので、しっかりミスなく自分たちの野球をやって勝てるよう頑張る」(近藤)。目標の関東王者に向けて、次戦が一つ山場となるはずだ。チーム一丸となって負けられない戦いに挑む。 [堀口心遥]試合後のコメント近藤――今シーズン初登板はいかがでしたか。 「手応えはいい感じなので、次戦の法大にしっかりまた準備して臨みたいと思います」 ――最終シーズンはどのような1年にしたいですか。 「ここ数年全日本選手権に出るのに遠ざかっているので、最終シーズンはまず関東大会優勝して、全日本優勝するというのが自分らの目標なので、そこを達成できるように頑張りたいと思います」 福田――打撃の調子は上がってきていますか。 「そうですね。1回戦から別に悪くはなかったのですが、結果が出ていない状態で、今回は出て良かったなと思います」 ――チームの雰囲気はいかがですか。 「今まで練習を積み重ねてきて、結構チーム力というか団結力というのは上がっているかなと思っています」 亘――試合を振り返っていかがですか。 「初スタメンだったのですごく緊張したのですが、ベンチの学生コーチとか選手だったりが『緊張しなくていいぞ』と言ってくれたので、結構楽しく野球ができました」 ――キャッチャー目線で投手陣の状態はいかがでしたか。 「みんな真っすぐも走っていて、特に近藤さんは最近少し調子が上がらないと言っていましたが今日調整ができていて、いい球が来ていたので良かったと思います」READ MORE -
球春到来! 今年初の公式戦をコールド快勝で初戦突破/関東地区大学選手権
準硬式野球 2024.03.12 新体制となり初めて臨んだ公式戦。芝浦工大を相手に打線は6安打6盗塁14得点を挙げた。また投手陣は3人の継投で5回無安打無得点を達成するなど相手打線を圧倒し、次戦へと駒を進めた。 ◆3・11~24 関東地区大学選手権(早大東伏見グラウンド他)▼3・11 1回戦 対芝浦工大戦(あきる野市民球場)○明大14―0芝浦工大 ※大会規定により5回コールド 明大は1回表に先頭から2者連続で四球を選ぶと、けん制悪送球が絡み無死一、三塁の好機を迎える。宇津木一朗外野手(営3=川越東)への2球目を相手投手が暴投、その後二死から遊野選でこの回2点を先制する。2回表は四球や相手の失策で走者をため、4番に座った田村陽大内野手(農3=花巻東)が打席へ。「初回表の好機で三振してしまったので次はつなごうと思い、打ちにいった」と2点適時三塁打を放つなど一挙に4得点。5回表にも二者連続の押し出し四球などで得点を重ね、大きくリードを広げた。 先発は森慎之介投手(政経2=佼成学園)。「相手を意識することなく、キャッチャーミットをめがけて投げるようにした」と3回2奪三振と抑え込んだ。2番手の小磯孝平投手(政経2=日大二)、続く松浦寿和投手(法3=明大中野八王子)らもそれぞれ1奪三振を挙げる完璧な投球で上々の仕上がりを見せた。 投打のかみ合った試合を見せた明大。吉原瑠人主将(法3=仙台育英)は「初の公式戦ということもあるので、今後はもう少し打てるようにしたい。ただ守備と走塁がしっかりとできていたことは収穫」と試合を振り返った。目標の優勝へまず一歩近づいた。次戦も手堅く勝利をつかみにいく。 [阿部倖明] 試合後のコメント吉原――試合で何か意識したことはありますか。 「去年からずっと課題だった『守備』と『走塁』を意識しています。攻撃に関してはその日によっていい日と悪い日があるので、しょうがないと思います。なので守備と走塁は徹底して、それらが崩れなければいいリズムとなり攻撃に生かせるので、準備と確認はしっかりやっていきました」 ――リード面ではいかがでしたか。 「投手にはとにかくまっすぐで強くいくこと、ストライク先行しようと伝えました。投手陣は冬に走り込みなどのトレーニングを多めに行ってきたので、その成果は出ていたのかと思います」 相川幸太郎内野手(政経3=昭和)――金澤永輝前主将(法4=花巻東)と同じ遊撃を守っていますがプレッシャーなどはありますか。 「少し壁は高いですが『自分にできることをやる』『そこまで意識しすぎない』と考えてやっています」 ――次戦以降への意気込みをお願いします。 「相手関係なく、自分たちがこれまでやってきたことを出すっていうのを意識しながら戦っていきます」 田村――今年度はどのようなシーズンにしていきたいですか。 「もう最終年となるので、まずこの大会優勝して、(東京六大学)春季リーグ戦も優勝。そして全日本大学選手権も優勝し、全部優勝で締めくくりたいと思います」 森――狙ったところに制球できたという感覚はありましたか。 「ストレートはできたと思います。ただ変化球の制球はいまいちだったので、そこは課題だと思います」 ――今日の投球全体を振り返るといかがでしたか。 「70点です。やはり変化球がうまく操れなかったのが気になりました。しっかりとストレートだけでなく変化球でもカウントを取れるようにしたいです」READ MORE -
