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悪条件が重なり惜しくも頂上には届かず/冬山合宿
山岳 2022.04.08◆12・24~1・5冬山合宿(長野県、岐阜県・槍ヶ岳)[参加者]川㟢・長嶺・長沼 悪条件が相次いで重なった。3人の部員とOBで行われた今回の冬山合宿。長沼郁人(法1=柏陽)が腰のケガで途中離脱し、相次ぐ天候不良で登頂を断念せざるを得なかった。改めて雪山攻略の難しさを思い知ったが、約2週間貴重な経験ができた合宿となった。 アクシデントが続き、2年連続登頂を果たせなかった。今回の合宿では厳冬期の槍ヶ岳に挑んだ明大山岳部。中崎尾根から始まり槍ヶ岳の上部を目指す内容で行われた。安全管理に気を付けながら順調に進むのかと思われたが、中盤で腰のケガにより長沼が荷物を持てず途中下山することになった。残りの3年生とOBによる構成で引き続き山頂を目指したが、ここでもアクシデントが発生する。槍ヶ岳山頂へのアタックの際、稜線から張り出した雪庇(せっぴ)を歩行中に突如崩落。部員同士をつなぐロープが引っ掛かり事なきを得たが、冬山の恐ろしさを再度感じさせられる場面だった。その後は天候不良で停滞が続き槍ヶ岳の山頂まで行けず、登頂を諦めざるを得なかった。 頂上には至らなかったが、約2週間の登頂で収穫はあった。「雪が降って山の地形が全く変わってしまった中を自分たちでどこが正しい道なのかを判断しながら歩くことができた」(長嶺武・農3=北杜)。天候の影響が大きい山の中で重要な要素となる判断力を磨くことができた。加えて 「今回は全体的に最後まで粘るというのができた山行だったと思う」(川㟢摩周主将・政経3=札幌南)。冬山で限界を感じながらも根気を伸ばし、12日間に及ぶ合宿で改めて成長することができた。 川㟢、長嶺は4年生になり引退が近づいていく。後輩がいない中での活動は負担が増え、抜けた穴は大きい。しかしその分「後輩がいない分自由にできるので、最後を無事に終えられるようにしっかりやり抜きたいです」(川㟢)と意欲を見せた。今後は春山決算合宿に向けてトレーニングを積んでいく。2人は再び頂上へ向けすでに進み始めている。 [ジンセウン]※写真は山岳部より提供 選手のコメント川㟢――春山合宿に向けての抱負はありますか。 「決算に向けては1年生が結局いなくなって、シチュエーションとしては去年の決算も2人だったので全く一緒ですね。その分自分たちがやりたいことが後輩がいない分自由にできるので、最後を無事に終えられるようにしっかりやり抜くことです」 長嶺 ――今回の合宿を振り返っていかがでしたか。 「前半は1年生と一緒にいて、1年生のこと指導しつつ、安全管理しつつ、という感じで順調に行けましたが、後半1年生がいなくなってから天気も少し悪くなり始めて、結果的に槍ヶ岳の山頂には行けずに悔いが残ってしまいました。それでも大雪の中で歩くことや、雪が降って山の地形が全く変わってしまった中を自分たちでどこが正しい道なのかを判断しながら歩くことができたので、そこは成果だと思っています」READ MORE -
悪天候に行く手を阻まれ登頂ならず/夏山合宿
山岳 2021.11.03◆8・11〜21 夏山合宿(山梨県、長野県・南アルプス) [参加者]長嶺・川㟢・寺井・長沼 悪天候に行く手を阻まれた。例年通り南アルプスを舞台に行われた夏山合宿。16日間に及ぶ長期山行を予定していたが、前例を見ぬほどの雨に停滞を強いられ、10日目で無念の途中下山となった。 自然の厳しさを思い知らされた。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、合宿の舞台を北アルプスへと移した昨年度とは打って変わり、例年通り南アルプスの縦走を予定していた今年度の夏山合宿。北岳の麓、広川原から入山し、池口岳を目指し山小屋を転々としながら幕営生活を行った。「普段は天候がいい地域と聞いていましたが、きれいに晴れた日がほとんどなかった」(寺井杏雛・文1=学芸大国際中教高)。