東京六大学準硬式野球連盟創立75周年記念式典・祝賀会が開催
準硬式野球 2023.12.13◆12・9 東京六大学準硬式野球連盟創立75周年記念式典・祝賀会(リーガロイヤルホテル東京) 昨年度創立75周年を迎えた東京六大学準硬式野球連盟(以下、連盟)。9日、コロナ禍の影響を受け開催が延期されていた記念式典が開催された。明大からは金澤永輝前主将(法4=花巻東)、吉原瑠人新主将(法3=仙台育英)、相川幸太郎選手(政経3=昭和)、島本逸平選手(商2=明大中野)が出席。大橋弘隆連盟理事長の開会の辞に始まり、宮内孝知連盟会長のあいさつ、来賓の方のあいさつとともに75年の歴史を振り返った。 式典中盤には、第105回全国高等学校野球選手権大会で107年ぶりの優勝を果たした慶應義塾高校野球部監督の森林貴彦監督の特別講演も。‶Enjoy Baseball〟をスローガンとし一躍注目を集めたが、その真意はただ‶楽しい野球〟ではない。「『楽しい野球』ではなく『よりレベルの高い野球を愉しもう』」。地道な練習の連続、試行錯誤、切磋琢磨(せっさたくま)といったプロセスも含めて愉しむ、これが慶應高の掲げた目標と話す。 歓談中には、法大準硬式野球部出身の元プロ野球選手・呉俊宏さんの紹介や、プロ野球ドラフト会議2023にてオリックス・バファローズから5位指名を受けた現王子野球部の高島泰都投手(令4法卒)が登壇。準硬式野球からのプロ指名は異例中の異例で、明大史上初。プロ入り自体では岡田忠弘氏以来65年ぶり2度目となる。この快挙を成し遂げた高島は「準硬式を背負って頑張りたい」とプロでの活躍を誓った。 また、今春WBC侍ジャパンの監督を務めた栗山英樹さんからメッセージ動画が送られるなど、多彩な出席者が式典を彩った。太平洋戦争のわずか2年後から続く東京六大学準硬式野球連盟。75年の歴史の重みを感じながら、今後も準硬式野球発展の一助となれるよう活動に努めたい。 [布袋和音] READ MORE -
オリックスから5位指名 高島泰都 歩んできた道の名は④/ドラフト指名特別企画
準硬式野球 2023.11.1910月26日、ドラフト会議にてオリックス・バファローズから5巡目指名を受けた高島泰都投手(令4法卒=王子)。元甲子園球児は大学で準硬式の道へ。苦戦した入学当初からエースにまでのし上がった訳は。そして社会人野球で再び硬式に戻り、ドラフト指名を受けた高島。異色の球歴をもつ右腕は何を経験し、プロの世界で何を見据えるのか。今回はプロ入りと今後の道のりをお届けする。11月9日発行の明大スポーツ第532号の2面に掲載した記事と併せてご覧ください。 18時43分の歓喜 10月26日の午後5時過ぎ、プロ野球ドラフト会議が始まった。プロ志望届を提出した高校生と大学生、計311人の候補選手たちと、社会人選手ならびに独立リーグに所属する選手たちの運命が決まる。なお、社会人選手はプロ志望届を提出する必要はない。高島はこの日をどう過ごしていたのか。「特別な一日ではなかった、普通に過ごしていた」。ドラフト候補の選手とはいえ、一社会人。平日ということもあり、午前中は王子製紙で勤務を、午後からはチーム練習と、普段と変わらない一日だった。「練習中にドラフトが始まって、見ながらウエートトレーニングとかやっていた。帰ってシャワーを急いで浴びて、見ながらご飯を食べようと思ったところに指名された」。高島はその瞬間を思いがけないタイミングで迎えた。18時43分、オリックス・バファローズから5位で指名を受けた。 「すごいびっくりしたっていうのが一番強かった」。高島は急いで報道陣からの取材に答えると、先輩や同級生、後輩、監督などさまざまな方からの祝福をもらった。翌月曜日に行ったこの取材でも「徐々に実感は出てきたかな、と思うがまだちょっと信じられないというか、本当に指名されたのかなって思いで金曜日は過ごしていた」と本音を打ち明けた。高校次は想像すらしていなかった出来事。大学時代で徐々に意識し始め、そして「2年でプロ」を目標に飛び込んだ王子。宣言通り、入部2年目で達成された待望の瞬間だった。 「先発・高島」の実現性 高島を指名したのはオリックス・バファローズ。現在パ・リーグを3連覇し、今年度の日本シリーズにも出場するなど、圧倒的強さを誇る球団。「投手力がすごい強いチームで、即戦力という形で指名されたと思う。そこに食い込んでいけるかというところ。でもいい球団に指名していただけた」とオリックスに対する印象を語った。オリックスの防御率はリーグ1位。先発陣には山本、宮城、山下、山﨑福、東、田嶋ら層が厚い。一見すると付け入る隙がないように思われるが、山本は今オフにメジャーリーグに移籍する可能性が高く、山﨑福もFA(フリーエージェント)宣言をして、去就が未定。今季の先発ローテーションを支えた2人が移籍するとなると、リーグ4連覇も安泰とは言い難い。 高島は先発にこだわりがある。大学時代、社会人時代とほぼずっと先発として投げ続けてきた自負があり「先発ローテーションを目指してやっていきたい。先の話になると思うんですけど、いずれはタイトルとかも狙えるようなポジションにいければ」。将来的な目標として語った高島だが、いきなり1年目から1軍の先発に抜擢される可能性は十分だ。 1年目の理想像 即戦力として期待されて指名を受けた以上、1年目から活躍は必須条件となる。その中で目下のライバルとなるのは同じくドラフトで6位指名された古田島成龍投手(日本通運)と7位指名された権田琉成投手(TDK)。古田島投手に関しては「去年の(JABA)九州大会で(古田島投手が)先発してきて、王子のバッター陣も『結構いいよ』と言っていた」と話し、権田投手については「今年の(JABA東京)スポニチで対戦して、向こうも抑えてきた」。社会人では名の知れた2人のピッチングを目の前で見てきた高島だからこそ出せる自身の長所とは。「2人とも球が速いパワーピッチャーだと思うので、球速で勝負するよりは、試合を作るというところ」。高島は制球が良いため、四死球を出して試合が崩れてしまうことは考えにくい。2人に合わせて無理に球速を上げることはせず、自身の投球スタイルをそのままに、さらなる高みを追い求めていく。 具体的に1年目はどのような成績を残したいかについては「チームに貢献できるのが一番だと思う。先発だったら貯金を作れるように、中継ぎだったら1試合1イニングでも多く投げた方がチームのためになると思う。試合でしっかり、絶対活躍してチームに貢献できれば」と答えた。今は起用法を問わず「キャンプ含めてしっかり投げられるようにして、そのままオープン戦とかで徐々に結果を出して、開幕1軍が理想の流れ」。 歩んできた道の名は 高島は準硬式野球出身選手として、準硬式野球を盛り上げたい気持ちがある。「自分が現役で150キロ出しても注目度がない分、取り上げられる機会が少なかったなと思っていて。そこは悲しかったし、僕が(話題を)もたらすことで準硬式が注目されて、そこにいるピッチャーとかバッターとかがどんどん注目されて公の場に出ることになれば僕もうれしいし、そうなっていけば」。プロでの活躍で、準硬式へスポットライトを当てる〝準硬の星〟となる。 ここまで、4回にわたって高島が歩んできた道のりをお届けしてきた。これまでにプロ入りした選手たちの球歴を見たとき、大学時代を準硬式でプレーし、社会人で再び硬式に戻ったという球歴は「正規ルートっていうか、王道のルートではない」。だがそれでもいい。むしろ、その方がいい。「そこで注目されるのは全然いいことかなと思う。準硬式出身の選手が頑張っているとなると、応援してくださる方も増えていく。準硬式を今やっている人たちにも勇気を与えられると思う。僕が注目される分、準硬式も注目度が上がる」。挫折ともいえる高校時代から、準硬式に出会い、そこで得た技術と経験を社会人で生かし、プロ選手となる。この過程のどれか一つでも欠けると今の高島にはならない。これまで歩んできた道の名は、『高島なりの王道』である。 最後に改めて高島の持ち味を聞いた。「真っすぐとカットボールとチェンジアップを軸に投球していくスタイル。三振を多く取るというよりは、打たせて取るピッチングで、(相手を)塁に出しても粘りの投球ができるところ」。この強みをこれからも変わらずに発揮できれば、先の道は明るい。プロという新世界へと進む高島が、オリックス・バファローズの新参者として、これから歩む道の名も変わらないだろう。 [北原慶也] ◆高島 泰都(たかしま・たいと)令4法卒、滝川西高。オリックスファンに向けて一言。「ファンの皆さんがとても温かい球団だと思うので、オリックスファンの方々の期待に応えられるように頑張っていきたい」。181センチ・80キロREAD MORE -