序盤から天候が崩れ停滞を強いられると、行程の中間地点にあたる三伏峠小屋で予備日を全て消化してしまい下山を決意。2年連続の夏山登頂とはならず、無念の中断となった。 「合宿での見聞や感じたことを振り返って今後に生かせるようにしたい」(長沼郁人・法1=柏陽)。停滞の中でも、危険性を考慮しての行動判断や、長期にわたるテント生活でモチベーションを保つすべなど収穫はあった。「冬山では今回に似た天候の悪さもあると思う。そこで耐える根性を身に付けることができた」(長嶺武・農3=北杜)。天候に行く手を左右される登山の中で、安全に山行をこなす糧を得た。 再起へ、次なる目標は今年度の総決算となる春山合宿だ。「冬に向けてもっとモチベーションを上げて、体力も付けて臨みたい」(川㟢摩周主将・政経3=札幌南)。年末から年明けにかけて北アルプスの槍ヶ岳で行われる予定の冬山合宿は、その前哨戦となる。夏山よりもさらに厳しい環境となる冬山でも夏山合宿での収穫を生かし、さらなる飛躍を見据える。 [土屋秋喜] 選手コメント川嵜――今回の行程の難易度はいかがでしたか。 「ルート自体は2年前に上り途中下山をしたルートと同じでした。縦走と言うと、北アルプス、南アルプスの二つのコースが定番ですが、今回の南アルプスのルートは3000メートル級の稜線が連なっていて、難易度は高いです。標高差もあるので、体力的な負担も大きく、特に今回は南アルプス最南端の池口岳をゴールにしていたので、距離的にも長いルートでした」 長嶺――行程の中で最も過酷だった部分はどこですか。 「塩見岳に向けての道のりで、11時間以上3000メートル級の山を登って、下って、また登るという部分でした。行動時間が長く、疲れた体でどこまで踏ん張ることができるかという感じで、前半の山場というような部分でした」 寺井――今回の合宿ではどのような役割を担っていましたか。 「新人合宿の時と同じように、食事を作ることが1年生の役割でした。その他にも起床係や衛生係なども割り振られていました」 長沼――現在はどのようなトレーニングを行っていますか。 「夏合宿では特に筋力不足を感じることが多く、筋力不足によるケガもあったので、持久力のトレーニングに加えて下半身や体幹を中心とした筋力トレーニングも行っています」READ MORE -
春山登頂成功 さらなる飛躍を目指す/新人合宿
山岳 2021.06.30◆4・30~5・7 新人合宿(長野県・北アルプス・小日向コル・白馬三山)[参加者]川嵜・長嶺・寺井・荒井・長沼 3人の新入部員を迎え、また新しく生まれ変わった明大山岳部。昨年度は新型コロナウイルスの影響で新人合宿が行われなかったが、今年度は8日間に及ぶ山行を完遂。無事に登頂を果たした。 満足な結果の合宿だった。2021年の新人合宿には初の合宿となる1年生3人を含む現役部員5人が参加。今回は、全員で小日向にキャンプを設営してから上級生と1年生は別行動を取ることになった。上級生は別動隊として白馬岳主稜と白馬鑓ケ岳北稜のバリエーションルートで練習し、その間に1年生はOB陣の指導に従って雪上訓練を敢行。最後は全員でしゃくし岳に登頂する内容で行われた。惜しくも白馬鑓ケ岳北陵は例年よりも雪が多く、登頂に挑めなかったものの「6月に剣岳のバリエーションルートで経験を積もうと計画を立てて、そこで穴埋めをしようと思っています」(川嵜摩周主将・政経3=札幌東)。内容設定や日程調整など、合宿の計画においても困難があったが、目標にしていた1年生の雪上訓練、上級生のバリエーションルート挑戦の両方をケガ人、脱落者を出さずに達成した。 ルーキーも活躍を見せた。今年の新入部員は、スポーツ推薦入部の荒井健太郎(農1=正智深谷)、一般入部の寺井杏雛(文1=学芸大国際中教高)、長沼郁人(法1=柏陽)の3人。今回の合宿で1年生は、高校時代には背負ったことのない荷重と慣れない装備、長時間の山行に苦戦しながらも要所で可能性を見せつけ全行程を完遂した。