オリックスから5位指名 高島泰都 歩んできた道の名は③/ドラフト指名特別企画
準硬式野球 2023.11.1610月26日、ドラフト会議にてオリックス・バファローズから5巡目指名を受けた高島泰都投手(令4法卒=王子)。元甲子園球児は大学で準硬式の道へ。苦戦した入学当初からエースにまでのし上がった訳は。そして社会人野球で再び硬式に戻り、ドラフト指名を受けた高島。異色の球歴をもつ右腕は何を経験し、プロの世界で何を見据えるのか。今回は王子入社とその活躍までの道のりをお届けする。11月9日発行の明大スポーツ第532号の2面に掲載した記事と併せてご覧ください。 準硬式から再び硬式へ 準硬式ながら150キロを出した高島はプロ志望届を提出しなかった。「150出した時は、もう王子がほぼ決まっていた状態だったので、大学からプロではなく、王子で2年間結果残してプロに行こうと思っていた」。高島は複数の社会人野球部からオファーがあったが、強豪が多い東海地区に所属する、王子へ進む決断をした。「準硬式のOBの方に王子の関係者がいて、話をつないでもらって。1日だけ練習に参加してブルペンを見てもらって、前の稲葉監督で内定を頂いた」と経緯を説明。さらに当時、王子のマネージャーは早大準硬式野球部から王子、そして広島東洋カープでプレーした経験のある川口盛外氏。本人の努力はもちろんのこと、準硬式野球部出身という縁もあっての入社となった。 準硬式から硬式に戻るとなると、まずボールへの対応が課題となる。その点については「自分が大学4年間でつけた技術とかは、変わらないところもあると思う。投げたことない球でもなかったんで、徐々に慣れていくだろうな」と自信を持っていた。実際、社会人でも大きく崩れた試合は少ない。「早めの段階で慣れたので、そんなに苦労したことはなく、スムーズにいけた」。硬式球に対する4年間のブランクはあれど、野球に対するブランクはない。硬式でも能力を遺憾なく発揮し、力があることを証明してみせた。 生きた準硬式の経験 王子には多様なタイプの選手が所属している。チームの大黒柱でベテランの近藤均投手を始め、左投げのサイドスロー、パワーピッチャーにアンダースロー。バラエティに富んだ選手たちを前に、高島は何を武器に自身の立場を確立したのか。「自分が勝負できるのは、試合を崩さないコントロールの部分と、球速もある程度ある方だなと思った」。準硬式時代に身に付けた制球力を含め、総合力で勝負。中継ぎから始まり、信頼を得てからは先発へ。「大学の時からずっと先発でやっていて、プロを目指すなら先発の方が可能性は高いなと思っていた」。入部当初に思い描いていた通りに進むことができた。 実はもう一つ、準硬式で得た武器があった。「ずっとリーグ戦とか全国大会とか準硬式の時に投げて、公式戦の緊張感というか、そういうのは慣れるのも大事な部分があると思う」。エースとして、これまで何十試合と腕を振ってきた高島。「あまり上がりすぎないでメンタルコントロールができるという部分は、準硬式の公式戦でいっぱい投げた経験が生きたのかなと思う」。社会人に入ってから緊張して投げたことはほぼないという。今年度は社会人野球の最高峰である都市対抗野球大会にも出場。東京ドームで先発し、北海道ガスを相手に7回無失点の好投を披露した。チームとしては5年ぶりとなる都市対抗野球大会での勝利。その際も「そんなに緊張せずに、いつもの自分のペースで試合入って投げれた」と落ち着いてアウトを積み重ねていった。 迫り来る運命の日 社会人野球でも最速150キロをマークし、投げれば毎回好成績を残す。この逸材はプロも注目。「でかい大会は(スカウトが)来ているなっていうのは、自分の中で思っていた」。先ほど紹介した都市対抗野球大会の試合はもちろん、高島が投げる球場には毎回複数球団のスカウトが視察に訪れる。「地方の大会で投げる時とかは、(対戦相手の)コーチから『今日何球団来てんで』みたいに言われて、変に緊張させられる(笑)」。いくら緊張しにくい高島でも、多少は意識してしまうようだ。スカウトからの評価は「うれしかったっていうのはありますけど、あまりうのみにせず。励みというかいい方向に捉えようと思っていた」と思い上がらずに、自身のモチベーションにつなげて投げ続けた。 ドラフト前最後の大会となった日本選手権東海地区最終予選には4試合に登板し、防御率1点台。計8球団のスカウトが視察に訪れており、彼らの前で最高のアピールをすることができた。大会を終え、あとは吉報を待つのみとなった高島。「社会人でやるからには2年でプロ目指して頑張ろう」と決めた目標は果たして達成できるのか。運命の日が、1カ月後に迫っていた。 [北原慶也] ※④はこちら ◆高島 泰都(たかしま・たいと)令4法卒、滝川西高。都市対抗野球大会の初戦の相手、北海道ガスには滝川西高の同期でエースだった鈴木愛斗投手が所属。鈴木投手が3回から登板し、2イニングの投げ合いが実現した。大会前の組み合わせ抽選を終えた後「まさか本当に当たるとはね、みたいな感じで電話をした。なかなか自分が高校時代には実現しない対戦だったので、うれしかった」。181センチ・80キロREAD MORE -
準硬を甲子園で! 全国の精鋭たちが一堂に集う/全日本東西対抗日本一決定戦甲子園大会
準硬式野球 2023.11.15 前年度、雨天のため中止を余儀なくされた全日本東西対抗日本一決定戦甲子園大会(以下、東西日本一決定戦)。今年度は天候に恵まれ、無事晴天の下での念願の開催となった。球児の聖地とも呼ばれる甲子園球場で、全国の大学準硬式野球部員が躍動した。 ◆11・14 全日本東西対抗日本一決定戦甲子園大会(阪神甲子園球場)▼〇東日本選抜6―4西日本選抜 日本一決定戦123456789計 西日本0102010004 東日本13010001×6 前年度、準硬式野球連盟設立75周年記念として開催が予定されていた東西日本一決定戦だったが、当日の雨で中止という悔しい結果に。その無念を晴らすべく、今年度こそという思いを胸に全国の準硬式野球部員は甲子園球場に降り立った。その願いが届いたのか、小春日和の晴天という素晴らしい天候の下、選手たちが躍動した。午前中には、前年度甲子園でのプレーがかなわなかった部員によるエキシビションマッチが開催。明大OBからは永井克樹さん(令5営卒)が3番・右翼手で出場すると、第1打席から適時打となる左二塁打を放つ。続く2打席目も安打とし、4打数2安打の活躍に、明大を率いたパワーヒッターの打力を甲子園の舞台でも見せつけた。 (写真:打点を挙げ笑顔でハイタッチする永井(左)) 午後からは、今年度の東西選抜メンバーによる決定戦が行われた。明大から選出された金澤永輝主将(法4=花巻東)は2番・遊撃手でスタメン入り。高校時代も立ったこの大舞台を振り返ると「高校の時はプレッシャーしかなくて縮こまって初戦敗退と、あっという間に終わってしまった。あまりいい思い出がない」。しかし、あれから4年。同じ球場、同じ守備位置でも見える景色は違っていた。「本当に楽しかったの一言」。プレー中やベンチで見せた笑顔がその様子を物語る。 (写真:仲間の活躍に笑顔を見せる金澤) 第1打席は犠打を試みるも、2度失敗。ヒッティングに切り替えた4球目、一、二塁間を破る安打でつないでみせた。その後、金澤の持ち味の鉄壁の守備でも魅せる。3回表には体勢を崩しながらも逆シングルで捕球し、一塁への正確な送球で観客を沸かせる場面も。選手交代も多く見られる中、数少ないフル出場を果たした金澤は「東日本からいろいろないい選手がそろっている中で、1試合フルで出していただけたのは本当にうれしかったし、それに見合ったプレーをできるようにと思っていた」。最終打席でも、高めの球をたたきつけた当たりが際どいタイミングとなるも、渾身(こんしん)のヘッドスライディングでセーフに。4打数2安打1打点と、かつての甲子園での苦い思い出を払拭する活躍を見せた。 先日のドラフト会議では明大準硬式野球部出身の高島泰都選手(令4法卒・現王子)がプロ指名を受けるも、いまだ知名度は高くない準硬式野球。今回の甲子園での東西日本一決定戦開催によって「硬式野球に比べたらあまり有名でもなくレベルも低いかもしれないですが、準硬が高校生の一つの選択肢になってほしいですし、準硬やりたいという人が増えてくれたらいい」。確かに今大会の観客数は内野席に1000人ほど。