「きつい面もありましたが、自分としては楽しかったという感想の方が上回っています」(寺井)。過酷な山行を楽しむことができたものの、今後への課題も表れた。「体力面の課題と、食事当番などで全体的に道具の使い方など不慣れだと感じました」(長沼)。上級生からも期待を受けている新入部員3人。100周年を迎える山岳部の未来を担う人材として、4年間で大きく成長すること間違いなしだ。 次の目標は夏山合宿だ。2年前、参加者が負傷し無念の途中下山を余儀なくされたルートへと再挑戦する。「最後の静岡のゴール地点に絶対たどり着きたい」(長嶺武・農3=北杜)。夏山合宿に向けた3年生の心構えは格別だ。これからは夏山の登頂を成功させるため、暑い日に耐えられる体力とメンタルを鍛える。さらなる飛躍を目指し、明大山岳部は心身の成長を図る。 [ジンセウン]※写真は山岳部より提供 選手のコメント川嵜――今回の合宿を振り返っていかがでしたか。 「まず1年生は、雪上訓練はしっかりできました。本当は雪上訓練だけで良いですが、何か達成感あることしたいと思ったので、11時間かかる長い行動にも1年生を連れていきました。これからの可能性を感じるような行動になったと思っています。上級生は北稜の雪が例年より多い関係で思うように行動できなくて断念する形となってしまい、自分たちが計画していた強化には達していないので、6月に剣岳のバリエーションルートで経験を積もうと計画を立てて、そこで穴埋めをしようと思っています」 長嶺――個人的な今後の目標はありますか。 「次の合宿が夏山合宿で、1年生の時は自分のケガのせいで全体を下山させてしまったので、捻挫した所を通過して最後の静岡のゴール地点に絶対たどり着きたいと思っています」 寺井――初の合宿はどうでしたか。 「高校時代も山岳部に入っていて、個人的にも雪山に何度か行ったこともありました。自分が明大の山岳部に憧れて明大に入学したところもあるのでわくわくしていて、実際に登頂した日もすごく天気が良くてずっと楽しかったって感じです。もちろんきつい面もありましたが、自分としては楽しかったという感想の方が上回っています」 荒井――夏山への抱負を教えてください。 「今度は自分でもつらいと思います。20日くらいの期間の合宿になる予定なので、メンタル的に今回みたいに終始いろんなこと初体験して、初めて知ることを楽しみながら過ごせたらきつくても乗り切れるかなと思います」 長沼――これからの課題は何だと思いますか。 「最終的にはしっかり行動終えられたとは言っても、これからの活動はもっと厳しくなっていくと思います。体力面の課題と、食事当番などで全体的に道具の使い方など不慣れだと感じました。山での生活面で経験をもっと積まなければいけないなと思いました」READ MORE -
連続登頂はならず 決算合宿でリベンジへ/冬山合宿
山岳 2021.03.17◆12・25~1・2 冬山合宿(長野県、富山県・爺ヶ岳) [参加者]川㟢・長嶺・平井 冬山連続登頂は成らず。新型コロナウイルスの影響を受け、例年よりも活動ができていなかった山岳部。通常、冬山合宿を決算合宿としているが、今年度は春山合宿を決算合宿に変更した。そのため「トレーニング目的の山行だった」(川㟢摩周主将・政経2=札幌東)。しかし、悪天候に悩まされ、残念ながら登頂とは成らなかった。 自然の厳しさを痛感した。現在1、2年生しか部員がいない山岳部。新型コロナウイルスの影響もあり、満足のいく活動はできていなかった。そのため、決算合宿を例年の冬山から春山に変更。また、部の実力を考慮し、例年に比べると難易度の低い尾根を選択した。冬山合宿に向けては、山に行かなくともできるトレーニングを増やし、準備を進めてきた。「スムーズに動けていた」(長嶺武・農2=北杜)。25日に山に入ると、カプセル方式でキャンプを転々としながら、着実に頂上に接近。29日までは予備日を使うことなく、ファイナルキャンプへ到着することができた。しかし「天気が自分たちの想像以上に荒れた」(長嶺)。その後は一晩で2メートル近い積雪となるほどの悪天候。