今回の試みを機に、競技者の増加に期待することはもちろん、さらに多くの人が球場に足を運ぶことで準硬式の発展につなげたい。いつの日か満員の甲子園でプレーができる日を願う。 [高橋佳菜、布袋和音] 試合後のコメント金澤――今大会は緊張されましたか。 「あまり緊張することはなく、楽しみしかなかったです。(ご自身のプレーに点数をつけるなら何点ですか)もう100点でいいかなと思います」 ――甲子園はどのような存在ですか。 「一言で表すのは難しいですが、自分は小学校から、プロ野球よりも高校野球とか甲子園を見てきて、プロ野球選手になりたいという思いよりも甲子園で野球がしたいという思いで高校を選んで入学してきたので、自分の一つの原点であって、モチベーションの一つかなと思います」 READ MORE -
オリックスから5位指名 高島泰都 歩んできた道の名は②/ドラフト指名特別企画
準硬式野球 2023.11.1310月26日、ドラフト会議にてオリックス・バファローズから5巡目指名を受けた高島泰都投手(令4法卒=王子)。元甲子園球児は大学で準硬式の道へ。苦戦した入学当初からエースにまでのし上がった訳は。そして社会人野球で再び硬式に戻り、ドラフト指名を受けた高島。異色の球歴をもつ右腕は何を経験し、プロの世界で何を見据えるのか。今回は準硬式での覚醒のきっかけから大学卒業までの道のりをお届けする。11月9日発行の明大スポーツ第532号の2面に掲載した記事と併せてご覧ください。 転機は突然訪れて 高校までプレーしていた硬式から、大学は準硬式に転向するも当初は苦戦を強いられた。練習や戦略自体を大きく変えることはなかったが、成長のためには何かしらの変化が必要。その中で高島は1年次夏にオープン戦に登板。すると「コントロールのこつを急につかんだ」。突如、制球が安定した。理由については「徐々に準硬式に慣れた」や「今日感覚いいなっていう感じだった」と、いろいろ考えられたが明確な要因は全くわからないという。ただ、オープン戦はお盆休みに入る前。問題は休み明けの練習でその感覚を覚えているかどうか。そして休み明けの練習で、その感覚は忘れていなかった。高島は完全に、こつをつかんだ。 そこから高島はリーグ戦の1戦目を任せてもらえるように。先発としての地位を確立すると、1年次秋季リーグ戦から2年次秋季リーグ戦までで21試合に登板。10勝を挙げ、特に2年次春季リーグ戦では7試合で投球回43、防御率1.69と抜群の成績を残した。チームも成績が向上し、高島が2年次には関東選手権で優勝を果たす。個人としてもチームとしても最高の状態で、3年を迎えようとした時だった。 直球と変化球の進化 「全体練習もなく、リーグ戦も中止になってしまったので、もう一回自分の体とかを見つめ直そう」。コロナウイルスのまん延により、部の活動が一時停止となった3年次春。その間、高島は己と向き合い、ウエートトレーニングに打ち込むことにした。「それをやって結構球速とかも上がったので、その期間があって良かったかな、とは今思える」。コロナ禍になる前の最速は145キロ。それが全日本9ブロック対抗大会で150キロを計測した。「(球速が)出やすいガンではあったんですけど、投球練習で145キロ出て『なんか今日出そうだな』って感じではあった」と振り返る。高島は「選抜チームの先発だったので、試合を崩さない程度に、狙える場面になったらちょっと力んで投げたが、狙って出したわけでは(ない)」。球速が出にくい準硬式球で、狙わずして大台に乗せた。 直球が150キロを計測すると、より重要性が増すのは変化球。「高校の時はカーブとスライダーだけで、そんなに球種が多くないタイプのピッチャーだった。リーグ戦は毎年2回あって、同じ相手とやると相手も慣れてきて、3年4年になったら通用しなくなる」と危機感を覚え、新たにチェンジアップとカットボールの2球種を習得。「真っすぐで押していたのもあって、相手がチェンジアップを振ったり、カットボールに詰まってボール(球に手)を出して、というのもできた」。これと同時に、投球スタイルも三振狙いから打たせて取るピッチングへ。今もこのスタイルは変わらない。 エース、4年生として リーグ戦が再開された後も高島の快進撃は続く。卒業までにリーグ戦には17試合に登板して驚異の12勝。4年次秋は5戦5勝、奪三振率は9.00、K/BB(奪三振と四死球の比率で、制球力を表す指標。3.5を超えると優秀とされる)は6.33と名実ともにエースとなった。