風も強く、雪の壁を作りテントの崩壊を防いでいた。結果3日間ファイナルキャンプに閉じ込められ、頂上へのアタックは一度もできず。「安全性を考慮して下山した」(平井悠太・農1=正智深谷)。冬山の登頂は、天候の影響で断念せざるを得なかった。 再起を誓って、春山合宿へ。今回は惜しくも登頂成功とはならなかった山岳部。だが「自分たちで考えられるようになった」(川㟢)。今年度からは川㟢、長嶺が最上級生。2人が中心となり、後輩の面倒を見ながら合宿を遂行。上級生がいた昨年度とは全く異なる経験ができ、2人の成長につながった。平井のケガの影響で、春山合宿は川㟢、長嶺のみで行う。「後輩に春山で積んだ経験を見せられるような合宿にしたい」(長嶺)。新年度を迎える前に最後の基礎固めを目指す。 [田中佑太] ※写真は山岳部より提供 川㟢――昨年度との違いはありますか。 「昨年度は雪もそこまで多いわけではなく、天気も恵まれていたので、テントに閉じ込められるということもなかったです。今年度は天気が悪く、風が強くテントが壊されそうでした。雪の壁を作ったり、しのいだり、昨年度とは違う経験ができました。昨年度はルート工作を先輩が行ったため、今年度は2年生が行うなど全然違う体験ができました」 長嶺――春山合宿の目標を教えてください。 「春山の決算が今年度一番の目標の合宿になっていますが、平井がケガで参加できません。1年生がいない分、自分たちが春山をやり切って、東京に帰って、新1年生や平井に、春山をやってきたという体力や自信を見せられるような合宿にしたいと思います」 平井――新歓合宿に向けての目標はありますか。 「今はもう冬山合宿が終わってからトレーニングができていなくて、体力的にも落ちているので、そこを戻すのが目標です。あとは1年生を指導するという意味で自分のやることをしっかりやりたいです」READ MORE -
異例の夏山行を完遂 これ以上ないリスタートに
山岳 2020.12.14◆8月下旬 夏山合宿(富山県・北アルプス) [参加者]川嵜・長嶺・水野・平井 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、例年とは違うコースで行われた夏山合宿。新人合宿が中止となり、十分なトレーニングが行えなかったなどの不安要素もあったが、無事に全員が完遂。創部100周年記念登山に向けこれ以上ないリスタートとなった。 若きアルピニストたちがその真価を見せた。新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた今年の大学スポーツ界。山岳部もその例外ではなかった。2022年、山岳部100周年登山の主力となる現在の2年生を中心に動き始めた山岳部だったが、新人合宿は中止に。今回の夏山合宿は約半年ぶりの本格的な山行となった。 今年の舞台は北アルプス・立山。立山室堂から尾根を南下し、雲ノ平へ定着。水晶岳、野口五郎岳などに登り、最後は折立をゴールとするルートだ。「主体性のある合宿ができた」(川嵜摩周主将・政経2=札幌南)。例年の夏山合宿は南アルプスで行っていたため、北アルプスで行うのは今年が初の試み。また今年は部室が使えず、過去の資料も見られない状況にあり、2年生の3人を中心に一からルートを考える合宿となった「(先輩方は)頼りになるし心強い」(平井悠太・農1=正智深谷)。唯一の1年生部員の平井。5日目には腰痛というアクシデントに見舞われ、完歩も危ぶまれたが、頼もしい2年生の助けもあり見事に初の長期山行をクリア。「全て歩ききったことで大きく自信がついた」(長嶺武・農2=北杜)。部員全員が充実した11日間となった。 「来年もっと面白い山に登れるように」(川嵜)。今年度集大成となるのは春山合宿。そこへ向けて、次は冬山で経験を積む。「基礎をしっかり今年で完成させたい」(川嵜)。創部100周年登山に向け、下級生主体の山岳部はさらなる成長を目指す。 [土屋秋喜] ※写真は山岳部より提供選手のコメント川嵜――合宿を振り返っていかがですか。 「登山前に40キロ以上の荷重で練習ができていなかったので不安もありましたが、特に1年生はよく心折れずにやってくれたと思います。また、去年はケガで途中失敗だったので、やり切った達成感もあります」――山岳部にもコロナウイルスの影響はありましたか。 「やはり部室を使えなかったので、荷重の練習などはかなり制限がありました。また、山小屋などの休業も多かったので、合宿に当たってのリサーチもかなり大変でした」長嶺――今回の合宿にあたりどんな目標を立てましたか。 「安全に全てを歩き切ることでした。自分は去年のこの合宿で怪我をして、それで夏山合宿が中止になったので、リベンジという気持ちもありました」――冬山に向けての目標を教えてください。 「自分はもう上級生なので、疲弊した状態でもチームの状態に目を配って、どういう行動をとるべきかの判断をもっと的確にできるようにしたいです。平井――今回の合宿の反省点はありますか。 「腰痛で荷物を持てなくなってしまったのは反省点です。そこはトレーニングなどでカバーできると思うので、冬山までにしっかり筋肉をつけたいです。」――山岳部100周年に向けての抱負をお願いします。 「メンバーに入るためには筋力とか体力面もそうですし、技術面もまだまだ足りないのでしっかりと鍛えていきたいと思います」READ MORE -
1年間の集大成 冬山登頂成功/冬山合宿
山岳 2020.03.29◆12・25~1・2 冬山合宿(長野県、富山県・蓮華岳周辺) [参加者]小田・川嵜・長嶺・水野 4年間の集大成を飾ってみせた。小田英生主将(農4=琴平)にとって、最後となる明大での冬山合宿。見事に全員で登頂を果たし、主将としての役目を果たした。 目標を達成した。今年度は4年生1人、1年生3人という難しい状況の中で活動してきた山岳部。11月後半から12月にかけては富士山で訓練を積み、冬山に向けて雪対策を行ってきた。途中、道に迷い遭難しかけるハプニングも起こったが、チーム内で話し合い立て直した。「登頂につなげられたことが主将をやってきた上での一番の成果」(小田)。唯一の4年生として、後輩への指導方針や部の雰囲気を良いものにするべく奮闘し続けた小田。後輩への指導方針や部の雰囲気に悩まされることが多かったこの1年。後輩たちと積極的にコミュニケーションを取り、今までにはない関係を作り上げた。「かなり充実した4年間だった」(小田)。最後は、全員で山頂に立ち、笑顔で山岳部を卒部した。 新時代の幕開けだ。小田が卒業し、来年度は3、4年生がいない状態になる。その中で引っ張っていくのが新2年生。「次の年に自分たちしかいないので、次年度につなげることを意識した」(長嶺武・農1=北杜)。新2年生全員が来年への強い意識をもって、臨んだ冬山。見事全員で登り切り、この1年間での成長を実感した。新主将を務めるのは、川嵜摩周(政経1=札幌南高)。「下級生と意思疎通して、雰囲気をより良く、みんなが萎縮しないような雰囲気にしたい」。来たる100周年登山に向けて、新主将が山岳部をまとめ上げる。 [田中佑太] ※写真は山岳部より提供 選手のコメント小田――小田さんの4年間の総括を教えてください。「1、2年の頃とかはこの部活に入ったことを本当に後悔していました。ただ3年生になって、色々体制が変わっていく中で、自分の時間が増えました。自分の行きたかったルートにも結構行くことができ、そこで改めて自分のスキルアップやモチベーションアップにつながったりしました。また、その中で自分はこうしたいとか考える時間もあり、その中で自分が主将になって、できなかったこともあったんですけど、チームの雰囲気とかをうまくつくれたらと思って1年間活動できたところはよかったなと思いますし、一番大きいのは4年間続けられたことです」 川嵜――成長できたところはどこですか。「自分たちが下級生として最後というのを意識したので、来年度以降自分たちが引っ張っていくために先輩の動きとかを見て心の準備とかをできたりしたので、いいステップアップになったと思います」 長嶺――冬山の感想をお願いします。「あっという間に終わってしまったなと感じます。かなり苦しい部分もあったんですけど、みんなで登ってみて、達成感もあって、つぎにつながる登山になったと思います」 水野三波(文1=成東)――成長を感じたことはありますか。「重荷の中での行動するときの体力がついたなと感じて、新人の時リュックをあげるのもままならなかったんですけど、冬山はだいぶ重荷でも動けるようになったので成長を感じました」 READ MORE -