4年次と1年次を比べて何が一番変わったのか。尋ねると高島は「マウンドに立つことによって、責任感が徐々に出てきた」と答えた。「『自分がこけたらリーグ戦もこけるな』っていう思いもありながら投げていた。1年生の頃には先輩におんぶにだっこみたいな感じだった。4年生になって、自分がチームに欠かせない(存在にならない)といけないなとは思っていた」。エースになったからこそ、自分の存在がチームにとって大きい。その自覚と責任感を感じていた。 また、高島は後進の育成にも力を注いだ。「二つ下の代に10人くらいピッチャーが入ってきて、リーグ戦は僕と前田(剛志さん・令4農卒)がほぼリーグ戦で投げてしまっていたので、次の(世代の)ピッチャー大丈夫かなと思っていた」。競争社会とはいえ、4年生が出ずっぱりだと下の世代の登板機会はなかなか回ってこない。「何か残せるものがあれば。練習中、後輩がピッチングしてたら後ろから見ていたり、何か聞かれると『こういう練習の方がいいんじゃないか』とアドバイスした」。試合以外でも、4年生として責任感を持ち、後輩、そして今後の部のためにできることをやっていった。 一番印象に残っている試合は何か、という質問に対して「最後に(秋季リーグ戦)2位まで出られる関東王座」と答えたのは、そうした経験があったからこそだろう。「初戦東海大とやった時に、みんなでツーアウトから粘って粘って、サヨナラ勝ちは結構うれしかった」。この大会が明大として出場した最後の大会かつ先発で、8回途中2失点の熱投。最後は同級生と後輩と、みんなで勝利をもぎ取った。 レギュラー争いすらできなかった1年次から、ひょんなことから覚醒の足掛かりを手にし、最終的にエースとして君臨した高島。準硬式野球部で波乱万丈の4年間を駆け抜けた。そして次なる舞台は社会人野球。再び、硬式球を手に取る。 [北原慶也] ※③はこちら ◆高島 泰都(たかしま・たいと)令4法卒、滝川西高。大学を卒業した後も準硬式の試合は一球速報で確認している。「田村(陽大内野手・農3=花巻東)とか結構頑張っていると思うし、金澤(永輝主将・法4=花巻東)も最後、4年間の集大成でベストナインを取れてよかった。あと吉原(瑠人捕手・法3=仙台育英)はなんでファーストをやっているのかな」。181センチ・80キロREAD MORE -
オリックスから5位指名 高島泰都 歩んできた道の名は①/ドラフト指名特別企画
準硬式野球 2023.11.1310月26日、ドラフト会議にてオリックス・バファローズから5巡目指名を受けた高島泰都投手(令4法卒=王子)。元甲子園球児は大学で準硬式の道へ。苦戦した入学当初からエースにまでのし上がった訳は。そして社会人野球で再び硬式に戻り、ドラフト指名を受けた高島。異色の球歴をもつ右腕は何を経験し、プロの世界で何を見据えるのか。今回は明大準硬式野球部入部当初までの道のりをお届けする。 11月9日発行の明大スポーツ第532号の2面に掲載した記事と併せてご覧ください。 快挙にたどり着くまで ドラフト会議当日、高島はいつも通り午前中勤務をしていた。研究技術部で紙の測定などを行い、午後からはチームの練習。「(ドラフトを)見ながらウエートトレーニングとかやって、帰って見ながらご飯を食べようと思っていた」。寮に戻り、夕飯の唐揚げを食べていた時だった。「第5巡選択希望選手、オリックス――」。次の瞬間、明大準硬式野球部の歴史が動いた。史上初、同部出身選手がドラフト会議で指名を受け、プロ野球選手が誕生した。 「まさか本当に呼ばれるとは。(指名される確率は)半分半分くらいかな、と思っていた」と驚きの気持ちが一番強かったという。「先輩や同級生、後輩からお祝いのメッセージを頂いた。お世話になった指導者の方々にもいい報告ができたので、一つ恩返しができたかなと思う」。大学時代の監督をはじめ、たくさんの人たちから「おめでとう」の言葉をもらった高島。だが元々、プロを目指そうという気はなかった。そう、彼の野球人生はいわゆる〝王道〟ではない。爽やかな笑顔の裏で、苦闘した過去があった。 元甲子園球児の選択 高島は小学1年次に野球を始め、高校は出身である北海道の滝川西高校に進学した。高校3年次には夏の甲子園に出場。高校球児憧れの聖地を踏みしめ「あんなに観客が埋まった球場で投げたのは初めてで、すごい印象に残っている」と話したが「甲子園に出られたのも自分がそんなにばりばり投げてっていうわけでもなく、エース(鈴木愛斗・北海道ガス)が1人で頑張って投げ抜いて、つかみ取った甲子園だった」。