新時代へ 頼もしいルーキーの力で登頂成功/新人合宿
山岳 2019.08.23◆5・1~5 新人合宿(長野県・唐松岳周辺) [参加者]小田・川嵜・長嶺・朴・水野 新時代の幕開けだ。年度が変わり大きくメンバーを変えた明大山岳部。今年度は昨年度以上に部員間のコミュニケーションを図ることを意識。まずは1年生に「山を楽しんでもらう」(小田英生主将・農4=琴平)ため、例年通り新人合宿に挑んだ。 初陣を登頂で飾った。今回目指したのは長野県・唐松岳。1週間前に同ルートをたどって事故で亡くなった方がいるなど、決して容易な道のりではなかった。しかし主将中心に「安全登山」を心掛けることで、一つの事故もなく無事に行程を終えた。 合宿の目的は、1年生の基礎的な歩行や雪上においての技術面の訓練。目的遂行に尽力した主将はこの合宿に「80点」と、合格点を与えた。 主将が奮闘した。上級生として参加したのは小田主将のみ。一人で1年生4人の面倒を見なければいけないという状況に、「考えることが多かった」(小田主将)。頭を悩ませる場面が多かったものの、とにかく「安全登山」を心掛けながら一つ一つの判断を下した。そんな中主将が感じ取ったのは「1年生の山に対するモチベーションの高さ」。今年の1年生は例年の1年生よりも技術の習得が早く、優秀なメンバーがそろった。その中でも特に存在感を放ったのは、スポーツ推薦で入部した長嶺武(農1=北社)。高校時代山岳スキーで培った体力はさながら、「ほかの1年生を盛り上げてくれた」(小田主将)ことを特に評価した。「1年生全員で協力して合宿を乗り越えられたことは強みだと思う」(長嶺)。ルーキーたちの結束の強さも登頂につながる一つの要因だったことは間違いない。 次の夏山合宿で目指すのは南アルプス。今回新たな風を吹かせたルーキーたちがどのような姿を見せてくれるのか、さらなる期待がかかる。 [川和健太郎] ※写真は山岳部より提供READ MORE -
昨年度のリベンジへ アクシデント乗り越え無事完遂/夏山合宿
山岳 2018.12.11◆8・5~17 夏山合宿(山梨県・北岳周辺) [参加者]小清水・小田・鈴木・服部 全てを出し切った。体力の強化を目的として行われた夏山合宿。日本第2位の標高を誇る北岳を含む行程を何とか完遂し、昨年は失敗した冬山へ弾みをつけた。 自然の気まぐれに翻弄(ほんろう)された。今年はルーキーがおらず、経験豊富な2年生以上で構成されている山岳部員。2年生の体力養成が最大の目的であったため、昨年度から日程を2週間に伸ばした。50キロ以上の荷物を持ち、長いときは12時間以上も移動し続けたが、この1年間の経験を生かして粘り抜いた。昨年度から成長したところに「食事当番やテント設営は問題なくできたし、体力面もあまりばてなかった」(服部晃太郎・国際4=鎌倉)ことを挙げた。5月には上級生合宿があり、体力面の課題を見直したという。トレーニングを週2,3回行うことを宣言し、それぞれがきちんとこなしてきたことが結果に表れた。しかし、最後の3日間に待っていたのは自然の脅威ともいえる台風。例年の夏山ならば暑さによる熱中症や脱水症状が懸念される時期だが、今年度は寒さにやられ、「濡れないように早く行動したり斜面の下に入って風をよけたりする工夫をしながら進むしかなかった」(服部)。ラジオの電波も入らず、気象情報も分からなかったが、地図だけを頼りに進み続けて何とか完遂に至った。精神的にも苦しかった時期を乗り越え、「とにかくやり切った」(小清水健人主将・農4=韮崎)と達成感があふれ出た。 冬山決算合宿で目指すのは、昨年度は登頂を逃した北アルプスの猫又山。白い雪化粧に身を包んだ毛勝三山の一角は「野生動物が死んでしまう」(小清水主将)ほどの寒さである豪雪地帯だ。今回の合宿では、「自分のやるべきことが分かっていた」(服部)と、昨年度よりもスムーズな行動ができたことに手ごたえを感じたメンバーだが、昨年度は不意の天候不順に悩まされたこともあり、一筋縄ではいかぬ合宿であることは間違いない。それでも「いろんなことがありながらも、なんだかんだみんなで下山したのはある意味力だと思う。他の山岳部だったら、あの場面で合宿を終えているかもしれないが、それをせずに(足を)引きずってでも行くと決めてゴールしたのはすごいことだと思う」(服部)。大きな自信を得るとともに結束も一層深まった。昨年度の二の舞にならぬよう、極寒の冬山へ準備を進めていく。[川和健太郎]※写真は山岳部より提供READ MORE -
3年連続の登頂ならず 課題浮き彫りに/冬山合宿
山岳 2018.02.09冬山連続登頂は2年で途切れた。当初は富山県にある毛勝三山の一つ、猫又山山頂を目指していたが、ルート整備や偵察に難航。急きょ稜線上にある大猫山に変更した。しかし、大猫山のアタック中に天候が悪化し、登頂を断念せざるを得なかった。雪山の難しさを思い知らされた合宿となった。 厳しい現実を突きつけられた。1年間の集大成である冬山合宿は、4年生が不在のため「決算合宿」ではなく、来年を見据えた訓練の意味合いが強かった。今回は、3年前に登頂できなかった北アルプスにある猫又山に挑戦。冬山は腰ほどまである雪が積もっている道を進んで行かなくてはならない。そのため、ラッセル(雪をかき分けながら進むこと)の技術、体力が必要だった。初めての本格的な冬山登山となった1年生、雪山を経験している上級生も「少し進んで、すぐ疲れてしまった」(服部晃太郎・国際3=県立鎌倉)と想像以上の残雪に苦戦。このため、同じ登山道を何日もかけて繰り返し登る日もあった。思い通りに進まないもどかしさから、隊全体の精神面も追い詰められた。また、1年生の仕事である食事当番も日程が進むにつれ、制限時間内に仕事を終えることができなくなってしまった。雪のために1年生を強化できていなかったことから上級生も食事当番を手伝うも「水の確保に雪を解かすのだが、時間配分が難しかった」(鈴木光・農1=浜松日体)。これらの影響で、整地されていない登山道のルートの整備、山頂までの偵察が遅れ、当初の予定からずれ込んだ。そこで、猫又山から近くにある大猫山へと目標を変更。下山前日にアタックした。しかし、挑戦中に天候が悪化し隊の行く手を阻んだ。これを受け、小清水健人主将(農3=韮崎)は下山を決定。ここで、今年度の冬山合宿は終わりを迎えた。この結果に「ピークには達することができなかったので残念」(小清水主将)と悔しさをにじませた。それでも、今年度は人数が少なかったため、隊の全員が背負う荷物の重量は重かったものの、この合宿では「重い荷物を背負うことに少し慣れた」と鈴木。小清水主将も、「雪の中で生活を行う経験が必要だと思っていたので、概ねできていた」と収穫もあった。 来年度の登頂成功に向けて一から立て直す。冬山合宿では「自分の悪いところが明らかになった」(服部)と想定外の雪山に順応できず、1年生の地力の強さを発揮することができなかった。新人合宿までに、まずは各学年の仕事をしっかりとこなせるようにトレーニングを行う。小清水主将も「まずやらないといけないのは下級生の強化」と部員の少ない山岳部にとって、下級生の一層の成長は冬山合宿踏破に不可欠だ。また、来年度も小清水が主将を務めるため、、チームワークにもさらなる磨きがかかる。そして「来年は同じ山なので登れるように頑張る」とリベンジを誓った。反省を生かし、山岳部は再び前を向いて歩みを進める。[髙橋昇吾]READ MORE -
ルーキーが着実に進歩 日数減少も無事に全行程完遂/夏山合宿