当時の高島の背番号は2桁、つまり控えだった。自身も2番手で登板したが結果は振るわず。ただ直球は最速141キロを計測し、持っているポテンシャルの高さが垣間見えた。 その後、エース・鈴木は社会人野球の道へ。高島はというと「高校でもう野球辞めようかなとも思っていた」。そこから野球引退は考え直したものの、少なくとも硬式は大学ではやらないことを決め、北海道の大学で準硬式野球をしようと考えた。そのことが監督の耳に入り「監督から『こういうところからセレクションの案内が来ているぞ』と言われた」。甲子園に出たことによって、複数の大学からスポーツ推薦の案内が。その中に明大準硬式野球部の名前があった。セレクションの実施は2、3日後。すぐに親と相談し、次の日、高島は東京でセレクションを受け、再び北海道に戻った。「怒涛(どとう)のスケジュールだったが、自分が準硬式やりたいって思っていて、監督とお話しさせてもらったことが(入部への)経緯」。高島の野球部人生第二章が、明大準硬式野球部で始まった。 打ち砕かれた侮り 「最初入った時は正直そんなに、軟式野球くらいかなと結構なめていたというか、そんなにレベル高くないだろうなと思っていた」と、準硬式野球に対する当初の気持ちをぶっちゃけた高島。だが、そう甘くはなかった。甲子園経験者は高島だけではない。甲子園では名の知れた高校からやってきた数々の打者を相手に、制球が全く安定できなかった。「最初、春リーグの最終戦の慶応戦で投げさせてもらったんですけど、その時『レベル高いな』と思った」。周囲からの期待は高く、1年次春からベンチ入りはしたものの、通用しなかった。準硬式野球の試合で使う球は、その名の通り準硬式球。ボールの違いにまだ対応しきれていなかったことに加えて「コントロールがそんなにまとまっているタイプのピッチャーじゃなかった」。この二つが重なった結果が成績に表れていた。 不振の高島の一方で、同じくスポーツ推薦で入部した前田剛志さん(令4農卒)は最初から好投を続ける。さらに谷口秀斗さん(令4営卒)も1年春に二塁のレギュラーに定着。「自分だけ試合で投げていないっていうのは、結構焦りがあった」。春季木村杯新人戦でも5回10失点と先発の役割を果たせなかった。壁にぶつかった高島は、このままレギュラーの座をつかめずに終わってしまうのか。そんな状況が変わったのは、あまりに突然のことからだった。 [北原慶也] ※②はこちら ◆高島 泰都(たかしま・たいと)令4法卒、滝川西高。一番好きな食べ物は唐揚げ、ではなくフライドポテト。「プロ入ったらちょっと自制しなきゃいけないな。今のうちに食べておこうかな」。181センチ・80キロREAD MORE -
明大史上初! 準硬式野球部出身・高島がオリックスから5位指名/プロ野球ドラフト会議
準硬式野球 2023.10.26明大史上初、ドラフト指名を受け準硬式野球部出身のプロ野球選手が誕生した。26日、プロ野球ドラフト会議で明大準硬式野球部出身の高島泰都投手(令4法卒=王子)がオリックス・バファローズから5位指名を受けた。大学時代には最速150キロを投げるなどの活躍を見せ、卒業後は社会人野球の王子へ。2年後に見事プロ指名を勝ち取った。 過去には、明大準硬式野球部で昭和33年卒・岡田忠弘氏(元プロ野球選手)が東映フライヤーズに入団した歴史もある。ドラフト指名制度が開始してから指名を受けた選手としては明大初となった高島投手。異色の経歴を持つ明大卒の150キロ右腕が新たな歴史に名を刻んだ。 (写真:大学時代はリーグ戦通算23勝をあげた)(写真:大学4年次に王子野球部に内定)[布袋和音] ◆高島 泰都(たかしま・たいと)令4法卒、滝川西、180センチ・77キロREAD MORE
部の紹介 INTRODUCTION
コルクの粉末と樹脂を混ぜ合わせた芯に糸を巻き付け、表面を天然ゴムで覆ったボールを使用する準硬式野球は、硬式と軟式の中間的存在にある。近年は準硬式野球の世界からもプロ入りする選手がおり、注目度が高まっている。明大が所属する東京六大学リーグは甲子園出場経験者がそろったレベルの高いリーグだ。昭和12年の創部以来、東京六大学春季リーグでは24回の優勝を誇っており、毎年数多くの選手が個人タイトルやベストナインを獲得している。選手の主体性を重視した野球で、目標とする「日本一」へ突き進む。