山岳 2017.09.143000メートル級の山々を登頂し、夏山合宿を無事に踏破した。1年生の強化を目的とした今回は、参加人数を考慮し例年の半分の8日間で挑戦。3日目の長時間歩行で疲労が限界になり、1年生の仕事であるテント設営に時間をかけてしまった。それでも、食事当番は合宿全日とも時間に間に合わせるなど1年生が大きく成長。集大成である冬山合宿登頂へ期待できる充実した合宿となった。 最大の難所は3日目だった。早朝5時に起床し登山を開始。通常は、午後2時までの行動だが、途中の登山道が片方の斜面が切れ落ちていた。そこは足を踏み外せば危険が伴う山道で思うように前へ進めない。さらに、いつもは先頭に起用しない1年生が先陣を切ったことで歩行のペースが低下。目的地にたどり着いた時には午後8時を回っていた。「3日目の遅れはかなり大きいものになってしまった」(小清水健人主将・農3=韮崎)。さらに、キャンプ到着後のテント設営と食事当番に苦戦。「疲れと眠気があり、きつかった」(鈴木光・農1=浜松日体)。初日、2日目と予定通りに完遂していただけに、今後の課題である体力の低さが露呈した登山となった。その後は、北岳を中心に周辺の山を次々と登頂しては下山を繰り返し、無事に全行程を終えることができた。難しい合宿ではあったが収穫もある。小清水主将は「今回は1年生に自主的に動いてもらいたかったが、それができていた」と下級生の確かな成長を実感。冬山決算合宿では、前回の合宿から能力の高さに定評があるルーキーたちの活躍に期待がかかる。 地力の強さを見せつけた。今年の夏山合宿参加者3人の内1年生が二人。人数減少に伴い今まで通りの準備ができず、小清水主将は山岳部伝統の完全分担制を見直した。「1年生の役割もかなり増えた」(小清水主将)。このイレギュラーな事態にも1年生二人は落ち着いて仕事をこなし、合宿を成功に導いた。ルーキーの大車輪の活躍に小清水主将は「新人合宿よりかなり成長が見られ、ほぼ満点に近いくらいの合宿だった。1年生に求めるレベルとして今は十分だと思っている」と太鼓判を押す。しかし、合宿の目標である体力強化について「歩行でいっぱいいっぱいになってしまい、景色を見ることができなかった」(鈴木)とさらなるレベルアップの必要性が身に染みた。それでも、「3日目の厳しい歩行で、1回も弱音を吐かなかった」(服部晃太郎・国際3=県立鎌倉)。冬山決算合宿に向けて精神面はさらなるステップに進んでいる。山岳部の合宿の中で最も厳しい登山になる決算合宿が次に控える。次に向けて鈴木は「重荷に慣れていないためその体力をつけていきたい」とすでに前を向いた。決算合宿では、ルーキーながら即戦力の活躍が期待される鈴木と服部はさらなる飛躍を誓う。 3年連続の冬富士の頂を極めたい。このところ2年連続で登頂に成功している山岳部。冬山は今回と大きく異なり、ラッセル(雪をかき分けながら進むこと)を登山中に行わなければ前へ進むことができない。登頂成功のためには、体力のさらなる強化は不可欠だ。小清水主将は「冬は環境も厳しくなる。荷物の量も多くなっていくので1年生がどれだけ対応できるかがカギになる」と1年生のさらなる奮起に期待を寄せる。冬山合宿に向けてすでに準備は始まっている。「基礎を固めていきたい」(小清水主将)。夏山合宿のように一人一人が最大限の力を発揮し、最終目標達成を成し遂げる。[髙橋昇吾]READ MORE
部の紹介 INTRODUCTION
大正11(1922)年の創部。他の部と異なり対外試合はなく、選手一人一人が自分と戦う。50㎏にもなる荷物を背負い、足元が安定しない雪山でさえ踏破していく。時には苦しい状況に直面するものの、登頂した時の喜びは山を登り切ったものにしかわからない。非常に奥の深い競技だ。過去には日本で初めて五大陸の最高峰を登頂した故・植村直己(昭39年農卒)が在籍。また、学生のうちに外国の山を登頂したこともある。現在は日本の山を中心に、年6回の春山、夏山、そして部の最終目標である冬山の合宿を敢行している。厳しい自然と戦いながら質実剛健な登山スタイルでピークを目指す。